著者
小泉 由美 河野 由美子 久司 一葉 木本 未来 坂井 恵子 酒井 桂子 坪本 他喜子 橋本 智美 北本 福美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.4_91-4_99, 2012-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
17

タクティールケアは,スウェーデンで開発された施術者の手で背部や手部・足部を『柔らかく包み込むようにゆっくり触れる』ケアである。本研究は,タクティールケアの効果を明らかにすることを目的として,実践記録の施術対象者の状態や発言内容を“反応”として内容分析を行った。結果,タクティールケアの反応として,【心地よかった】【リラックスした】【穏やかになった】【眠気を催した】【夜よく眠れた】【積極性が増した】【温かくなった】【温かさが持続した】【熱くなった】【痛みが和らいだ】【腸の動きが変化した】【便通が良くなった】【唾液が増えた】の13カテゴリーが生成された。効果としては,情緒の安定を促す,良質な睡眠を促す,高齢者の活動性を高める,温かさが持続する,痛みを緩和する,排便コントロールを促す,が見出された。タクティールケアは,臨床や介護現場において活用できる手法であると考える。
著者
大西 香代子 中原 純 北岡 和代 中野 正孝 大串 靖子 田中 広美 藤井 博英
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.4_101-4_107, 2012-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
29

倫理的悩みは,倫理的に正しい意思決定をしたが現実的な制約により実行できないときに生じる。本研究は,倫理的悩み尺度精神科版を用いて,人員配置や社会資源が異なる日本とイングランドの精神科看護者の倫理的悩みの程度と頻度を比較し,属性との関連を検討することを目的とする。 有効回答は日本289人,イングランド36人であった。両国の倫理的悩みの程度は,「同僚の非倫理的行為」「少ない職員配置」「権利侵害の黙認」のいずれの下位尺度においても有意差はなかった。一方,倫理的悩みの頻度では,いずれの下位尺度においても両国間で有意な差があり,日本の看護師のほうがより頻繁に倫理的悩みを体験していた。さらに,日本では年齢や経験年数は倫理的悩みに影響していなかったが,イングランドでは年齢や経験年数が高くなると倫理的悩みの程度も頻度も低くなっていた。
著者
小沢 久美子 坂本 弘子 市川 裕美子 下川原 久子 久保 宣子 工藤 美恵子 木立 るり子 五十嵐 世津子 坂本 保子 木村 緑 田口 千尋 一戸 とも子 木村 千代子 笹竹 ひかる
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1_37-1_46, 2018

目的:看護学生のSNSの利用状況とITリテラシー教育経験および道徳的感受性との関連を明らかにすることを目的とした。<br>方法:A県内における看護師養成機関10校の在学生を対象に,質問紙調査を行った。質問内容は,基本属性,SNS利用の実際,ITリテラシー教育の経験,改訂道徳的感受性質問紙日本語版とした。<br>結果:92.8%がSNSを利用し,82.3%がほぼ毎日利用し,90.0%がLINEを利用し,クラスメイトとの連絡手段に多く利用していた。SNSへの問題認識は42.5%で,ITリテラシー教育経験,SNSの被害経験と関連があった。<br>結論:ITリテラシー教育は情報モラル教育告示後のSNSの使い方への影響が示唆された。道徳的感受性は,看護教育課程別に差が認められたが,教育背景や経験,生活環境によるのかの判断はむずかしく,また,SNSの使い方との関連も明確にならなかった。
著者
下村 明子 松村 三千子 杉野 文代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.5_55-5_64, 2004-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
25

本研究は,ケアリングにつながる看護教育の在り方のひとつとして,対人関係スキルを高め,患者理解のアプローチとして,講義にNarrative(物語り)を取り入れた。その後患者との関わりを,ロールレタリング(以後RLと略記)によって効果の検証を試みた。その結果学生のアンケートでは,80~90%の学生が肯定的に答えている。RLの記述内容を,グランデッドセオリーを応用した方法で分析した結果,患者をよりイメージすることが可能となり,患者の状況を意味づけし,理解できていた。GibbsのReflective・cycleから分析すると,RLの実践は,患者の状況を記述し,関わりを振り返ることから,患者の病気体験にまつわる感情移入を,体験的に学ぶ場として意図的に提供された。バルマンらのリフレクションスキル,特に自己への気づき(Self-awareness)が明確になり,ケアリングに通じる看護教育として効果があることが示唆された。
著者
渡邉 久美 折山 早苗 國方 弘子 岡本 亜紀 茅原 路代 菅崎 仁美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_85-2_92, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
15

