著者
大宮 輝雄 奥村 清
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.33-38, 1995-03-11 (Released:2017-11-17)
参考文献数
18

平成5年版科学技術白書で若者の科学技術離れが指摘され,高等学校では物理嫌い・物理離れが取り上げられている。そこで,物理履修者の減少の実態を物理教科書の採択数や共通一次・センター試験の受験率から調べ,その要因については科学・教育雑誌や研究紀要,論文などの文献から分析した。さらに大学生,高校生へのアンケート結果から物理を嫌う理由について調べるとともに,学習指導要領物理の目標の具体的取扱い,教科書の電気分野における記述方法,内容の扱い方,公式や図・グラフの数等における歴史的変遷から物理嫌いの要因について考察をした。その結果,物理嫌いの要因には,系統性重視となったことで,論理的内容が増加したため記号・公式が多用され,それらの理解・暗記不足となったことが,要因の一つとしてあげられることが分った。そこで,物理量記号の特性を調べるとともに,記号・公式を理解・暗記しやすくするための工夫として語源や歴史からの意味づけを行った。
著者
河原井 俊丞 宮本 直樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.55-60, 2019

<p>本研究では,「問い」の生成プロセスに関する実証的研究において授業中の発話と授業後の「問い」の生成に関するインタビューの内容をワークシートとアンケート調査の記述内容に併せ,それらをもとに「問い」の生成プロセスの検討を行うことで,生徒の実態に即した「問い」の生成プロセスを示し,どのようなプロセスが存在しているのかを明らかにすることができた.</p>
著者
久坂 哲也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.33-36, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

本研究は,高校生の理科学習場面における達成目標傾向,
著者
清水 欽也 岡本 信司 久米川 真紀
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 25 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.335-338, 2001 (Released:2018-05-16)

本報告では、科学技術政策研究所が行った成人3000人対象の「科学技術に関する意識調査」の結果 (科学クイズ16問と理科教育との関連について) を一部発表する。収集された調査データを分析した結果、我が国の一般成人の科学・技術知識について以下のことが明らかになった。①我が国の一般成人の科学・技術知識について、人口統計学的な属性 (年齢群、性別、学歴、居住区域の都市規模) にかかわらず広く理解されている「一般的知識」が存在する。② 我が国の中学校理科で扱われる内容は、「一般的知識」 の形成に深く関与しており、高校での内容は回答者の社会的属性に基づく知識格差が生じうる内容となっている。③ 平成元年改訂の学習指導要領に基づく、中等科学教育は、本調査に限れば、知識レベルの低下を引き起こしているとはいえない。
著者
恩田 宗生 小原 知治 鈴木 由美子 久保田 善彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.1-6, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
10

グループ学習の後に個人活動を加える集散型学習の学習効果、及び個人の協同作業に対する認識の違いが集散型学習に与える影響について、コンセンサスゲームを用いて分析した。集散型学習によってコンセンサスゲームの解答が有意に正解に近づき、さらに学習に対する自信や納得度が高まるなどの学習効果が明らかになった。また、協同効用因子が高い群と低い群では、思考の深まりの認識に大きな差があることが明らかになった。これらの調査から、グループ学習後に自分の言葉で思考をまとめ直す集散型学習の重要性とその留意点が示唆された。
著者
兒玉 明典 川村 康文 田山 朋子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 35 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.357-358, 2011-08-23 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

今まで,色素増殖太陽光電池の実験は,高い学習効果が認められていながらも,学校現場で行うには費用がかかりすぎると言われていた。その原因としては,生徒実験を行うための材料として,今まで高価なペースト状の二酸化チタンとヨウ素電界質溶液を用いてきたためである。そこで,著者らは粉末の二酸化チタンと,ヨウ素を含むうがい薬を用いた実験教材で電子メロディを鳴らすことに成功した。この成功によって,色素増殖太陽光電池の実験が日用品で行えるようになり,より科学技術を身近に感じることのできるものが完成した。今回はその改良と本実験材料を用いて実践を行った際の報告を行う。
著者
田中 真也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.81-84, 2018-03-25 (Released:2018-07-01)
参考文献数
7

中学生が「証明」に対して抵抗感をもってしまう原因の一つに,論証における納得の仕方や説得の仕方と ,生徒がこれまでの経験や教科等の学習を通して得た納得の仕方や説得の仕方とのギャップに生徒は戸惑っていることがあるのではないかと考え,本格的な論証指導が始まる前の中学1年で,論証の納得・説得の仕方のよさを感得させておく可能性を探った。論証の機能のうち「発見」に注目した授業づくりをし,生徒の納得・説得の仕方を大切にしつつ,論証の納得・説得の仕方のよさを感得させることを目的に授業を実践した。その結果,論証による説明だけが納得できる説明だとする生徒が増えるなど,生徒の実態に望ましい変化があった。
著者
前田 珠里 吉村 基 福本 有花 中城 満
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.39-42, 2015

