著者
榊原 範久 水落 芳明 八代 一浩 水越 一貴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.27-30, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

学習者の自由なコミュニケーションを軸とした主体的・協同的な学びを展開するアクティブ・ラーニングの授業において,教師と学習者が一人一台タブレット型端末を持ち,同期型 CSCL の edutabを用いて学習状況を可視化した.結果,教師の言動の傾向性として,授業時間内の発話時間が減り,有益な情報を伝える可視化に関する発話割合が増加することが明らかになった.
著者
森岡 正臣 佐藤 織枝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.29-32, 2003-12-06 (Released:2017-11-17)

数学離れという言葉が言われ続けている現状の中で、生徒の実態を出来るだけ的確に把握するために、我々はいくつかの高等学校の生徒達に高等学校数学に対する意識調査を実施した。本稿ではその分析結果をいくつか紹介し、それに対して若干の考察を行ってみる。
著者
古木 隆寛 竹内 日登美 原田 哲夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.39-42, 2019-05-25 (Released:2019-05-22)
参考文献数
3

生物の解剖を行うことは学生の生物に対しての意識に有益に働くことが数多く報告されている。しかし、高知大学の学生で過去に生物の解剖を実際に行ったことのある学生は多くない。そこで、高知大学教育学部において開講されている「生物学実験Ⅰ」ではこれまでアフリカツメガエルの解剖を行ってきた。アフリカツメガエルの解剖を通して、体のつくりなどを学ぶと同時に、解剖に関して適切な手順や注意点を知ることを目的とした授業であるが、実際に決められた時間の中で、全てを指導するのはやや困難であった。そこで本研究では、全ての学生が適切に解剖を行い、十分に観察および考察ができるように、資料やサンプルを作成し、解剖に臨んだ。その結果、全ての学生が適切に解剖を行うことができ、十分に観察、考察をした結果、生命尊重の観点においても深く考えを至らせることができた。
著者
辻本 悟史 梶間 早央里
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.99-100, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

本研究では,科学絵本と知的好奇心の関連性に着目し,小学校で科学絵本の読み聞かせを実践するとともに,絵本の読書習慣についての調査と,児童の知的好奇心に関する調査を実施した.その結果,日常的に絵本に多く触れていて「お気に入り」の絵本の数が多い児童ほど,知的好奇心の尺度の得点が高く,それらの児童ほど読み聞かせ実践の有無による差も大きいという傾向が見られた.科学絵本の読み聞かせの実践と日常の絵本読書の相互作用が,知的好奇心の向上を介して,科学教育の拡充に寄与するかもしれない.
著者
古木 隆寛 中城 満 原田 哲夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.19-22, 2018-05-26 (Released:2018-07-22)
参考文献数
5

「皮膚感覚実験」では温点、冷点、触圧点、痛点の反応数を手掌、手背、脛骨前部、腓腹部の4 カ所で測る。 痛点が各場所に最も多いことが分かり、手と足では手の方が刺激に対する反応が多いことも分かった。「感覚閾値実験」では、基礎刺激量に対して閾値はほとんど同じであり、ウェーバーの法則が成り立つことを学習する。今回の実験では実験学習者の内被験者に刺激を与える側の実験実施者がいかに均一な力、速さで刺激を与えられるかが課題である。二つの実験は簡単な器具で行うことができ、さらにデータ処理の統計学的方法を学ぶ教材としては有効である。「理科離れ」が問題とされている現在で、学生たちが実際に自分たちの体を通して、感覚実験を行うことは、学生たちが生理学的な内容に興味を持つきっかけになる可能性がある。その意味で「皮膚感覚実験」および「感覚閾値実験」は学校教育現場(小学校~高等学校)において有用である。
著者
山田 邦彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.77-78, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

本研究は平成24度から実施される数学I「データの分析」における箱ひげ図の導入について、先行授業を行い本格導入に向けての教員の共通認識と課題点を明確にすることを目指した。その結果、箱ひげ図についての共通認識を得ることができ、その扱い方についての課題点が明らかとなった。
著者
岡本 牧子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.81-86, 2020

<p>日本の手漉き和紙技術は,ユネスコの無形文化遺産に登録されるなど世界に発信できる日本独自の文化である.特に南西諸島及び台湾に生息するアオガンピ(青雁皮)を原料とする琉球紙の製造技術は,沖縄県独自のテーマとして特色のある教材となるが,原料の調達が困難なため持続可能な教材として未だに確立していない.本研究では,学校現場での原料調達を可能にするべく,中学校技術科の生物育成分野の学習教材として取り扱えるよう,アオガンピの栽培方法やコスト,学習指導計画等を提案し,沖縄県独自の和紙製造技術を教材化することを目的としている.本論文では,アオガンピの栽培方法について専門用語をなるべく使用せず,学校現場でも準備可能な道具や方法についてまとめたので報告する.</p>
著者
内ノ倉 真吾
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.75-80, 2007-06-23 (Released:2017-11-17)
参考文献数
11

