著者
村本 裕二 石田 敦士 吉田 利夫 清水 教之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.576, pp.7-10, 2006-01-20
参考文献数
5

本研究ではカイワレ大根を用い、植物成長に及ぼす電界の影響について検討を行った。得られたカイワレ大根の成長長さを規格化し、そのデータを統計的検定にて評価し、電界がかいわれ大根の成長長さに及ぼす影響の有無について検討を行った。その結果、直流電界を印加した方が無いものと比べてかいわれ大根の成長が促進させることが示され、直流電界が植物成長に影響を与えることがわかった。さらに直流電界を印加する時間帯を変化させることによっても植物成長の度合いが変化することも示された。
著者
福田 武司 船木 那由太 倉林 智和 秋山 真之介 鈴木 美穂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.333, pp.29-32, 2012-11-28

周囲のpHで発光強度が変化する有機色素と半導体ナノ粒子の蛍光共鳴エネルギー移動を利用したpHセンサーは、次世代の診断材料として幅広い用途での展開が期待される。ここで、半導体ナノ粒子には可視光の発光や低い毒性という特徴を有しているInPを用いることが、今後の用途展開を考える上で重要となってくる。本論文では、高効率で赤色領域での発光を示すInP/ZnSナノ粒子蛍光体を作製するために、高いバンドギャップを有するZnS層のソルボサーマル法を用いたコーティング条件(前駆体溶液のpH)を最適化して、25.1%のフォトルミネッセンス量子効率を得た。また、このInP/ZnSナノ粒子蛍光体の周囲にpHに対してフォトルミネッセンス強度が変化する5-(and-6)-carboxynaphthofluorescein, succinimidyl esterを結合させることで、InPからの蛍光共鳴エネルギー移動による発光を確認した。さらに、InPと有機色素のフォトルミネッセンス強度比はpHによって変化することを確認し、pHセンサーとして機能することを実証した。
著者
住本 勉 白鳥 靖人 飯塚 正明 国吉 繁一 工藤 一浩 田中 國昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.80, pp.19-23, 1996-05-28
被引用文献数
1

電荷移動錯体TMTSF-TCNQを形成する、テトラメチルテトラセレナフルバレン (TMTSF : ドナー性分子) とテトラシアノキノジメタン (TCNQ : アクセプタ性分子) を用いて、積層構造の電界効果 (FET) 素子を作製し、積層膜界面に形成される錯体層の導電率をゲート電圧により制御することを試みた。TMTSF/TCNQ積層型FET素子では、ゲート電圧を変化させるとソース・ドレイン間電流に変化が現れ、その相互コンダクタンスは、それぞれ1層のものよりも大きかった。また、積層させる順番を逆にすると、ソース・ドレイン間電流ー電圧特性のゲート電圧依存性も逆転した。この現象はドナー、アクセプタ系の電気伝導特性を反映したものである。
著者
岩間 由希 細井 健太 趙 敦賛 森 竜雄 水谷 照吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.592, pp.17-21, 2003-01-17
被引用文献数
1

有機ELの陽極として現在広く用いられているものにITOがある.ITOの表面の処理法を変え,それによる効果を接触角の測定や表面自由エネルギーを求めることによって検討した.またそれぞれの洗浄を行ったITO基板を用いて有機EL素子を作製し特性を比較評価した.表面処理にUVオゾン処理やO_2プラズマ処理を用いた場合,洗浄を行わない場合や有機洗浄のみの場合に比べITO表面はより親水性となり,また素子特性の向上がみられた.
著者
黒田 浩之 沢田 史子 満岡 周士 藤原 民雄 大薮 多可志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.300, pp.11-16, 2004-09-09
参考文献数
6
被引用文献数
2

オフィス空間において,植物を設置することにより癒しや空気汚染軽減など様々な恩恵を人間は享受している.その他に微量ではあるが二酸化炭素の吸収が挙げられる.本研究においては,実験チャンバーを用いて植物の二酸化炭素吸収効果を調べた.さらに,オフィス空間に実際に植物を設置しその効果を調べた.無人時においては,ある程度の二酸化炭素を吸収するものの,在室者により排気される呼気を吸収するにはかなりの植物鉢を設置する必要があるとの結論が得られた.本研究においては,二酸化炭素濃度の変化特性より,植物の吸収効果を評価する手法を提案し,ポピュラーな10種類の室内植物の評価を行った.最も高い能力を有していたのは,ポトスと青ワーネッキーであることが判明した.二酸化炭素吸収効果は,屋外のみならず,室内,とりわけオフィス環境において有効であると思われる.
著者
西 祐希 野口 雄介 宮田 俊弘 南 内嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.110, pp.35-39, 2011-06-23
参考文献数
17