本研究では、理科授業における測定誤差の扱い方に焦点を当て、測定誤差を解消するための具体的な手法について明らかにすることを目的とした。そこで、測定誤差を克服するための仮説として、「実験精度の向上」と「子どもの納得」という二つの視点に着目し、実際の授業記録から実験方法や指導方法の妥当性を分析・検討した。その結果、「あえて実験の精度を落とすこと」や「実験結果を一覧にし、客観的に考察させること」、「測定誤差の範囲をあらかじめ設定すること」などが測定誤差を克服するために効果的な手立てであるということが明らかになった。
著者
岡本 紗知 青井 議輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.187-204, 2019 (Released:2019-07-05)
参考文献数
88

The nature of science (NOS) has become a priority in school science education worldwide and is currently considered essential for achieving a high level of scientific literacy. The present study analyzed and compared biology textbooks (molecular-biology related topics) used at the upper secondary level in Japan and Canada to determine whether NOS was sufficiently presented. This analysis showed that Canadian textbooks covered a much wider range of the NOS than Japanese textbooks. These findings also indicate that, in both countries, three NOS aspects (the empirical nature, the difference between observation and inference, and the cumulative and collaborative nature of scientific knowledge) were relatively well described, while two NOS aspects (the involvement of creativity and imagination and social and cultural embeddedness) occurred less. One of the striking differences between the two countries was the occurrence of theory-laden nature and subjectivity: It was well described in Canadian textbooks, but rarely found in Japanese textbooks. Overall analysis found that the degree of emphasis on each NOS aspect differed by country, and further suggested the importance of incorporating NOS acquisition into national curricula.
著者
東原 義訓
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.39-42, 1998-06-13 (Released:2017-11-17)

小・中学校における情報教育、コンピュータ利用教育を推進するための人的環境整備として、メディア・コーディネータの果たす役割が大きく、その成果が注目されつつある。ここでは、長野県内のメディア・コーディネータ(コンピュータ加配教員)の役割とその効果を報告する。
著者
荻原 彰 佐古 裕史 寺島 隆志
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.177-187, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
9

The purpose of this study was to clarify the roles of stakeholders (such as teachers or researchers) in the development of competency of high school students through a case study of school science club activities.For this purpose, we investigated students and their teacher at a high school science club based on the Modified Grounded Theory Approach. Analysis of the results clarified the following points.1. The teacher set up a framework, but made students think about the detailed plan by themselves.2. The teacher imposed strict guidelines about adopting a sincere attitude and rigorous methodology toward research as well as encouraging students to select methods that met the purpose of the research.3. The teacher provided an opportunity for students to communicate with researchers and enlighten the public.4. Researchers provided research guidance and helped to motivate the students.5. Students of other schools served as good models for the students.6. Outreach activities offered a chance for students to enrich their knowledge and devise means of communication.
著者
中山 迅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.12-21, 1998-03-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
35
被引用文献数
2

Lakoff and Johnson (1980, p.56) claim that most of our normal conceptual system is metaphorically structured; that is, most concepts are partially understood in terms of other concepts. From this viewpoint, metaphorical aspects of children's naive conceptions, concepts and models of science, and science classes are reconsidered. Models of science plays a central role in scientific theory. There are basic metaphorical ideas behind each scientific model. But learners of science may have naive conceptions that are based on different metaphoric ideas from those of the scientists. Learning science therefore necessarily involves getting new metaphoric ideas or modifying one's own metaphoric ideas. The necessity for research based on metaphor is pointed out. Some important proposals for science classes are also made.
著者
佐々木 悠朝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.473-474, 2018

本研究は高校生物基礎において,一人一台ずつChromebookを操作し,共同編集が可能なGoogleスライドの活用することによって,Aronson, E. et al.(1978)が提唱したジグソー法を組み合わせたアクティブラーニング型授業を行なった。その授業展開と,またその結果,今後の課題について報告をする。
著者
大西 俊弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.45-48, 2011 (Released:2018-04-07)
参考文献数
5