生徒は,メタファーの対応関係を理解できたとしても,メタファー的な説明の様式から因果的な説明の様式へと容易に移行できるのではなく,水の融解における温度変化を因果的に説明できなかった.このとき,生徒は,メタファー的な説明と因果的な説明が異なる説明様式であることに少なくとも気付くのだが,この二つの様式を移行する具体的なストラテジーをもたず,メタファーにより実感をもって理解できたものの,これを活かして自分の考えを変えることはできなかった.メタファー的な説明と科学的・因果的な説明の様式の相補的な関係,二つの様式がそれぞれ真実性と真理性を追求しているという差異を認められないとき,生徒は,性質の異なる二つの様式により状態変化が説明されることに葛藤を経験する場合もあった.
著者
杉山 雅俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.299-307, 2019 (Released:2020-04-01)
参考文献数
27

In order to discuss various ways of learning as part of teacher education, it is important to clarify the learning mechanism of each student. However, no research focusing on mindset has been conducted in teacher education research in Japan. In this study, as a first step to clarify the teachers’ mindset concerning science, differences between implicit theories of intelligence and preservice teachers’ mindset about teaching competences were explored and their perceptions about the competences necessary for science were analyzed. The results of the research can be summarized in the following four points: (1) Preservice teachers believe that teacher competences can grow more than intelligence. (2) First-year university students have greater belief that teacher competences can be developed than do second-year students. (3) Preservice teachers consider having the ability to experiment; having abundant class contents or peripheral knowledge; and raising the interest, motivation, and curiosity of children as teacher competences necessary for science. (4) Second-year university students value the need for children-centered classes, which may have created a difference in their mindset about teaching competences compared to first-year students.
著者
河野 大空見 渡辺 尚
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 41 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.253-254, 2017 (Released:2018-08-16)
参考文献数
2

本研究は2020 年度より小学校教育において導入されるプログラミング学習によって、論理的思考力などの能力が育まれることに着目した。実態の一例として宮城県郡部における現状のICT 環境をアンケート調査などによって把握し,小学校ICT 整備に対する機器、人材の課題と以後求められるプログラミング教育の形態について考察を行った。
著者
孕石 泰孝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.13-16, 2020-03-07 (Released:2020-03-04)
参考文献数
7

小学6年生児童は,理科について約90%という高い割合で,現時点また将来に渡っても役立つものであるという意識を持っている。「理科の何が役立っているか,将来役立つか」という面を詳しく見てみると,それは「学習内容(知識)」であることがほとんどであり,見方や考え方,技能が役立つということを挙げる児童は皆無である。これは,そもそも,「学習したことがどんなことに役立つか」ということを児童自身が考える場面がないと同時に,指導者もそのことを意識づけるような指導ができていないことが考えられる。「科学哲学教材」を取り入れることは,そのような学びの有用性を意識づけ,汎用生のある資質・能力を高める一つの手法として意義のある手法である.
著者
水落 芳明 西川 純
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.206-213, 2004-09-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
5

Although it is important to enhance active learning among students, one cannot deny the fact that teachers still play a pivotal role in media-assisted classes. At the majority of schools, teachers trained on media use provide their students with detailed instructions on how to use media in the learning process. In the present study, we created a classroom environment in which students others help and learn from each other through the use of electronic media, without receiving any instructions from teachers or appointed student leaders. The purpose of this study is to record and analyze the interaction patterns during such classes and to explore the effect and possibilities of media-assisted education that does not rely on teacher's instructions. The subjects were fifth-grade students in the social studies class who were novice computer users. They were given an assignment every two weeks during a two and a half-month survey period. A total of four assignments were given out. Students had to complete each assignment through interaction with their classmates and the use of electronic media, without receiving any instructions from their teacher on either how to use computers or what kind of media to use. During the survey period, the teacher made a participatory observation of the class as the students worked on their assignments. The students made reports on each of the assignments. Students produced different reporting styles for the different assignments, which can be categorized into the following four types: 1. Poorly-organized reports containing a jumble of collected information (poorly-prepared reports) 2. Well-organized handwritten reports containing selected information and the student's comments (well-organized handwritten reports) 3. Computer-printed reports containing selected information (well-organized computer-printed reports) 4. Well-organized reports consisting of handwritten as well as computer-printed papers (well-organized multi-style reports) Furthermore, the teacher recorded the number of times and the reasons why students stood up from their seats to walk around the classroom. The results show that the more the students got used to the new learning environment, the more they moved around the classroom to gather new information. In this type of classroom environment, the teacher played an important role in helping students understand how other classmates were progressing. The results of the present study suggest that even without instructions or assistance from the teacher, students can learn from each other and produce well-written reports on their work. In media-assisted classes, teachers should not only ensure that students become aware of other classmates' progress but also strive to create an environment in which students can actively interact with each other to learn from one another.
著者
益田 裕充
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.3-10, 2007-03-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
16
被引用文献数
9

