著者
田原 雄一郎 Monroy Carlota Rodas Antonieta MEJIA Mildred PICHILLA Reginaldo MAURICIO Heberto PEREZ Miguel
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.331-336, 1998
被引用文献数
1 1

1995年緒方及びSamayoaはグアテマラのカリブ海に面した港町, Puerto Barrios及びSanto Tomas de Castillaでヒトスジシマカの生息を確認した。2年間経過後の1997年, 雨季と乾季に再び同じ地域で本種の分布拡大を調査した。今回, 同市内で調査地域を拡大したにもかかわらず, 生息は1995年と同じ地域からのみ確認できた。グアテマラ市へ至る国道沿線, グアテマラとメキシコ, ホンジュラス, エルサルバドルの国境地域, 太平洋岸の港町などでも調査したが新規な発見はなかった。本種は同一地域にあっては都市部の比較的小さな水域, 例えば, 古タイヤ, 空き缶に発生した。雨季には古タイヤと捨てられた空き缶, プラスチックに溜まった水たまりに多く見られた。ヒトスジシマカとネッタイシマカの採集比率を比較したところ, 乾季は後者が, 雨季は前者が多かった。
著者
Omar Baharudin Jeffery John Sulaiman Sallehudin
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.215-217, 1991

マレー半島のカメロン・ハイランドの野菜畑に発生しているイエバエMusca domestica L.の囲蛹に寄生していた3種のコガネコバチのうち2種は世界共通種Spalangia nigroaenea Curtisと南米産S. chontalensis Cameronであったが, 1種は新種であったのでS. bouceki n. sp.として記載した。本新種はpronotal collarの前縁が盛り上っている3番目の種になる。
著者
Omar Baharudin Sulaiman Sallehudin Jeffery John
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.147-149, 1991
被引用文献数
2

マレー半島のカメロン・ハイランドの野菜畑に多量発生しているイエバエMusca domestica L.の天敵調査の結果, 寄生蜂Spalangia spp.に混じってチビクロセスジハネカクシAnotylus latiusculus (Kraatz)がイエバエの囲蛹より羽化してきた。天敵としての重要性については未知であるが, 本種のイエバエ囲蛹寄生例としては初めてと思われるので報告する。
著者
林 利彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.31-54, 1994
被引用文献数
1

文部省海外学術調査で, パキスタン(1988年)とネパール(1992年)におけるハヤトビバエ相を調査する機会を得た.人糞との係わりの強いParalimosina属について調べた結果, 14種を見いだした.その内, 6種が新種であった.また, P. japonica Hayashiがネパールより初めて見いだされ, P. altimontana (Rohacek)及びP. marshalli Rohacek et Pappの雌が初めて発見された.新種は以下の通りである : P. albipes Hayashi, sp. nov. (ネパール);P. biloba Hayashi, sp. nov. (ネパール);P. cavata Hayashi, sp. nov. (パキスタン, ネパール);P. confusa Hayashi, sp. nov. (ネパール);P. megaloba Hayashi, sp. nov. (パキスタン, ネパール);P. similis Hayashi, sp. nov. (ネパール).なお, P. eximia種群は本属中特異なグループであり, 非常に複雑であるため, 充分時間をかけて再検討する必要があり本論文中には含めなかった.
著者
林 利彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.61-64, 1989
被引用文献数
1 1

著者は1988年7〜9月にかけてパキスタンのハヤトビバエ類の調査を行った.今回Opalimosina属を調べた結果, パキスタンから1新種, 2新記録種を発見したので報告する.本属は従来この地域からは知られていなかった.
著者
小久保 醇
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.250-252, 1961
被引用文献数
1

1. The parasites recovered from the pupal collections of pine-moth in Kashima district, Ibaraki Prefecture during June 12 to July 5, 1961 are shown in Table 2. The most abundant species was Sarcophaga harpax Pandelle and it was recovered from 10 per cent of the field-collected pupae. 2. The number of Sarcophaga harpax found in each host was 1 to 21, and mostly 3 to 8.(Fig. 1) 3. Brachymeria minuta Linne was recovered from the Sarcophaga pupa as the secondary parasite.
著者
小久保 醇 加納 六郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.226-227, 1961

Sarcophaga harpax Pandelle, Carcelia bombylans R.-D., Euterus matsuyadorii Matsumura and Brachymeria minuta Linne were recovered from the pine-moth pupae collected in June of 1960 in Kashima district, Ibaraki Prefecture. In these species Sarcophaga was most abundant and Brachymeria appeared as secondary parasite from pupae of Sarcophaga.
著者
鈴木 猛 緒方 一喜 平社 俊之助 長田 泰博
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.258-267, 1959

