著者
瀬川 典久
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、過酷な気象環境下でも動作し、利用者が安全に利用できるセンサネットワークを構築する技術開発したことである。具体的には、(1)厳しい環境でも動作するセンサネットワークの設計手法の開発(2)発電量と消費電力を考慮したプロセススケジューリング手法の開発(3)安全に利用できるセンサネットワークプロトコルによる信頼性の向上(4)実証実験による、現実社会への適用である。この技術で、厳しい自然環境下での情報の収集が行えると考えられる。
著者
吉光 徹雄
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

大きさ数km以下の太陽系小天体表面での絶対自己位置同定として,小天体近傍に滞在する探査機からの電波を用いる手法の検討をシミュレーションとGPSによる模擬実験により実施した.
著者
影山 穂波
出版者
椙山女学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

都市の「居住空間」とジェンダーとの関係を明らかにするために、名古屋市郊外住宅の開発過程とそこに組み込まれたジェンダー関係を検討した。都市は人々が日常生活を営む単なる入れ物ではなく、行為主体として活動し、社会的・経済的・文化的変化が生み出される場所である。事例のひとつとして、名古屋市における学級開放活動、トワイライトスクール事業を取り上げた。2006年度時点で191校の小学校で実施されており、そのうち16校では時間延長モデル事業が行われている。放課後学級活動であるこの事業は、退職した校長が中心となり運営指導者として派遣されている。またアシスタントパートナーとして有償ボランティアが常時子供たちの目の届くところにいる。また伝統芸能や伝承遊び、紙工作等の体験学習の体験学習の指導を地域スタッフが来校して教えることもある。この事業は小学校で実施される活動であるがゆえに公的事業の色彩が強く、それが保護者と児童の安心感につながっている。また地域居住者と子供たちとの交流の場として機能し始めている。一方で、従来就労支援として進められてきた学童保育は、こうした学級開放活動の広がりにより運営上困難な状況に追い込まれてきている。時間延長モデル事業は、共働き世帯への支援の可能性を秘めているものの、学童保育が果たしている第二の家庭としての役割を担っているわけではない。トワイライトスクール事業は、地域社会への開放の役割は果たしてきているものの、女性の社会進出への支援にはなお課題が多いのである。子供たちにとって、家庭と学校以外の場が地域居住者によって開かれることがトワイライトスクール事業の可能性である。再生産空間として位置づけられてきた地域社会が、生産空間としての機能を持ち、地域居住者と子供たちが主体となって、トワイライトスクールを通じて「居住空間」の形成に寄与することが可能となるのである。
著者
五條堀 淳
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

コーディング領域トリプレットリピートはタンパク質の構造中、不確定領域を形成する事が知られ、そのような領域は進化速度が速いと言われていた。本研究でトリプレットリピートの進化とタンパク質の構造の関連を調べた結果、霊長類における進化では、これまで言われていた事とは逆の、不確定領域になりにくいトリプレットリピートの進化速度が速い事が示され、霊長類特異的な進化の特徴が明らかにされた。
著者
庄司 剛
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

・肺移植モデルにおいて拒絶病変と直接・間接認識経路の関与を、グラフトの病理学的所見およびin vivo, in vitroアッセイにて検討した。ラット及びミニブタ大動物モデルにて肺移植術を行い、術後グラフトの経時的変化を病理学的に評価した。ラット肺移植においては、拒絶病変モデルにおいて拒絶発生時の呼吸生理機能と病理所見の関連性を検討した。また近年、免疫寛容に関与していると注目されている制御性T細胞の特異的マーカーであるFOXP3の発現が、拒絶病変の出現にも関係しているという報告が散見されており、我々は拒絶病変の克服、免疫寛容の導入を目的として、ミニブタを用いた大動物肺移植慢性実験モデルを確立し、同モデルを用いて、急性拒絶病変発現の際のレシピエント内のFOXP3の発現を検討した。ミニブタ(20-30kg)を用いて同種左肺移植を行い、ドナー・レシピエントの選定においてはレシピエントのドナーに対するリンパ球混合反応(MLR)がhigh response(cpm>5000)であることを確認した。免疫抑制剤は一切使用せず、術後評価として胸部レントゲン(術後3,4,5,6,7,10)、開胸肺生検(術後4,7,10)によるグラフトの病理組織診断を施行した。さらに採血を行い、末梢血単核球を分離、末梢血中のFOXP3発現を評価した。末梢血中のFOXP3発現においては、術後4日目に全例が最高の発現を示した。しかし、その後発現は漸減した。末梢血中FOXP3発現が、病理組織では認めるものの胸部レントゲンでは発見できない拒絶早期に上昇していることが認められ、末梢血中FOXP3発現が肺移植の早期拒絶マーカーになりうる可能性が示唆された。
著者
里田 直樹
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