安価で資源的に問題が無く、かつ人体に対して無害な亜酸化銅(Cu_2O)を用いるAlドープZnO(AZO)薄膜/ノンドープZnO(ZO)薄膜/多結晶Cu_2O構造を採用した低コストn-pヘテロ接合太陽電池を作製し、高変換効率を達成した。高い変換効率はCuシートを熱酸化した高品質多結晶p形Cu_2Oシート上に、厚さ約30-50[mm]の多結晶n形ZO薄膜層を低ダメージ成膜することにより達成した。AM1.5G擬似太陽光照射下において、開放端電圧(Vbc);0.69[V]、短絡電流密度(Jsc):10.1[mA/cm]、因子曲線(FF);0.5、及び変換効率(η);3.83[%]を実現できた。
著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.236, pp.21-26, 2011-10-11
参考文献数
18

筆者は情報理論の一般通信モデルにもとついて,言語通信システムを,情報源,送信機,回線,雑音,受信機,宛て先という要素に分け,それらの要素間を音節というデジタル信号によって組み立てられたシンボルが流通するものとして分析してきた.以下では,神経細胞のもつ感覚・記憶(記銘と保持)・想起(再生と再認)・評価(二分法)・判断(二元論)・運動制御などの生命体のもつ基本的な生得の神経機能(量子スイッチ機能)だけで言語機能はすべて説明できることを示す.言語はヒトだけがもつため,ヒトには言語や文法を生みだす固有の言語獲得装置(Language Acquisition Device)や文法遺伝子が存在するという説もあるが,もしかすると存在しないのではないか.デジタル信号入出力のために,母音を発声するための喉頭降下と運動制御,ウェルニッケ野に母語音素痕跡記憶がヒト固有の身体的特徴である。言語の効率よい情報伝達は,脳の進化や新たな遺伝子の出現ではなく,ヒトが獲得したデジタル信号にもとつくシンボルと,それに最適化した自然発生的・自己創出的な神経細胞ネットワークのおかげである.チンパンジーにくらべて約4倍大きな脳は,膨大な語彙記憶の保持装置である.デジタル信号の順列によって生みだされる無限の語彙(単語)が,体験記憶と結びつけば具象概念であり,論理記憶と結びつくのが文法や抽象概念である.これらもすべて基本的な神経作用として説明できる.そうであるなら,人の本性は善である.
著者
小島 秀夫 鈴木 隆之 多和田 昌弘 高倍 昭洋 下山 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.473, pp.1-6, 1998-01-20
参考文献数
4

近年光音響分光法 (PAS) は、試料を前処理無しで、非破壊的に測定できることから、生体の分野、特に光合成関連の研究に対して、非常に多く使用されてきている。本研究では、光音響分光装置を製作し、植物光合成の測定を試みた。同時に、密閉型光音響セルの問題点を改良したOpen Photoacoustic Cell (OPC) を製作し、測定を行った。その結果、OPCを使用した測定法は、密閉型セルよりも光合成の活性が高い状態で測定できることが分かった。
著者
井上 貴仁 横山 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.94, no.192, pp.1-6, 1994-08-09

ヘテロダイン力検出走査型マクスウェル応力顕微鏡により相分離リン脂質単分子膜とフタロシアニン蒸着膜のトポグラフィー、表面電位、誘電率の周波数分散の同時測定を行った。また、当所で開発した先鋭シリコン探針を用いることによって、より高分解能の像を得ることが可能となった。
著者
加藤 竜太 大関 隆夫 馬場 暁 新保 一成 加藤 景三 金子 双男 シェパード ギャレス ロックリン ジェイソン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.236, pp.9-13, 2011-10-07

