著者
丹治 裕一 中口 俊哉 田中 衞
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.724, pp.73-78, 2003-03-10

本報告では,複数の定数領域をもった区分線形出力関数を有するセルラーニューラルネットワークを提案する.元来,セルラーニューラルネットワークは,2つの定数領域を有する区分線形出力関数によって構成され,その画像処理は,2値に限定されていた.それゆえ,本報告で提案する方式は,セルラーニューラルネットワークの可能性を拡大すると考えられる.ここで,安定性の議論及び基本的な回路構成が与えられる.また,ノイズヘの耐性を強化するために,ヒステリシス特性が出力関数に対して考慮される.
著者
時永 祥三 池田 欽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.465, pp.117-122, 2011-03-03

本報告では,非線形時系列モデルにおける粒子フィルタ(Particle Filter:PF)および遺伝的プログラミング(Genetic Programming:GP)を用いた構造変化の推定とその応用について述べる.まず非線形状態方程式により生成される観測時系列データからPFにより状態を推定する問題を仮定する.さらにモデルの尤度などから構造変化が抽出された場合に,非線形方程式が変化すると仮定し,GPによりこの変形後の関数形を推定する.すなわち,GP手法により元の関数形から変形された複数の関数を求め,モデルの尤度が最大となる関数を構造変化のあとの関数と推定する.応用例として人工的なデータを用いて,本報告の手法の有効性を確認するとともに現実の時系列データに適用して,構造変化の前後の状態方程式推定を議論する.
著者
古賀 博之 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題
巻号頁・発行日
vol.98, no.343, pp.25-32, 1998-10-22
被引用文献数
3

音声生成の分野では, これまで声帯音源・声道・空間放射を組み込んだ様々なモデルが提案されている.しかし, 生成音声にカオス特性を含める方法については考慮はされておらず, ほとんどのモデルのふるまいはカオス的でない.本研究では, 声帯の振動機構に指数関数型のバネや粘性を用いた, カオス的性質をもつ音声生成モデルを構築した.結果として, 本研究モデルの合成音声の最大リアプノフ指数が正で, リアプノフ次元が非整数となることを示す.
著者
瀧澤 恵介 竹之内 星矢 青森 久 大竹 敢 田中 衛 松田 一朗 伊東 晋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.106, pp.119-124, 2011-06-23

本稿では,Paricle Swarm Optimization(PSO)を用い,符号化レートを最小とするセルラーニューラルネットワーク(CNN)による画像予測器の教師付学習手法を提案する.提案手法では,従来予測誤差電力を最小化するよう設計されているCNNによる画像予測器をロスレス符号化性能向上のため,符号化レート最小化をPSOを用いた学習により実現している.特に,本方式で用いられているPSOは評価関数の勾配情報を利用しないため,CNNによる非線形予測器の学習に非常に効果的であると考えられる.様々な標準画像に対し符号化を行い,従来手法と比較し提案手法の有効性を確認した.
著者
安細 勉 田中 敦 小林 邦勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題
巻号頁・発行日
vol.97, no.218, pp.15-22, 1997-07-31

近年のコンピュータネットワークの発達に伴い, そこで扱われる情報の量は増々増大している. そのため通信や保管の際に情報の圧縮が行なわれるのが一般的であり, 情報圧縮の技術は重要な意味を持ってきている. 特に情報量の多い画像の圧縮に関しては, フラクタルの利用をはじめとして様々な圧縮法が提案されているが, 本稿ではマップによるカオスを用いた可逆圧縮法について提案する. 本圧縮法はカオス的な系列を利用して元のデータを符号化するものであり, 既存の圧縮法とは異なる冗長さのとらえ方により, 他の圧縮法では圧縮できないデータを圧縮することが可能となり, 新しい可逆圧縮法として期待されるものである.
著者
横瀬 弘幸 鳥飼 弘幸 斎藤 利通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.625, pp.49-54, 2003-01-27
被引用文献数
4

Adaptive Resonance Theoryネットワークは、特徴空間上に分布したデータをカテゴリーの集合に分類出来ると知られている。本稿では各カテゴリーが超球体で記述されるARTネットワークを提案する。入力とカテゴリーの類似度を測る新しい距離を提案することにより学習が簡素化される。数値実験により、パラメータに対する分類能力の特性を考察する。
著者
豊田 規人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.106, pp.7-12, 2011-06-23

パロンドゲームにおいてパラドッキシカルな様相を露呈することが,[2],[3]によって示された.二つの確率的に負けるはずのゲームをランダムに繰り返すと勝ちゲームなるというものである.その後,この当初のナイーブな設定に対する様々な拡張された設定においても同様のパラドキシカルな様相を示すことが実証された.特に1次格子,或いは二次元格子上のパロンドゲームにおいてもパラドキシカルな様相を示すことが実証された.この論文では,それをスケールフリーネットワークにおけるゲームに拡張した場合を考察する.ナイーブな設定として,第二ゲームのパラメーターとして,プレーヤーとネットワーク上で隣接する勝ち組プレーやの人口のみを考慮した場合を考える.この場合パラドックスが生じないことを,シミュレーションを加味した理論的考察により示す.
著者
西内 悠祐 上田 哲史 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.37, pp.13-18, 2003-05-01
参考文献数
4
被引用文献数
3

