1 0 0 0 OA 教育講演

出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.Suppl, pp.S-84-S-91, 2008 (Released:2017-09-12)
著者
森 保道
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.558-562, 2016-08-20 (Released:2016-08-30)
参考文献数
17
著者
大谷 敏嘉 八尾 建史 佐藤 麻子 岩崎 直子 樋上 裕子 笠原 督 平田 幸正
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.739-746, 1987
被引用文献数
1

1980~1984年に東京女子医科大学糖尿病センター通院中の25歳未満発見NIDDM 97名 (男51名, 女46名, 発見年齢18.4+4.2歳 [mean±SD], 罹病期間7.1±6.4年) について, 糖尿病の遺伝歴と肥満および細小血管症との関係を検討した. 同期通院中の25歳未満発症IDDM 127名 (男60名, 女67名, 発症年齢11.8±5.9歳, 罹病期間10.5±7.2年) を対照とした.<BR>第一度近親に糖尿病を認める発端者は, NIDDM 49.0%, IDDM 11.9%であった (p<0.005). NIDDMで, 三世代にわたってNIDDMの遺伝を有し, 同胞のうち半数以上にNIDDMを認める発端者をMODY, MODY以外のNIDDMをNIDDYと規定したところ, 11.5%にMODYがみられ, 20歳未満発見発端者では19.2%, 20歳以上25歳未満発見発端者では2.3%にMODYを認めた (p<0.025).<BR>過去に肥満を認めたものは, NIDDM 30.9%, IDDM 3.9%であった (p<0.005). 肥満はMODYでは1人もなく, NIDDYでは34.9%にみられた.<BR>網膜症は, NIDDM 36.8%(単純22.1%, 増殖14.7%), IDDM 53.2%(単純43.7%, 増殖 9.5%) にみられた。MODYは41.7%(単純25.0%, 増殖16.7%), NIDDYは36.1%(単純21.7%, 増殖14.5%) に網膜症を認めた. 腎症は, NIDDM 14.7%, IDDM 10.3%にみられた. MODYは16.7%, NIDDYは14.5%に腎症を認めた. 若年発症NIDDMであってもIDDMと同様に重症細小血管症がみられ, また, MODYもNIDDYも細小血管症をおこしやすいものから, おこしにくいものまで幅広いheterogencityを有するものと推論した.
著者
遠藤 敏彦 畑 章一 山〓 博之
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.347-353, 2005 (Released:2008-04-11)
参考文献数
7
被引用文献数
3

糖尿病患者の血糖コントロールに血糖自己測定が有用であることは周知の事実であり, 現在, 20種を超える血糖自己測定機器が発売されている. そのうち, 8機種を用いて基礎的検討 (再現性試験, ブドウ糖添加試験) を行うとともに, 血液量や他の糖類・還元性物質が測定値異常の原因となりうるか検討した. その結果, 再現性やブドウ糖添加試験は, 機種により差異があることが確認された. さらに, 血液量不足や他の糖類・還元性物質により, 測定値異常を示す機種があることが確認された. これらの結果を踏まえ, 糖尿病療養指導士は, 血糖自己測定器の操作方法や性能を熟知した上で, 適切な自己血糖測定の指導を行う必要があると考えられた.
著者
井上 正幸 傳 秋光 鳴瀧 恭也
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.499-502, 1994

Using gas chromatographic mass spectrometry, we identified cholesteryl-6 (2, 6-di-tertialy butylphenol-4)-thioether (CT) in the urine of diabetics with hypercholesterolemia who were being treated with oral glibenclamide, 2.5 mg, and probucol, 500 mg/day.<BR>Presumably probucol was hydrolyzed to form 4-mercapto-2, 6-di-tertialy-butylphenol (MBP), the MBP reacted with cholesterol-5 &alpha;, 6 &alpha;-epoxide, oxidized cholesterol, and CT was then formed as a result of dehydration and condensation reactions.<BR>Probucol is expected to be useful in preventing diabetic macroangiopathy and removing oxidized cholesterol from the plasma into the urine.
著者
河原 玲子 雨宮 禎子 古守 知典 吉野 正代 平田 幸正
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.585-590, 1984
被引用文献数
1

