著者
千葉 英利 稲沢 良夫 宮下 裕章 小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.431, pp.21-25, 2008-01-16

最適化アルゴリズムを用いたレドーム設計に関して報告する.一般的にレドームはその形状やレドームへの入射波の入射角が任意であることを想定して設計する必要があり,その最適設計は非常に困難な問題となる.そのため最適化アルゴリズムを用いた設計が有効である.本稿では,近年注目を集めているParticle Swarm Optimization(PSO)と呼ばれる手法を用い,透過係数の周波数特性を評価関数,レドームの層厚み,レドーム形状を規定するパラメータを最適化変数として最適設計を実施する.また,PSOにおける解探索の大域性を向上させるため,本稿ではPSOにGAにおける突然変異の概念を取り入れた手法を導入し,それをMutated PSO(MPSO)と称する.MPSO,PSO,GAを扱い,それらの比較検証及びレドームの設計結果について報告する.比較の結果,MPSOは反復終盤でも最適解の更新を続け,結果的にMPSOはPSOよりも安定的に良好な最適解に到達することを確認した.また,最適化により得られたレドームの電気特性は,評価した全周波数帯域で透過特性-2dB以上を実現した.
著者
平和 昌 加藤 崇 澤谷 邦男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.230, pp.49-54, 2002-07-17
被引用文献数
10

本報告は、波源から比較的短い距離に配置した測定面における測定データに対して、高分解能到来方向推定技術を適用することにより波源の位置を推定する方法について、実際の測定装置を用いて得た初期的な結果をまとめたものである。波源が1つの場合及び2つの場合について、2.45GHzによる測定データを用いた推定結果から得られた誤差を示し、見込んでおくべき誤差の量について検討している。その結果、本手法によって波源の位置を点として明確に特定することができる結果は得られたが、波源が1つの場合、特に波源が中心軸から離れることにより最大で約5cm程度の誤差を見込んでおく必要がある結果となった。一方、波源が2つの場合、2つの波源の位相差に応じて誤差も異なり、本実験的検討からは最大で約17cm程度の誤差を見込んでおかなければならない結果となった。
著者
加藤 崇 平和 昌 澤谷 邦男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.230, pp.43-48, 2002-07-17
被引用文献数
12

電子機器から放射される不要な電波により周辺の電子機器が誤動作する問題があり,漏洩する電波の位置を特定することができれば,EMC対策に大きく寄与できるものと考えられる.本報告では,漏洩する電波の到来方向を利用し,MUSICアルゴリズムを用いて波源位置の特定を検討している.MUSICアルゴリズムは,通常,十分遠方に存在する波源を対象としているが,本検討では,電子機器からの放射電波の波源推定を行うため,数波長程度離れた位置(有限距離)においてMUSICアルゴリズムを導入した.本報告では,有限距離からの電波源位置推定の特性をシミュレーションにより求め,その推定精度を示している。
著者
石宮 克教 Ying Zhinong 高田 潤一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.622, pp.61-64, 2006-02-22

5バンド(GSM850/900/1800/1900/UMTS)に対応し、かつコンパクトな折り返しダイポールを提案する。折り返しダイポールの寸法パラメータを変えることにより、周波数を調整し5バンドに対応した。現在市場に出ている4バンド(GSM900/1800/1900/UMTS)アンテナよりも高さを低く抑えることが出来た。本稿ではアンテナ構造を述べた後、特性についてシミュレーション結果と実測結果の比較を示す。
著者
Kumar Das Nirmal Theodorus 宮台 典尚 篠澤 政宏 谷口 哲樹 唐沢 好男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.230, pp.133-138, 2003-07-23
被引用文献数
2

本稿では空間・偏波領域における電波伝搬特性の測定や新しい伝送方式の実環境での動作を評価するため試作したMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)実験装置を紹介する.この装置は送信入力4ブランチ,受信出力8ブランチの4×8のMIMOであり,例えば4ブランチを4素子のアレーアンテナとして使うことも,直交偏波を取り入れた2素子・2偏波のブランチとして使うこともできる.そして,電波暗室においてAlamoutiの時空間符号化伝送や固有モード伝送などMIMOの基本伝送実験を行い,この装置の基本動作を確認した.
著者
竹本 淳 高橋 宏和 唐沢 好男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.386, pp.85-90, 2009-01-14

