著者
吉田 幹 奥田 剛 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.402-413, 2008-01-15
被引用文献数
20

ユビキタス環境におけるアプリケーションでは,ユーザの位置を同定したうえで,物理的,意味的に近傍に位置するオブジェクトを探索し,発見された情報やサービスを相互に連携させて高度なサービスを実現する枠組みが必要となる.本論文では,分散環境に散在する情報やサービスを連携させるプラットフォームシステムの1 つの実現形態として,P2P エージェントをモデルとしたPIAX を提案する.PIAX の特徴は,能動的に動作するエージェントに,オーバレイネットワークの持つ強力な情報探索機能を融合させることで,ユーザの地理的位置や情報の特性に基づくサービスの発見と連携をスケーラブルに実現するところにある.オーバレイネットワークについては,新しい機構を組み込むことができ,情報探索のニーズに応じて複数のオーバレイネットワークを切り替える機能を持つ.アプリケーション構築に関しては,エージェント呼び出し機構とエージェントどうしが相互に発見・連携するための簡便なAPI を提供することで,高度な分散エージェントシステムを高い開発効率で構築することができる.本論文では,PIAX のベースとなった概念と現状の設計,マルチオーバレイ,発見型メッセージング(discovery messaging)の機構,ならびに今後の課題について述べる.In the ubiquitous environment, applications must identify the user's current geographical location, discover objects which are located near the users both physically and semantically, and combine the discovered objects to realize highly intelligent services. In this study, we propose a new P2P-based agent platform called 'PIAX', to realize such services. PIAX achieves scalable discovery and automatic cooperation of distributed services by the combination of active agents and resource discovery function of the overlay network. Especially about overlay networks, PIAX can plug in a new overlay network mechanism and has a functionality which changes multiple overlay networks according to the need of applications. Moreover, PIAX provides simple and strong discovery-messaging API for efficient development of applications. In this paper, the basic design and architecture of PIAX, the multi-overlay and the discovery-messaging mechanisms, the current status and future tasks are described.
著者
内田 達人 敷田 幹文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.31, pp.133-138, 2008-03-21

インフォーマルコミュニケーションの重要性は広く認識されているが,コミュニケーションの場の分散化によりその機会は減少している.この流れを受け,状況情報を用いたコミュニケーション支援が分散環境下において数多く行われており,その支援効果が確認されている.しかし,これらの支援方式はコミュニケーション全体を支援対象としているため,支援効果をあげることによりインフォーマルコミュニケーションの機会が減少しかねない問題を持つ.この問題に対して,本稿では2種類の状況情報を使用することにより,受信側がインフォーマルなメッセージを受け入れられるタイミングを算出しメッセージの通知を行う.これにより,ユーザ間にストレスを与えることなく,分散環境下におけるインフォーマルコミュニケーションの活性化を実現する.The importance of informal communications is widely recognized. However, the chance decreases because the communication space decentralized. There are a lot of communication supports that uses context information for this problem. And, the effect of those supports is confirmed. These supports target all communications. Therefore, the chance of informal communications might be decreased. In this paper, we use two kinds of context information to solve this problem. And, we calculate timing to be able to accept an informal message by using these contexts. This method notifies an informal message according to the timing. So, this method decreases the stress between users. And, this method activates informal communications of the distributed surrounding.
著者
中野 雄介 山登庸次 武本 充治 須永 宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.727-738, 2008-02-15
被引用文献数
3

