著者
石井 敦
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

朝日新聞を対象にした新聞報道のフレーミング分析を行った。記事の70%はポジティブにCCSを捉えているものであった。CCSのリーケージ・リスクに関する記事はほぼ皆無であった。支配的なフレーミングとしては「技術移転」、「革新的技術」、「大規模CO2削減技術」、「技術先進国としての日本」が挙げられる。引用されていたアクターは、官僚や政府、産業アクターや研究者が中心であり、環境NGOに関する引用はなかった。外国アクターとしては、アメリカやヨーロッパ、中国、インド、IEAとIPCCの国際機関に関する引用が多かった。
著者
矢倉 研二郎
出版者
阪南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

カンボジアの都市出稼ぎ労働者と農村世帯を対象とした調査で得たデータを分析した結果,農村の若者の都市への出稼ぎは、出会いの機会の提供を通じて他州出身者間の結婚を増やしており、その結果、そのまま出稼ぎ先や結婚相手の故郷に住むという形で、とくに零細農家の子どもの離村を促していることが明らかになった。親たちは,離村した子どもには農地を分与しないことが多いが,原則としては均分相続を志向しており,カンボジアでの農地細分化は今後も続くと予想される。
著者
待鳥 聡史
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題は、アメリカをはじめとする各国において顕著に見られるようになった政党間の対立激化(分極化)に焦点を合わせて、分極化がなぜ生じてきたのかについて実証的に解明しようと試みた。アメリカの場合、政党内の予備選挙制度の普及が分極化の促進要因になっていることがしばしば指摘されるが、主としてアメリカの歴史的事例や日本との比較検討を通じて、より大きな政治制度構造の影響が重要であるとの結論に至った。
著者
稲田 奈津子
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1、天一閣博物館・中国社会科学院歴史研究所天聖令整理課題組校證『天一閣蔵明鈔本天聖令校證附唐令復原研究』(中華書局、2006年11月)が刊行されたことを受け、喪葬令の全体的再検討をおこなった。特に唐令の条文排列の問題を中心に、前掲書における呉麗娯氏の復原案を再検討するとともに、旧稿における自説の訂正・補強をおこなった。その研究過程で、律令制研究会(池田温氏主宰)および儀礼史研究会(金子修一氏主宰)において口頭報告し、そこでの成果をふまえ、論文「北宋天聖令による唐喪葬令復原研究の再検討-条文排列を中心に-」をまとめた。2、奈良時代儀礼を復原する上で重要な参考資料となる正倉院宝物に関して、東京大学所蔵の巻子本『正倉院御物写』の分析を糸口に検討をおこなった。その成果は、第26回正倉院文書研究会において口頭報告し、論文「森川杜園『正倉院御物写』と日名子文書」(『正倉院文書研究』11号掲載予定)にまとめた。3、唐代の皇帝喪葬儀礼史料である「大唐元陵儀注」の分析を継続しておこなった。本史料の主要部分の分析は本年度でほぼ完了し、近年中に註釈および考察を集成した単行本を刊行する予定である。4、国内調査は計5回実施し、九州国立博物館・奈良文化財研究所等における資料調査をおこなった。国外調査としては、中国北京故宮博物院や陵墓などの周辺史跡において資料収集および調査をおこなった。5、律令制・儀礼史関係図書を中心とした資料の収集をおこなった。
著者
浜元 聡子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、地方分権下のマカッサル海峡島嶼部地域における社会経済的変化をぶんせきすることである。この研究が始められた2005年当時、インドネシア国内における地方分権は、安定した速度で着実に進行していた。なにかが具体的に変化しているというよりは、地方分権という言葉が遠隔の島嶼部にも届き、住民が生計活動上の変化をこの言葉に期待していたといえる。2007年前半ごろから次第にこの状況が悪化しはじめた。要因の第一は、マカッサル海峡地域における自然資源利用が深刻な資源枯渇に直面しているという認識を、末端の零細漁民でさえもつようになったことである。第二に、石油燃料価格の上昇により、より漁獲の多い漁場を求めて海を移動することができなくなった。海を生活世界の基盤としてきた人々の様相が、このふたつの要因により大きく変化し始めた。2005年ごろから、零細漁民やその妻たちを対象とするマイクロクレジットが島嶼部地域に浸透していたが、ここから融資を受ける世帯が急増した。融資を受ける対象にすらなれない世帯は、条件に適する世帯に代理申請を頼むようなこともある。マイクロクレジットそのものは、沿岸部における品行世帯を救済するために。海洋漁業省が主導してきたプログラムである。漁労活動による収入を増加させるための融資は、教育費や生活費に回されるようになった。零細商業を営んでいた人は運転資金が減少し。貧富の差が拡大した。2008年にはもう一度、石油燃料価格の値上げが予定されている。収入が激減し、生活苦が重く圧し掛かる島嶼部の暮らしに、地方分権という言葉に期待されていた社会経済生活の好転は、現実のものとはならなかった。
