著者
佐々木 圭一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-03-27

遊びとはフィクションであり,自由で日常生活から分離された活動である.遊びの仮想空間は,空想や現実世界の模倣によって作り出される.「〜であったら」という遊び,および「〜ごっこ」の遊びである.その仮想空間上でルールを規定することにより,独自の規律を仮想世界にもたらし,現実世界の規律にとらわれない,自由な活動を行うことが出来る.それと同時にルールは遊びにおけるある目的を設定し,また目的への障害となる.ルールに従いながら設定された目的を達成することが「ルールの遊び」である.コンピュータゲームおいては,コンピュータは,ルールを持ち隔離された仮想空間を提供すると同時に,模擬的な競走相手の役割も果たすようになったため,今までは対戦が相手が必要だった遊びも単独で楽しめるようになった.しかしながら,コミュニケーションを行いながら他者と様々な関係を持つという仕組みを提供することで,対人間の協力,協調や敵対などの関係や戦術の読みあい,裏切りなどの駆け引きをゲームの世界で実現できるようになり,ゲームに膨らみを持たせ,よりリアルで積極的に参加できる仮想世界を生み出すことになる. 本稿では複数参加型のゲームを例にコミュニケーションのモデルについて考える.
著者
深谷 潤 斉藤 淳二 平野 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

1987年に初めてGaAs FETを使用した携帯電話用PA(Power Amplifier)モジュールが登場した。GaAs FETはバイポーラトランジスタ、MOS FET等のシリコン系デバイスに比べ高利得、高効率という利点を有している。その為GaAs FET PAモジュールの採用によって長時間動作が可能な非常に小型の携帯電話機が次々と発表され現在のブームに至っている。最近では従来のアナログ方式からより応用範囲の広いディジタル方式への移行が進みつつある。ディジタル携帯電話機の開発には現在も多大な努力が続けられているが最も力が注がれているのは小型軽量化と低動作電圧化である。以下に開発の動向及び、技術的ポイントについて述べる。
著者
榎本 忠儀 笹島 靖正 廣部 厚紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, 1997-03-06
被引用文献数
14

MPEG2符号化器LSIでは全処理量の約90%が動きベクトル検出処理で50〜100 GOPSにもなり, その動作時消費電力P_<at>は極めて大きくなることが予想される。CMOS論理回路のP_<at>は下式で表現できる。P_<at>=κn_gf_cC_<La>V_D^2, ここで, κは稼働率, n_gはゲート数, f_cは信号あるいはクロック周波数, C_<La>は負荷容量, V_Dは電源電圧である。マクロブロック(MB)1個(16×16画素)を処理する時間とサーチウィンドウのサイズが与えられば, f_cは決まる。動きベクトル検出等, 個別信号処理に要求される1秒当りの処理回数Qとf_cとの関係はf_c≧Qとすべきであるから, P_<at>≧にκn_gQC_<La>V_D^2と書ける。アルゴリズムの改良等によりQが1/nに削減できれば, f_cとV_D(∝f_c)を1/nに低減できる。つまり, 削減後の動作時消費電力P_<at>'; P_<at>'=κn_gf_c'C_<La>V_D'^2=κn_g(f_c/n)C_<La>(V_D/n)^2=P_<at>/n^3はnの3乗に比例して低減できる。例えば, Qが1/2(n=2)に削減される場合, 消費電力は1/8に低減できる。
著者
島田 寛之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, pp.488-489, 1996-03-11
被引用文献数
5

1990年前半に線形解析だけで始まったマイクロ波回路シミュレータは、その後衛星や移動通信の発達に伴う設計の要求に合わせるよう様々な機能拡張が行われてきた。マイクロ波CAEツールは、大きく分けて、1.ライブラリ(線路モデル、半導体モデル、部品ライブラリ)、2.回路シミュレータ(線形、非線形、デジタル、システム)、3.レイアウトとそれらを統合するフレームワークのモジュールに別れている。これら個々のモジュールのついて現状と課題を箇条書きで紹介する。
著者
椋本 介士 福田 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06
被引用文献数
1

本稿では, 流星バースト通信用ソフトウエアモデムとして当研究室で開発し, 実際に運用しているDPSKモデム, 及び次世代のモデムとして開発研究を行っているPSKモデムの概要を報告する. 流星バースト通信は, 流星の大気圏突入により生じる電離気体柱の反射を利用して見通し外通信を行う通信手法である. 流星バースト通信路には確率的に発生消減するという特徴があり, この通信路を有効に利用するためには, 特別なプロトコルが必要となる. 例えば, 当研究室で実験運用を行っている情報収集システムでは, 中心局が, 各端末宛のポーリングパケット(40bit)を一定周期で送信し, 端末は, 流星バースト通信路が発生し, その端末宛のポーリングパケットが到達した時のみ観測データ(10Obit程度)を局に向けて送信する, というプロトコルを用いている. このプロトコルを実現するため, モデムには, 短パケットからの同期情報抽出, 実時間性, 正確なパケット検出機能などが要求される.
著者
横田 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.512-513, 1997-03-06