前臨床ミニブタモデルでこれまで免疫寛容(免疫抑制剤なしで拒絶が起きない状態)のマーカーと考えられていた制御性T細胞の特異的遺伝子;FOXP3発現が、逆説的に拒絶の早期に末梢血中で高くなることを見出した。本研究では、さらにミニブタのモデルを用いて拒絶時のFOXP3の発現のメカニズムを明確にし、FOXP3が低侵襲性の信頼できる肺移植の早期拒絶のバイオマーカーとなりうるかどうかを検討した。今後とも、本研究で早期拒絶のバイオマーカーが確立されれば全例に多量の免疫抑制剤を用いるのではなく、ベースラインの免疫抑制剤を感染症が起きない程度に減らしたうえで、早期の拒絶を診断した場合にのみ免疫抑制剤を増量する、いわゆる個々の患者ごとに特有のテーラーメイド的、免疫抑制療法が可能となる。さらに、この方法で肺移植の拒絶の早期における拒絶のバイオマーカーが確立されれば、すべての肺移植の患者に強力な免疫抑制剤を投与するという現行のやり方を改め、ベースラインの免疫抑制剤の量を減らしたうえで、FOXP3を拒絶マーカーとして患者のモニタリングを行い、拒絶が起きた場合には速やかに免疫抑制剤を増やすという、個々の患者に合わせたテーラーメイド的免疫抑制療法が可能となり、過剰免疫抑制による患者の感染症死を激減することができると期待される。本研究は多量の免疫抑制剤を用いるのではなく、ベースラインの免疫抑制剤を感染症が起きない程度に減らしたうえで、早期の拒絶を診断した場合にのみ免疫抑制剤を増量する、いわゆる個々の患者ごとに特有のテーラーメイド的、免疫抑制療法の一歩となる方向に位置づけたと言える。
著者
中村 秀仁
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「次世代がん診療装置CROSS(Correlation Response Observatory for Scintillation Signals)計画」のプロトタイプとして有機シンチレータと無機シンチレータから成るハイブリット型検出器CROSS-miniを完成させました。また、そのプロトタイプ検出器を用いた業績の一つとして、平成20年12月1日に米国科学誌に報告し、同日、文部科学省にて記者会見を行いました「放射線源から放出される放射線の革新的な計測方法の開発」を挙げます。
著者
木村 典代
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

【目的】これまでに紫外線暴露による血中β-カロテン濃度の変化及び血中抗酸化能へ及ぼす影響については明らかにされていない。そこで紫外線暴露量の多いスポーツ競技者と少ない競技者ではUVBによって惹起されるDNA酸化傷害の程度が異なるか否かと血中抗酸化ビタミン濃度に変化がみられるかどうかを検討した。【対象・方法】研究協力の同意が得られた高校女子ソフトボール部員12名、高校女子バレーボール部員17名、コントロール群として大学女子学生11名を対象とした。平成18年夏期に早朝空腹時採血を行い、ヒトリンパ球を用いたCBMN assayを行った。HPLC法により血漿β-カロテン、アスコルビン酸、α-トコフェロール濃度を測定した。採血前の1週間は抗酸化ビタミンの摂取量調査、身体活動量および日常の紫外線暴露量を計測した。【結果および考察】自然誘発性の小核出現率はいずれの群でも低く、群間の差は見られなかったが、UVB照射を行ったリンパ球においては、バレーボール部(21.5±11.0%)がコントロール群(7.8±5.4%、p<0.01)やソフトボール部(9.5±5.7%、p<0.05)よりも有意に高かった。両運動群で身体活動量が同等であったにもかかわらず、バレーボール部のみ小核出現率がコントロール群よりも高値を示した原因の1つとして、α-トコフェロール濃度がコントロール群よりも有意に低値を示していたこと(p<0.05)が関係しているかもしれない。しかしながら、α-トコフェロール濃度と小核出現率の間には相関関係は認められず、さらに、β-カロテンの摂取量や血中濃度にも3群間で差が認められなかった。従って、ソフトボール部のように日常的に紫外線に暴露されている場合には、これらの抗酸化ビタミン以外の紫外線に対する何らかの耐性が高まっている可能性が考えられた。
著者
菅田 健
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

