著者
森住 哲也 木下 宏揚 寺谷 葉津希 永瀬 宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.27, pp.1-8, 2006-03-16
被引用文献数
7

介護医療の情報処理をシステム化する時,個人情報の漏えいや競合するコミュニティ間の情報漏えいが問題になる.対策としてアクセス制御技術を使う場合,アクセス行列では許可されていないはずの情報の内容が伝播するCovert Channelを分析制御する事が重要である.なぜなら,介護・医療と言う社会システムは,機能分化する社会システムの競合的,連携的な環境の中で個人情報が使われるからであり,かつまた個人情報は決して情報漏えいや改ざんされてはならないからである.本稿ではこの問題解決のためにCommunity Based Access Control Modelを適用する事を試み,問題解決の1つの提案とする.When the processing of information on the nursing medical treatment is systematized, information leakage between communities that compete becomes a problem. Moreover, the leakage of individual information becomes a problem further, too. Therefore, the access control is used as these measures. However, it is necessary to analyze the spread of the content of information, which is not permitted by the access procession, and to control. Because individual information is used in the environment that the social system of nursing and medical treatment, into which the function differentiates operates competing and jointly. Individual information that the social system manages moreover, because of not being falsified the information leakage at all. This paper describes to apply Community Based Access Control Model for this problem solving in this text, and assumes the proposal of one of the problem solving.
著者
平田 陽一 松倉 健志 田島 敬史 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.69, pp.137-144, 2000-07-26
被引用文献数
5

従来のWeb検索における適合フィードバックでは,ユーザがサンプルページの内容を見て評価し,その評価をもとに再検索または検索結果の再構成を行なう.その際,ページの評価は「良い」または「悪い」の2種類であった.そのため,従来の適合フィードバックの手法は,「良い」と評価されたページに類似したページを獲得するのには有効だが,ユーザの要求が「この話題についてのより詳しいページが欲しい」などのように複雑になると,十分にユーザの意図を汲み取ることが難しく,うまく機能しないことがあった.そこで,本研究では,単に「良い」または「悪い」の二元論的な評価に基づいて,サンプルページに類似するページを集めるのではなくて,サンプルページと実際に欲しいページの違いを評価として与えることによって,そのような差異を持つページを探してくれるような,意味的な適合フィードバック機構を提案する.ページ間の差異としては,各ページ中の単語数や,お互いのページ内の単語の共起度を用いて,ページ間の情報量や話題の広がりの相対的な差を測定する.In conventional relevance feedback for Web query systems, the user evaluates some sample pages, and then based on that evaluation, the original query is revised, or the query results are reorganized. In that evaluation, sample pages are classified as good or bad. This approach is effective to find pages similar to the pages evaluated as good. In some cases, however, the users want to specify their requirements more specifically, such as, "I want pages discussing this topic in more detail." In the usual relevance feedback, the users cannot express such requirements in the evaluation. In this paper, we propose a framework where the users can express such requirements, which we call semantic relevance feedback. In our framework, the users specify the difference between a sample page and pages they want. We estimate the difference between pages based on the amount of information and the extent of the topic in each page. We measure the former by the number of word occurrences, and measure the latter by the ratio of cooccurrence of words in pages.
著者
石田 真也 永原隆嗣 小西良往
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.99-104, 1979-03-15

本論文では 鉄道における乗車券発行システムに関連して開発された漢字パターンデータ圧縮方式について述べている.本圧縮方式の特徴は (1)漢字自身をあらかじめ圧縮に都合の良いようにいくつかの種類の基本図形-直線 長方形 平行四辺形 四辺形-のみで構成したこと (2)各基本図形の位置 大きさ等を2次元ベクトルの系列として表わし 各ベクトルをその出現頻度を考慮し 可変長符号を用いて効率的に符号化したこと などである.本圧縮方式を定期乗車券発着駅名用漢字(32×32ドット)に適用した結果 平均約1/3.2の圧縮率を得た.
著者
山守 一徳 海野祐史 河合 敦夫 椎野 努
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.2928-2938, 2002-09-15
被引用文献数
4