糖尿病におけるglycosylated hcinoglobin (HbAI) の増加がヘモグロビン酸素解離能 (P<SUB>50</SUB>) に障害をおよぼし酸素親和性低酸素症 (hypoxia) をひきおこすか否かを検討した.対象はHbA<SUB>I</SUB>の増加している未治療糖尿病37名でアシドーシスや腎不全は含まなかった.37名中14名に非増殖性網膜症を有したがその他は網膜症を有しなかった.正當対照には糖尿病のない健常ボランチア31名を用いた.ヘパリン加静脈血を採取後直ちに酸素解離能とpHを測定した.また同時血液で赤血球2, 3-Diphosphoglyccrate (2, 3-DPG), HbA<SUB>I</SUB>, 血漿無機リン (Pi) を測定した.糖尿病群のP<SUB>50</SUB> <I>in vivo</I> pHは25.1±1.4mmHgで対照群の23.9±1.9mmHgに比し有意に増加した (p<0.01).P<SUB>50</SUB> pH7.4, Vcnous pH, 2, 3-DPGもそれぞれ糖尿病で有意に増加したがヘモグロビン濃度とPiは両群間で差がなかった.糖尿病群における2, 3-DPGはP<SUB>50</SUB> <I>in vivo</I> pHとr=0.42, P<0.01, P<SUB>50</SUB> pH7.4とr=0.46, p<0.001で各々有意な相関がみられた.また2, 3-DPGは両群でそれぞれヘモグロビン濃度と有意な負の相関があった.一方全例でみた場合にはHbA<SUB>I</SUB>はpH, 2, 3-DPG, P<SUB>50</SUB> <I>in vivo</I> pHとそれぞれ軽度ではあるが有意の相関関係があった.以上より細小血管症をもたないかまたは非増殖性網膜症を有する糖尿病でHbAIの高い未治療の時には, 2, 3-DPGの増加に伴うP<SUB>50</SUB>値の高値がみられ酸素放出能の低下はないと考えられた.
著者
朝倉 俊成 野崎 征支郎 清野 弘明 阿部 隆三
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.537-540, 1999-07-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
6
被引用文献数
4

外食時のインスリン自己注射には, 心理的な要因等によるコンプライアンスの低下が予想される. そこで, 当院でインスリン自己注射している糖尿病患者716名を対象とし, アンケートにより外食時のインスリン注射の実態を検討した. 回答は501名 (年齢55.9±15.5歳: M±SD, 回収率70.0%) から得られた. 結果は, 「他の客が気になる」が63.1%, 「注射時間が気になる」が65.9%で, いすれも若年層で有意に高かった. 注射することを気にしている患者の56.7%が「注射場所の有無」について考慮していた. 注射場所はトイレが46.9%, 洗面所が32.1%, 食事する席が28.9%であった. 本調査により, 注射場所を具体的に想定したインスリン注射指導を取り入れる必要性があると思われた. さらに, 注射操作法の工夫や簡便な注射器の開発, そして自然に自己注射が行える社会的な環境整備を行うよう働きかける必要があると思われた.
著者
永井 悦子 勝野 朋幸 紺屋 浩之 小西 康輔 中村 裕子 美内 雅之 片岡 政子 浜口 朋也 宮川 潤一郎 難波 光義
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.295-300, 2009-04-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
10

症例は44歳,女性.2007年2月に統合失調症に対し服用中のリスペリドンを3 mg/日に増量した頃より口渇が生じ,3月4日全身痙攣,血糖値2089 mg/dlにて,糖尿病性非ケトン性高浸透圧昏睡と診断した.同薬を中止し,インスリン加療を開始.治療経過良好にて,退院後は食事療法のみとなった.7月より妄想が出現しペロスピロンを開始した.12月にアリピプラゾール6 mg/日を追加したところ,5%台前半であったHbA1cが2008年1月25日受診時8.4%となった.外来でインスリン治療を再開するも血糖コントロールの改善なく,3月1日入院となった.当初,30単位/日のインスリンを要したが,アリピプラゾール中止後速やかに使用インスリン量が減少し,再び食事療法のみで血糖コントロール可能となった.米国精神医学会治療ガイドラインでは,アリピプラゾールは糖・脂質代謝異常を来たす危険性がない,あるいは治療域で稀にしか副作用が起きない薬剤とされているが,使用時には血糖測定をはじめ慎重な観察を行う必要がある.
著者
谷川 敬一郎 古家 寛司 川口 美喜子 加藤 譲
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.209-214, 1989-03-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15