訪問看護ステーションにおける家族員を含めた精神障害による対応困難事例の実態と,精神障害者との関わりにおける訪問看護師の支援ニーズを明らかにした。A県の訪問看護ステーション116施設を対象とし,48施設から有効回答を得た。対応困難事例の経験の有無を質問紙郵送法にて行い,さらに,協力の得られた6施設10名の訪問看護師から対応困難事例13事例の概略と支援ニーズについて面接を行った。調査時点での対応困難事例は,利用者では14施設(29.2%),家族員では12施設(25.0%)に報告があった。また,訪問看護師には【対象の捉えにくさによる不安】があり,【状況に応じた効果的対応方法を知ること】と【看護行為の保証者の要望】という支援ニーズがあった。具体的な対応法の検討や,訪問看護師の関わりを支持する場として,精神科専門職らによる相談窓口やネットワークの構築が一策であると考える。
著者
七川 正一 森 將晏 掛橋 千賀子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.5_27-5_34, 2002-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
17

マウスの大腿後部を50mmHg または200mmHg で2時間圧迫し,組織傷害の圧力による差について検討した。 50mmHg で圧迫した場合,皮膚は著変が見られなかったが,圧迫直後から3時間後にかけて皮下浮腫が増強し,好中球の血管内集簇や血管外への遊走も観察された。 浅層の筋肉には壊死や炎症細胞浸潤が見られたが,深層の筋肉には著変が見られなかった。 24時間後には浮腫は治まり,炎症細胞浸潤も軽減していた。 200mmHg で加圧した場合には肉眼的に腫脹が観察され,組織学的に高度の皮下浮腫と好中球浸潤が見られるとともに,深層の筋肉にも強い炎症と壊死が見られた。 また,出血や血管内へのフィブリンの析出も観察された。 24時間以降においては出血の増強とともに皮下脂肪細胞の壊死も観察された。 このことから,肉眼的には傷害が認識されない場合でも深部には傷害が起こっている可能性があり,傷害は圧力が強い場合には強さと深さが増すだけでなく,質的変化も加わることが明らかにされた。 また,圧迫解放後傷害が強くなるのは虚血再灌流傷害が関与していると考えられ,圧迫後早期に適切な処置をする事により傷害を軽減出来ると考えられた。
著者
大浦 早智 宇座 美代子 當山 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.4_795-4_801, 2018

目的:3歳児をもつ母親の「趣味」に着目し,育児ストレスとの関連を明らかにすることである。<br>方法:A県内B市において3歳児健康診査者の母親に対して,基本属性,育児の相談者,趣味の有無と内容,育児ストレスに関して無記名自記式の質問紙調査を実施した。有効回答の得られた348人の母親を分析対象とし,育児ストレスの感じ方を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。<br>結果:育児ストレスを感じている者は64.7%,趣味がある者は71.8%であった。趣味の内容としては「家族(子ども)との外出」「友人との交流や外出」「買物」の順に多かった。3歳児をもつ母親の育児ストレス緩和に関連する要因は,趣味があること,子どもの数が増えることであった。また,既婚の場合,育児ストレスを感じていることが示された。<br>結論:子育て中の母親へ趣味をもつことの働きかけは,育児ストレスの緩和に貢献すると考える。
著者
大浦 早智 宇座 美代子 當山 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
2018

目的:3歳児をもつ母親の「趣味」に着目し,育児ストレスとの関連を明らかにすることである。<br>方法:A県内B市において3歳児健康診査者の母親に対して,基本属性,育児の相談者,趣味の有無と内容,育児ストレスに関して無記名自記式の質問紙調査を実施した。有効回答の得られた348人の母親を分析対象とし,育児ストレスの感じ方を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。<br>結果:育児ストレスを感じている者は64.7%,趣味がある者は71.8%であった。趣味の内容としては「家族(子ども)との外出」「友人との交流や外出」「買物」の順に多かった。3歳児をもつ母親の育児ストレス緩和に関連する要因は,趣味があること,子どもの数が増えることであった。また,既婚の場合,育児ストレスを感じていることが示された。<br>結論:子育て中の母親へ趣味をもつことの働きかけは,育児ストレスの緩和に貢献すると考える。
著者
小藤 祐子 野村 香 中山 周子 山﨑 松美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.2_63-2_69, 2012-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
11