駅の切符売り場や列車の扉の上などで見かける鉄道の路線図は,等縮尺の地図上の線路図形と比べて大きな変形が施されている.駅間の繋がりを表す位相構造は維持したままでそのような大きな変形を施した路線図をデフォルメ路線図と呼ぶ.我々は,縦方向に圧縮されたデフォルメ路線図をインタラクティブ生成するシステムを開発した.本システムで用いた手法は,各線分を反復並列的にゆっくりと移動させることによって,変形前の位置にできるだけ近い形で変形を行うものである.ユーザは望む結果を得るまで,線分の向きを指示し結果を修正することができる.最後にできるだけ小さな領域内に路線図が収まるように駅名の再配置を行う.実験より,本システムは,縦方向に十分圧縮された満足のいく結果が生成できることが分かった.Railway maps as seen on the ticket counter at the station or above the door of the train are largely transformed in comparison with the maps with equal reduced scale.And they are largely transformed maintaining the topological structure which represents relation among the stations.We call such type of maps ``deformed railway maps''.We have developed an interactive generation system of deformed railway maps which are compressed vertically.The method used here transforms all edge segment in parallel and iteratively,and the transformed shape becomes as close to the original one as possible.Users can repair the result by specifing edge directions until the comfortable results are obtained.Finally, station names are relocated to make the map as small as possible.In experiments,it was shown that this system can generate the comfortable result which is optimally compressed along vertical direction.
著者
竹井 将紫 中村 俊介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.105-107, 2007-05-11

本稿では,身体の動きを音楽と映像に変える『神楽-KaGuRa-』を応用した合奏システムを提案する.コンセプトは「ヒトとヒトとの協調性」であり,以下3つの小テーマを持 つものである.(1)体験者同士が互いの存在を直接的に意識できること(2)体験者同士が協調しながら身体を動かすことで音楽が生成されること(3)体験者同士の掛け 合いがコンテンツ内容の展開に反映されることThis paper reports the ensemble system that applies "KaGuRa" that changes a motion of the body into audio and visual. The concept is "The player's cooperation", and the one with three small themes hereafter. (1) The player should be able to consider existence each other immediately mutually. (2) Music must be generated with the movement of the player of his body mutually cooperating. (3) Player's negotiation must be reflected in progressing of content.
著者
河野英太郎 新谷 和司 前田 香織
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.80, pp.33-38, 2001-07-27
被引用文献数
3

家電機器のネットワーク化により,より多くの機器の遠隔制御・監視が可能になりつつある.筆者らも家電機器を対象とする遠隔機器制御プロトコルRACP(RemoteAppliance Control Protocol)を提案している.本稿では,多くの家電機器に採用されている赤外線リモコンの遠隔制御にRACPを適用して,多くの一般家電を遠隔制御するシステムについて述べる.まず,システムの設計とプロトタイプシステムの実装について述べ,次に処理のオーバヘッドに関する評価と操作性についての評価について述べる.また,本稿で用いたシステムと,家電機器のより新しいネットワーク方式である,Bluetooth,IEEE1394やUSBとの併用についても言及する.Recently, more and more home appliance can be controled and monitored remotely through networks like the Internet. We proposed a protocol, RACP (Remote Appliance Control Protocol) to control remote home appliances through the Internet. In this paper, we show an applications of RACP to control infrared remote controllers and its implementation using Java. Also, we show its evaluation from the viewpoint of protocol overhead and user-friendliness. Last, we mention the combination of our protocol and the other remote control specifications like Bluetooth for wireless, IEEE 1394 and USB.
著者
藤井 信夫 後藤 義人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.423-427, 1992-04-15

本論文では 境界値問題(楕円形偏微分方程式と境界条件の組 ここではNeumann問題)の解の汎関数を評価関数とする最適化問題(領域最適化問題 非線形数理計画問題の一)において有用な役割を演じるポテンシャル表現について考察しその利点と欠点を明らかにした最適化問題を扱う最初は必要条件を求めることであるが そのためには常道にしたがって評価関数の変分を求めなければならないところが この変分の計算に不可欠なのが境界値問題の解の(第1)変分である従来この変分を特徴づける墳界値問題の導出にはテイラー展開の方法が用いられてきたこの方法によると 解の変分について高階の導関数についての仮定を置かなければならない境界値問題がDirichlet問題である場合にはポテンシャル表現を使ってこの仮定を避けることができる境界値問題がNeumann問題の場合にもポテンシャル表現による方法がどこまで使えるか興味のあることであるそこで ポテンシャル表現からNeumannデータを得るための補題を使って解の(第1)変分の従う境界値問題の導き方および1次の必要条件の導き方の概略を説明したポテンシャル法によれば導関数についての仮定が緩やかなものですむついで 境界値問題が定義されている空間の次元が3以上の場合にこの補題を証明したしかし趣がら 空間次元が2である つまり平面の場合には対応する命題が成り立たないことを示す反例を与えたこれらのことよりポテルシャル法の有用な点と限界を明らかにすることができた
著者
梅尾 寛之 水頭 一壽 武田 瑛 加藤 真平 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.22, pp.55-60, 2009-02-26