高等学校の数学科では、2012年度から学年進行で新教育課程が実施されている。新教育課程では数学的活動が重視されているが、それを具体化するねらいで高等学校では、数学Ⅰと数学Aにおいて、新しく「課題学習」が導入された。各社の教科書において「課題学習」がどのように扱われているのかを調査した。課題学習の事例の1つとして、「油分け算」を取り上げ、いろいろな解法があることについて述べる。
著者
隅田 学
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.69-72, 2003
参考文献数
10

教育実習生による小学校理科授業を事例に,フィリピンで利用可能な英語字幕入り授業ビデオ・リソースを開発し,フィリピンの国立大学の学生を対象に,ビデオ・リソースを活用した理科授業に関するワークショップを開催した。そして,ビデオの理科授業について自由討論を行い,彼らの理科授業観を探り,フィリピンの大学生の理科授業観を日本の大学生(教育実習生)の理科授業観と比較することを試みた。その結果,フィリピンの大学生の方が日本の大学生よりも授業に対する見方が具体的で多様であることがわかった。そして,日本において近年提案されている理科授業観察の観点や評価の観点を紹介しながら,ビデオ・リソースの利用可能性について考察を行った。
著者
西野 秀昭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.111-116, 2010 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

ヤマトヒメミミズ Enchytraeus japonensis は,有性生殖に加え,「破片分離」による数体節からなる断片から完全な個体を再生するユニークな無性生殖によっても増殖することができる.中学校理科「生物の成長とふえかた」の単元において,有性生殖は身近でもあり,学習における類例には事欠かない.しかし無性生殖は,単細胞生物の細胞分裂などの類例しかなく,有性生殖は多細胞生物で行い,無性生殖は単細胞生物で行うような印象となってしまう.生殖の方法は,生物種と同様に多様であり,子孫の残し方の工夫は,生命尊重の概念や生命への畏敬の念にもつながる学習の対象となるものと考えられる.本研究では,破片分離という珍しい無性生殖法に着目し,ヤマトヒメミミズの破片分離の人為的誘導を中学校でも実施できるよう検討した.また,ヤマトヒメミミズの破片分離を導く別の簡易な方法として,培地の寒天を市販の食用寒天に置き換える方法を見いだした.この方法では,市販品を用いることで,経費も安価で済み,生徒各人が自分の寒天培地上でヤマトヒメミミズを培養するだけで破片分離による無性生殖を導くことができる.「生物の成長とふえかた」単元への導入に際し,本研究で示す観察・実験は寒天培地にヤマトヒメミミズを移して観察するのみで容易であり,実験の成功体験もほぼ確実であることから,中学校理科授業での効果が期待される.
著者
山田 貴人 安藤 秀俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.41-44, 2015

理科と数学を関連付ける代表的な例として「単位」をあげ,「単位」に着目した理科と数学に関する意識について調査したところ,多くの生徒が問題文から式を作る立式ことに苦手意識をもっており,その着眼点に単位を意識できていないことがわかった。同時に,単位の意味を学ぶことに興味を示し,その活用性に期待感を持っている生徒が多かった。このことから,単位の組み立て方を短時間に反復して思考することができる教材(単位カード)を開発し教育的効果を検証している。中学生に実践したところ,活動中の生徒達からは思考を重ね新たな単位の組み立て方に気付く様子が多く見られた。
著者
小原 美枝 中村 孝之 安藤 秀俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.262-263, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

本研究は数学と理科の関連性を重視した高等学校での学習指導プログラムを構築することを目的とし,フィボナッチ数列と黄金比に着目し,自然の中に見られる数学の法則を見つける授業を提案,予備実践を行った。その結果,企画したプログラムは生徒に好意的に受けとめられた。
著者
近藤 勲 河崎 雅人 山本 尚武 河原 美智子 平家 浩子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 24 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.327-328, 2000-07-29 (Released:2018-05-16)
参考文献数
1

視覚並びに聴覚サブリミナル効果の有無について検証するために,情動の変化を皮膚電気活動(EDA:Electrodermal Activity)並びに精神性発汗(Emotional Sweating)に変換して測定し、その結果をもとに検討した.標本には、映像情報としては,中性刺激と見なせる構成のビデオ映像約4.5分,及び7分間に恐怖心を惹起させると期待される画像を1/30秒間ランダムに14,及び26ヵ所に挿入し視聴させた.被験者は男女学生合わせて20名である.音声・音響情報としては,クラシック音楽に人間の声と動物の声を挿入したテープを20名の被験者に聴取させた.この結果,前者の被験者については,何らかの情動の変化が検出されが、後者の被験者については明確な変化は見られなかった.したがって,映像情報については、サブリミナル効果の存在を否定できないが、音声情報については判別できないという結果を得た.