地上デジタル放送の移動体受信環境並びに室内での受信においては,直接波の受信が期待できず,一般に弱電界エリアになるために,伝搬環境,特に受信所望波の到来方向及び遅延時間の定量的かつ高分解能な把握が重要となる.到来方向推定にはアレーアンテナが有用であるが,一般的手法では複数の到来波を判定するために波数と比べアレー素子数を十分大きくする必要があり,かつ,全てのブランチの信号を同時に取得しなければならない。また、遅延時間の推定には受信側において既知の広帯域信号が必要になることから,実放送波を利用する到来波・遅延時間推定には有用かつ簡便な手法が確立されていない.そこで,本稿では,高SN比の信号が受信される場所と被測定環境との2点で同時収録を行い,高SN比信号を基準信号として目的信号を精密に解析する新しい測定法を提案する.本手法では,トータルレコーダ(1台)を用いて,被測定信号と高品質信号を各アレー素子について同時収録し,オフライン処理により基準・被測定双方の受信データから相関行列を作成,ここから固有値解析を行って,到来波の角度特性や遅延特性の精密な測定が可能であることを述べる.
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 亀島 昭徳 木下 敏雄 鈴木 直喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.26, pp.1-8, 1999-04-23
被引用文献数
11

EMC計測用アンテナの較正法は、ANSI C63.5の水平偏波(HP)による「標準サイト法(SSM)」が世界的に普及しているが、この欠点を改善するとしてCISPRに提案されたのが日本(郵政省通信総合研究所;CRL)の「改良標準サイト法」である。これに、近年(1996)CENELECが「中高アンテナ垂直偏波(VP)法」を提案、ANSIと対立する形になった。これらと、古典的な自由空間型アンテナ較正サイトを低高度で実現する「Uサイト法(HP, VP)」を併せて、理論と実用の見地から利害得失を比較した。その結果、アンテナ較正用サイト(CALTS)としては、金属床面を使用する「標準サイト法(ANSI)」と「改良標準サイト法(CRL)」は原理的に不適性で、自由空間近似の「中高アンテナVP法(CENELEC)」と「Uサイト法」が適合すること。送受信アンテナ間の実効反射係数を0.1(-20dB)以下にすれば、アンテナ係数の較正誤差を1dB以下にできることを示した。
著者
西村 耕司 佐藤 亨 中村 卓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.583, pp.83-90, 2001-01-19

京都大学のMUレーダーは光学観測では検出できない非常に微弱な流星を検出することが可能である.本研究では干渉計法を用いてMUレーダーによる流星軌道決定法の開発を行った.ドップラーパルス圧縮法や干渉計法の精度について検討を行い, 実際の観測データを用いて軌道決定を行った.従来スペースデブリ観測に用いられていたSBL法との比較によりSBL法の問題点を明らかにした.さらにICCDビデオカメラを用いた光学観測との同時観測により, MUレーダーが絶対等級にして12等級程度の高い感度を有することが示された.
著者
阿保 真 柏柳 太郎 長澤 親生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.650, pp.5-10, 2003-02-13

我々は,上空90km付近の風測定に用いられている流星レーダとして,従来のパルス・モノスタティック方式に対して,PN変調を用いたバイスタティック方式システムの開発を行っている.このレーダの特徴は,CW信号をPN変調することにより,ピーク電力をパルス方式より小さく,なおかつ電力密度も小さくすることができ,他の通信機器への妨害が抑えられる点にある.本稿では,シミュレーションにより符号系列周期等の最適パラメータの検討を行い,また,観測に最適な反射点領域について,高さ精度,風の測定精度のシミュレーションを行った.結果として,受信点上空がもっと精度が良く,受信点上空半径100km範囲内の流星エコーにより,到来角制度が1.5degのとき,高さ精度3.5km.受信信号のSNRが-10dBのとき風速精度3m/sで風の観測が行えることを示した.
著者
堀 智 菊間 信良 稲垣 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.607, pp.37-44, 2002-01-19
被引用文献数
12