人間は, 古来, 分業的に問題空間に対処して生きて来た。そこで, 基礎として生物的に生き, そしてより本質的には, 情動的に生きている。今回は, 一般化された伝送工学系である伝子工学の立場から, 情動的生に主眼を置いて, 複雑系としての問題空間への対応の為の, 基礎系について考える。人間は, 有形無形の道具を開発, 進化させることによって, 意識空間の規模を拡大して来た。近時, 生物・化学的系統を加味した, 電気的(線路・回路)システムが, それに関する言語的系統と併せて, 進化し, これが, ほとんどの全分業分野に, ほぼ必須的に関わりを持つようになった。今回は, 伝子工学の背景にある, 数物理哲学(生物・化学的科学系をも含む)的系統と, 特に, これと相補する, 情動的生の哲学的系続について考えることにする。絵画的あるいは, 音楽的パタン系のような, 呈味系に対する, 情報的感性対応のシステム等を考える際, その複雑系としてのシステムの背景にも, それにかかわる人間の人格的特性が重要であることを, 実感する。カントやウイトゲンシュタインの, 天才的業績も, それにもまして, 尊敬惜くあたわざる人格的生, 言動があったれぱこその感がする。今回は, 複雑系としてのシステム対応系として, 将来吟味したい, 奈良平安時代に確立したと思われる, 中観系(縄文以来の神観, 儒教・仏教的系)的対応に対する, 相補的な系としての西教的(聖書的約束的系)を背景とした, 西欧哲学系統に立ち入る。特に, 感性哲学系を中心に, 以前からの, 伝子工学的立場でのプラトンやウイトゲンシュタインとの結びつきの吟味を背景に, デカルトの「方法序説」的な複雑系対応と, そしてとくに, 西欧哲学の中核としてのカントの三論(三個の批判哲学)的対応を考える。
著者
近藤 智嗣 田中 健二 大西 仁 近藤 喜美夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

放送教育開発センターでは,これまでにも衛星を用いた教育交流実験を実施してきている.これらの実験を通じて経験した問題点には,衛星回線のトラブルに関するものとスタジオ機器等教室システムに起因するものがあった.衛星回線に関する問題点は,HUB局制御のVSATシステムを構築することで利用者には負担がかからないよう改善がなされた.しかし,教室システムに起因する問題点は,利用者自身が教室内のAV機器等を操作しなければならないため,より容易な操作が可能な教室システムを実現しなければ改善はなされない.文部省が平成7年度から開始したスペースコラボレーションシステム(SCS)計画では,操作が容易な教室システムの実現も重要な課題の一つである.
著者
ワーサリン ジュンスワディー 小林 和淑 小野寺 秀俊 田丸 啓吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27

半導体メモリの集積度が年々上昇するにつれて,そのテストにかかるコストも増加する.そのために通常のメモリセルに何らかの工夫をして、テストを高速化させる.また,簡単な機能をメモリに持たせてデジタルシステム全体のパフォーマンスを上げる研究も行われている.我々はビット並列ブロック並列(BPBP)型機能メモリ型並列プロセッサ(FMPP)を設計製造した.ここでは,そこで用いられたテスト容易化設計法のうち,FMPPの中核をなす機能メモリ部の高速なテスト方法について報告する.
著者
榎本 啓 杉原 明 塩川 茂樹 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

複数の端末が1つの基地局へ単一チャネルを利用してバケットを送信するランダムアクセス方式が注目されている。その中で、抑止波検知多重接続(ISMA)方式は、基地局がチャネルが空いている時はIdle Signal、使用中はBusy signalを放送し、送信したいパケットを持つ端末は基地局からの信号を検知し、Idle Signalを受信した時のみパケットを送信するので、衝突の確率が低く効率の良い方式として注目されている。ところで、無線通信においても、将来のマルチメディア化へ対応するため、異なる品質を要求する多種のトラヒックを処理するための優先権機能を付加することが望まれている。しかし、従来のシステムでは全てのパケットを平等に扱っており、優先権を付加するためにはプロトコルの大幅な変更が必要となる。本研究では、基地局が複数のIdle Signalを時間差をつけて送信することにより、優先権を有するトラヒックに対応できるISMAの方式を提案し、スループット・遅延特性を評価する。そして、Idle Signalの時間差を調整することにより、優先度を調節することができることを示す。
著者
目黒 浩二 青木 輝勝 相田 仁 斉藤 忠夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27

伝送路の高速化により、伝送速度155[Mbps]以上の高速LAN・MANが実現され、この伝送路を効率良く使用するアクセス方式の研究がされてきた。現在までの代表的なアクセス方式としてATMR(ATM Ring)方式が提案されている。ATMR方式は、トラヒックの分布が、一様でない状態においてもアクセス公平性を保つために、帯域割り当て・リセットアルゴリズムを使用し制御を行っている。この方式では、帯域をすべて使用したノードは、伝送路が空いている状態においても送信できない。帯域割り当てをリセットするためのリセット時間がオーバヘッドとなり、伝送路に使用されない帯域が発生してしまう。本稿では、リセットアルゴリズムを使用せず、アクセス公平性を保ちアクセス時間の揺らぎを抑えたTDSR(Time Division Sloted Ring)方式について提案する。
著者
永田 治人 赤木 克実 成田 誠之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

現在、多くのマルチメディアデータベースが公表されているが、画像の検索時には、蓄積されている画像データに文字情報をリンクし、その文字情報をキーとして検索するものがほとんどである。そこで我々は、画像処理を用いて画像そのものから特徴量を抽出し、その特徴量によって画像を検索するというデータベース(GDbase)の開発に取り組んできた。画像の特徴量および類似度の比較には様々な形式や方法がある。GDbaseはそれらをシステム本体に依存しないように実装する。本稿では、GDbaseの構成について述べ、どのようにして多様な形式・方法を実装し、拡張性をもたせているかについて説明する。