リアルタイム処理用プロセッサ Responsive Multithreaded Processor は,スレッド数が 8 スレッド以内であればコンテキストスイッチを行わずに優先度順に同時実行可能な RMT 実行機構を持つ.しかしながら,9 スレッド以上を実行する場合,ソフトウェアスケジューラによってコンテキストスイッチを行わなければならない.また周期タスクのリリースの為にはソフトウェアスケジューラを定期的に呼び出し,リリース時間をチェックしなければならない.本論文では,RMT Processor を対象としたハードウェアによるスレッドスケジューリング機構の設計と実装について述べる.本スレッドスケジューリング機構では,RMT Processor のプロセッシングコアである RMT PUが全スレッドの周期を保持し,周期スレッドをハードウェアで起床させる.更に,コンテキストキャッシュ内のスレッドと実行スレッドを比較し,ハードウェアでコンテキストスイッチを行う.本スレッドスケジューリング機構によってソフトウェアによるスケジューリングを不要とし,スケジューリングオーバヘットを大幅に削減するResponsive Multithreaded Processor for real-time processing can execute eight threads simultaneously in priority order without context switching. When over nine threads are executed, context switching is required. A real-time scheduler should be called periodically and release times of all tasks are checked. This paper proposes thread scheduling scheme for RMT Processor. RMT PU, which is processing core of RMT processor, holds the periods of all threads and starts threads by hardware without periodic calls of the scheduler. In addition, threads in context cache are compared with threads in execution, and context switching will be realized by hardware. Our thread scheduling scheme reduces scheduling overheads so that traditional software scheduling can be unnecessary.
著者
高橋 秀彰 桧垣 博章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.14, pp.363-368, 2006-02-17

モバイルアドホックネットワークにおけるオンデマンドルーティングプロトコルでは、送信元移動コンピュータから送信先移動コンピュータまで経路探索要求メッセージRreqを配送することが必要である。多くのルーティングプロトコルにおいて、フラッディングによる実現がなされている。これに対して、各移動コンピュータが隣接移動コンピュータの位置情報を用いることによってRreqのコピーを必要としないFACEプロトコルが提案されているが、検出される経路のホップ数が大きくなる問題がある。本論文では、FACEプロトコルを拡張し、各部分平面の辺に沿ってRreqのコピーを時計回り、反時計回りに配送することにより、より短時間に経路を検出し、Rreq配送経路に含まれる移動コンピュータのみで構成される最小ホップ数の経路を計算する拡張FACEプロトコルを提案する。評価実験の結果、FACEプロトコルに対して、Rreqの配送時間を約46%に短縮し、検出経路長を約29%に縮小することが明らかになった。拡張FACEプロトコルは、Rreqの配送にFACEプロトコルの約2倍の制御メッセージ数を要するものの、フラッディングと比較して十分に少ないメッセージ数で経路検出が可能である。In an on-demand routing protocol for mobile ad-hoc networks(MANETs), it is required for a route request message Rreq to transmit from a source mobile computer to a destination one. Here, flooding is widely used. In FACE protocol, no flooding is used and each mobile computer depends on location infomation of neighbour mobile computers to determine a mobile computer to which it forwards an Rreq.However, a hop count achieved by FACE protocol is much larger. In order to solve this problem, the authors propose an extended FACE protocol where copies of an Rreq are transmitted in clockwise and counterclockwise around each devided surface and a shorter transmission route is detected.In our simulation results, the proposed protocol detects 46% shorter routewith twice messaages of FACE protocol, however, the required messages are much less than flooding.
著者
登尾 啓史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1013-1021, 1992-08-15
被引用文献数
11