本研究の目的は,男性看護師が女性患者に看護ケアをする体験を明らかにすることである。現象学的アプローチを用いて男性看護師11名にフォーカス・グループ・インタビュー,そのうち8名に非構造化面接を実施した。その結果,《看護師としての成長に,どうしようもない性差が立ちはだかる》《患者に気をつかわせないように配慮することが最優先であると悟る》《仕方がないと割り切る》《困難だからこそ身についた技術に対するちょっとした誇り》《女性看護師がいると思うことでわだかまりがとける》《医療処置は看護師として介入できるため,こころが軽くなる》の6つのテーマが導かれた。男性看護師にとって看護ケアを行うことは,「看護師としてケアをしたい」という思いと「患者のことを思うがゆえにケアに入れない」という相反する感情が入り交じった体験であった。
著者
大西 みさ 足立 はるゑ
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_81-2_88, 2005-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
56

本研究は,入院患者の高齢化に伴いECG電極交換時の皮膚ケアの質向上をめざすものである。研究目的は高齢者のECG電極貼付部位の皮膚ケア方法として考案したスキナ法の有効性を検証することである。スキナ法とはスキナクレンを散布し汚れを乾いたタオルで拭き取る方法である。対象はECGモニターを装着中の入院患者で同意が得られた59名で,従来法とスキナ法を比較し以下の結果を得た。1)スキナ法の電極交換時期は皮膚異常(p<0.002)やかゆみ(p<0.002)が起きない3日目以降が有効である。2)スキナ法は電極交換5日目で季節(冬期)によって皮膚異常やかゆみを起こしやすい傾向を示した。3)スキナ法は高齢者の電極によるアレルギー接触皮膚炎を軽減する保湿効果があり,電極交換時の保清方法に適している。
著者
柴田 真紀
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.5_29-5_41, 2016

【目的】複数の精神科治療施設に勤務する看護師への半構成的インタビューを通して,精神科臨床において患者の語りを聴く看護師の感情体験なかでも共感疲労のありようについて明らかにし,看護師が患者の語りを聴くかかわりをより積極的に展開するには何が必要かについて考察する。<br>【方法】異なる精神科病院に勤務する8名の看護師に半構成的インタビューを行い,質的記述的に分析した。<br>【結果及び考察】患者の傷つき体験にまつわる語りに耳を傾けようとする看護師は,罪悪感,不安,恐怖,怒り,疲労感などの苦痛な感情を体験し,共感疲労が生じていた。さらに,語りを抑制しようとする病棟文化が,その出来事を同僚に語ることを妨げていた。看護師の感情体験を安心して語り合える病棟文化を醸成することが,患者との語りを促進するだけでなく,看護師のメンタルヘルスにも重要である。
著者
吉岡 瑞季 森本 美智子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.2_119-2_130, 2017-06-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
42

目的:自己管理(認知的)スキルに着目した身体活動自己管理能力尺度を開発し,尺度の有用性を検討する。方法:A大学の学生を対象とした。項目分析,探索的因子分析,確証的因子分析を用いて因子モデルを構築し,信頼性,妥当性の検討を行った。一般的自己管理能力,身体活動との関連性から有用性を検討した。結果:分析の結果,4因子11項目モデルが構築された(GFI = .955,AGFI = .926,RMSEA = .038)。尺度のCronbach’s α 係数は .865で,運動の継続期間で尺度得点に有意差を認めた。一般的自己管理能力よりも身体活動自己管理能力が,運動の継続期間と関連性を有していることが示された(β = .319,p< .01)。結論:尺度の構成概念妥当性および外的基準による妥当性,信頼性が確認され,身体活動自己管理能力は一般的自己管理能力よりも運動の継続期間に説明力をもつことが示され,有用性が示唆された。
著者
國方 弘子 本田 圭子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_45-2_53, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
23

地域で住みながら病の体験を語っている精神障害者当事者グループの自己概念を構成する要素を明らかにし,看護援助を考察することを目的として,修正版Grounded theory approachを用いた質的帰納的研究を行った。結果,精神の病を体験しながら,精神保健について正しい認識を広める活動をしているメンバーの自己概念は,欲求を通して意識された自己であり,『階層からなる欲求をもつ自分』を獲得した《獲得したものをもつ自分》と,『階層からなる欲求をもつ自分』を獲得できない《環境の影響を非常に大きく受ける自分》により構成された。ケア提供者は,メンバーを歴史・時代から大きな影響を受ける社会的存在として捉え,苦しい叫びをそのまま受け止め,体験の中に意味を紡ぎ出すプロセスを支援し,地域とメンバーの橋渡しの役割を強化し,無条件に受け入れる対人関係を構築し,活動の場作りの支援を行う必要性が示唆された。
著者
高橋 方子 菅谷 しづ子 鈴木 康宏 石津 みゑ子 布施 淳子 高橋 和子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.5_771-5_782, 2017-12-20 (Released:2017-12-27)
参考文献数
31