1.1959年5月8日より6月9日に至る間, 長崎県西彼杵郡高島町の端島において, ゴキブリの棲息状況の調査, 及び殺虫剤による駆除実験を試みた.2.採集数1232匹中, 3匹のクロゴキブリPeriplaneta fuliginosa Servilleを除いて, 他はすべてワモンゴキブリPeriplaneta americana L.であり, 1958年の予備調査の結果とあわせ, 端島のゴキブリの優占種はワモンゴキブリであり, しかもきわめて高い比率を占めることを認めた.3.実験地のアパートからトラツプによつて採集されたワモンゴキブリは, ♀より♂の方がはるかに多い.一方, ほぼ同時間に採炭坑内から採集されたワモンゴキブリは, ♀の方が♂より多いことを知つた.4.ワモンゴキブリは実験地のアパートに確率的に分布するのではなく, ある特定の家に集中する.そして, 各戸面接調査によつて得た環境条件と, トラップで捕獲したゴキブリ数の相関をしらべた結果, カマドの使用頻度が高く, カマドの下にたきぎや紙などがつまつており, また屋内全体の湿気が高い家ほどゴキブリの棲息密度が高いことを知つた.5. diazinon 5%乳剤(塗布及び撒布, 各原液及び5倍), lindane 10%乳剤(各2倍及び10倍), dieldrin 4% lindane 6%乳剤(各2倍及び10倍), BHC50%水和剤(各10倍及び50倍)をカツコ内の濃度に稀釈し, 塗布実験区では, 1戸150ccの割でカマドや流しの周辺, 台所のすみ, 押入の入口などに刷毛を用いて巾5〜7cmに塗布した.撒布実験区では, 台所や押入入口附近のゴキブリの潜伏場所やその周辺に対し, 1戸あたり約800ccを全自動式噴霧器によつて撒布した.6.薬剤の効果を正しく把握するため, トラップあるいは視察によつて得たデータに対し, 次の補正によつて相対棲息密度指数RPIを算出した.RPI=T_<ai>/E_i×100=C_b/C_<ai>×T_<ai>/T_b×100ここで, T_<ai>, T_bはそれぞれ薬剤処理区の処理以前の1日平均捕集数, C_b, C_<ai>は同じく対照区の平均捕集数であり, またE_iは, 薬剤処理を全く行わないと仮定した場合の処理区のi日後の期待捕集数で, 次によつて得られる.E_i=T_b×C_<ai>/C_b 7.同種の薬剤で, 塗布の効果は一般に撒布の効果に劣る.トラップの捕集数から判定すると, lindane撒布, lindane・dieldrin混合剤撒布がもつとも有効であるが, 1ヵ月後にはほぼもとの相対密度まで回復する.diazinon撒布及び塗布, 混合剤塗布がこれにつゞき, lindane塗布は効果がそれほど大きくない.BHCの撒布と塗布は, 効果がほとんど認められなかつた.8.視察及び死亡虫数から効果を判定すると, おゝむねトラップによる方法と結果が一致するが, ただBHC撒布の効果が著しく高くあらわれた.9.薬剤処理後のワモンゴキブリの性比及び幼虫比を, 処理前及び対照区のそれと比較検討した結果, 処理区では, 全成虫中に占める♂の比率及び全ゴキブリ中の幼虫の比率がともに減少する傾向にあることを知り, これを♀に対する♂の, また成虫に対する幼虫の, 薬剤に対する高い感受性によるものと推定した.結果において, 薬剤処理区では, ♀の比率が高まることを知つた.10.アパートの各戸内に床面積1m^2あたり9.2cc(約300cc/33m^2)のDDVP0.3%油剤を煙霧機によつてふきこんだが, ワモンゴキブリに対して, ほとんど効果が認められなかつた.11.端島で1959年6月以降行われたゴキブリ全島駆除の概況を附記した.
著者
松山 雄吉 上野 晴久
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-4, 1957