我々は免疫正常な乳幼児ロタウイルス(以下RV)胃腸炎入院患児に対し、ウイルス学的解析を実施し、抗原血症は約5日間、抗原量は第2病日をピークとし徐々に減少することの確認をした。一方で、免疫抑制状態にある患児についてのRV感染は不明な点が多いため、今回我々は造血幹細胞移植を受けた患児血清を用い同様の検討をおこなった。その結果、免疫正常患児に比して長期間、低レベルでの抗原血症が続いていることを明らかにした。
著者
木原 直美
出版者
長崎外国語短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

擬似初心者21名を対象に1年間定期的に多読指導を行った結果、多読は擬似初心者の授業参加へのモチベーション向上、英語読書への興味・自信、英語読書量の蓄積という点において、リメディアル教育として大きな可能性を持っていることが確認された。また、一定の条件が揃った場合、擬似初心者は多読を通して未知語の学習を行うことも可能であり、その学習成果が多読終了後に定着し得ることも確認された。しかしながら、構文理解力、語彙力が低い擬似初心者は、困難を伴わず読める多読図書の難易度が限定されており、先行研究等で提唱されている「多」読の量を確保することは難しく、多く読むことで生じるとされている多読指導による英語力向上も期待することは難しいことが明らかになった。擬似初心者を対象とした多読指導では、多く読ませるための支援が不可欠であり、特に単語増強、構文理解のサポートが別途必要であることが示唆された。
著者
鈴木 宏尚
出版者
一般財団法人平和・安全保障研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本、米国、英国、カナダ、経済協力開発機構(OECD)の外交文書を収集し、マルチアーカイバル・アプローチによって、日本のOECD加盟を国際関係史の視点から検討した。そしてOECDが「冷戦」と「経済」が交錯した場であり、日本のOECD加盟外交においても「冷戦の論理」が用いられていたという知見を得た。
著者
伊東 美緒
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

通所介護施設を利用する認知症高齢者を対象として、週に2回、3か月間、施設から200-500m離れた公園などにでかける「寄り道散歩」プログラムを実施した。22名から同意を得たものの、1年間プログラムに参加して追跡できたのは10名のみであった。散歩をしない時期と散歩をする時期を交互に2回繰り返したところ、2回目のプログラム実施時に自宅における認知症の行動・心理症状(BPSD)の出現頻度が低下する者が半数を占めた。CDR3の認知症が重度の者2名も1年間追跡することができ、認知症の程度にかかわらず、歩行機能が保たれていれば混乱せず実施できる活動プログラムとして活用できる可能性がある。
著者
中川 千帆
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

当該研究は20世紀への変わり目に書かれたニューイングランドの女性作家によるヴァンパイア物語に見られるジェンダーとセクシュアリティを探るものであると同時に、現代のヴァンパイア・ロマンス人気の背後に見られるジェンダー・ポリティックスも明らかにするものである。
著者
外田 智千
出版者
国立極地研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.南極ナピア岩体に産する珪長質の超高温変成岩中の長石微細組織を用いた変成条件の解析とジルコン、モナザイト、アパタイトといった副次鉱物の組織観察をおこない、長石結晶のコアーリムの組成変化が超高温変成作用時に生成したメルトとの相互作用によるものである可能性ならびにアパタイト結晶の分解による二次的なモナザイトの成長等を見いだし、今後の微量元素分析ならびに年代測定のための基礎情報を得た。2.オーストラリア南極観測隊に参加して、南極プリッツ湾地域での超高温変成岩類の地質調査と副次鉱物の年代測定と微量元素分配解析用の岩石試料採取をおこなった。3.研究成果のとりまとめとして、以下の国際学会での研究発表(2件)と学術誌への英文論文の公表(3件)をおこなった:・第19回国際鉱物学会IMA2006(神戸市、2006年7月)において、南極ナピア岩体産超高温変成岩試料中から見いだしたペリエライトの産状・化学的特徴とその意義についての研究発表をおこなった(本科研費による出張)。また、その内容を英文論文として公表した(Hokada,2007)。・第16回ゴールドシュミット会議i(メルボルン、2006年8月)において、ナピア岩体に産する珪長質片麻岩中の長石微細組織から得られた変成プロセスならびに副次鉱物の挙動に関する研究発表1をおこなった(極地研究所プロジェクト研究費による出張)。また、長石微細組織を用いた超高温変成作用の解析結果に関する内容を英文論文として公表した(Hokada&Suzuki,2006)。・電子線マイクロプローブを用いたモナザイトU-Pb年代測定の分析手法ならびに南極産高温〜超高温変成岩試料の年代データを英文論文として公表した(Hokada&Motoyosi,2006)。
著者
米田 力生
出版者
小樽商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