近年,インターネットをはじめとする分散環境で,様々なコンポーネントを連携させ,サービスを提供する試みがさかんになっている.これにともない,ネットワーク上でのコンポーネントの提供が増えている.しかし,このようなコンポーネントの数は十分とはいえず,連携サービスの作成者が意図したサービスを自由に作れるほどコンポーネントはそろっていない.そこで,Web アプリケーションが生成するHTML ドキュメントの中から,Web アプリケーションの処理結果の部分を抽出する手法を,Web アプリケーションのWeb サービス化のためのラッパ生成に応用することを提案する.本手法はHTML ドキュメント内の各タグのネストの回数(深度)の変化に規則的なパターンがある部分を結果部分として抽出する.本手法を評価するための評価プログラムを実装し,既存のWeb アプリケーションが生成するHTML ドキュメントから,結果部分の抽出を試みた.100 ドキュメント中76 ドキュメントから結果部分を抽出することに成功した.加えて,本提案はラッパ作成者に対して十分なユーザビリティを提供できることを確認した.This paper proposes a novel method to create Web Services by transforming existing Web applications in the Internet or enterprise networks. Recent technical trends in service coordination using various kinds of components in distributed service execution environments necessitate the provision of elemental service components, which typically take the form of Web Services. However, the number of Web Services is still small although that of Web applications is enormous, and so there should be a method that makes good use of such Web applications. Our approach is to convert HTML documents a Web application creates into a Web Service interface by extracting the operational result parts of the Web application. In this method, the depth of HTML tags, i.e., the number of nests of a given HTML document is analyzed to identify a regular patter and extract this part as an output. Through the evaluation of the wrapper system including this method, it is shown that correct result segments can be extracted from 76% of documents among a hundred. Also, it is clarified that this method has good usability for wrapper creators.
著者
矢野 裕章 中西 正樹 三輪 忍 中條 拓伯
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.181, pp.75-80, 2009-01-06

現在,東京農工大学共生科学技術研究院を中心に共生情報工学プロジェクトが推進されている.今後のマルチコアプロセッサや組み込み機器で構成される並列/分散ネットワーク環境において、仮想マシンを構築することで汎用的な計算環境を実現することを目的とする.その大規模分散環境において,利用するプロセッサの台数の増加にしたがって性能を向上させるための組み込み仮想プロセッサの概念を提案する.そして,その実験評価システムについて示し,実装の方向性について述べる.
著者
松木 隆宏 松岡 正明 寺田 真敏 鬼頭哲郎 仲小路 博史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.71, pp.323-328, 2008-07-17
被引用文献数
1

近年,P2P ファイル交換ソフトウェア環境を悪用したマルウェアなどにより,個人あるいは組織の機密情報が流出する事象が続発し,社会へ悪影響を与えている.本稿では,P2P ファイル交換ソフトウェア環境において,マルウェアによる感染ノードの活動や利用者の誤った操作によって,ノードから機密情報が流出する問題に対し,意図しないファイルの流出を検出した場合にホストが送信するパケットに符号を付与し,不正な活動をしていることを近傍ネットワークに広報する機能を提案する.また,提案方式を実装したプロトタイプシステムについて報告する.Recently, there are many problems regarding the P2P file exchange environment on the Internet. The need to reconsider the current P2P file exchange environment for information leak. In this paper, we propose notification function of illegal activities of host. That is a part of the Information part of Sharing Architecture for P2P File Exchange Environment we showed. And we show prototype system.
著者
吉川 慎一 植松 利晃 坂内 悟
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.95, pp.23-30, 2008-09-19
被引用文献数
2

二次情報を用いた文献検索システムは,膨大な文献データから特定の文献を探し出す目的で利用されている。探し出した文献の一次情報 (全文) を入手する方法として,従来は文献を所蔵している図書館へ出向く,複写サービスを利用する等が行われていたが,デジタルアーカイブ化が進むことにより,二次情報からの全文リンクを使用して一次情報を直接表示,入手することが可能になってきている。本発表では,全般的な動向と JST が提供する JDreamⅡ での全文リンクインタフェースの変更による利用状況の変化について調査し,報告する。Article search system using secondary information is used with the aim of finding a specific article among enormous article data. Ways to acquire a primary information (full text) previously were going to the library that holds the article or using photocopy service, etc. However recent development of digital archive has made it possible to display and download the primary information from links from the secondary information. This presentation reports a general trend of the above change and, how have access and usage of article search system (JDreamll provided by JST) changed due to a change of interface with links to primary information.
著者
石畑 清
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.539-545, 2003-05-15
被引用文献数
1

