著者
一言 正之 桜庭 雅明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1D103, 2018 (Released:2018-07-30)

洪水氾濫災害に対するソフト対策として,洪水予測の精度向上は重要である.洪水予測にはして様々な手法が提案されており,そのうちの一つにニューラルネットワーク(ANN)によるものがある.これまでの研究で,様々な河川においてANNモデルの適用性が報告されているが,他の手法と比べた精度の優位性は示されておらず,全国の洪水予測システムなどで実用に至っている例は少ない. また,ANNをはじめとする機械学習モデルの一般的な弱点として,学習事例を上回るような事例に対しては予測性能が担保されない,という点が挙げられる.洪水予測においては,学習事例を上回るような大規模洪水への対応こそが重要である.そのため,ANNによる洪水予測モデルは十分な信頼性を得られておらず,防災現場への実用化が進んでいない. こうした課題への対応として,本検討では2016年の台風10号で生じた網走川における過去最大の洪水事例を対象として,ANN洪水予測モデルの適用検討を行った.学習事例を上回るような高い水位の洪水に対しても,「水位変化」に着目して学習を行うことで,予測モデルの適用性が保たれることを示した.
著者
東 芳一 跡見 順子 清水 美穂 跡見 友章 藤田 恵理 長谷川 克也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.4L22, 2017 (Released:2018-07-30)

「身心一体科学」教育プログラムとは、自分自身の「身体性」に着目し、生命科学、脳科学などの科学的知見に基づいた「理解」、実験実習や身体運動による「実践」、結果に対する科学的手法による「評価」をサイクルとして、自身に生じた変化を「言語化」する新しい教育工学的手法である。本研究では、現在大学などで実践しているプログラムとその効果について報告し、科学的思考の醸成における「身体性」の重要性について検討する。
著者
小林 潤平 関口 隆 新堀 英二 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.4E14in, 2014 (Released:2018-07-30)

日本語文章における視点の停留場所は,文を構成する意味のまとまりに対応しているとの報告がある。現在の日本語リーダーには改行を含むレイアウトが多く採用されているが,改行によって意味的まとまりをもった文字列が分断されている場合が多く,読み効率の低下を招いている可能性がある。そこで本研究では,意味的まとまりのひとつである文節を改行で分断しないようにレイアウトする日本語リーダーを開発し,その効果を検証した。
著者
早川 卓弥 土方 嘉徳 西田 正吾
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.4I12in, 2014 (Released:2018-07-30)

ニコニコ動画を始めとして、動画の再生に同期した動画コメントの投稿・再生が可能な動画共有サービスが広まっている。本研究では、動画コメントから有益なコメントを抽出する手法についての基礎検討を行う。本稿では有益なコメントを「動画中でこれまで注目されていなかった部分に対し新たに注目するきっかけを与えるようなコメント」と定義し、これを抽出するためにコメントを動画時間と実時間という2つの時間軸から分析する。
著者
岡久 太一 高間 康史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1C2OS8a01, 2018

<p>本稿ではローカルデータと公開データを統合利用可能なコンテクスト検索エンジンを提案する.「動向に関する問い」というタスクを対象としたコンテクスト検索エンジンが研究されている.公開可能なデータを収集したものが検索可能であるが,ユーザはプライバシー保護などの問題で外部に公開できないようなデータを所持している場合も多い.このようなローカルデータを公開データと統合利用可能にすることで,データからの新たな価値創造など,その有効活用につながると考える.非公開データ自体を共有することなく,データの利用価値を検討可能とするために,本稿ではData Jacketをコンテクスト検索エンジンに導入する.実験結果により提案システムの有効性を示す.</p>
著者
西海 俊秀 高間 康史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1B2NFC32, 2011

<p>本稿では,検索エンジンの検索結果ページにおいて閲覧すべきページを選択する手がかりとなる情報を,インテリジェントアイコンを用いて提示する手法を提案し,有効性について考察する.インテリジェントアイコンは,オブジェクトが持つ複数属性を省スペースで可視化することができ,ファイル管理などで有効性が示されている.本稿では,Web検索の手がかりとして有効な特徴について検討し,インテリジェントアイコンを生成する.</p>
著者
高野 雅典 高 史明 森下 壮一郎 西 朋里 小川 祐樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2D5OS1b05, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究は現代的/古典的レイシズムとニュース番組の関係性を知るためにインターネットテレビのニュース番組に投稿される在日コリアンに対する差別的なコメントを分析した。その結果、在日コリアンに対してネガティブ偏見を持つ持つ人は両方のレイシズムを表出することがわかった。一方でそのどちらを表出するかはニュース番組の内容に依存することがわかった。
著者
中小路 久美代 山本 恭裕
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.154-165, 2004 (Released:2004-01-27)
参考文献数
41
被引用文献数
3 3