一般的な空間である荷重付きディリクレ空間上の作用素、特に掛け算作用素、テープリッツ作用素、ハンケル作用素がいつ閉値域を持つのかを特徴付けを行った。ベルグマン空間上での掛け算作用素に関しては勿論、一般的な空間である荷重付きディリクレ空間上の掛け算作用素が閉値域を持つ必要条件に関する必要十分条件に関しては知られているが、テープリッツ作用素、ハンケル作用素がいつ閉値域を持つのかに関しては殆ど知られていない。そこで、シンボルを解析函数に限定して、サンプリング集合の特徴付けを行い、その解析結果を利用して、テープリッツ作用素及びハンケル作用素がいつ閉値域を持つかに関する結果を得た。
著者
米田 力生
出版者
小樽商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

ベルグマン空間は、複素平面上の開単位円板上のp乗可積分正則関数からなるバナッハ空間であり、複素平面上の単位円上のp乗可積分正則関数からなるバナッハ空間として定義されるハーディー空間とは密接な関係があり、p=2の場合、両空間とも荷重付きディリクレ空間とみなすことが出来る。本研究の目的は、一般的な空間である荷重付きディリクレ空間上のハンケル作用素及びテープリッツ作用素の有界性、コンパクト性、及び閉値域を持つ条件の特徴付けを行うことである。そこで先ず、荷重付きディリクレ空間上で定義される二つの特殊な積分作用素が、ハンケル作用素及びテープリッツ作用素とかなり似通った性質をもつということに着目し、それらの積分作用素の解析を行った。具体的には、荷重付きディリクレ空間上で定義される二つの積分作用素及び掛け算作用素の有界性、コンパクト性、及び閉値域を持つ必要十分条件を特徴付ける研究に着手し一定の成果を上げた。その結果は幾つかの研究集会において発表し、現在、専門雑誌に投稿中である。そして、それら二つの積分作用素及び掛け算作用素の特徴付けを応用し、荷重付きブロッホ空間上の合成作用素、掛け算作用素が閉値域を持っ必要十分条件に関する研究を行い、これまでには無かった新しい結果を得た。そこでまとめた結果は学術論文として現在投稿中である。また、その結果に関して更なる吟味を重ね、荷重付きディリクレ空間上における(ある特殊な条件の下で)合成作用素、テープリッツ作用素の閉値域を持つ新しい必要十分条件を得た。その結果に関しては幾つかの研究集会において発表を行い、現在、専門雑誌に投稿中である。更に、具体的な例の検証から、別の必要十分条件に関する研究に着手し、幾つかの成果が上がってきている。これらの結果は来年度、発表予定であり、吟味の上で、専門雑誌に投稿する予定である。
著者
柿沢 佳秀
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究での主たる対象は時系列解析だが、ベルンシュタイン多項式に基づく関数推定問題は独立同一分布を想定した母集団分布(密度)関数や回帰モデルにおける回帰関数など、いわゆる「関数のノンパラメトリックな統計的推測」の中に位置づけられる。独立同一分布の密度関数推定(レフリー付きジャーナルJNSに掲載)との類似点に着目し時系列解析の典型例である定常過程のスペクトル密度推定問題への接近法としてベルンシュタイン多項式近似理論を応用(レフリー付きジャーナルJTSAに掲載)した。連続関数なスペクトル密度は周期関数で原点対称性をもつから、[0,π]上のベルンシュタイン近似が採用され、ベルンシュタイン多項式を重みとする推定量の属(古典的に議論されてきたダニエルによるスペクトル推定量の線形結合)を考察し、さらに、ダニエルウィンドウ関数を一般的なウィンドウ関数に替えることで、ダニエルウィンドウ関数の最適性がベルンシュタイン法の意味で示された。平滑化パラメータの選択に対するアイディアは「関数のノンパラメトリックな統計的推測」の枠の中で先行研究が多数存在しておりベルンシュタイン推定法を念頭に関連する文献研究をした。一方では、漸近的な分散の振る舞いは原点近傍と内点ではオーダーが違っており、特に、標本サイズに依存かつ原点に収束するような位置におけるベルンシュタイン関数推定漸近理論には注意を払う必要も示した。このことは、ベルンシュタインスペクトル推定量は原点付近にピークが現れる傾向(これはベルンシュタイン法に対して実施された大規模な数値実験からも確認されており、1つの欠点と判断される)をもつことに対応しており、局所的なベルンシュタイン多項式次数の選択法開発の必要性を認識した。
著者
米田 力生
出版者
愛知教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

