著者
大木 薫 新城 靖 佐藤 聡 板野 肯三 馬渕 充啓
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.67-74, 2007-01-31

この論文では、XML Webサービスのための分散OS(Operating System)について述べる。本分散OSはWebサービスのためのファイル、パイプ、シェル、およびコンソールを提供する。本分散OSの特徴は、アプリケーションとして動作するWebサービスのサーバが本分散OSの機能を用いて直接連携できることにある。本分散OSでは、オブジェクトへのアクセス制御の仕組みとしてケーパビリティを用いている。また、利用者はコンソールを通じてWebサービスのサーバを対話的に利用することができる。This paper describes a distributed operating system for XML Web Services. This distributed operating system provides files, pipes, a shell and a console for web services. By using these functions, web services can interact. This operating system uses access control based on capabilities. By using the console, users can use server of web services interactively.
著者
斎藤秀紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.1119-1126, 1994-06-15
被引用文献数
2

JIS X 0208には、符号間への文字の挿入機能の欠如や中国・韓国語への拡張機能の問題がある。本研究では、諸橋轍次編「大漢和辞典」の検字番号に墓づく構造化4バイトコードの符号化法と活用法を述ぺた。最初に、4バイトコードの構造を(1)大漢和辞典の検字番号を16進化94進数変換した整数部3バイトと小数部1パイト符号(2)既存の2バイトコードを統合した符号(3)2の8ビット目が'01'である符号を2個結合した3種にまとめ、これらが画数・読み・部首情報の漢和辞書による基準化、多国語の表現、一字体一符号化を実現できることを示した。次に、符号間への文字の追加機能をつかった一字体一符号化法が、文字集合と漢字符号の固定や文字集合間の互換性を維持した文字集合の分割に利用できることを述べた。最後に、4バイトコードの機能をワークステーション(EWS?4800)とパーソナルコンピュータ(PC-9800)間のデータ伝送を通して検証した。その結果、4バイトコードは、JISX0208?1978の見直しで生じたデータ間の互換性を崩す問題を解決でき、異機種間の共通符号にも使用できる見通しをえた。
著者
若田 光敏 兵藤安昭 池田 尚志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.22, pp.65-72, 1999-03-04

日本語では「は」は基本的には文中での主題を表すが,一文の中に複数の「は」が現れることも多く,その場合,「は」のスコープを確定することは,日本語文の解析において重要である.特に長文では,「は」のスコープを正しく認識することは,文の大域的な構造を把握することと一体の関係がある.本稿では,「は」のスコープを解析していく手がかかりとして行った,コーパス中での「は」の出現パターンについての分析結果について述べる.また,連体形述語の前に位置する連用形述語の係り先に関しても若干の分析を述べる.なお,コーパスの分析に際しては,我々が開発中の解析システムIBUKIをツールとして用いた.Japanese postpositional function word "wa" plays an imortant role in a sentence representing a topic. In a long sentence there can appear more than one "wa". To grasp correctly a global structure of a long sentrence it is definitely important to decide accurate scopes of each "wa". This paper describes our analysis of "wa" scope pattern in a large corpus. Besides we investigated in a large corpus a scope of an adnominal embedding sentence, which is also important to grasp a long complex sentence structure. To analyze and extract sentences including designated expression pattern, the syntactic analysis system IBUKI which is developed at our laboratory is used.
著者
森 雅生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.12, pp.211-216, 2002-02-14

安全な暗号プロトコルの十分条件について、Dolevら[4]が提唱したピンポンプロトコルをモデルとして考察する。この条件は暗号化する前のメッセージに送り手の名前を挿入するものであり、本論文では、これが一般のピンポンプロトコルで安全であること十分性の証明を与える。A sufficient condition for secure protocols is studied adopting the model proposed by Dolev et al. This condition, called name-suffixing, is essentially to insert identities of participants in messages. We prove its sufficiency and discuss the feature of security in terms of name-suffixing.
著者
栗山 直人 鈴木 基之 伊藤 彰則 牧野 正三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.12, pp.37-42, 2006-02-04
被引用文献数
3