著者
鍾 淑玲
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は台湾の近代流通構造および小売業展開の特徴を明らかにすることを目的として、まず、台湾における現地資本と外国資本の小売企業の競争状況、主要小売業態の上位企業の経営概況、そして、小売国際化の特徴を把握した。個別企業研究は、2大コンビニエンス・ストア・チェーンの展開による小売国際化、大手自転車メーカーの流通チャネル政策による流通近代化、外資系小売企業の中国市場参入の実態と影響を考察し、最後に台湾の流通政策と伝統的な商業集積の近代化との関係を明らかにした。
著者
北田 葉子
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

トスカナ大公国の宮廷について、とくにフィレンツェ人高位役職者に着目して研究を進めてきた。その結果、フィレンツェ人は第5代トスカナ大公フェルディナンド2世の時代に急増していることが確認された。フェルディナンド2世時代には、フィレンツェ人が封建的称号を獲得し、市民から封建貴族へと変わっていく時代であり、この封建貴族化の現象と宮廷人の急増はリンクしていると考えられる。これまでの研究では、フィレンツェでは元老院議員になること、騎士団に入ることなどさまざまな名誉への道があり、宮廷は決して中心的な役割を果たすことはなかったとされてきた。しかし本研究により、フェルディナンド2世の時代には、封建貴族となったフィレンツェ人は宮廷に入り、そのほかの名誉を求めなくなる傾向があると分かった。しかも彼らは宮廷の最高職である大執事などに就き、その肩書きによって政府の最高機関である国務評議会にまで参加していた。つまり宮廷職は、そのほかの名誉をしのぐ最高の名誉ある職になったのである。また宮廷文化については、当時の宮廷に出入りするエリートたちが、ギリシア・ローマ神話をどのように受け入れていったかについて考察したが、その結果、神話の「マニュアル」といったものが存在し、それが大きな影響力を持っていたことが分かった。このマニュアルには、神々をどのような姿で表すのかを具体的にイメージで示すものもあり、そのイメージは、画家たちにも利用された。絵画や祝祭装飾でそのイメージは具体化するが、具体化されたイメージは再び祝祭の記録や絵画の説明の中で描写されていた。このように「マニュアル」に書かれた神々のイメージは、ビジュアルから再び書物となって循環し、それによって宮廷に出入りし、祝祭や絵画をつぶさに見ることのできるエリート層に、典型的な神々のイメージを与えていったのである。
著者
西良 浩一
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

(臨床的観測)肘頭の形態と各種肘頭過労性骨障害の出現率との関係を検討したところ、肘頭疲労骨折では肘頭が台形のものに、いわゆるVEO(vulgas extension overload injury)では尺側凸のものに、疲労骨折類似型ではドーム状のものに多発することを確認した。さらに、肘頭および肘頭窩の形態と肘頭過労性骨障害との関連について検討した結果、肘頭が尺側凸型で肘頭窩が外側陥凹型では60%、肘頭が尺側凸型で肘頭窩が肘頭陥凹型では28.6%、肘頭が台形型で肘頭窩が外側陥凹型では22.2%で障害を認めた。以上より、疲労による肘頭障害は、肘頭自身の形態に加え、相対する肘頭窩の形態とのコンビネーションにも大きく影響されることが分かった。(有限要素解析)33歳男性の肘関節を1mm間隔でCTを撮影し、Mark Mentat softwareを使用して、コンピューター上で、3次元にて再構成した。作製した有限要素モデルに外反伸展負荷を与え、肘頭での応力集中点をVon Misesの解析を用い検討した。その結果、台形型では疲労骨折と同様な部位に応力集中を示し、尺側凸型では肘頭尺側先端にのみ応力集中を認め、いわゆるVEO発生部位に一致した。ドーム状の肘頭では肘頭全体に一応な応力集中を示した。有限要素からみた理論的疲労障害発生メカニズムの検討からも、各種疲労障害発現には、肘頭の形態が重要であることを示している。
