著者
有元 秀文
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.245-250, 2008-12-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
2
被引用文献数
1

Japanese students have serious problems in Reading Literacy. Many cannot answer open-ended questions in the PISA test. No response rates for open-ended questions exceed the OECD average. A background for this problem is that Japanese teachers do not ask open-ended questions in the classroom. They don't usually discuss materials in school textbooks, and don't ask students to give their own opinions about these materials. The response rate for open-ended questions are also low in scientific literacy in PISA. The background for this problem may be similar to PISA reading literacy, because this problem originals in the Japanese culture of so-called silent communication. Japanese dislike speaking frankly and use vague expressions. But it's time to change so that we can participate in international society.
著者
森畑 敏昭 木村 捨雄
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.333-334, 1996
参考文献数
4

文学的感動は, 現実認識を深め, 美的情操を高める教育的機能の側面から, 文学教育においてその重要性はかねてより指摘されてきた.しかし, その構造とプロセスの不明確さから, 直接的な指導の方針が得にくい現状がある.文学的感性を意味把握と生成感情を下位コンポーネントを持つものとしてとらえ, そのレベルとさらに下位のコンポーネントを探りながら, 子どもたちの文学的感動体験による自我の変用の実態に迫り, 文学教育における指導の指針を得る.
著者
塩澤 友樹 須藤 雄生
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1151-154, 2012

本研究の目的は,生徒自身が標本抽出におけるランダム性と標本サイズの重要性を実感できる教材を開発し,その教材を用いた授業実践を行うことで,標本調査の指導への示唆を得ることである。この目的に対して,本研究では,「標本調査のウソ」,「標本調査の仕組み〜視聴率調査の模擬実験〜」の2つの教材を開発し,その授業実践を行った。その結果,本教材を通して,生徒達は自分達なりに調査の問題点を議論し批判的に検討できること及び,実験を取り入れることで,実感を伴ってランダム性と標本サイズに対する理解を深めることができることの2つが示唆として得られた。
著者
山本 智一 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 坂本 美紀 大島 純 大島 律子 村山 功
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.423-424, 2004
参考文献数
2
被引用文献数
2

筆者らは, Knowledge Forum を利用して,遺伝子組み換え食品問題に対する社会的意思決定をテーマとした科学教育のためのCSCL環境を開発している.本研究では,遺伝子組み換え食品についての基礎的内容に対する学習者の理解度を検討した.その結果,多くの学習者は,遺伝子,遺伝子組み換えと品種改良,遺伝子組み換え食品の現在といった基礎的な内容をおおむね理解できていたが,他種間の品種改良や世界の表示状況についてはあまり理解できていなかったことがわかった.
著者
二宮 裕之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.259-262, 2004
参考文献数
10
被引用文献数
1

本稿は、アメリカの算数・数学教育における創造性の育成について、改革的なカリキュラムと伝統的なカリキュラムという視点から検討を行うものである。NCTMスタンダード以降の改革的なカリキュラムでは、創造性を育成するような算数・数学のプロジェクトや課題が設定されていた。一方、伝統的なカリキュラムを実施しているユタ州の「才能豊かな児童・生徒に対する特別な方策」の実践例の検討から、①小学校段階では習熟度別クラス編成が行われていない、②選抜クラス(Pulled out class)の授業は従来的な算数の授業とは別に設定されている、③選抜クラスの目的は創造性などの一般的能力の育成を図るところにある、などの知見が見いだされた。
著者
瀬沼 花子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.34-42, 2004-03-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
13

It is very important to know the "needs of society" for mathematics, and to incorporate them into mathematics curricula. A survey on "The degree of requirement and expectation for mathematics" was conducted for 2060 companies by mail from January to February 2002, and 399 companies replied. From an analysis of the results, it is revealed that the general image of a person as expected by companies is "Being able to know numbers, to do calculation, to make predictions based on data, to consider things logically, to make judgments, to know statistics, and to express things briefly" as a result of mathematics education. From an analysis of opinions about mathematics education, it is revealed that "Improvements of mathematics teaching" such as applications to everyday life, lessons which emphasize interest, etc are expected. In addition, "Logical thinking" and "Creativity" are also expected. Making predictions based on data has not attracted attention up to now and should be emphasized more. Although companies' expectation for statistics is very high, statistics has been shifted to the upper secondary mathematics from the lower secondary in the new courses of study. Moreover, companies pay attention to not only the contents of mathematics but also the ways of teaching.
著者
村井 護晏 田中 一定
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.171-172, 1996

生理反応を測定・分析を行うことで授業中の子供達の情動の変化を客観的にとらえることができないかを研究している.多くの授業場面における脈波と皮膚抵抗反応の対応関係の研究の中でみられた両者の特徴に有意な知見がえられた.
著者
倉田 亮輔 川村 康文
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 37 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.488-489, 2013-09-06 (Released:2018-05-16)

昨今、中学校や高等学校での生徒の理科離れが問題になっている。生徒が理科離れを起こさないようにするためには、学習内容がよくわかる実験をうまく授業に取り入れ、生徒の興味・関心を引く必要がある。本研究は、「摩擦力」を生徒に体感させ、生徒の理解の手助けになるような実験器具の開発を目指した。
著者
土井 徹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.235-236, 2018