ロボットを知能化するための課題のひとつに 障害物を回避しながらゴールまで自律的に到達する機能を移動ロボットに持たせることがあるこれは洗練されたパスプランニングアルゴリズムを設計することで実現できる本稿では 未知空間 すなわち障害物の位置や形状が全く判らない作業空間において機能するパスプランニングアルゴリズムを設計するための十分条件を提案する移動ロボットは基本的にゴール方向へ直進するが もしそれが障害物によって妨げられたなら その周囲を時計回りか反時計回りに辿るそして ゴール方向に向って直進できるうえ ゴールへ単調に接近できるところから障害物を離れ 再びゴール方向へ直進するこれが移動ロボットを確実にゴールへ到達させる十分条件である障害物に妨げられない限り移動ロボットはゴール方向に向かって直進するので 障害物から離れるところが単調にゴールへ接近するなら 移動ロボットが衝突できる障害物やその周囲の領域も単調に減少し 最終的にそのようなものは作業空間には存在しなくなり移動ロボットはゴールへ到達するこの十分条件にもとづいたアルゴリズムを利用すると 障害物と接触しているかどうかというローカルな情報のみを頼りに移動ロボットは障害物を回避し確実にゴールへ到達できる
著者
岡田 直之 中村 順一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.259-270, 1994-03-15

機械処理に必要な文法データを初級英語を素材として作成する方法と、辞書データを概念間の関係を考察することにより作成する方法について解説する。最後に辞書作成の自動化についても紹介する。
著者
黒田 卓也 岩澤 博人 北 栄輔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.19, pp.169-172, 2009-02-26

進化的計算手法の一つに文法進化(GE)がある.Original GEの問題点を改善するために,3つの異なるスキームを用いた改良型GEが提案されている.本研究では,解析例において日経平均株価の予測問題にOriginal GEと改良型GEを適用する.解析結果より,スキーム1+2またはスキーム1+2+3を用いることで,改良型GEはOriginal GEよりも収束速度が改善することがわかった.Grammatical Evolution (GE) is one of evolutionary algorithms. Three schemes have been presented for improving the search performance of original GE. In this paper, the original GE and the dvanced GE are compared on the prediction problem of NIKKEI stock average. The results show that the advanced GE with scheme 1+2 or 1+2+3 overtakes the original GE.
著者
市野 順子 箕牧数成 山口 和泰 垣 智 東 郁雄 古田 重信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.28, pp.143-150, 2002-03-15

近年,様々な形式の電子文書が普及し,蓄積されている.しかし,それらの再利用や検索についてはあまり考慮されていない.本研究では,文書中の図表に着目し,様々な形式の電子文書から図表領域を特定し,図表に関連する様々な情報を網羅的に抽出することを目指す.本稿では図表領域及び,図表に関連するテキスト情報を抽出する手法について述べる.提案手法はルールベースを基本としている.11文書90図表を対象に抽出を行ったところ,図表領域の特定は,再現率97%,適合率80%,キャプション,本文図表説明文の抽出は,それぞれ3位適合率85%,3位適合率90%の結果を得た.Although electronic documents have come into wide use and a mass of data is stored, reuse or retrieval of these documents has not been considered much. In this study, focusing on the charts in documents, we attempt to specify chart areas and extract information about charts from electronic documents in various forms. In this paper, the method of extraction of chart areas and text information is examined. The algorithm is based on rules. An experiment in the validity of chart retrieval was made on 11 documents and 90 charts, and the results show: recall 97% and precision 80% in specifying chart areas; and precision (3-CUTOFF) 85% and 90% in extracting captions and chart explanations respectively.
著者
野田 真樹子 園部 博崇 高木 佐恵子 吉本 富士市
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.108, pp.9-14, 2001-11-15

現在,多くの画像検索システムがあるが,それらをモバイル環境で利用することは難しい.そこで,本稿では,モバイル環境で利用できる花の画像検索システムを提案する.提案システムは デジタルカメラで撮影した花の画像と,利用者が指定した簡単な特徴情報を,モバイル機器を用いて画像検索サーバに送信し,サーバで検索を行った結果をモバイル機器で確認するというシステムである.サーバでの検索の際には,利用者が指定した特徴と,デジタルカメラで撮影した花の画像から抽出した形状や,色の特徴を使用する.本システムで検索実験を行った結果,目的とする画像が検索結果の第1位から第3位に入ったものが約92%であり,その結果は満足できる時間内に取得できた.There are many image retrieval systems today. These systems, however, are difficult to use outdoors. In this paper, we propose an image retrieval system of flowers that can be used for mobile computing environment. In this system, we photograph a flower with a digital camera and specify some simple characteristics of flowers. Then we transmit the flower image and the characteristics to an image retrieval server with PDA and PHS. In the image retrieval server, images similar to the received image are retrieved. For the purpose of retrieving the images, we use the characteristics specified and characters of shape and color extracted from the images. The result of our experiment shows that the percentage of getting the objective image from the first to the third places was about 92%. The objective flower-data was obtained in satisfactory time.
著者
神山 剛 中山 雅哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.26, pp.251-255, 2006-03-17