今回は,2002年11月,金沢大会の問題G「True Liars」を取り上げる(問題はhttp://www.kitnet.jp/icpc/参照).孤島に嘘つき人間と正直人間が住んでいる.見かけからは各人がどちらに属するか分からない.いくつかの質問をして,それに対する返答から,誰が正直で誰が嘘つきかを明らかにするという趣旨である.論理パズルによく見る設定だが,プログラミングの問題としてもなかなか面白い.
著者
斎藤 哲也 広田 健一 星野 准一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.14, pp.139-144, 2008-02-19
被引用文献数
1

ゲームなどキャラクタを用いたコンテンツにおいて,発話は重要な行動表現の1つである.しかし従来のユーザ対キャラクタやキャラクタ同士の対話は,作りこみによるものが多く,話題が少ないと会話が固定的なものとなり,同じ内容の話題が繰り返し出現してしまう問題がある.そこで本稿では,会話に利用する話題を豊富にする手法として,Web上でRSSとして配信されている実世界情報の1つであるニュースや天気予報などの情報を利用する方法を提案する.また,会話内容に関連する話題を会話に付加させることでバリエーションの多い,自然な流れのあるユーザとキャラクタ間や,キャラクタ同士の世間話を構成する.The conversation and the chat of the user and the character or between characters are very important factors for various contents. The user comes to often see the conversation of characters on the game space. However, the utterances of past contents are limited because they're made beforehand. Therefore, there is sooner or later a problem that the same topic appears repeatedly. In this paper, we propose the Utterance model between characters by using Web information. This model uses News and Weather forecasts to enrich the utterance topics as real world information from the Internet. And it generates utterance automatically. The flow of a natural conversation between user and characters or between characters can be generated continuously with the topics about conversation flow. At the end of paper, we show natural utterance between characters by using this model.
著者
橋本 正樹 藤澤 一樹 宮本 久仁男 金 美羅 辻 秀典 田中 英彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.71, pp.393-400, 2007-07-20
参考文献数
16
被引用文献数
1

分散システムは、単一システムと比較して経済性、速度、冗長性、拡張性、柔軟性といった面で優れているため、その実現に向けて従来より多くの研究が行われてきた。しかしながら、それらの諸研究における実装の多くはミドルウェアやアプリケーションのような上位層で実現されているために権限管理の粒度が粗くなり、システム全体に対する適切な安全性確保を困難にしている。このため本研究では、ディペンダブルな分散システムの構築を目的としたシステムソフトウェアによる細粒度の権限管理方式を検討する。また、その実装としてCapabilityを利用した手法について検討する。This paper describes the use of operating system for the realization of distributed secure computing infrastructure. In particular, it describes a few resource management schemes for distributed environment, addressing the fine-grained protection and the principle of least privilege. These are compared each other in terms of the features they offer in the context of secure computing: Reference monitor concept, secure channel, authorization and naming. Finally, we suggest a prototype of our system and the future plan.
著者
馬渕 充啓 新城 靖 大木 薫 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.44, pp.9-16, 2006-05-12
被引用文献数
1

ACL(Access Control List)に基づくアクセス制御には、2つの問題がある。1つ目は、一時的にアクセス権を与えたい時にシステム管理者の負担が大きくなるという問題である。2つ目は、必ずユーザ認証をともなうので、異なるユーザ認証のドメインに属するユーザ間で協調作業を行うことが難しいという問題である。本論文は、スケジュール管理アプリケーションを題材として、アクセス制御の方式としてケーパビリティに基づく方式を導入することで、これらの問題点を解決する方法について述べている。その特徴は、権限が低いケーパビリティを実現するために、スタッカブル・オブジェクトを用いている点にある。スケジュール管理アプリケーションは、XML Webサービスのサーバとクライアントにより実装される。A access control based on Access Control List (ACL) has two problems. First, the effort of a system administrator becomes large when we allow a user to temporary access an object. Second, since this access control requires user authentication, it is hard for users in different user authentication domains to work together. To solve these problems, this paper introduces capabilities-based access control to a schedule management application as an example. Stackable objects are used to realize lesser capabilities. The schedule management application consists of servers and clients of XML Web Services.
著者
新城 靖 阿部 聡 板野 肯三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.63, pp.15-22, 2004-06-17
被引用文献数
2