著者
仙谷 和弘
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、胃癌や大腸癌における腫瘍進展に関連する新たな遺伝子を同定し、その臨床病理学的意義を明らかにすることを目的とした。細胞外基質蛋白lamininγ2はMMP-7とともに腫瘍進展過程で発現が増加したが、逆にギャップ結合構成蛋白connexin30は発現が減少する一方で、腸型粘液形質を示す分化型腺癌の新規分化マーカーであることが明らかとなった。さらにタイトジャンクション構成蛋白claudin-18は予後不良な大腸癌の新規診断マーカーであることが明らかとなった。
著者
佐々木 百恵 長谷川 智子 上原 佳子 北野 華奈恵 礪波 利圭
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

看護師及び乳がん患者のリンパ浮腫に対する知識,認識及びケアの実施状況を明らかにすることを目的とし,看護師 383 名及び乳がん患者 526 名,計 909 名を対象に自記式質問紙調査を実施した。質問紙は研究者が独自に作成したリンパ浮腫の認識等に対するものと, 作田らのリンパ浮腫知識スケールを使用した。その結果,有効回答数 630 名(69%)であり,看護師の 7 割以上がリンパ浮腫ケアに対し不安を感じており,そのほとんどが知識に対する不安であった。
著者
新田 啓子
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

当該研究の最終年にあたる平成17年度は、これまで研究してきた1920年代の芸術作品に関する研究をまとめる傍ら、現代大衆文化において価値転覆的な表象を担ってきた新たなパッシングのモデル(黒人文化にとどまらないもの)を広く分析し、業績にまとめた。ここで主となった調査対象は、従来知られるパッシングの常套を反転する行為,すなわち、白人歌手が黒人になりすましてデビューする、異性愛芸術家が同性愛者になりすますことにより己の創作に価値を付与するといった、米国では1980年代初頭より顕著になった攪乱的パッシングの文化的背景である。具体的には、192,30年代の舞台芸術および映画産業におけるパッシング的演目の取り締まりを問題にしたが、これらは明治学院大学言語文化研究所における講演、東京大学・表象文化論学会におけるシンポジウムで公表された。同時に、アジア人男性のジェンダーと合衆国の軍事文化を含意したパッシング表象の分析も行った。これらは『言語文化』、『F-GENSジャーナル』、お茶の水女子大学COEシンポジウム、アメリカ比較文学会にて発表された。なお、主に20世紀ハリウッド映画を素材とした以上の研究実績の他、以下3点の個別的研究を行った。すなわち、異性装とセクシュアリティについての理論的考察(『現代思想』)、ある米国女性大衆歌手の演技についての考察(『ユリイカ』)、モダニズム作家・アーネスト・ヘミングウェイのジェンダー・人種表象(『ヘミングウェイ研究』)についての考察である。こうして、文献資料のみならず図象や聴覚資料をも紹介しつつ、大衆文化の想像力にも広く影響を与えたと思われるパッシングの政治学を描くことで、本研究はひとまず終了された。これはまた、1920年代に始まる黒人文化が結晶化した一つの問題系が、現代の表現文化にいかに受け継がれてきたか、その道筋を検証する作業にもなった。
著者
原 真志
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度の成果を受けて、平成14年度においては次の調査を行った。1)平成13年度に実施したリズム&ヒューズ社における映画「スクービー・ドゥ」のVFXプロジェクトでのコミュニケーション調査で得られたデータの分析を進めた。その結果、コミュニケーション手段間の関係、手段と知識創造(コミュニケーションのパフォーマンス)の関係等が明らかとなった。この定量的分析結果を踏まえて、さらにヒアリング調査による定性的検討を行った。それらの照合により、VFXプロジェクトは、従来のゲートキーパー説、ゲートキーパー&トランスフォーマー説では説明が不十分であり、スーパーバイズ・ラインとマネジメント・ラインという二つのラインの分業と階層構造からなる協働リーダーシップ・モデルが提示された。2)平成13年度に行った参加観察による一人のVFXスーパーバイザー(ケブン・トッド・ハウグ氏)の一週間のコミュニケーション行動の分析を受けて二つの調査を行った。第1に、14人のVFXスーパーバイザーに対するヒアリング調査を実施し、VFXスーパーバイザーの機能とコミュニケーションに関する一般化を試みた。