This article, deals with childrens' learning of the reason why the shape of the moon changes. I establish that the Japanese National curriculum doesn't cover the reason why the shape of the moon changes. The learning content is treated in the curriculum for fifth graders or higher over of elementary school. Then I investigated children's recognition of space. The result shows that it is difficult for children to foresee that drawn figures of a ball changes by shifting viewpoints. That, it is assumed that the learning of the change of the moon shape should be treated in the curriculum for third graders of junior high school.
著者
小川 正賢
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.105-110, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
16

理工系博士号取得者の未就労問題は日本でも大きな課題となっており,政府,大学,研究機関,研究資金提供機関等も各種の方策を考案・実施してきているが,目にみえる成果は得られていない.それとは対照的に,博士号取得者の就労が問題化していない国もある.フィンランドはその一例である.本事例研究の目的は,フィンランドでは博士号取得者の就労問題に関していかなる方策が立てられているのか,その特徴を解明することにある.2012年初夏に実施したフィンランドの2大学への訪問調査と,文献資料の分析を行った.主な知見は,博士教育の当事者たち(教授,プログラム・コーディネータ,大学院生,大学管理者,政府担当者,開発公社担当者)が「就業スキル(転移可能なスキル)開発」を大学院教育の重要な要素として認識しそれを導入しはじめていることである.
著者
丸山 直生 香西 武
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-4, 2011 (Released:2018-04-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

来年度から実施される「新学習指導要領」には,野外観察の重視が打ち出された。地層の観察が行われても,化石に関する観察は少ない。露頭において「化石」の採集は容易なことではない。ところが,「生痕化石」は認知度は低いが,注目すれば比較的たくさん見つけることができる。さらに,「生痕化石」は地層が堆積した当時の環境を知る手がかりとなり,「示相化石」としても有効である。そこで,地域の素材を生かし,適切な露頭を教材化し試験的授業を試みるために,まず「生痕化石」の教材としての利点および問題点について考察した。
著者
飯野 直子 金柿 主税
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.45-48, 2007 (Released:2018-04-07)
参考文献数
10

「実感を伴った理解」や「探究的な学習」などのために身近な自然現象や地域素材の教材化が必要であると考える.ここでは,熊本県内 5 ヵ所と鹿児島県桜島周辺 3 か所における簡便な定点映像観測の方法と得られた映像データの概要や素材としての公開状況を示し,気象や天体の動き,火山活動・防災などの教材としての利用可能性について検討した.
著者
飯野 直子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.69-72, 2018-12-01 (Released:2018-11-28)
参考文献数
6

平成30年に次期高等学校学習指導要領が告示された.高等学校の理科も小中学校の理科と同様に,科学的に探究する学習の充実や日常生活や社会との関連を重視した改定となっている.また,数学と理科にわたる探究的科目として,理数科(「理数探究基礎」及び「理数探究」)が新設された.九州には1955年以来,長期にわたって活発な活動を続けている桜島火山がある.生活圏内に位置しているため,火山噴出物の日常生活や社会への影響が大きい.桜島の火山観測結果や島内及び周辺地域の大気環境を連続測定しているデータなどは気象庁や環境省などによってインターネットを介して公開されている.著者らは2006年の桜島昭和火口の活動再開以降,定点カメラを設置して噴煙観測を続けており,インターネットを介して画像提供している.本研究では探究的な学習における公的機関のデータ利用について桜島噴火の教材化を例に整理した.
著者
加納 寛子 菱田 隆彰 長谷川 元洋 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.152-155, 2013 (Released:2018-05-16)
被引用文献数
2

本稿では,「情報」を「現象や事象等すべての存在に意味を付与して伝達するもの」と定義し,「情報的な見方・考え方」とは,「様々な現象や事象等を解釈し意味を付与し,場面に応じて適切に判断・処理する見方・考え方」と定義し,「情報リテラシー」とは,「情報的な見方考え方を身につけ,現象や事象等を適切に解釈し意味を付与し,分析し,判断し,表現および伝達する能力」と定義した。そして,文部科学省検定教科書高等学校「情報」の用語についてKH Coderを用いて分析を行った結果,頻出キーワードは情報,インターネット,通信,データ,コンピュータ等であり,用語の出現パターンより共起ネットワーク図を作成し,「情報とメディア」「情報通信ネットワーク」「ディジタル情報の表現と活用」「情報モラル」の4領域の用語に分類された。