近年、表面プラズモン共鳴法(SPR)は高感度なセンシングが可能であることから、バイオセンサーへの応用が注目されている。表面プラズモン(SP)を共鳴励起させるために、プリズムを用いたプリズムカップリングSPR法やグレーティング基板を用いたグレーティングカップリングSPR(G-SPR)法がある。また近年、G-SPRを用いたSP異常透過光が観測されおり、そのセンサーへの応用の可能性が検討されている。本研究では、簡便性と実用性という点からこのT-SPRに注目し、T-SPRとマイクロ流体デバイスと組み合わせることで今までになかった簡便でコンパクトなバイオセンサーを作製した。そこで、IgGとanti-IgGの抗原抗体反応を行うことでこのデバイスのバイオセンサーへの有用性を示した。
著者
水野 寛隆 Jordan Shane 杉原 興浩 戒能 俊邦 岡本 尚道 大濱 元嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.136, pp.11-16, 2004-06-16

簡単で低コストな大口径高分子光導波路の作製方法及びプラスチック光ファイバ(POF)に対するパッシプアライメントを可能にするレプリカ構造の簡単な作製、高分子光導波路とPOFとの簡単な接続方法を提案する。高分子光導波路は凸形状のフォトレジストオリジナルマスタから三回の複写工程を経て作製した。作製したコア径500μmと1000μmの光導波路は、0.21-0.23dB/cm(650nm)の低い伝搬損失を実現した。コア部とファイバガイド部を持つオリジナルマスタから、パッシブアライメントを実現するためのコア部とファイバガイド部用溝を有するレプリカ構造が簡単に形成できた。また高分子光導波路は、POFをファイバガイド溝中に取り付けることにより簡単に結合することができ、980μmコア径のPOFと接続する場合、光導波路のコア幅が900μmのとき結合損失が最小(1.6dB)となった。
著者
箱崎 博士 正野 篤士 梅垣 真祐
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.311, pp.1-5, 1997-10-14

有機結晶は成長・加工技術が困難なため、非線形光学の分野では電場配向ポリマーに比べてあまり研究が進んでいない。本研究の目的は、有機結晶コア・ファイバーを用いたEO光変調デバイスを提案し、その効果を確かめることである。コア材料としてDMNP(3, 5-ジメチル-1-(4-ニトロフェニル)ピラゾール)を用いた。この材料を Bridgman-Stockbarger法により中空ガラスファイバー内に結晶成長させ、単結晶コア・ファイバーを作製した。交流電圧印加により被変調光(632.8nm)に対するEO効果を確認した。最大のポッケルス係数成分r23の値を測定したところ19pm/Vとなり、理論値とほぼ一致した。今後の課題として、クラッド研磨による半波長電圧の低減を検討している.
著者
星村 義一 佐藤 信幸 比嘉 照夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.144, pp.33-38, 1997-06-27
参考文献数
9
被引用文献数
3

金属の錆により多くの構造物が被害を受け、酸化劣化によって破壊されている。これらの錆を抑制し、多くの構造物の劣化を防止することは、きわめて重要である。今回、有用微生物発酵物質(effective micro-organisms applied extract. EM・X)中に鉄片を浸漬し、錆による重量変化を測定した。その結果、EM・X中では、赤錆が生成せず、重量減少をしないことがわかった。さらに、EM・Xから防錆効果を有する金属錯体の単離が可能となった。また、これらの金属錯体をX線回折法により構造決定した。
著者
坂田 憲紀 青野 正志 上村 忍 小松 民邦 國武 雅司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.456, pp.25-28, 2013-02-26

各pHでの水溶液-AU(111)界面におけるメレムの2次元自己組織化構造の構築挙動について電気化学走査型トンネル顕微鏡(STM)及びサイクリックボルタンメトリーを用いて評価した.弱塩基性及び中性水溶液では,基板電位を制御することによってハニカム構造,充填構造,ファイバー構造の3種類の2次元自己祖織化構造を作り分けることに成功した.一方,酸性水溶液では,ハニカム構造及び充填構造の2種類のみが構築された.酸性水溶液中ではメレムのプロトン化か起こることで,ヘプタジン環のスタックが近傍に存在する対イオンによって阻害されたため,ファイバー構造が構築されなかったことが示唆された.
著者
住ノ江 真悟 大原 圭織 多和田 昌弘 近藤 歩 下山 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.576, pp.1-5, 2006-01-20
被引用文献数
2