OFDM通信方式は, ガード区間を越える遅延波やドップラーシフトにより急激に通信品質が劣化してしまう.この問題を解決するために, アダプティブアレーを用いて不要波を抑圧する様々なシステムが提案されている.本報告では, 参照信号を必要としないブラインド処理を特徴とする, OFDM用ガード区間MMSEアダプティブアレーにおいて, 収束の高速化について検討する.具体的には, SMI方式でウエートを求めるための, 最適な信号サンプル数について検討し, その上で誤差信号を用いて, 到来波の遅延時間に応じて, サンプル数を自動的に変化させる新しい最適化手法を提案する.提案手法の有効性を明らかにするために, 計算機シミュレーションにより評価した.その結果, 固定および移動受信環境において従来方法に比べて, 収束速度の高速化が図れることが確認できた.
著者
平田 明史 タユフェール エディ 青野 智之 山田 寛喜 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.63, pp.59-64, 2003-05-15
被引用文献数
6

エスパアンテナは円形配列アレーアンテナであるが,中央に給電素子を有しているため菱形のサブアレーを3対取り出せる構成となっている.そこで本報告ではリアクタンスドメインMUSIC法に3組の空間平均を適用して,コヒーレント波の到来方向推定を行う方法を提案する.特定の方向への平行移動による空間平均では,その到来角推定精度が到来角度に依存するために3組のMUSICスペクトラムを合成した形で空間平均後のスペクトラムを定義する.電波暗室内での実験結果から,到来角度差が角度分解能以上の場合には2波を分離し2つのピークを検出できることを示す.角度分解能として到来角度差45°を5割程度の割合で検出できることが分かる.
著者
池本 アンジェラ 川崎 繁男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.96, no.373, pp.93-97, 1996-11-21
被引用文献数
2

本報告では、ウェーブレットを用いたモーメント法によるダイポールアンテナ解析について述べる。ウェーブレットの直交性とその性質によりスパースマトリックスが得られることが確認された。さらに、ウェーブレットに関連する多重解像度解析により、今までの近似法で失われていた情報が表すことが可能である事が分かった。また、得られたモーメントマトリックスの性質により、マトリックス全体を扱わずに、そのサブマトリックスで充分な近似が行える事も確かめられた。これにより、同じマトリックスから必要性に応じて荒い近似あるいは高精度な近似を必要に応じて得られる事が分かる。
著者
松田 庄司 橋口 浩之 深尾 昌一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.355, pp.95-98, 2005-10-13

分散アレーアンテナは, レーダにおいて複数のサブアレーを分散して配置し, これらの受信信号をデジタルビーム形成することにより高利得を得るアンテナ形態である.しかし, サブアレーの配置間隔が波長に比べて十分長い場合, 通常のビーム形成方法では多数のグレーティングローブが発生する.この対策として, 我々はノルム制約及び対角荷重によりロバスト性を付加したCaponビームフォーマを用いればグレーティングローブを抑圧でき, かつビーム幅の減少によるレーダーの捜索効率の低下を防ぐことができることを示した[2].本報告では, これらのビーム形成方法において, ステアリングベクトル誤差がメインビーム利得やグレーティングローブ抑圧度に及ぼす影響が小さく, このような誤差へのロバスト性を有することを示す.
著者
Uno Toru He Yiwei Adachi Saburo
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.97, no.49, pp.69-74, 1997-05-22

Berenger's Perfectly Matched Layer (PML) absorbing boundary condition (ABC) has been found very effective for the truncating the unbounded spatial domain in the finite difference time domain (FDTD) computation. The PML ABC was originally introduced for a free space spatial domain and later extended to a lossy medium using the stretched coordinates. In this paper, we propose a novel PML ABC for a dispersive medium in an ordinary Cartesian coordinate. It will be also shown that the PML for the lossy medium can be easily derived from our formulation.
著者
天野 信之 三浦 周 太郎丸 真 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.622, pp.13-18, 2006-03-01
被引用文献数
3

ミリ波帯を利用したギガビットクラスの超高速無線LANを実用化するために,天井設置型アクセスポイントと端末局で共用可能なセクタ切り替え型スロットアレーアンテナを提案した。伝搬距離に応じて効率的にシステム要求の利得を得るために垂直面内でセカントビームを形成し,通信エリアとして室内全体をカバーするために水平面内でセクタ切り替えを行う方式を採用した。アンテナ全体構造から1セクタのみを抜き出して電磁界解析を行った結果,最大利得11.6dBi,チルト方向θ=-65〜-60°の垂直面セカントビームを形成し,システム要求を満足することができた。また,反射損失特性の要求についてもほぼ満足した。
著者
中田 裕章 本島 邦行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.622, pp.25-30, 2006-02-22