1954年7月より翌年6月まで和歌山県有田郡広川町で行つた野鼡の外部寄生虫調査の際に獲れたアカネズミ, ハツカネズミ, ヒミズモグラの3種の寄主について, それらの外部寄生虫相を同一地区で同時に獲れたものについて比較検討してみた.1.アカネズミとヒミズモグラの外部寄生虫相の比較ヒミズモグラは殆んどカンサイツツガムシの独占社会であつた.アカネズミにおいてはツツガムシ科は種類数, 個体数とも非常に豊富であつて, 2属9種に及び, 又その他の科もトゲダニ科, マダニ科, ケモノジラミ科, GlycyphagidaeのHypopus等が少数ずつ採集された.2.アカネズミとハツカネズミの外部寄生虫相の比較ハツカネズミではツツガムシ科以外はGlycyphagidaeのHypopusしか採集されず, ツツガムシ科もアカネズミに比して種類数, 個体数とも少ない.アカネズミはツツガムシ科以外にトゲダニ科, マダニ科, ケモノジラミ科, GlycyphagidaeのHypopusが採集された.
著者
加藤 〓郎 大串 竜一
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.288-290, 1959

窓の灯や街灯をしたつて集まる虫は, 夏の夜のひとつの点景であるが, それにも程度がある.山間や, 川とか池沼の近くにすむ人々には, ことに蛍光灯が普及してからはその強い誘引力のために, 灯火に雲集する虫は日常生活の上に大きな不便と不快をあたえてきた.家々は暑いさなかに戸をたて, 金網を張り, または灯の下に網や虫とりの容器をとりつけてこれらの虫を防いでいる.われわれは環境衛生上の問題のひとつとして, この灯火に集まる虫の対策を考えているが, これに関連しておこなつた調査の結果のうち, とくに防除の上に参考となると思われる資料の若干をこゝに報告する.
著者
高岡 宏行
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-14, 2008
被引用文献数
3

マレー半島のキャメロンハイランドにおいて採集されたGomphostilbia亜属ceylonicum種群に属するブユの新種を,雄成虫と蛹の標本をもとに記載し,新種名Simulium (Gomphostilbia) hoiseniを与えた.本種は,ceylonicum種群に属する既知種のうち,蛹の呼吸管が6本である点,インドネシアから記載されたS. (G.) kamimuraiおよびS. (G.) rosemaryaeの2種およびタイから記載されたS. (G.) udomiに類似する.しかし,これら類似種とは蛹の呼吸管の分岐方法で容易に区別される.
著者
波多腰 信 大住 忠司 岸田 博 板谷 信重 中山 勇
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.327-331, 1985
被引用文献数
6

オキシムエーテル系化合物S-21149,21150のイエバエに対する羽化阻害活性について検討した。人工培地および鶏糞培地を用いた試験において, 卵, 2日齢, 4日齢幼虫に対しS-21149,21150は高い羽化阻害活性を示し, 両者の活性はメソプレンのそれに勝った。4日齢幼虫に対する局所施用によっても, S-21149,21150はメソプレンより高い羽化阻害活性を示した。幼虫局所施用により得られた成虫の産卵数は減少する傾向にあった。
著者
辻 英明 水野 隆夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.101-111, 1972
被引用文献数
7