日本の小学校生活科の教科書にある学習後のアメリカザリガニの扱いに関する記述について調査した。その結果,約 30 年の間に,記述なしあるいは野外への放逐を推奨する記述から,野外放逐と飼育継続を選択させる記述を経て,飼育継続を推奨する記述へと変遷していることが明らかとなった。
著者
山本 輝太郎 石川 幹人
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.81-84, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
9

本稿では,疑似科学的言説に対する消費者向け教材開発のガイドラインの作成過程を報告している.疑似科学の問題が深刻化している社会的状況に対して,消費者教育などの関連分野における既存の教材ではその対応が十分でなく,既存の教材では一般消費者が疑似科学の判定を行うには不十分である(ES0.11,95%CI[-0.21, 0.44]).そうした現状を打破するために本研究では,疑似科学に対する消費者向け教材開発のガイドラインの提案を目的として,関連領域における既存のガイドラインおよび筆者らが運営する「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」の実践よって生じた課題から,新規ガイドラインの具体的観点を抽出した.作成したガイドラインは試験的なものであるため,より厳密化するための方策を講じる必要がある.
著者
神山 夏実 古屋 光一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.5-8, 2020

<p>本研究では,第5学年の内容「天気の変化」の学習を終えた小学校高学年(5・6年生)19名に対して雲を見分けるための授業を開発し,実践を行い,授業で扱った雲を見分けることができるようになったのか実験をした.今回授業で扱った雲は4種類(すじ雲・うろこ雲・かみなり雲・あま雲)とした.この4種類を選んだ理由として,それぞれ雲の形や大きさが異なる雲であるため学習後に簡単に見分けることができると考えたからである.1単位時間(45分)の授業で小学校高学年(5・6年生)19名が雲を見分けることができるようにするために,分かりやすいような授業構成や内容を工夫し,効果的な学習ができるようにした.その結果,授業の前後で比較を行うと,対象児童19人中18人が4種類の雲を見分けることができるようになった.また4段階の確信度調査を同時に行うと授業後では,19人全員が4(とても自信がある)や3(自信がある)と回答した.このことから授業によって自信をもって雲を見分けられるようになったことが明らかになった.</p>
著者
髙橋 雪音 名越 利幸
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.61-64, 2016

現代話題になっている VR(Virtual Reality)を使って学校教育の場で使えないかと考えた。360°の写真を撮ることのできるカメラ「THETA」で撮影した写真を,VR が手軽に体験できる「HACOSCO」で見ることにより,実際にその場にいるような体験ができるため,実際に体験できないようなことも実感をもとに学ぶことができる。また、電子機器が急速に普及し、今後様々な電子機器を扱う子どもたちが楽しく学習できる教材になっている。今回は,それらの機器を使って小学生や中学生の苦手な単元になりやすい天体学習の教材化を開発した。
著者
横田 康長 赤松 直 蒲生 啓司
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.51-54, 2021-05-22 (Released:2021-05-19)
参考文献数
3

中学校2年で学習をする気象の単元は「天気の変化」である。気象の学習で基本となるところは、雲の発生についてであり、飽和水蒸気量と露点、湿度および温度の関係が理解できていないことが雲の発生のしくみを理解する際のつまずきを招く。本研究では、飽和水蒸気量と温度と湿度の関係を生徒に理解させることを目的として、隈元の実験方法に改良を加えることで、飽和水蒸気量の温度依存から湿度変化を理解することを促す授業を計画し実践した。授業では、まず温度が高くなると湿度が高くなるという概念のもとになっている夏と冬の気象の特徴について、生徒へのアンケートを実施した。約4割の生徒が湿度に関する特徴を答えていた。次に、湿度計を入れた密閉容器を食器乾燥機で温め、湿度が下がることを確認した後でその理由を考えさせた。理由を正確に説明できた生徒は28名中9名であったが、グループ討議をすると、友達どうしで飽和水蒸気量のグラフを使って教え合う姿が見られた。
著者
鶴岡 森昭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.5-8, 2015

2015 年 3 月上旬、高校「物理基礎」最後の 2 時間を使って放射線に関する授業を実施した。この教材は 2011 年 3 月 11 日の東日本大震災に伴って起った福島第一原子力発電所事故による放射線漏れの緊急事態に直面し、当時の勤務高校の物理授業で自主編成し実施したものを基にしている。放射線の単位、放射線の所在、放射線の識別、放射線の利用、放射線の被害と防護に関する理解を促すことをねらいとした。本論考ではその実施前と実施後の調査結果も紹介する。
著者
橋本 裕子 高田 真希 坂巻 たみ 久保 暢宏 村嶋 恵 大堀 菜摘子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.293-294, 2011
参考文献数
1

