著者
布施 光代
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.271-279, 2002-12-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
25

This study examined the development of the concept of animals in childhood under the following experiments. In experiment 1 subjects were told to choose animal cards from twelve picture cards showing animals, plants, or inanimate objects. The results showed that first graders of elementary school did not have a clear concept of animals, while third and fifth graders have formed a clearer concept of animals. However, the third and fifth graders did not include humans in the concept of animals. It was also suggested that even adults still maintain naive concepts of animals that exclude worms and bees. Experiment 2 examined the development of the concept of animals based on the content of the explanations and examples of animals that children offered. The results showed that children tended to think that only mammal-like creatures were animals.
著者
藤谷 哲 峯村 恒平
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.91-96, 2019-03-16 (Released:2019-03-13)
参考文献数
5

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)にみられるような特筆すべき中等教育のためには,人材育成や教員養成においてどのような専門性や教員意識が重要かを考察するため,全国のSSHに指定されている高等学校で働く先生方を対象として,どのような専門性を持った教員が,どのような役割意識をいだいて勤務されているのかを探ることを目的とした調査を行った.
著者
川端 康正 森田 直之 中安 雅美 中込 秀樹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.45-50, 2016

人工知能やオートメーション化の発達が予想される将来社会を考慮すると、アクティブ・ラーニングの教育効果の重要性は工業高校でも高いと考えられる。しかしながら、授業への参加意欲があまりみられない偏差値下位の工業高校生徒に関して、アクティブ・ラーニングの導入障壁は高いことがうかがえた。本研究では、授業環境に対する調査を行い、アクティブ・ラーニング導入条件や講義内容の改善について検討をおこなった。調査から、生徒の生活習慣の質は低く、授業への集中よりも睡眠欲が勝ることが示唆された。また、アクティブ・ラーニングの知名度はほとんど皆無に等しかった。従来の講義のみでは生徒の学ぶ意欲を呼び起こすことは難しいが、総合的な考察から、各種の試みのひとつとして、生徒の関心に沿った形でアクティブ・ラーニングの段階的導入によって生徒の意欲も段階的に高めていくことは絶望的ではないことが示唆された。
著者
比嘉 俊
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.446-453, 2018

<p>This article aims to analyze the Okinawa Prefectural Entrance Examination administered by the Okinawa Prefectural Board of Education and shows results focused on considering academic ability. In comparison, the National School Achievement Test was also analyzed in a similar way. The National School Achievement Test is similar to PISA (Program for International Student Assessment), and consequently tends to ask questions requiring applied ability. On the other hand, in the Entrance Examination, students are expected to use their memorization skills for answering questions. There are significant differences in the frame of questions between the Entrance Examination and the National School Achievement Test. Additionally there are also differences in the question format. There are also great differences between the trends in the Entrance Exam questions. Another feature of the Entrance Examination is that there are no questions on "consideration/improvement". It had a question asking students to demonstrate their plotting skills from earthquake records. Learners and teachers are much influenced by trends in entrance examinations. The analysis of academic ability should lead to an improvement of learning and teaching. Teachers can utilize the results of the analysis for making the questions for the Okinawa Prefectural Entrance Examinations from now on.</p>
著者
森田 直之 簗瀬 立史 星 輝彦 林 克征 浅見 大治 川端 康正 中込 秀樹 早川 信一 金田 裕治
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.300-301, 2015

<p>東京都立多摩科学技術高等学校(以下、本校)は、平成22 年に開校した東京都でも比較的新しい高校で、平成24 年に文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定され、3 年が経過した。この間、本校で課題となったのは倫理教育の在り方についてであった。本校では、SSH 指定科目である「科学技術と人間」という科目で「技術者倫理」という単元を用意し授業を展開してきたが、生徒へのメッセージ性は不十分というのが我々教員の印象であった。そこで、生徒たちに考えさせることを主軸においた教育活動の実践として、未来の科学技術を多く取り上げたウルトラセブンを題材に倫理教育を行なうプロジェクトチームを立ち上げた。本研究では、我々の教育実践と教育効果の考察について報告する。</p>
著者
小林 辰至 永益 泰彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.185-193, 2006-09-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
8
被引用文献数
8

Since scientific research begins with the setting of hypotheses, students at teachers colleges must to design hypotheses learn during teacher training. However, no effective generalized instruction methods for hypothesis setting have been developed. In fact, no such instruction has ever been carried out. In this study, we investigated the actual involvement of elementary school teacher candidates in inquiry into natural science and related fields in their elementary, junior and senior high school days. At the same time, we developed a method to design a hypothesis based on the technique of the "four question strategy" in order to practice this method using these teacher candidates, and demonstrated the following findings: (1) With the advancement from elementary and junior high school to senior high school, the percentage of elementary school teacher candidates who liked the subject of natural science tended to decline. In particular, during their senior high school days, half of such students disliked this subject. (2) The frequencies of observations and experiments tended to decrease, as seen in their low rate of liking for natural science when they advanced to higher schools. At high school, the frequencies of observations and experiments were only 20.3% even when both "high" and "somewhat high" were combined. This figure was extremely low compared with those of elementary and junior high schools, which is problematic. (3) The percentage of students who had gone through a series of the experiences of science learning was under 10%. (4) Two 60-minute sessions were conducted using the instruction method and worksheet developed through the "four question strategy." As a consequence, more than 90% of the students responded by saying "well understood," and "somewhat understood." From this outcome, we concluded that the newly proposed instruction method and worksheet were highly effective for the students to acquire a means to design hypotheses.
著者
石﨑 友規
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.23-28, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
12