目的:本研究はわが国の事情に即したバリューズヒストリーの開発を目的とした。バリューズヒストリーは終末期医療の意思決定の根拠となる価値観を示す価値観歴である。方法:訪問看護師に対する面接調査および米国のバリューズヒストリーから作成した項目について,デルファイ法による質問紙調査を実施した。対象は訪問看護認定看護師397人・在宅看護専門看護師21人の合計418人とした。結果:「健康上の問題と向き合う姿勢」「健康上の問題に対する医師からの説明内容」「余命についてどう思っているかとその理由」「自分の意思決定の特徴」「自分のコミュニケーションの特徴」など35項目が日本版バリューズヒストリーとして選択された。考察;日本版バリューズヒストリーは,病名や病気の見通しなどについて本人に事実を伝えるとは限らないわが国の状況や,周囲の人の状況や調和を優先するといった日本人の意思決定の特徴が反映されていると推察された。
著者
木原 信市 岩坪 聖子 大塚 裕一
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.3_7-3_16, 1991-07-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
30

胸腺摘出術を受けた9名のMG患者の日常生活における問題点とその工夫について研究をおこなった。その要約は以下の通りである。(1) 胸腺摘出術を受けたMG患者の治療効果は,病期(Osserman分類),年齢,病悩期間などの条件により症状の改善および寛解に差があった。 (2) MGの症状が改善または寛解していない患者は,主に咀嚼・嚥下障害,上肢筋麻痺・挙上困難,下肢筋麻痺,眼障害などのため日常生活において不便さを感じていた。しかし,これらの不便さに対しては患者自身で考慮した工夫がなされていた。 (3) MG患者の心理的状況として,術前は開胸術や手術の結果に対する不安が多く,一方術後では病悩期間が長く手術の効果が少ない症例において生きていくことへの不安感が強かった。
著者
前田 ひとみ 岡本 淳子 寺本 淳子 山下 清香 山本 悌子 成田 栄子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.2_14-2_20, 1989

より行動化され易く、また、母親の意識を高めることの出来る保健指導を検討する為に、育児指導の内容や方法が異なる竜北町と熊本市の1才6ケ月児検診における母親の育児行動ならびに児の日常生活習慣の自立等の実態とそれまでに受けた指導とを比較した。 その結果、児の発達を追いながら個別性を考慮し、期間を区切って身近な目標を持たせるような指導は効果のあることが示唆された。そして、集団指導は効果的な指導の場となっており、加えて実習することによって母親自身に方法や知識が確実に習得されると思われる結果が得られたことから、項目によっては単に口述だけでなく、実習をまじえた指導がより効果的であると考えられた。一方、正常な発達過程や家族の生活形態や家族形態の影響を受け易い日常生活習慣については、指導の効果が現れにくいことが示唆された。
著者
髙瀬 美由紀 寺岡 幸子 宮腰 由紀子 川田 綾子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.4_103-4_109, 2011-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
67

本研究の目的は,国外文献を通して,看護実践能力の概念を検証することである。文献検索はCINAHLとMEDLINEを用い,nurs*とcompeten*のキーワードを掛け合わせて実施した。対象出版年は2000年から2009年とした。その結果,60文献を抽出した。看護実践能力の概念は,Rogersの概念分析法を用いて検証した。その結果,看護実践能力とは,看護実践における専門的責任を果たすために必要な個人適性,専門的姿勢・行動,そして専門知識と技術に基づいたケア能力という一連の属性を発揮できる能力,と定義できた。しかし,看護実践能力の発揮レベルについては総意が得られておらず,認識の統一が必要である。また,看護実践能力の構造化や先行・帰結因子の探求が不十分であり,看護実践能力の概念を確立するためには,さらなる検証が必要とされている。
著者
佐藤 厚子 佐々木 伸子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.2_51-2_59, 2001-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
10

在宅療養における老年糖尿病患者の家族に対し,食品摂取バランスに着目し,できるだけ負担感が少なく,視覚に訴える食事指導方法として 「栄養バランス表」 を用いた食事指導を試みた。 より効果的なフィードバック方法として 「ひとことメモ」 欄を設け,キーパーソンである家族に繰り返し説明し,励ましと助言を与え,食事療法継続の意欲を継続させることにも心掛けた。 その結果,血糖コントロールに有効性のある可能性が示唆された。