植物は光環境の変化に対して様々な応答を示す. 最近の研究により, 数種の多肉植物において光と乾燥ストレスの二つの要因によって葉緑体が集合するという現象が見出されている. 多肉植物は乾燥地に多く生育していることから, この現象は乾燥ストレスに起因する光障害からの形態学的な防御機構であると考えられている. このような多肉植物の乾燥適応機構を明らかにすることは, 耐乾燥性植物を開発していく上で重要な知見となる. 本研究では, 光の波長の違いが葉緑体の集合運動に及ぼす影響について調査した. 観察手段として, 生物学や医学における生体解析に有用な共焦点レーザ走査型顕微鏡を用い, 蛍光観察を行った. その結果, 青色光および紫外光が葉緑体の集合運動に関与していることが示唆された.
著者
堀川 和彦 小野寺 武 三浦 則雄 松本 清 都甲 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.228, pp.85-88, 2006-09-01
被引用文献数
1

現在,爆発物の探知には訓練された犬や金属探知機などが使用されているが,これらの方法には信頼性,コストなどの面で多くの課題がある.そこで本研究では,抗原抗体反応と表面プラズモン共鳴(SPR)センサを組み合わせたSPR免疫センサを用いて,爆薬であるトリニトロトルエン(TNT)の検出を行った.このとき置換法と呼ばれる検出方法を用い,この置換法に用いる複合体抗原の種類を変えることでTNT検出下限にどのような影響が現れるかを調べた.その結果,複合体抗原-抗体の自然解離が大きい複合体抗原を用いることで検出下限を低下させられることが示唆された.
著者
中村 徹 近藤 寛 松井 文彦 木村 亮太 酒井 秀樹 阿部 正彦 太田 俊明 松本 睦良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.174, pp.67-70, 1999-07-14

新規チオール化合物である2-メルカプトメチルチオフェン類縁体を合成し、Au(111)上に自己組織化膜を作製し、その構造を走査型トンネル顕微鏡(STM)により検討したところ、これらの化合物には筋状の構造体と蜂の巣状の構造体を形成することが判明した。分子長を変化させても形成する構造体の周期は変化しなかったことから、直線状の2-メルカプトメチルチオフェン誘導体は金状でflat-onではなく、表面に対してある角度で立って吸着していることが示唆された。さらにこの構造体の形成因子を探るため、芳香環、置換基を変化させ、そのナノ構造を調べたところ新しい知見を得ることができた。
著者
瀬戸 就一 川辺 弘之 下村 有子 大薮 多可志 勝部 昭明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.279, pp.7-12, 2003-08-22

半導体ガスセンサの表面で反応する化学種を定性・定量的に分析することがこの研究の目的である.従来,半導体ガスセンサにおけるガス検出の研究は,センサの化学種に対する感度に重点を置き,応答が飽和した状態でのセンサ出力に着目してきた.しかしながら,反応の初期段階,すなわち,反応が平衡するまでの過渡期間においては,センサ表面で反応している気体の化学的過程に関しての情報を有している.本研究では,未飽和状態(反応の過渡状態)の時系列データに対して,自己回帰(Auto Regressive,以下ではARと略す)モデルを採用しデータ解析を行った.なぜならば,ARモデルは,指数関数的に振動・減衰するデータを解析できる手法だからである.従来,ARモデルの主な適用対象は高精度で解析可能な振動現象である.減衰波形を適用対象にした場合,適用現象が限られたり,解析精度が満足できないなどの不満があった.本研究ではARモデルに工夫を加えることで,減衰波形を満足行く精度で解析可能にした.まず,指数関数的に飽和する過渡応答データを指数関数型減衰信号に変換する.そして,ARモデルを適用する.指数関数型出力を重ね合わせたセンサ出力モデルに対しこの方法を適用した.乱数で生成した雑音を加えた信号ですら個々の減衰波形成分に分離可能で,減衰定数と初期振幅とが決定可能であった.この方法を半導体センサの出力に適用すると,ガス種の同定と初期濃度の決定が可能である.
著者
馬場 暁 山崎 亮輔 大平 泰生 新保 一成 加藤 景三 金子 双男 サマンタ サチャ ロックリン ジェイソン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.469, pp.7-11, 2009-02-27
参考文献数
8

グレーティングカップリング表面プラズモン共鳴法は、金属で覆われたグレーティング基板上に入射した光の波数にグレーティングベクトルが足し合わさることによりプラズモンの波数と一致してSPを共鳴励起する方法であり、プリズムを必要としないことなどから、実用的なセンサーへの応用が検討されてきている。本研究では、金属グレーティング上での白色光照射多重励起型表面プラズモン共鳴現象を利用したセンサーへの応用を行ったので報告する。また、可視域で大きなエレクトロクロミズムを持つPEDOT-PSS/テルピリジン鉄錯体ポリマーを用いて、センシング感度の向上を試みた。