この論文は、XML Web サービスのための大域的ファイル・サービスを提案している。このファイル・サービスでは、データはケーパビリティによりアクセス可能である。ケーパビリティはデータへの参照として働くので、ケーパビリティの利用は XML Web におけるデータの表現力を高める。大域的ファイル・サービスは、既存のケーパビリティを元に、それより弱いケーパビリティを作成する機能を提供する。この機能は、悪意があるプログラムである可能性がある遠隔のコンポーネントによる予期しないアクセスを防ぐ。この論文は、大域的ファイル・サービスの実現の1つとして、コールバック・ファイル・サーバについて述べている。このファイル・サーバを利用することにより、XML Web サービスのサーバは、従来のローカル・プログラムとより簡単に連携させることができる。This paper proposes a global file service for XML Web Services. In this file service, data can be accessed with capabilities. Since capabilities act as refrences to data, using capabilities enriches the power of data expression in XML Web Services. The global file service provides a facility to produce a weaken capability based on an existing capability. This facility prevents unexpected access by remote components that can be malicious programs. This paper describes the call back file server that implements the global file service. By using the server, the servers of XML Web Services can work together with conventional local programs more easily.
著者
佐藤一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.556-569, 2005-02-15
被引用文献数
1

複合ドキュメントを実現するコンポーネントフレームワークを設計・実装する.これはテキストや画像などの多様なコンテンツを実現するコンポーネントとその合成によって高次なドキュメントを実現するものである.従来の複合ドキュメントと同様にコンポーネントの合成やシームレスなコンテンツ表示・編集能力を提供するとともに,このフレームワークでは各コンポーネントがコンテンツに相当するデータ部分に加えて,そのコンテンツを表示・編集するプログラム部分も内蔵できるという自己完備性を導入する.さらにモバイルエージェント技術を利用することにより,コンポーネントにコンピュータ間移動性を与える.これによりネットワークを自律的に移動しながら情報配信を行うドキュメントが実現できるようになる.本論文ではこのフレームワークの概要を述べるとともに,Java言語を用いた設計・実装について概説し,さらに応用事例を示す.This paper presents a new framework for building mobile compound documents in distributed system, where a compound document to be dynamically and nestedly composed of software components corresponding to various contents, e.g., text and image. The framework enables each component to migrate over a network under its own control by using mobile agent technology and be are self-contained in the sense that they include not only their contents but also their programs for viewing and editing the contents. It also provides several value-added mechanisms for visually manipulating components embedded in a compound document and for seamlessly combining multiple visible components into a single one. Therefore, we can easily create and operate autonomous documents, which can change their contents and distribute themselves over a distributed system. This paper describes this framework and its implementation, currently using Java as the implementation language as well as a component development language, and then illustrates several interesting applications to demonstrate the utility and flexibility of this framework.
著者
矢野 雅之 勝間 大輔 清水 大輔 渡邊 睦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.25, pp.321-326, 2006-03-17

画像認識を行う際、まず領域分割を行って認識対象の候補となる領域を設定することが行われる。しかし、領域数は一般に未知であり、又、明度/色相値の類似性のみで領域を生成した場合には影や模様の影響により適切に設定できないという問題がある。そこで本稿では、明度による自動領域分割に対してDFT処理した領域をクラスタリングした分割結果を統合することにより、領域分割結果の精度向上を行う方式について提案する。屋内シーン、屋外シーンにおいて本手法の有効性を確認した。The first stage of object recognition is generally the region(description) creation to identify candidates of recognized objects by means of segmentation. However, several difficulties exist in the segmentation, such as, unknown region number and miss-segmentation due to shadows or irregular texture patterns. We propose a unified method of both intensity-based segmentation result and texture-based one to improve the accuracy. The texture-based segmentation is executed by clustering DFT outputs. Experimental result have shown the effectiveness of the proposed method.
著者
勝間 大輔 清水 大輔 渡邊 睦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.93, pp.241-248, 2006-09-09