3次元自律系である変形BVP発振器ではダブルスクロールカオスやjack-in-the-box現象と呼ばれる特異な応答が存在する.このjack-in-the-box現象のbasin boundaryを調べたところ,basin boundaryの境界線がぼやけて消失するという現象が見られた.このときのbasin boundaryはriddle basinと呼ばれる状態となっていた.そこで,このbasin boundaryと既存のriddle basinとの性質の違いについて述べる.また,この発振器で起こる分岐現象について詳しく説明する.
著者
池田 真一 鈴木 智也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.477, pp.19-24, 2008-01-31
参考文献数
9

自然界の実システムは,一般に各要素がネットワークを構成しており,互いに相互作用して時間発展している.我々はその様子を時系列データとして人手し,システムの理解や将来変動の予測などに利用することができる.例えば経済システムにおいては,ネットワークの構成要素は各企業であり,企業間で相互作用することで,株価変動などの複雑な振る舞いを見せる.このような複雑な株価変動を予測する場合,大企業や中小企業といったノード毎で異なる特徴に応じて,予測難易度や最適な予測モデルが異なる可能性がある.そこで本研究では,実システムを模擬するために,数理モデルとしてスモールワールドネットワークを生成するWSモデルをベースにカオス結合系を構成し,各ノードが生成した時系列データに対して非線形予測を行った.さらに,次数中心性,媒介中心性,近接中心性といった各ノードの特徴と予測精度の関係を調べ,経済システムなどの複雑システムの予測可能性について議論した.
著者
今福 渉 アンサリ タニア 川畑 明雄 マタウシュ ハンス ユルゲン 小出 哲士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.200, pp.91-96, 2009-09-17

本研究では,保存された参照データの中から最も類似するデータを検索する連想メモリアーキテクチャを手書き文字の学習と認識に適用する.提案する連想メモリはディジタル・アナログ混載全並列型最類似一致検索回路を用い,高速・低消費電力・小面積を達成している.また,新規参照データを認識するために,人間の脳の機能を模倣する短期・長期メモリの概念に基づいた学習機能を追加した.更に,認識率を向上させるために,それぞれの保存された参照データに対して認識された入力パターンを平均化して,定期的に対応する参照データを更新する参照データ最適化アルゴリズムを提案する.そして,手書き文字の学習と認議に応用するために,提案したアーキテクチャを0.18μm CMOSテクノロジを用いて設計し,提案されたアルゴリズムとアーキテクチャの検証を行った.シミュレーション結果より,試作チップの処理性能としては1秒当たり入力文字画像数30万個を実現した.
著者
永沼 宙 徳田 功 木村 美和子 今川 博 榊原 健一 田山 二朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.399, pp.5-10, 2007-12-12
参考文献数
6

声帯麻痺による音声障害は声帯の複雑な非線形振動に起因しており,病態との関連については未解明な問題が多い.声帯数理モデルの異常振動解析による音声障害の理解は,音声外科手術に際しても重要な知見を与える可能性がある.声帯モデル研究では,単純な二質量モデルから複雑な多質量モデルに至るまで様々のモデルが存在するが,これまでは,声帯の標準的かつ定性的な性質に着目することが主流であり,実際の声帯計測データの個々の定量的性質を反映したモデル化を目指した例は0少ない.本研究では,高速デジタル撮影法を用いて臨床的に計測された声帯の異常振動データに対して,その定量的性質を実現するために,数理モデルのパラメータ推定を行う.数理モデルには非対称な二質量モデルを用い,声門下圧,左右の声帯張力,声門開口面積などのパラメータを推定する.外科手術前後のデータを用いることにより,手術効果がパラメータの推定結果に反映されているかを判定する.これによって,数理モデルによる音声外科手術のシミュレータが構築可能かを検討する.
著者
堀川 洋 大西 裕次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.452, pp.5-10, 2007-01-11

カーネル主成分分析(kPCA)とカーネル正準相関分析(kCCA)における相関カーネルの組合せ方法について調べた.3種類の組合せ方法:相関カーネルの和,主成分および正準変量の直積,kPCAおよびkCCAの識別結果の投票,の性能について,テクスチャ画像の識別実験によって評価した.また,アンケートによって収集した感性情報をkCCAに取り入れ,その有効性について調べた.
著者
原 裕一 金川 明弘 山内 仁 高橋 浩光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.344, pp.11-16, 2006-11-06

GPにおける島モデルの研究は遺伝的アルゴリズム(GA)に比べてその報告数は少なく,また過去の研究よりその効果はGAより良好な結果ではないことが示されている.本報告ではGPの探索の性質に沿ってGP独自の島モデルとして異文化型島モデルを提案しその有効性をいくつかの問題に対して適用することで実験的に示す.
著者
大西 立顕 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.723, pp.93-100, 2002-03-08
被引用文献数
1