その結果、プロジェクト・デザインにおける参加企業の立地決定要因が明らかにされるとともに、フリーランスと企業所属のVFXスーパーバイザー間の相違、対象メディアによる相違(映画、CM、音楽ビデオ)等が明らかになった。第2に、時間軸的な分析の拡張のため、ケブン・トッド・ハウグ氏に映画以前のキャリア・パス、作品毎のネットワークの進化について詳細なヒアリングを行った。その結果、同氏のネットワークの進化論的グルーピングがなされるとともに、ターニング・ポイントとなったプロジェクト並びに人物が存在し、マドンナのミュージックビデオの仕事でその後のキーパーソンとの出会いがあったこと、プロデューサーのシオン女史、デビッド・フィンチャー監督とのつながりがその後の仕事や人の拡大に関係していること、今はない某社が現在活躍している多くの入物とのネットワーキングの場として機能し、インキュベータ的役割を果たしたこと等が明らかになった。
著者
茂木 崇
出版者
東京工芸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度の研究は、ほぼ交付申請書に記載した研究実施計画の通りに進めることができた。1 デジタル時代における音楽産業の組織フィールドの構造化プロセスに関する分析本年度はデジタル時代に音楽産業の組織フィールドがどのように変容にするかについての分析を行った。20世紀にレコード会社は少数の楽曲をマス・ディストリビューションすることにより大きな利益を生み、音楽産業の組織フィールドにおいて枢要の位置を占めてきた。しかし、その役割はデジタルの時代により終焉を迎えており、レコード会社は自らのビジネスを再定義する必要がある。無論、音楽産業=レコード会社ではなく、マドンナのライブネーションへの移籍に見られるがごとく、業態の革新は進行中である。今後は、少数の楽曲を流布するよりも、様々な音楽愛好者の趣向にあわせてビジネスモデルを再構築する必要に音楽産業は迫られている。2 専門的知識の吸収:増渕敏之(ソニーミュージックエンタテインメント)、生明俊雄(広島経済大学教授)亀田卓(電通)の三氏から専門的知識を吸収した。研究会として開催した聞き取り調査では、伊吹勇亮(長岡大学講師)、太下義之(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)、各務洋子(駒澤大学准教授)の各氏が参加した。3 海外調査:日米比較の視座から、ニューヨークで調査を行った。技術の変容をいち早く受け入れ業態の革新を図っていく上で、アメリカの音楽産業の意思決定は大変迅速である。4 論文執筆:音楽産業の組織フィールドを構成する批評家及び投資家について論文を執筆した。
著者
高橋 けんし
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、夜間大気における重要な微量成分であるN_2O_5とNO_3を直接検出できる新奇な超高感度計測法の確立とプロトタイプ装置の開発を目指した。計測にはレーザーキャビティーリングダウン(CRDS)法を用いた。パルス発振の色素レーザーを用いて、100秒積算で2.2pptvの検出下限を達成することに成功した。これにより、CRDS法のN_2O_5/NO_3の大気計測への応用が有用であることが確認された。次に、半導体レーザーを使った実験でもS/N比の高い信号が得られるようになり、安価に入手できる光源を用いた次世代超高感度センサーの開発に道が拓かれた。
著者
入江 仁士
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本課題で開発したグリオキサール(CHOCHO)の高度分布導出法でMAX-DOASのスペクトルデータを再解析したところ、北京市・泰安市・横須賀市では大気境界層中のCHOCHO濃度が平均で約200pptvと高濃度であったことが分かった。つくば市と辺戸岬では80pptv程度であった。衛星データを組み合わせたところ、横須賀周辺では高濃度域は数十km以内、中国では数百kmの空間スケールで拡がっていたことが示唆された。
著者
前 泰志
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

緊急地震速報直後など緊急時に人間がとるべき行動を,人間の動作や状況の変化に応じて適宜指示する実時間行動指示システムの構築に関する研究を行った.人間がより理解しやすい行動指示法として,音声指示だけではなく,室内に設置したプロジェクタを用いて緊急避難のための室内での安全領域を提示する方法を提案した.実験により安全領域と避難経路の提示,簡潔な音声指示の組み合わせが避難行動をわかりやすく指示できることがわかった.