室内に存在する物体の種別・位置姿勢を2次元画像認識により求める際,複数物体の重なり・遮蔽や影などの影響によるコントラスト低下が生じた部分の特徴抽出が失敗し,正しく認識が行われないという問題がある.本論文では,認識対象個々の形状・属性情報を記述した物体モデルに加え,物体相互の位置関係,および人間動作との干渉関係を記述した『関係モデル』を適用することにより,上記の問題に対処する手法を提案する.撮影したシーンからまずエッジを抽出・ラスタベクトル変換・補完した後,連結性解析により閉面領域抽出を行う.次に物体モデルと照合することによりまず閉面単位のスコアを計算した後,隣接する閉面単位スコアを統合した統合スコアを求め,認識対象物体の候補を抽出する.ここで関係モデルを適用することにより,認識対象侯補完の位置関係の整合性を検証し,矛盾の無い閉面領域の組み合わせを認識対象物体領域として得る.最後に物体同士の位置関係や人間動作との干渉関係を用いることにより,未認識領域に対する解釈当て嵌めを行う.現在実装しているのは認識対象物体の候補抽出部分までであり,室内環境シーンを対象とした実験結果について述べる.2D Object recognition system tends to fail when detected features are vastly lost caused by overlapping of multiple objects, occlusion and decline in contrast This paper proposes a method to manage the incomplete feature detection problem by applying a "relation model" in addition to the conventional object model. First, detection of edge segments, raster-to-vector transformation and supplementation of edge segments are executed and closed region-based descriptions are created. Next, candidates of recognized objects are extracted by calculating the scores of each closed region based on matching with the object model, and unified scores are calculated by unifying the closed region scores in the neighborhood. Then, the consistency among recognized object candidates are examined by applying the relation model, and combinations of closed region are selected as recognized object regions. Finally recognition of unknown regions is executed by applying the relations among object positions and the relations between objects and human motion. Experimental results in indoor scenes by the implemented system are shown
著者
勝間田 仁 上原 俊樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.60, pp.19-24, 2006-05-31

本研究では,親疎関係を用いた実空間アウェアネス支援システムの提案を行う.グループ活動を行う場は,定期的,非定期的に利用される.このように利用される実空間のアウェアネス情報を共有する仕組みとして,大学の研究室をモデルとして3D仮想研究室を構築し,グループメンバが持つ人やモノに対する親疎関係を色彩により表現して提示するシステムを開発している.本システムは,非同期的に共有空間を利用するユーザに対して空間の痕跡を知らせることで,コミュニケーションの促進を支援することを目的としている.本論では,現在開発中のシステムの構想と基本機能の動作実験の検証について報告する.This research proposes real space oriented awareness support system using interpersonal relation. In the group activity, users visit the workspace periodically or nonperiodically. Therefore, the user lacks the awareness information to communicate with other users in group in real environment. In this research, we develop 3D virtual laboratory which provide users interpersonal relation with color visualization. This system aims at showing real environment traces for user to visit the workspace asynchronously. In this paper, we report the design of this system and the verification of preliminary experiment.
著者
桃崎浩平 原 義幸 正井 康之 松浦 博 新田 恒雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.16, pp.21-26, 1997-02-07

パーソナルコンピュータの高速化とオーディオチップの標準搭載により,音声合成・認識機能がソフトウェアだけで実現できるようになった.これにともなって,音声を利用したアプリケーションソフトウェアが容易に開発できるような環境が整いつつある.本文では,標準APIの一つである米マイクロソフト社のSAPIを中心に紹介するとともに,OCXを用いる応用ソフトウェア開発について解説する.Contemporary PCs provide sufficient computer power to accommodate Text-to-Speech(TTS) and Speech Recognition(SR) with no additional hardware. On the other hand, the environment for developing speech application software still remains in a big issue. In this paper, we first explain the Microsoft Speech API, as one of the standard APIs for speech technologies, and then present some examples of applocation software using SAPI and speech OCX.