糖尿病を合併した糖原病1a型の1例 (32歳, 女性) の血中ケトン体と血糖の動態について検討した.48時間の絶食試験では, 血糖およびインスリンは開始12時間後で著明に低下した.その後よりケトン体は検査を終了まで徐々に増加した.759経ロブドウ糖負荷試験では, 血糖と同様にケトン体も, 30分, 60分後に高値であった.インスリン負荷試験 (0.2U/Kg) ではケトン体, 血糖はいずれも90分に底値を示し, ケトン体は150分から240分まで急峻な反跳現象を示したが血糖は240分でも前値に回復しなかった.以上の成績は, 本症例の病態はケトージスであり, 血糖の低下の際のエネルギー代謝にケトン体が効率よく利用されていると考えられる.しかしながら本例が糖尿病を合併した病因についてはなお不明である.
著者
市原 紀久雄 島 健二 黒田 耕平 野中 共平 垂井 清一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.498-504, 1973-11-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
21

Although diet regulation is a basal therapeutic means for diabetes, little is known about its primary effect on diabetic metabolism, including insulin secretion. The purpose of this investigation is to throw a light on this problem.Twenty-two non-ketotic diabetics were selected for study, who were newly-diagnosed or had interrupted the treatment of diabetes for long time, having no other diseases which might affect carbohydrate metabolism.In these patients, blood glucose, FFA and IRI response to oral loading of 100 g glucose were compared before and after 4 week diet regulation. The diet which was indicated to them was composed of 60% carbohydrate, 15-20% protein and 20-25% fat. The total calorie was restricted in relation to their weight and physical activity. The patients were asked to weigh their daily food. 24h intake of carbohydrate, protein and fat, and total calorie were calculated as accurately as possible. According to this calculation, dietetic intakes of seven of these twenty-two patients were found not to be significantly changed between before and after the instruction of diet regulation. Therefore, we divided all patients studied into two groups, namely control group (7 cases) and diet treatment group (15 cases).After the diet regulation in the latter group, fasting glucose was decreased from 164.1±14.6 mg% to 121.7±7.1 mg%(p<0.01), glucose tolerance was significantly improved and insulin response estimated by measuring the area under the curve was increased from 6, 807±958 μU·min/m/ to 10, 392±1, 657 μU·Eminim/(p<0.01) in spite of lowered level of blood glucose. However, the sluggishness in early insulin response to glucose was not markedly changed. Insulinogenic index was also significantly increased at 180 minutes after oral glucose loading. Plasma FFA response to oral glucose was ameliorated at 120 minutes.On the other hand, the control group did not show any significant changes in blood glucose and IRI and FFA response to glucose loading before and after 4 week observation periods.Therefore, the metabolic effects of the diet regulation should be at least in part ascribed to the increased secretion of insulin. These results support the classical concept, “Resting the Pancreas”, brought about by caloric restriction.
著者
結城 由恵 村瀬 明世 上田 真意子 香西 夏子 中村 賢治 廣田 憲威 山﨑 義光
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-9, 2017

<p>インスリンないし経口血糖降下剤治療あるいは併用治療中の日本人2型糖尿病患者34名に,GLP-1受容体作動薬リラグルチド0.9 mg/日投与し,投与前後のグルカゴン負荷試験を用いた内因性インスリン分泌能(<i>Δ</i>CPR)とCPI(空腹時Cペプチド分泌指標)を計測した.また24カ月までの血糖管理指標との関連性を検討した.HbA1cは3ヵ月後に有意に低下し,その後の変化は少なかった.導入前の<i>Δ</i>CPRと24カ月後のHbA1c変化量に負の相関を認めた.導入後12カ月のCPIは有意に改善し,<i>Δ</i>CPRは導入前に比し有意に低下を認めた.これらの結果から,日本人2型糖尿病患者に対するGLP-1受容体作動薬導入前のグルカゴン負荷を用いた内因性インスリン分泌能検索は,リラグルチド有効症例の事前判別に有効である可能性を示した.またリラグルチド投与により,空腹時内因性インスリン分泌の増加が示唆された.</p>
著者
今井 龍幸 松田 雅文
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.671-676, 1991-08-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14