著者
松川 恭子
出版者
奈良大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、以下の2点を中心に研究を進めた。(1)ゴア社会の大衆劇「ティアトル(tiatr)」の劇団主宰者・俳優が物語・身体動作・歌(カンタール)で「ゴア性」を観客に喚起しようとする過程についての調査、(2)ゴア外、特にアラブ首長国連邦ドバイ・サルジャーにおけるゴア人コミュニティ内のティアトル受容の現状。現地調査を2回実施し(平成19年4月24日〜5月9目、8月27日〜9月10日)、具体的には、以下の作業を行った。第一回目の調査は、ゴアとアラブ首長国連邦ドバイで行った。ゴアでは、一つの劇団のある村落への出張公演に同行し、劇団員が舞台上で「ティアトル俳優になる」点を中心に舞台設営から終了までを観察した。ドバイの調査では、劇団の現地エージェントの男性にドバイにおけるティアトル受容の現状について、特にゴアからの公演招聘の手順を中心にインタビューを行った。第二回目の調査もゴアとドバイで行った。ゴアでは、ティアトルにおける身体動作を中心に俳優にインタビューを行い、ドバイでは、ティアトルの公演場所の調査を行った。本年度後半は、南アジアにおける演劇関連図書の収集・レビューを継続するとともに、調査成果のまとめを行った。その一部を日本文化人類学会、「宗教と社会」学会(2007年6月)と国立民族学博物館共同研究「キリスト教文明とナショナリズム-人類学的考察」研究会(2008年3月)で発表した。
著者
横須賀 俊司
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本年度も昨年度に引き続き、男性頸随損傷者に対して聞き取り調査を行いライフヒストリーを作成していった。その中で明らかになったことは、当初の仮説とは異なるものであった。当初の仮説としては、性機能障害のある男性頸随損傷者は性行動に対して消極的であり、セックス(その中でも特に性交)に対してどちらかというと否定的な意味づけをしているのではないかというものであった。しかし、聞き取りを行った5人の男性頸随損傷者の全員がかなり積極的な性行動をとっていた。健常者の性行動よりもかなり活発に性行動をとっていると思われる人もいた。性交に対して必ずしも否定的な意味づけを意味づけをしているわけでもなかった。それよりは、むしろ、できないことは仕方がないと受け止めて、その状況の中でどのようにやっていくかを志向しているようであったといえる。このように仮説を裏切るものであったが、これを一般化して論じるわけにはいかない。まず、調査対象の人数が少ないという点があげられる。それに加えて、対象者の偏りをあざけるを得ない。性のようなプライベートなことをインタビューすることを誰でもが引き受けてくれるわけではない。そのため、知り合いを伝っていく方法にならざるを得ない。今回のインタビューでもその方法がとられた。その結果、障害者団体の活動や障害者運動に参加しているという人たちばかりであった。ある程度活発に社会参加している人たちであったからこそ、性行動に対して積極的であったり、否定的意味づけをしていないということも考えられるところである。したがって、今後の研究課題としては、社会参加をあまりしていないような男性頸随損傷者にも聞き取りを行い、その人たちがどのような状況にあるのかを明らかにしていく必要がある。それを比較検討していくことで研究を豊かなものにしていくことができるであろう。
著者
池上 将永
出版者
旭川医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、欲求不満状況における対処行動の個人差と前頭前野活動の関連を検討することであった。その結果、報酬の不均衡によって生じる欲求不満状況では、非欲求不満状況と比べて、左右前頭前野の活動が減少する傾向が見られた。また右前頭前野背外側部の活動の個人差には、神経症傾向のような性格特性が関連する可能性が示唆された。欲求不満状況では注意集中の困難が感じられ、この個人差も前頭前野活動の程度に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
高橋 奈美
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,診断から呼吸器装着前までのALS患者とその家族の支援プログラム作成を目的とした.研究の結果,ALS患者とその家族は,【告知後の精神的ショックに対するサポート】【病気の知識の提供】【病気の進行の見通しの情報提供】【経済的問題に関する相談】【制度の知識の提供】【日常生活介助が必要となった時期の在宅療養支援体制の整備】【介護時間獲得のための支援】【PEG造設の意思決定支援】,【TPPVの意思決定支援】,【療養の場の意思決定支援】の10の支援ニーズを持っていることが明らかとなった.今後,これらの支援ニーズを反映させた支援プログラム作成の必要性が示唆された.