DNS(Domain Name System)の名前解決という機能を利用することで、誰でもサービス提供元ホストを発見することができる。近年のインターネットには、誰でもが利用可能ではなく、個人や組織内などクローズドな利用目的でのサービスも多く存在する。このようなサービスは、無断利用だけでなく、発見されること自体も望ましくない。DNSの利用自体が元々オープンなものであるから、扱われる個別のリソース自体を守ろうとする仕組みはあまり議論されていない。本稿では、DNSで扱われる特定のリソースに対しての名前解決の際、許可されたユーザが権限証明書を提示することで、ユーザとそのアクセス権限を識別し、アクセス制御を行う仕組みを提案する。Using DNS Name Resolution, everyone can look up the host with desirable services. In modern Internet, there are many services not intended for everyone but only to limited users. It is undesirable for these services to be not only used but also looked up by unknown users. However, because DNS usage is unrestricted, protecting each resource explicitly is not well discussed. In this paper, we propose an access control mechanism for name resolution in DNS that identify user and access right by requiring Authorization Certificate to be shown.
著者
田村 善之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.89, pp.55-61, 2004-09-02

知的財産法は,物理的に1人の者しかなしえない有体物の利用行為に対して排他権を認める所有権と異なり,物理的には誰もがなしうる行為に対して人工的に禁止権を設定する法技術であるから,他者の行動の自由を制約する度合いが強い。ために,インセンティヴ論で積極的に基礎付けることのできる知的財産法による権利を,私人の行動の自由を過度に規制することのないように制限する工夫が設けられているのである。たとえば,業として遂行される実施に限り特許権が及ぶとされていたり(特許68条),私的複製には著作権が及ばないとされていること(→第2編第6章III2 1)(2))など。この場合,どの限度まで権利者の利益を優先し,どの程度,私人の自由を確保するのかといった問題を検討する際には,インセンティヴの付与と私人の自由という2つの価値のバランスを衡量しなければならず,さらに,その際にはある人が創作したものである以上,私人の自由がある程度拘束されることになっても仕方がないという考慮も働くであろう。その結果,たとえば,著作権によって複製行為はある程度拘束されるが,読書は完全に自由となる(→第2編第6章III1 4)(2)a))などの落ち着き先が見つけられることになる。本報告では;こうした観点からインターネット時代の著作権制度の将来像を考察することにしたい。
著者
宗森 純 堀切 一郎 長澤 庸二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.143-153, 1994-01-15
被引用文献数
28

ネットワークで結合された複数台の計算機による発想支援システム郡元(Groupware for new idea generation support system)を開発した。本システムは分散協調型KJ法と知的生産のためのカードシステムを計算機上で融合したものである。KJ法は川喜田二郎によって開発された(頭文字をとってKJ法)手法で、複数の人による発想法の体系的技術の一つである。分散協調型KJ法は複数の計算機上で行われる。参加者はテーマに添って意見を出し、それを類似性によっていくつかのグループに分け、そこから結諭を導き出す。本システムの特徴は、分散協調型KJ法の結果をカードシステムを模擬したデータベースに自動的に保存し、再利用できるようにしたことにある。本諭文では郡元を3台もしくは4台で行う分散協調型KJ法の学生実験に適用した緒果と紙面上で行ったKJ法の結果とを、意見の数、文字数、かかった時間などをパラメータとして比較して述ぺている。
著者
岡山 聖彦 山井 成良 河野 圭太
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1072-1080, 2008-03-15