マルチフラクタルにより日経平均株価の終値を解析した.過去T日間の終値の時系列からマルチフラクタルスペクトルを求めた.そのスペクトルのパラメータと現在とL日後の価格差との間の相関について統計的に調べた.TとTに応じて相関の強さは変わり,場合によっては強い相関が見られることが分かった.この結果は,市場価格の変動はまったくランダムなものではなく,効率的市場仮説が妥当でない可能性を示唆している.また,マルチフラクタル解析は高い確率で価格が上がるか下がるかを予測するのに有益であると考えられる.
著者
時永 祥三 富永 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.724, pp.67-72, 2003-03-10

本報告では,ネットワーク上を伝搬するリスクの拡散モデル分析およびその制御方法を議論し,特にCNN (Cellular Neural Network)を用いる方法を提案する。この場合,遺伝的ブログラミング(GP:Genetic Programming)の手法を用いて,観測されたデータからシステムのダイナミックスを推定し、この推定式を用いて拡散の条件などを予測する。CNNにおけるシステム方程式をGPにより近似するために,初等演算のほかに区分線形などの関数を準備し,これらと変数を含む木構造によりにGPにおける個体を定義する。GP手法により拡散のモテルが微分力程式の形で記述できるので,これを線形近似した連立1階微分方程式から進行波の拡散(停止)条件を導出する手順が応用できる。更に,適切な微小制御人力を推定し加える方法により,短い時間で均衡レベルに拡散を制御することができる。応用例として,実際のリスク拡散データ近似とその制御への応用事例を示す。
著者
池田 欽一 時永 祥三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.125, pp.13-18, 2005-06-16

ボラティリティに注目したモデルとして, ARCH, これを一般化したGARCHモデルが用いられているが, モデル化では, あらかじめその構造が仮定されており, 最適化性の検証に問題がある。本報告では, モンテカルロフィルタと遺伝的プログラミング(Genetic Programming: GP)を用いたGARCHタイプ時系列モデル推定と, その応用について述べる。この場合, 時系列のボラティリティ変動を含むモデルを多次元の状態変数を含むダイナミックスとして記述し, ダイナミックスを推定するためにGPを用い, その状態を推定する手法として, モンテカルロフィルタを用いる。推定手法の有効性を確認するため, 人工的に生成された時系列からのモデル推定問題, 現実の株価時系列から推定されるモデルを求める。
著者
島津 啓 鳥飼 弘幸 斎藤 利通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.741, pp.45-48, 2004-03-19

本論文では、インバータ制御に用いられるデルタ変調目路(DMC)の基本動作を考察する。同回路をスイッチトダイナミカルシステムとしてとらえ、一次元リターンマップを導出する。マップを用いた解析により、系は広いパラメータ領域で非周期になることを明らかにする。次に、周期的強制スイッチングによるPWM信号を安定化を提案する。同手法をDMCに適用することによりインバータ制御に使えるパラメータ領域で系を安定化できることを示す。またその他のパラメータ領域ではリターンマップはカオスや共存等の非線形現象を呈することを示す。
著者
島津 啓 鳥飼 弘幸 斎藤 利通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.336, pp.45-48, 2003-09-23

本論文では、インバータ制御に用いられるデルタ変調回路(DMC)の基本動作を考察する。同回路をスイッチトダイナミカルシステムとしてとらえ、一次元りターンマップを導出する。一次元りターンマップは、様々な分岐現象を呈する。リアプノフ指数を計算し系の呈する現象、安定性などについて考察する。そして、周期的強制スイッチングによるPwM信号を安定化を提案し、安定化DMCの呈する分岐現象iこついて考察する。また、安定化DMCを用いたPWMインパークの基本特性についても考察する。
著者
上條 賢一 山内 明子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.547, pp.129-134, 2006-01-17

局所的フラクタル次元LFDを、一種の特徴インデックスとして用いれば、離散時系列における「変動のクセ」を定量化できる。この方法は既に「スライド式計測法」として提案されているが、本論文では、伊豆半島周辺の海水温変動における層間差時系列に適用し、「気候システムにおける高感度センサー」としての役割を担うために、「季節境界推定基準」を提案した。また、2004年に同半島に上陸した台風22, 23号に関連し、海水温変動とLFD変化の特徴についても、分散分析により考察した。
著者
三島 雅史 田中 美栄子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.126, pp.19-23, 2006-06-16

人間に乱数生成を行わせると,体調や性格の違いによって特徴的な数列を生成することが知られており,これを人間乱数と呼んでいる.我々は人間乱数を利用して初期の認知症の自己診断に使えるようなプログラムの作成を試みており,そのために必要なデータの収集と解析方法の研究を行ってきた.本報告では健常者と精神障害者のデータの特徴を比較し,また健常者間の個人差を隣接二文字の生成偏差を利用してパターン認識する簡便な手法を提案する.また,異なる採取方法で取ったデータを比較し,結果が採取方法に大きく依存することを示すと共に,データをカオス時系列とみなして相関次元を求め,比較する.