東北大震災により引き起こされた原子力発電所の放射線漏れに対し,関東地方でも子育て中の母親を中心に不安が蔓延した.連日報道される科学情報の量は非常に多いことから,このような漠とした不安や被災者に対する風評被害の原因は,科学情報の量ではなく,それらに対する理解の不足であると仮定し,理解の深まりが不安の解消あるいは軽減につながることを目的に大人向けイベントを開発・実施した.本イベントでは,放射線の基礎知識を理解するために,放射線の観察や計測の体験,不安や疑問の質問時間を設けるなど,体験性と双方向性を重視したプログラムとなるよう工夫した.約一ヶ月間で,関東地方の児童館を中心に15回開催し,311名の参加者があった.そのうち約200名のアンケートを解析した.その結果,参加者の中心は20〜30代の女性であり,印象に残った内容は,会場の放射線量の測定,簡易実験,基礎講義,Q&Aの順に続き,観察や体験の重要性が示唆された.また,本イベントにより,放射線の基礎理解が進み,不安はある程度軽減されたものの,子どもを対象とした同様のイベントと比較すると,軽減量は少なく,大人に対する科学教育において,変化や影響を促すためには,知識習得以外にも必要な要素があることが,課題として明らかになった.
著者
寺田 光宏 中嶋 健二
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.97-102, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
8

本研究では,小学校4年生の理科「物のあたたまり方」の単元におけるの指導の現状を明らかにするために,直近10年間の小学校理科教科書の実験・図解・表現を変遷および現職教員や理科教師を志望している学生のもつ「水のあたたまり方」の概念を調査,検討した。その結果,小学校4年生理科「水のあたたまり方」の教科書は,先行研究の指摘により変化が認められるが,まだ混乱していることが明らかになった。また,現職教員及び教育学部理科専修学生がもつ「水のあたたまり方」の概念は,10年前以前の教科書にあるような概念を保持していた。また,「水のあたたまり方」の概念は確固で変容が難しい可能性があることが明らかになり,改善案を考察した。
著者
澤田 大明 宮村 連理 和田 一郎 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.27-30, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
9

本研究では,近年の理科教育における重要課題の一つである,子どもの自律的な学習を通じた科学的な思考力・表現力を育成する理科授業の成立に関して,その過程を子どもの認知的な側面から精査することを目的とした。具体的には,和田らが開発した,科学概念構築を可視化する表象ネットワークモデルに着目し,これと表象の相互移行に関わる鍵概念として Gilbert,J.K が提起する視覚化との関連について分析した。さらに,Nelson,T.O らのメタ認知理論を援用し,これと表象の視覚化との関連性を見極めることによって,子どもが自律的に表象の視覚化を図っていくための視点の導出を志向した。この際,Justi,R.らが概念化している,視覚化に関わるメタ認知(=メタ視覚化)に着眼し,科学概念構築の観点からその内実を詳細に検討することを試みた。
著者
長瀬 諒麻 古屋 光一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.314-324, 2016 (Released:2017-02-02)
参考文献数
7

In this study, we conducted a questionnaire survey using the instrument SUMS to consider the support appropriate for the classroom by typifying the tendencies of junior high school students’ understanding of scientific models. Firstly, a factor analysis was performed to reveal the factors determining students’ understanding of scientific models. Secondly, these factors were examined whether they are reasonable scientific models. Thirdly, on the basis of factor scores obtained from the factor analysis, a cluster analysis was performed to typify the tendency of students’ understanding of scientific models. As a consequence, the following findings were gained:(1) The factor analysis showed that the following five factors were extracted: “Models as multiple representations” “Models as exact replicas” “Models as explanatory tools” “Uses of scientific models” “The changing nature of models”(2) The five factors of students’ understanding of scientific models were examined as to whether those are reasonable scientific models. As a result, factors other than “Models as exact replicas” were judged to be proper scientific models.(3) Cluster analysis based on factor scores indicated four groups. We proposed forms of support in accordance with the characteristics of these groups.
著者
甲斐 初美
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.1-4, 2013 (Released:2018-04-07)
参考文献数
11

本研究では,各単元内容の系統性を整理するとともに,理科の一連の指導内容の最適化や構造化を図ることを目的としたこれまでの研究成果から明らかとなった,モデルやアナロジーの取り扱いについて,概念の体制化(organization)と精緻化(elaboration)の観点から考察することを目的とした。特に,温度による体積変化の学習において用いられるアナロジーの教科書における問題点を指摘し,モデルやアナロジーの使用の際の制約の必要性について検証したものである。それらのことから,教科書や教師の説明手段として使用されるモデルやアナロジーのベースとなる領域が,子どもにとってどの程度のなじみがあるのかを検証することや,子どもが理科授業内に持ち込むモデルやアナロジーの起源を整理することで,子どもにモデルやアナロジーを用いて説明させることが可能であるかどうかを検討することの重要性について提言していった。
著者
三崎 隆
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.102-107, 1993-06-10 (Released:2017-06-30)

In this study, the relationship between cognitive development and strata observation is discussed. The author investigated the cognitive development using GALT and observation skills using photographs of strata on 295 students. It is sure that, strata observation are influenced by cognitive development. The influence is shown as changes into a qualitative, quantitative, and classifiable observations from a simple observation, according to developing of their cognitive abilities.