複素平面上の開単位円板上において、p-乗可積分である正則関数によって作られるバナッハ空間をベルグマン空間という。本研究の目的は、このベルグマン空間を一般化した空間である荷重付きディリクレ空間上のマルティプライヤーにおけるシンボル空間がどの程度縮小するのかを解析し、荷重付きディリクレ空間上で定義された(ある特殊な二つの)積分作用素の性質を詳しく調べることである。一般に、その二つの作用素は、有名なテープリッツ作用素とハンケル作用素と呼ばれる二つの作用素と密接な関係がある。そのため、これら二つの作用素の性質を調べることは、テープリッツ作用素やハンケル作用素の新たな性質を導き出す鍵となる。そこで先ず、それらの作用素がいつ有界、コンパクトとなるのかに関しての研究を行った。これらに関する研究は、一定の成果を上げ、幾つかの研究集会において発表し、専門雑誌に受理され出版された。また更に吟味を重ね、別の幾つかの成果(有名な空間であるBMOA上での積分作用素及びマルティプライヤーに関する)を上げることに成功した。その結果は、専門雑誌に受理され、今年度出版予定である。また今年度は、荷重付きブロッホ空間上で定義される合成作用素及び積分作用素がいつ閉値域を持つのかに関する研究を行った。先ず、積分作用素がいつ閉値域を持つのかに関して研究を行い、これまでにはまったく知られていなかった必要十分条件を導き出すことに成功した。これらに関する成果は、幾つかの研究集会で発表し、更に吟味を重ね、現在、専門雑誌に投稿中である。更に、これらの結果を合成作用素に応用出来ないかという研究に着手し、幾つかの成果が上がってきている。これらの結果は来年度、発表予定であり、更なる吟味の上で、専門雑誌に投稿する予定である。
著者
花村 周寛
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究で実施した海外調査事例を整理し、そこから都市の形成と個人の嗜好性についての関連を整理するとともに、大阪大学コミュニケーションデザイン・センターが、大阪の中心地中之島で実施した中之島コミュニケーションカフェについて、参与観察を行った。同時に調査で訪れた都市を比較考察している。ラスベガスのように、資本主義経済が発展していく段階で形成された都市が未だに都市景観の骨格がマクロな構造に支配されているのに比べて、サンタクルーズなどで見られるように物語復興として個人同士の対話をベースに町づくりが進められた事例や、ミュンスター、カッセル、ヴェネチアなどでもアートを媒介にした町づくりが見られるが、個人的な表現や個人同士の対話が都市を形成している事例が今後大阪で展開される事は追って調査する必要があることが明らかになった。アメリカや日本、欧州で多く見られるように既に都市の成熟期に入っている地域ではそうした個人の表現行為や対話が有効化し得るかもしれないことが明らかになってきたが、一方でアジアを中心にしたまだ開発途上の都市では国家レベルで行われる都市開発が多く見られ、その結果が都市景観の形成についてどのような影響を及ぼすのかということは、グローバルとローカルのスタンダードを探る本研究においては重要な視点であり、アジアの都市開発事例を現地調査し、その結果を研究成果に反映させるべく整理中である。
著者
中村 亮一
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では安全で高度な内視鏡下胎児手術をサポートするシステムとして、低侵襲性の向上と術具機能の確保を両立させるために、腹腔内で先端部が変形することで内視鏡手術用デバイスとしての機能を持つエンドエフェクタ「変形駆動」機能を開発し,挿入時φ8mmから体内でφ14mmに大型化する把持鉗子を開発した.また3次元超音波画像診断装置と手術ナビゲーションを用いて、手術ナビゲーションとしての術野情報・術具位置姿勢提示機能のみならず、子宮内組織と術具との距離(接近度)を術者に提示する「近接覚」提示機能を備えたリアルタイム3D超音波ナビゲーションを開発した.