本論では,有限差分時間領域法(FDTD法)と近傍電磁界データから準遠方界を推定する手法を提案し評価した.本手法では,等価定理を用いて仮想電磁流源を波源とし,ベクトルポテンシャルを考え,グリーン関数を適用して数値計算式を導出した.FDTD法で計算した近傍電磁界データを仮想電磁流源として数値計算を行い,FDTD法で直接計算した準遠方電磁界と比較し,本手法の正当性を評価した.
著者
鄭 雄鉉 道下 尚文 山田 吉英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.561, pp.101-104, 2006-01-19
被引用文献数
2

RFIDタグ用の超小形アンテナとして、筆者等は超小型ノーマルモードヘリカルアンテナ(NMHA)の開発を行ってきた。本報告では、タップ給電によりインピーダンス整合を行う方法について述べる。検討周波数は、アンテナ製作に都合の良い300MHzとした。まず、単体のNMHAにおいて、入力インピーダンスを50Ωの給電線に整合し得るタップ構造を設計した。また、アンテナを製作し、実現性を確認した。さらに、折り返し構造のNMHAについても、タップ構造の設計と実測による確認を行った。
著者
新井 宏之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.210, pp.67-70, 2007-08-30
被引用文献数
3

本報告では比較的低利得な単方向の指向性を切り替えることで移動体通信等に応用することを前提に,指向性切り替えアンテナを分類してその特徴を明らかにする.まず給電法で分類すると,異なる方向に対応する複数の給電ポートを持つものと,一つの給電ポートで寄生素子,反射器,移相器の条件を制御するものに大別される.アレイ構成とする場合は,素子アンテナが無指向性のときには主にカージオイド指向性となるので,素子アンテナの指向性を効果的に利用する必要がある.特に,単方向性を実現するためのアンテナ素子として,本稿では立体的な構造ではなく,平面構造のものについて検討し,二つのモードの異なるアンテナを組み合わせる手法,放射素子間の位相差を制御するもの,寄生素子や反射素子を組み合わせるものに大別しその特性を明らかにする.また,給電ポートを一つにして指向性を切り替えるものは,追加した付加機能を切り替えるものと,移相器やバラクタダイオードによってアナログ的に重み付けをするものについて議論し,指向性切り替えアンテナを実現するための指針を示す.
著者
齊藤 英樹 佐野 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.457, pp.41-46, 2003-11-14
被引用文献数
1

近距離無線通信でアレーアンテナを用いる場合,入射波の平面波という仮定が妥当でなくなる.つまり,従来のMUSICやESPRITなどの到来方向推定アルゴリズムを適用すると精度が劣化する.このような近傍マルチパス環境において有効な到来方向推定アルゴリズムがなく,本報告では最尤推定に基いて入射波の到来方向だけでなく,アレーアンテナからの距離推定も行う手法を提案する.局所最小解の問題に関しては,ソフトコンピューティング法の1つであるPSO (Particle Swarm Optimization)を用いることで大域最小解周辺の解を得て,そこから繰り返し計算であるNewton法を適用し最適解を得る.数値シミュレーションを行い,Cramer-Rao Boundと比較することで本手法の有効性を確認した.
著者
前山 利幸 高崎 和之 唐沢 好男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.416, pp.53-58, 2006-12-07
被引用文献数
5

伝送線路として利用する人体の周波数特性を解析した。解析の結果、40MHz以下の周波数帯域を利用することで空間より20dBほど少ない損失で伝送できること、またその伝送帯域は複雑な周波数特性を持つことがわかった。筆者らは、周波数特性の変動に耐性の高い変調方式を用いて、40MHz以下の周波数帯域に信号を配置する方法で、高速で安定的な人体通信方式を提案する。提案方式の実験系を構築し、伝送帯域幅6MHzのOFDM信号で伝送実験を行い、およそ17Mbpsの伝送が実現できることを示す。