チャバネ, ワモン, クロ, ヤマトの4種のゴキブリが本邦中部の加温されない環境で生活した場合, どのステージで冬を迎えるかを推定するため, 夏および秋を想定した27±1℃1日16時間照明(27℃-L), 20±1℃1日8時間照明(20℃-S), 15±1℃1日8時間照明(15℃-S)の実験条件下で飼育を行なった。結果は次の通りである。1) 27℃-Lでの結果 : 幼虫の令数, 幼虫期間, 卵(鞘)期間はそれぞれチャバネで6令40&acd;46日, 20日, ワモンで9令105&acd;161日, 39日, クロで8令84&acd;112日, 41日であった。ヤマトでは9令あり, 91&acd;140日で羽化する個体以外に, 終令(9令)で150日以上発育を停止する幼虫が約半数あった。ヤマトの卵鞘は約27日でふ化した。いずれの種も卵鞘の産出は正常であった。2)20℃-Sでの幼虫発育 : チャバネは200&acd;250日で羽化し, 各令平均して延長した。ワモンでは161日で大部分が6令に達したが, 500&acd;600日でも羽化できない個体が多く, 終令の遅延が極端とみられた。クロでは2令の延長が特別に著しく80日に及んだ。その延長を含め400&acd;480日の間に大部分が羽化した。ヤマトでは2令の延長が一層極端で140日以上に及んだ。一方越冬中採集された若令幼虫(2令)は300&acd;500日で成虫となった。3)20℃-Sでの産卵 : 20℃-Sで羽化したチャバネとワモンは卵鞘を産出せず, クロはわずかの異常卵鞘を産下したにとどまった。一方ヤマトは正常に産卵した。27℃-Lで産卵中の成虫を20℃-Sに移すと, チャバネは正常卵を産まなかったが, ワモンとクロは若干の正常卵を産んだ。4)20℃-Sでの卵のふ化 : チャバネでは, 27℃-Lで卵鞘を形成して24時間以内の成虫を20℃-Sで飼育しても幼虫が生じなかった。27℃-Lまたは20℃-Sで産まれた他種の卵鞘では, ワモンで約100日, クロで約120日, ヤマトで約64日でふ化がみられた。5)15℃-Sでの結果 : どの種類の幼虫も15℃-Sで100日以内には次の令以上に発育することは困難とみられた。27℃-Lでの産卵中の成虫を15℃-Sに移すと, ヤマトはさらに若干の卵鞘を産下したが, 他の種ではいずれも産卵が阻止された。またどの種の卵鞘もこの条件下に保つとふ化せず死亡した。6)以上の結果からPeriplaneta 3種の当年のふ化幼虫は年内に成虫にならず, 特に秋にふ化したクロとヤマトの幼虫は2令で冬を迎えると思われる。またこのような若令で越冬した場合Periplaneta 3種は次の年にも成虫にならない可能性がある。特にヤマトは夏期でも終令で発育を停止し, もう一度越冬する可能性が大きい。この場合, 1世代2年を要する"two-year life cycle"がむしろ正常であることが暗示される。一方, 長い成虫期間, 産卵期間, 卵鞘期間, 幼虫期間から考えて, Periplaneta 3種がすべてのステージで冬を迎えることは十分あり得ることと思われる。チャバネでは卵鞘の形成とふ化が20℃-Sでも妨げられるので, 卵や幼令幼虫で冬を迎える可能性は少ない。各ステージが冬の平均気温下で生存できるかどうかについての実験結果は別途に報告したい。
著者
岡留 恒丸 笹原 勝
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.341-343, 1999
被引用文献数
2 2

1998年の2月13日, 27日および3月31日の3回にわたり, 愛知県知多郡美浜町の菅苅池(0.2ha)周辺に営巣したカワウの巣から落下した糞を集めて飼育した結果, 5科5属5種の双翅目昆虫を確認した。発生した種類とその発生率は次のようであった。1)クロツヤニセケバエScatopse notata (Linnaeus)(20%), 2)クロオビハナバエAnthomyia illocata Walker (8%), 3) Fannia sp. (22%), 4)チャバネトゲハネバエTephrochlamys japonica Okadome (47%), 5) Homoneura sphincta Sasakawa et Ikeuchi (4%)で, チャバネトゲハネバエ(トゲハネバエ科)が最も多く, Fannia sp.(ヒメイエバエ科)がこれに次ぎ, H. sphincta(シマバエ科)はわずかに2個体の発生が確認されたのみで, 発生総個体数のなかで最も少なかった。
著者
彭城 郁子 須藤 千春 伊藤 秀子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.227-234, 1990
被引用文献数
3 4

Some factors that affect the occurrence and termination of quiescence in nymphs of Dermatophagoides farinae, were examined. The mites aggregating on the rims and covers of culture bottles were collected when the mite populations were increased. They were kept at 25℃, 75% relative humidity (RH), without food. After 1 month, about 20% of the mites passed into quiescent state, and a half of them remained quiescent for 5 months at 25℃, 75% RH, and further 5 months at room temperature. Most of the quiescent mites were protonymphs. They were glued to the substrate such as covering filter paper. Quiescence in half of the 8-week-aged nymphs terminated when they were disturbed by being separated from the substrate, pretreated at 5℃ for 1 week, and then incubated at 25℃, 75% RH. But the nymphs did not moult by pretreatment of 10,18,and 25℃ for 1 week. The nymphs in age of 20-week or more moulted even when they were continuously incubated at 25℃ and 75% RH, if separation from the substrate was made. The moulting rates depended on age in the nymphs; the older the nymphs, the faster the moulting. However, the nymphs glued onto the substrate remained quiescent. Moulting of nymphs with age of 22-week or more was suppressed by incubating them at lower temperatures than 25℃, or lower than 55% RH. The contact of the quiescent nymphs with water for 3hr enhanced moulting even when they were incubated at 33% RH. These results suggest that quiescence in nymphs of D. farinae observed in the present study might also involve a very similar phenomenon to diapause.
著者
田原 雄一郎
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.247-251, 1975
被引用文献数
1 1