本稿では,文献調査により,シュワブ,ブルーナー両者のナラティヴに関する議論を検討した。その結果,両者とも,探究の過程で生じる困難な状況を取り上げる重要性を主張していることが明らかになった。また,特にブルーナーは,探究を物語的に語る際,語り手は語ろうとする内容を解釈する必要があり,しかも,物語解釈では解釈学的循環が行われている点に留意することを主張していた。これらの主張は,探究過程の理解を指向した「探究のナラティヴ」を基盤とする教授方略を開発する視点の一つになり得る。
著者
杜 威
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.77-81, 2011 (Released:2018-04-07)
参考文献数
12

21 世紀入りにともない,中国の学校教育はエーリト教育から大衆教育へと大きく変わろうとしている。2005 年から 2009 年までの 4 年間,高等学校への入学率は約 5 割から約 8 割に急上昇した。新しい数学教育課程は,小中学校の場合,「すべての者が価値のある数学を学ぶ,すべての者が必需の数学を獲得できる,それぞれの者が数学においてそれなりの発展を達成できる」(全日制義務教育数学課程標準,2001)という理念の下で制定・実施されており,高等学校の場合,「数学科が後期中等教育で実施される主な教科の 1 つであり,数学の最も基本的な内容を網羅すべき,国民の素質を培う最も基礎的な教育課程である」(普通高中数学課程標準,2003)という考えの下で制定・実施されている。本稿はこの新課程に準拠する教科書の特徴や内容の扱い方などの一部分に焦点をあてたものである。
著者
紺家 裕子 椎尾 一郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.179-182, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)

映像,演劇などの作品における聴覚障害者向けバリアフリー対応として字幕の付与がある.しかし,演劇等ではほとんど付与されていない.また,演劇鑑賞においては,皆が集まって観劇するため楽しみ方はほかの観客の反応にも大きく影響される.私たちは,演劇における字幕付与方法および観客の反応を表示する仕組みを提案して実装,演劇公演にて利用した.
著者
松浦 正史
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.115-116, 1995

普通技術教育の必要性について清原の考え方を現代や近未来の社会に適合させ,さらに,人間生活や生徒の人間発達の機能的な側面からの重要性等を示した.高度な技術社会の維持には国民の高度な技術的水準の必要から,高等学校における普通技術教育を提唱した.
著者
熊野 善介 国宗 進 唐木 清志 二宮 裕之 萱野 貴広
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.5-11, 2007
参考文献数
16

3年間静岡理科教育研究会はFirstClassを導入し、e-learningベースの現職教員研修・教員養成教育システムの構築と問題点と課題を明らかにしてきた。その一環として北米における理数科現職教育のためのe-learningシステム利用の現状と課題について、理数科教育から多少幅を広げて、どのような動向が見られるかを探ってきた。その結果、Webを利用した学習の理論的な枠組みとして、構成主義者の立場を中心とした自己増殖型のフリーウェイ系のe-learningソフトが2000年後、幾何級数的に利用者が拡大していることを発見した。次世代の主体的な理数科教師のための授業の質を向上させるためのウェブベースのコンテンツとシステムの構築はわが国においても急務である。
著者
内ノ倉 真吾 石崎 友規 齊藤 智樹 Rahma Suwarma Irma 今村 哲史 熊野 善介 長洲 南海男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.87-92, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
23

現在アメリカでは、科学、技術、工学、数学(Science, Technology, Engineering, Mathematics;STEM)の教育が推進されている。アメリカでの訪問調査と関連文献と Web 公開資料の分析に基づいて、STEM 教育の推進に関わる主体の具体的な活動事例と相互の関係を把握した。そこでは、州政府、教師教育団体、大学、K-12 教育段階の諸学校が、連邦政府の財政的な支援を基盤として、相互に協力・連携して、子どもの STEM 系教科の学力および興味・関心の向上と教師の職能開発の促進を目指した STEM 教育の推進活動が行われていた。
著者
杉本 ひとみ 隅田 学 V マンザーノ 稲垣 成哲 中山 迅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.13-16, 2001
参考文献数
10

本研究では, フィリピンにおける小学5年生と中学2年生を対象として, 描画法を用い科学者の絵を描かせることで, 彼らがどのようなサイエンス・イメージを持っているのかを検討した。その結果, 次のような特徴が見られた。 (1)白衣を着た科学者像はあまり多くなかった。 (2)女性科学者像が多く, 特に女子児童・生徒によって多く描かれた。 (3)科学者の研究分野像は, 小学校では生物分野, 中学校では化学分野が多かった。 (4)科学者が研究に使っている器具については, 試験管とパソコンをイメージする児童・生徒の割合が高かった。
著者
吉田 安規良
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.111-116, 2018

<p>天球儀を外側から直接観察しつつ地球から見た天体の動きも観察できるようにウェアラブルカメラを組み込んだ透視天球儀と市販の非透視型天球儀を用いて,教員免許状更新講習を実施した.受講者は天球儀の操作法を時間内に習得できた.多くの受講者から,天球儀を教材・教具として使用するメリットとして,季節や月日,時刻と天体の位置との関係や天体の相互位置関係が確認できることや簡単に観察・観測できない地点の星空の様子を確認できることが,デメリットとして「視点移動の難しさ」や「操作説明の難しさ」がそれぞれ寄せられた.改造した透視天球儀は,視点を変換しながら天体の動きの理解を促すものだと評価された.一方,問題点として「準備の簡素化」と「カメラから得られた画像中の星や星座をわかりやすくする」が特に指摘された.</p>