著者
伊豫谷 登士翁 平田 由美 西川 裕子 成田 龍一 坪井 秀人 美馬 達哉 イ ヨンスク 姫岡 とし子 坂元 ひろ子 足立 真理子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

プロジェクトの目的は、ジェンダー研究の提起してきた課題をグローバリゼーション研究がどのように受け止めることができるのか、二つのG研究(ジェンダー研究とグローバリゼーション研究)の接点から現代という時代を読み解く課題をいかに発見するか、という点にあった。こうした課題への接近方法として、プロジェクトでは、移動する女性に焦点を当ててきた。それは、1)人の移動にかかわる研究領域が二つの研究領域を連接する接点に位置すること、2)二つのG研究が、国家の領域性と一体化してきた近代的な知の枠組に対する挑戦でもあり、定住あるいは居場所と対比した移動はそのことを明らかにするテーマのひとつであること、にある。プロジェクトでは、これまでの移民研究の方法的な再検討の作業から始め、民博地域企画交流センターとの共催で開催したシンポジウム「移動から場所を問う」は、その研究成果である。ここでは、人の移動にかかわる隣接領域の研究者を中心として、移動から場所を捉え返すという問題提起に対して、海外からの報告者9名を含めた11名の参加者を得た。移民研究の再検討を手がかりとして、移動のジェンダー化という課題を理論的に明らかにするとともに、人文科学と社会科学との対話を通じて、二つのG研究が提起する問題を模索することにした。<女性、移動、かたり>を掲げたワークショップは、韓国の世宗大学の朴裕河、アメリカのコーネル大学のブレット・ド・バリー両氏の参加によって、海外研究者との交流を進め、その成果の一部をオーストラリア国立大学、コーネル大学において報告した。これらワークショップを通じて、1)グローバリゼーション研究が新しい局面に入っており、2)再生産のグローバル化におけるジェンダーの課題として、ジェンダー研究の成果を踏まえた女性移民研究が要請されており、3)二つのG研究を含めた研究領域の間での対話の必要性が再認識された。
著者
早見 弘
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.702-715, 1969-12-01

論文タイプ||論説
著者
落合 一泰 WINCHESTER MarkJohn
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

平成24年度の成果としてまず、研究分担者(ウィンチェスター)が執筆した<アイヌ>という生体験を近代の意味との関連で思想的に考察する長編論文が英字ジャーナル「Japan Forum」(Routledge)に出版された。同論文は、近代をめぐる時間の哲学思想が現代における新しい時空間の経験のあり方、またはそれが<アイヌ>という生体験にいかなる影響を及ぼしてきたのかについて触れている。また、3月2日~3日に、ウィンチェスターは「『民族問題』の回帰」という研究ワークショップを一橋大学で開催した。ワークショップ参加者は、カナダ(マギル大学)、米国(ファーマン大学、コーネル大学)、日本(同志社大学、一橋大学)から来た。報告題目は次の通りである。「民族問題と資本」、「Female Weavers Refusal of Real Subsumption in Early 20^<th>Century Okinawa」、「原始的蓄積とりベラル・ヒューマニズム」、「帝国の人種主義:琉球民族の民族問題について」、「『主体の無理』の時間性をめぐって」。植民地主義の歴史の、その取り返しがつかない現存こそが、現在のわれわれの生を制約しているものの一つという観点にたったこのワークショップでは、労働力産出における民族的差異の役割、グローバリゼーション下での国家の暴力が世界的に暴露している象徴としての(先住・少数)民族の回帰、対抗権力の問題、宇野弘蔵の「無理を通す機構」をめぐる思想的側面、プロレタリア化と民族問題、ルイ・アルチュセールの重層的決定と構造的因果性やジャック・ラカンの同一化の問題、発話の身体性とその時間性などをめぐって活発に議論が出来、今回の研究成果のさらなる発展の可能性が明らかになった。
著者
岡 はる代
出版者
一橋大学
雑誌
一橋研究 (ISSN:0286861X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.61-81, 1989-04-30

論文タイプ||論説
著者
山下 英俊 寺西 俊一 大島 堅一 石田 信隆 寺林 暁良 山川 俊和 藤谷 岳 西林 勝吾 藤井 康平 浅井 美香 石倉 研
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本において、地域主体型の再生可能エネルギー事業を促進するために求められる政策を明らかにするため、全国の導入事例の中からコミュニティ・パワーの基準に該当する事業を抽出し、事業の意思決定、資金調達、利益配分などの実態を調査した。その結果、地元自治体との関係性が事業化の鍵となることが判明した。そこで、全国の基礎自治体を対象とした再生可能エネルギーに対する取り組みに関する実態調査を実施し、積極的に推進しようとしている自治体の特徴を明らかにした。特に、地域活性化の観点から太陽光発電以外の事業に取り組んでいる自治体の果たしうる役割は大きく、こうした自治体を支援する制度的枠組みの必要性が確認された。
著者
寺田 元一
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.183-204, 1984-02-01

論文タイプ||論説
著者
三原 芳秋 松嶋 健 花田 里欧子 岡本 雅史 高田 明 太田 貴大 鵜戸 聡 比嘉 理麻 高梨 克也 中川 奈津子 中谷 和人 アンドレア デアントーニ 赤嶺 宏介 川上 夏林
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

「(人間)主体」の諸機能=学科を軸に制度化されてきた人文学を「生きている存在」一般の学として再編成する(=「生態学的転回」)ために、多様な専門の若手研究者が集い、「共同フィールドワーク」や芸術制作・コミュニティ運動の〈現場〉とのダイアロジカルな共同作業を通して従来型ではない「共同研究」の〈かたち〉を案出することが実践的に試みられ、その〈プロセス〉は確固たる端緒を開くに至った。また、環境・社会・精神のエコロジーを美的に統合する「エコゾフィー」的思考を共有する基盤となるべき「新たな〈一般教養〉」構築を文学理論の「生態学的転回」を軸に試みる企図も、国際的・学際的に一定の承認を得ることができた。
著者
久米 博
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.155-174, 1969-02-01

論文タイプ||論説
著者
永原 慶二
出版者
一橋大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
別所 俊一郎
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

公的資金の限界費用(MCPF)とは,税収が1単位増加することによる経済的な実効費用の追加的な変化をさす.本研究では,「就業構造基本調査」の個票データを用いて世帯の賃金弾力性について実証分析を行い,日本のMCPFを推計した.労働供給の非補償弾力性は低い推定値(0.06~0.21)を得たが,代替効果と所得効果については,先行研究に比べても比較的大きな値となった.この数値をもとにMCPFの値の平均値として1.1程度の結果を得た.また,この結果を用いて最適な線形所得税を推計した.
著者
水野 邦彦
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.421-433, 1993-09-01

論文タイプ||論説
著者
中川 秀敏 足立 高徳 高田 英行 山中 卓 監物 輝夫
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

従来ファイナンス研究では用いられなかった「圏論」という抽象数学のフレームワークに沿って、金融リスク尺度を見直して、確率的ジャンプを含む信用リスク事象等のモデル化、さらには一般的でリスク尺度以外にも多くの応用可能性を含んだ、一般性が極めて高い「圏Prob」という全ての確率空間を対象にもつ圏の導入に成功した。また、信用リスク、特に企業の倒産集中リスクの評価への応用を視野に、倒産等の発生強度の自己励起性・相互励起性を推定する新たな手法、および事業利益の確率変動モデルに基づく倒産確率の計算手法について、倒産履歴データベース等に基づく実証分析も通じて応用可能性を確認した。