血糖低下時に視力低下を認めることがあるが, その頻度・血糖値との関係についての報告は少ない.血糖低下に伴い一過性の遠視化 (最大屈折変化 (以下△Dと略す) は+2.25) による視力低下を認めその改善に数ヵ月を要した1例を経験し, 以後の例でコントロール前後での屈折状態を検討し, △Dと血糖低下幅 (以下△PGと略す)・血糖低下速度との関係を検討した.10例中9例で屈折異常 (全て遠視化で△Dは+0.25-+2.75) を認め, △Dと△PG間では両眼 (右眼: n=10, r=0.888, 左眼: n=10, r=0.863, 共にp<0.01), △Dと血糖低下速度間では右眼 (右眼: n=10, r=0.722, p<0.05, 左眼: n=10, r=0.613, ns) で有意の相関関係を認めた.血糖改善時には多くの例で屈折異常を認め, うち約3割に視力低下を認めた.△PGが100mg/dl以上で屈折異常を生じ, それが大きい程症状として自覚されると考えられた.また, 血糖改善時には網膜症以外に屈折異常を考える必要性が示唆された.
著者
高橋 裕子
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.523-525, 2009-07-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
5
著者
南部 拓央 村上 隆亮 松田 優樹 松尾 浩司 米光 新 武呂 誠司 隠岐 尚吾
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.153-161, 2014-03-30 (Released:2014-04-08)
参考文献数
25

Glucagon-like peptide-1受容体作動薬「リラグルチド」で加療した100名の2型糖尿病患者を対象として,長期効果及び使用に適した患者像を検討した.1年間でHbA1c値は8.4±0.2 %から7.4±0.1 %,体重は71.8±1.8 kgから68.1±1.7 kgと改善した.観察期間終了時のHbA1c値が7 %未満の患者(Group A)は,7 %以上の患者(Group B)に比べて治療開始時のHbA1c値,糖尿病性腎症合併率,前治療でのインスリン抵抗性改善薬使用率が高かった.またGroup Aは体重が減少し続けたがGroup Bは体重が一過性に増加した.以上よりリラグルチドによる血糖値及び体重改善効果は1年間持続するが,治療開始時のHbA1c値,細小血管症の合併状況,前治療薬,体重減少の経過により規定されている可能性が考えられた.
著者
宮崎 康 田中 正巳 岡村 ゆか里 川越 千恵美
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.757-761, 2003-09-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
39
被引用文献数
6

症例は85歳, 女性.2002年6月より口渇・嘔吐が出現, 7月に466mg/dlの高血糖が判明し入院となった.病歴と検査所見から1型糖尿病の急性発症と診断した.検索し得た限り, 本例の1型糖尿病発症年齢 (85歳) は本邦で3番目の高齢である.1997年以降の糖尿病学会誌収載地方会報告等から検索し得た後期高齢 (75歳以上) 発症1型糖尿病22例の検討から次の点が判明した.(1) 圧倒的に女性が多い.(2) 発症様式から急性発症型と緩徐発症型に分かれる.(3) 急性発症型の最高齢は88歳で本例は2番目の高齢である.緩徐発症型の最高齢は92歳である.(4) 抗GAD抗体は急性発症型では陰性ないし低抗体価, 緩徐発症型では高抗体価で, 他の自己免疫疾患併発例が多い.(5) 1型糖尿病発症と関連するとされるHLAのA24, DR4, DR9は両群に認められた.本例には, 最近小児発症1型糖尿病との関係が報告されたDPB1*0201遺伝子が認められたが, 高齢発症との関連は今後の検討課題である.
著者
金森 晃 土信田 文隆 町田 充 高田 哲秀 中嶋 真一 神 康之 守屋 達美 的場 清和 藤田 芳邦 矢島 義忠
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.147-150, 2000-02-28 (Released:2011-03-02)
参考文献数
10

49歳, 男. 罹病歴17年の重症の糖尿病性トリオパシーを合併した2型糖尿病. 足のしびれ感を癒す目的で両足趾および足蹠部に市販温湿布薬を貼付して車の運転を長時間行った. その後, 貼付部に水疱を形成し, 感染を併発して両足壊疽をきたした. 高血糖是正, 抗生物質投与, 免荷, デブリードマンなどの保存的治療により右足壊疽は治癒したが, 左V趾は中足骨切断術を余儀なくされた. 用いられた温湿布薬にはカプサイシンと同様の作用をもつノニル酸ワニリルアミドが比較的高濃度に含有されている. 本症例では温湿布薬が的確に使用されなかったために, ノニル酸ワニリルアミドによる接触皮膚炎が惹起され, さらに糖尿病性神経障害が存在するために皮膚刺激症状の認知が遅れ水疱形成をきたしたと考えられた, カプサイシンは糖尿病性表在性疼痛に対する治療効果が認められているが, 使用法を誤まると足皮膚潰瘍などの糖尿病性足病変の誘因になる可能性があり注意を要する.