This paper describes our approach for the development of application systems for creative knowledge work, particularly for early stages of information design tasks. Being a cognitive tool serving as a means of externalization, an application system affects how the user is engaged in the creative process through its visual interaction design. Knowledge interaction design described in this paper is a framework where a set of application systems for different information design domains are developed based on an interaction model, which is designed for a particular model of a thinking process. We have developed two sets of application systems using the knowledge interaction design framework: one includes systems for linear information design, such as writing, movie-editing, and video-analysis; the other includes systems for network information design, such as file-system navigation and hypertext authoring. Our experience shows that the resulting systems encourage users to follow a certain cognitive path through graceful user experience.
著者
加藤 亮 吉川 大弘 古橋 武
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2A15, 2014 (Released:2018-07-30)

Web上の膨大な文書情報に対して分類・検索を行う場合,情報に対して適切なタグを付与することは有用である.しかし,膨大な情報すべてに対して,人手によりタグ付与を行うことは,労力や時間の点で非現実的である.そこで本稿では,潜在的ディリクレ配分法により得られたトピック情報を用いて,文書にタグを自動付与するシステムを提案する.実験により,提案システムの妥当性を検証する.
著者
佐々木 耀一 木村 圭吾 山本 風人 岡嶋 穣 定政 邦彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4K1OS16a05, 2018 (Released:2018-07-30)

本論文では有向ハイパーグラフ(DH)上での到達可能性判定問題を高速に解くためのアルゴリズムを研究する。 DHは有向グラフとハイパーグラフそれぞれの特徴を持ち、より一般化されたグラフとみることができる。 本問題に対し、推移閉包情報の性質を活かすため組合せ集合に特化した圧縮を行うことにより,メモリ使用量を減らしつつ,高速に到達可能性判定を行うことができるアルゴリズムを提案する.
著者
立花 誠人 村田 剛志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.B-IC2_1-8, 2019-09-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Since several types of data can be represented as graphs, there has been a demand for generalizing neural network models for graph data. Graph convolution is a recent scalable method for performing deep feature learning on attributed graphs by aggregating local node information over multiple layers. Such layers only consider attribute information of node neighbors in the forward model and do not incorporate knowledge of global network structure in the learning task. In this paper, we present a scalable semi-supervised learning method for graph-structured data which considers not only neighbors information, but also the global network structure. In our method, we add a term preserving the network structural features such as centrality to the objective function of Graph Convolutional Network and train for both node classification and network structure preservation simultaneously. Experimental results showed that our method outperforms state-of-the-art baselines for the node classification tasks in the sparse label regime.
著者
宗形 初枝 原 寿夫 石川 翔吾 菊池 拓也 エーニン プインアウン 本田 美和子 盛 真知子 伊東 美緒 Gineste Yves 竹林 洋一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.2M4NFC04b4, 2015 (Released:2018-07-30)

本発表では,全国に先駆けて認知症ケア技法ユマニチュードを全病棟に導入した経験を下に,認知症の人とのコミュニケーションが改善した結果について述べる.多段階でコミュニケーションを表現できるマルチモーダル行動観察ツールを活用し,介護・看護におけるユマニチュードの有効性について考察する.
著者
上野 秀樹 玉井 顯
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.2M4NFC04b1, 2015 (Released:2018-07-30)

認知症においては、認知機能低下に基づくコミュニケーション能力の低下が、様々な生活上の支障の大きな原因となっている。当院では認知症における行動観察シート(AOS)を開発し、認知症の人を支援するさまざまな場面で専門職、家族、本人の共通言語として活用している。認知症ケアにおけるコミュニケーション支援に関して報告する。
著者
辻 順平 能登 正人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.C-H98_1-9, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
14

In the theme park problem, it is important to find a coordination algorithm that effectively shortens the visiting time of an entire theme park while guaranteeing individual optimality for each visitor. In a previous study, a coordination algorithm, called statement-based cost estimate (SCE), was proposed that allows individual visitors to select plans that minimize a visitor’s visiting time while shortening the visiting time of the entire theme park. However, the improvement in visiting time was not sufficient from their experiment using SCE. We thought it necessary to relax the premise constraint “minimize individual visiting time” to further improve SCE. In this paper, we propose a framework to further reduce visiting time by considering Pareto optimality. In the proposed framework, each visitor determines several Pareto optimal plans based on the evaluation value calculated using SCE and presents them to a coordination system. Then, the coordination system searches for the entire optimal plan that minimizes the predicted value of the total visiting time of the entire theme park among the Pareto optimal plan candidates. The proposed framework guarantees visitors’ “personal optimality” in the meaning of Pareto optimality, and there is a possibility that the framework will shorten the visiting time of the entire theme park. We conducted a simulation experiment using a coordination algorithm based on the proposed framework and clarified the effectiveness of the framework.
著者
荒川 直哉 山川 宏 市瀬 龍太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2C4OS22a1, 2014 (Released:2018-07-30)