現在最も普及している無線LAN の規格であるIEEE802.11a/b/g では,通信内容の漏洩やネットワークの不正利用を防ぐためにWEP(Wire Equivalent Privacy)やWPA(Wi-Fi Protected Access)が用いられている.しかし,これらとend-to-end の暗号化とを併用する場合には,無線区間が二重に暗号化されることになるため,通信効率が必要以上に低下するという問題がある.この問題点を解決するため,本論文はend-to-end 暗号化の有無に応じて,無線区間ではパケット全体の暗号化とパケット認証を切り替えることができるような手法を提案する.end-to-end の暗号化が行われている場合には,無線区間では暗号化の代わりにパケット認証のみを適用することにより,不正アクセスを防止しながら二重暗号化の回避による通信効率の改善が期待できる.On IEEE 802.11a/b/g, the most popular standards of wireless LAN networks, encryption functions called WEP (Wire Equivalent Privacy) or WPA (Wi-Fi Protected Access) are used for preventing malicious users from both eavesdropping and unauthorized access. However, along with end-to-end encryption, WEP and WPA have large overhead due to duplicated encryption. In this paper, we propose a method to reduce this drawback. On this method, a wireless client can choose packet encryption or packet authentication in its wireless LAN automatically depending on whether end-to-end encryption is performed or not. With packet authentication in case that end-to-end encryption is performed, we can improve the communication speed on the wireless environment while preventing invalid access.
著者
佐藤 仁 松岡 聡 遠藤 敏夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.74, pp.211-216, 2008-07-29

グリッドファイルシステムでの効率的な複製管理を実現するために,アクセス頻度や管理ポリシーに応じて,スループットやストレージ容量などの性能要件を満たし,かつ,複製時間が最小になるように複製配置を決定するアルゴリズムを提案する.この複製配置問題をスループットやストレージ容量などの性能要件や複製転送のコストの最小化を目的関数とする組合せ最適化問題に帰着し,ファイルアクセスをモニタリングすることに得られた情報を利用することにより解く.提案アルゴリズムをシミュレーションで評価した結果,複製作成を行わない手法,アクセス時に複製をキャッシュする手法, サイト毎に複製を持つ手法などの単純な複製管理手法と比較して,ストレージ使用量を低く保ちつつ,かつ,高いスループット性能を達成する複製配置を自動的に実現することを確認した.We propose an automated replication algorithm for a grid file system that considers file access frequency and replica maintenance policy, and that allows most of I/O accesses to be performed within given throughput and storage usage thresholds, while simultaneously minimizing replica transfer time. Our algorithm models the replication problem as a combinational optimization problem, where the constraints are derived from the given throughput and storage usage threshold, and various system parameters collected from direct file access monitoring. Our simulated-based studies suggest that the proposed algorithm can achieve higher performance than simple techniques, such as ones that always or never create replicas, while keeping storage usage very low. The results also indicate that the proposed algorithm can perform comparably with manual replica placement.
著者
佐藤 仁 松岡 聡 遠藤 敏夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.80, pp.109-114, 2007-08-02

グリッドファイルシステムでは、1) クライアントからある特定のノードやファイルへのアクセスに時間的局所性がありアクセスが集中する、2) ファイルシステム上のファイルへのアクセスが空間的に遠方に存在するノードへのアクセスとなる、などの要因によりファイルアクセス性能が低下することが問題となる。しかし、効率の良い大規模データ管理を実現するためにどのようにファイルをグリッドファイルシステムを構成する広域に分散したノードに配置すれば良いかの戦略を決定づけるメトリックは明らかではない。我々は、広域に分散した 5 サイトからなる HPC クラスタを連携してファイルシステムを構成し、その上で、ファイルアクセスの行った際の性能を調査した。その結果、リモートファイルアクセス性能はノード間のバンド幅の影響を受けるが、RTT、バンド幅などのネットワークの限定された情報だけではファイルシステムを構成するノードの関係の推定が困難であること、ローカルファイルアクセス性能でもファイルアクセスパターンにより最大 0.1倍の性能に抑えられてしまうこと、が明らかになった。In parallel computing environments such as HPC clusters and the Grid, data-intensive applications involve large overhead due to the access concentration on files on commonly shared nodes. A grid filesystem with an automatic data management mechanism is one of the solutions to avoid such performance decrease. However, metrics to achieve efficient large scale data management are not clear for a given real grid environment. We federated 5 geographically distributed HPC clusters using a grid filesystem and experimented its various performance metrics of file access on the filesystem. We observed that, although remote access performance of files is affected by inter-node bandwidth, other factors are in place which makes prediction of performance solely based on limited inter-node information such as RTT or network bandwidth difficult, and that even for local file access, performance difference could be an order of magnitude depending on file access patterns due to access contentions.