岐阜県大垣市中心部を流れる水門川水系のユスリカ調査ならびにその薬剤防除に関する一連の実験を行なった。水門川水系は水質汚濁防止法が施行される以前は, 高度に汚染され, ユスリカ幼虫の生息をゆるさなかったが, 同法が1971年施行されるに伴い, 沿線工場の排水が浄化され, 水質も急激に改善され, 1973年よりユスリカ幼虫の発生を見るに至った。同河川のユスリカ幼虫の生息密度は20(cm)^2×2cm(土壌の深さ)当り高い地点で126&acd;186匹に達した。ユスリカ幼虫に対するtemephos水和剤の効果は遅効的であるが確実であった。0.8ppm, 60分間薬液浸漬で, 48時間後死虫率は74%であったが, 生存個体の全部は苦悶状態を呈した。水門川新大橋上からtemephos水和剤を1ppm, 60分間継続投入した場合, 9日後には散布地点から50mおよび1,500m下流の地点でユスリカ幼虫は全く発見できなかった。temephos水和剤のドジョウに対する毒性は極めて軽微であり, ユスリカ防除に使用する濃度では全く影響ないことを知った。なお, 本論文投稿直後, 井上・三原(1975)はモデル水路を利用した実験で, セスジユスリカ終令幼虫に対して, temephosが最も有効であり, 1ppm 10分間投入で, 羽化阻止効果が認められたと報告した。そして, 実際の河川では, さらに投入時間を延長する必要をうたっているが, 今回の一連の試験結果は井上・三原の推論を支持するものである。本実験の実施にあたり大垣市環境部衛生課, 環境課ならびに畜産課の各位, 同市かめや薬品橋本紀男氏および三共(株)名古屋支店大橋武定, 日比野弘和の両氏には多大のご援助をいただいた。又, 有益な助言と校閲を賜わった鹿児島大学医学部, 佐藤淳夫教授, 三共(株)池田安之助博士に深謝する。
著者
堀栄 太郎 山口 勝幸 和田 芳武 山浦 常 加納 六郎 篠永 哲 藤野 信之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.87-90, 1984
被引用文献数
3

Three cases of human myiasis due to two species of Cordylobia were reported. In case 1,the patient was a 35 year old Japanese woman who had been in West Cameroun in 1979. A mass attended with a severe pain was found in the right upper-eyelid. Two maggots taken out from the lesion were identified as the third-stage lervae of Cordylobia rodhaini Gedoelst, 1909. In cases 2 and 3,the patients were the siblings, a Japanese boy aged 6 and a Japanese girl aged 2,who had been in Abidjan, Cote d'Ivoire in August 1982. The masses attended with a severe pain were found in the fore-head and shoulder of the boy and in the back of the head of the girl. Six maggots were taken out from the lesions and they were identified as the third-stage larvae of Cordylobia anthropophaga (Blanchard, 1893).
著者
夏原 由博
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.333-336, 1989
被引用文献数
1 6

Furumizo (1973)を改良したふるい水洗法の検出率を検討した。新しい方法は以下の点でFurumizo法と異なっている。1)試料の乾燥重量の測定。2)試料と50%エタノール80mlを振とうするための100mlの広口びんには金網を入れない。3)広口びんの内容物は目の大きさが0.42mmと0.075mmのふるいに通し, そのたびに30秒間水洗する。4) 0.075mmのふるいを1%のメチレンブルーに数秒間漬けて試料を染める。5)染色した試料をブフナーろうと内のろ紙の上に置いた円筒に流し込む。家庭で採取したほこり22試料をそれぞれ5回ずつふるい処理し, 5回で得られた合計に対する各回の抽出率を検討したところ, 3回のふるい処理で生体は平均98.4% (89.4&acd;100%), 死体では98.7% (90.8&acd;100%)の検出率が得られた。ローダミンBで染色したコナヒョウヒダニDermatophagoides farinaeの生体と死体それぞれ100個体ずつを500mgのほこり4試料に混入し, ダニの分離を試みたところ生体で84&acd;95%, 死体で91&acd;98%の検出率を得た。さらに5軒の家から500mgのほこりを2組ずつ取って新検出法とDarling液遠心懸濁法の検出数を比較したところ, 新検出法によるほうが多くのダニを得られた。