汎用人工知能とは,個別の課題に対して設計されるのではなく,さまざまなスキルを習得しうるように設計されるという意味で「汎用な」人工知能だといえる.人工知能の元来の目標の一つはヒトのような汎用性を持つ知能を実現することであった.近年,ロボットや機械学習など関連する技術の発展により汎用人工知能への関心が再び高まってきている.この発表では汎用人工知能へのさまざまなアプローチについて概観する.
著者
森川 優 中西 波瑠 稲村 直樹 近藤 伸明 小渕 浩希 大澤 輝夫 松原 崇 上原 邦昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2A401, 2018

<p>海上気象観測は安全な航海に不可欠であり、日本では一般船舶において観測結果を気象庁に報告することが求められている。しかし、雲の観測は気象測器での自動観測が困難なため、画像から自動識別する要求が生じている。これまで多くの研究で雲の種類(雲形)と雲量の分類に取り組まれてきているが、日本の海上気象観測で必要となる雲の状態までは研究されていない。そのため当研究では雲の雲形と状態を分類するための機械学習システムを開発した。まずはじめに全天球画像を撮影してデータサンプルを収集するための撮影デバイスを開発し、雲の層(下層、中層、上層)ごとに雲形と状態をラベル付けした。このデータセットをもとに、深層畳み込みニューラルネットワークを構築し、ResNet50学習モデルをfinetuningして分類した。結果として、雲形・状態ともに0.9を超える精度を達成した。</p>
著者
吉村 卓也 金森 亮 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.3A44, 2014 (Released:2018-07-30)

接続可能な社会や低炭素社会の実現に向けて,家庭への太陽光発電と蓄電池導入が注目されている.本研究では,天候などで大きく変化する太陽光発電量の影響を軽減するため,各家庭の蓄電池を共有化してコミュニティ蓄電池とみなし,マルチエージェントシミュレーションにて効率的な電力マネジメントを検討する.家庭の太陽光発電量の予測モデル,電力事業所とコミュニティ間のオークション電力市場モデル導入の有効性が確認された.
著者
浜田 良樹 松尾 徳朗 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.A-I13_1-4, 2018-09-01 (Released:2018-09-03)
参考文献数
10

The authors’ group has been developed AI-based Online Consensus Building Support System called COLLAGREE and used around our university since 2010. The goal of our research is to spread this system to other local governments. However, new technology which directly concerns to society might make a conflict with current society. This problem has been commonly known as ELSI. In this paper, we analyzed our past experiments by using our system, developed the reason of success, and ELSI problems that need to solve. To achieve this purpose, we launched ELSI Committee on December 2017. Our approach should be useful for other AI-based systems, when researcher has been conscious on ELSI issue.
著者
古川 康一 植野 研 五十嵐 創 森田 想平 尾崎 知伸 玉川 直世
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第17回全国大会(2003)
巻号頁・発行日
pp.217, 2003 (Released:2004-02-03)

楽器の演奏を例として、暗黙的な身体知を言語化するために、熟達者の演奏をモーションキャプチャリングシステム、筋電図などで測定し、データから法則性を抽出するための方法論を展開してきたが、その過程で、幾つかの有用な知見が明らかになり、今後の発展の可能性が見えてきた。具体的には、運動学と運動力学の両面からのアプローチにより、見かけはほぼ同じでも異なる筋肉の使い方によって、技巧的な動きとそうでない動きが区別できることが明らかとなった。また、スキルを競合する動きでの制約充足問題として捉えることにより、その解明の可能性が示された。その過程で、たとえば弓の返しや弓の弦移動をスムーズに行う方法、左手のポジションチェンジをすばやく正確に行う方法などを発見できた。これまでに得られた新たな発見は、必ずしもデータマイニングによる自動発見ではないが、その枠組み、実験手法、モデル化手法、制約充足による形式化、筋骨格系の役割、筋肉の利用の種々のモードの重要性の発見、柔軟な運動を実現するための視点、重心の役割、メンタルモデルの重要性などが明らかになった結果として、われわれ自身の洞察によって得られたものである。しかし、その過程を通して得られた知見は、今後のスキルの自動発見につながる、背景知識の整備を行ったことになると考えられる。本テーマは、認知科学、人工知能、生体力学、脳科学などが深く関わったテーマであり、それ自体興味深いが、さらに時系列データマイニングなどの技術を使うことによって、身体知の解明が進むものと期待できる。本テーマは、楽器の演奏に限らず、ゴルフなどのスポーツにも広く応用できると期待される。身体知の解明は、今後の新たなビジネスの創造にも貢献できると期待される。