PLSAは,文章の特徴「話題」を反映した言語モデルを構築する手法である.このPLSA言語モデルの拡張を提案する.前半ではPLSA言語モデルの学習について,既存の複数の方法を比較し,EMアルゴリズムのアニーリングスケジュール最適化についての検討を行う.後半ではPLSA言語モデルを内容語モデルと機能語モデルに分割し,話題(トピック)と話し方(スタイル)を,別々に学習・適応することで従来のPLSA言語モデルよりもより柔軟な言語モデル適応を試みる.その結果学習最適化についてはβを1.0 から特定の値に向けて減少させるアニーリングスケジュールが最適という結果が得られた.内容語・機能語に分割したモデルについてはtrigramに対するPerplexityが従来のPLSA言語モデルの83.90% から82.23% へ改善した.PLSA is a method of composing language model which can reflect the global charactetistics of linguistic context as "topic". We propose more extention of PLSA language model. First, we compare the conventional learning methods of PLSA language model, and examine the optimization of EM annealing schedule. As a result, we found that the best method is to reduce β from 1.0 to some special value. Next, we compose a PLSA language model whose vocabulary set is divided, into content words and function words. Then training and adaptation to topic or style are performed separately. In the experiment, we acheived 82.23% perplexity reduction against conventional way 83.90%.
著者
内藤 真樹 小林 敦友 志築 文太郎 田中 二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.11, pp.37-43, 2008-01-31
被引用文献数
4

我々は、円筒側面を操作面に利用した円筒型マルチタッチインタフェースを提案する。このインタフェースでは操作空間が円柱座標系となるため、操作面は2次元ではあるが、その曲面の奥行きを使用することで3次元に対する操作が可能である。さらに、マルチタッチであることを利用し、両手を使ってオブジェクトの操作やカメラの操作を自然に行うことが出来る。We introduce cylindrical multi-touch interface which utilizes the cylinder wall as controlling surface. Even though the controlling surface is still two dimensional surface, since the control area of the interface is a cylindrical polar coordinates, the use of the depth along the surface enables users to interact to three dimensional space. Moreover, the nature of multi-touch interface enables users to rmanipulate objects and camera with both left and right hand.
著者
ジョンゲイツ 長谷山 美紀 北島 秀夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.107, pp.73-78, 1999-12-16

この論文は高精度に実時間で多角形を抽出と分類するアルゴリズムを示す。このアルゴリズムは複雑な入力画像から凸形、凹形両方の多角形を抽出することできる。このアルゴリズムは三角形を五つの種類に分類することできる。四辺形を六つの種類に分類することできる。アルゴリズムが450MHzのペンティアムIIプロセッサでたくさんの256×256の8ビットを実験した。その実験の平均のフレーム率は一秒で69フレーム以上である。このアルゴリズムの高精度を証明するために実験の結果を示す。This paper presents a high-accuracy real-time polygon extraction and classification algorithm. The algorithm is capable of extracting both convex and concave polygons from complex images. The algorithm can classify triangles into five distinct classes and can classify quadrilaterals into six distinct classes. The algorithm was trsted with a variety of natural and synthetic 256×256 grayscale images and an average frame rate of more than 69 frames / second was obtained using a 450 MHz. Pentium II Processor. Experimental results are presented which demonstrate the high-accuracy of the algorithm.
著者
宍戸 周夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.558-559, 1998-06

オラクルを筆頭にサン・マイクロシステムズ, IBMなど反マイクロソフト, 反ビル・ゲイツ陣営が「打倒Windows」の旗印にしているのがネットワーク・コンピュータ(NC), Windowsのように1台1台のパソコンに重装備のOSを搭載するのではなく, ネットワークを経由して遠隔地からアプリケーションを供給, 低価格, 軽量のコンピューティング環境を実現しようというコンセプトだ.サン・マイクロシステムズは「Java Station」, IBMは「Network Station」などの呼び名で製品化を急いでいる.しかしここにきて, その目指す方向が多少変わってきた.「マイクロソフト独占」に正面から戦いを挑むという勢いが後退, NC陣営の中からはWindowsと共存, またはWindowsがカバーできないニッチ・マーケットを目指すという声も出てきている.Windowsにはかなわないと見たのか, NCの行方は混沌としてきた.
著者
中山 一郎 天野 文雄 上畠 力 河内 厚郎 小島 美子 小林 範子 杉藤 美代子 高木 浩志 柳田 益造
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.14, pp.93-100, 1998-02-13

本稿は、筆者らが遂行している、日本語の歌唱表現法に関する学際的研究の紹介である。日本語を洋楽的唱法で歌唱する場合、日本語としてのニュアンスや自然さが失われ、"何を言っているのか解らない"という深刻な事態を招いている。その克服には、古来、日本語の扱いに工夫を重ねて発展してきた伝統芸能(広義の邦楽)との歌唱表現法の比較が不可欠であると考えられるが、そのための方法論すら無い現状である。本研究は、共通の歌詞を、多数の人間国宝を含む、各ジャンルにおける最高クラスの演者に"歌い分け"を行わせ、得られた高品質の音声試料を音響分析することにより、邦楽と洋楽における歌唱表現法の普遍的な差異、及び同一性を科学的に明らかにすることを目的とする。本稿では、研究の具体的な方法論、予想される結果、及び研究の展望について述べる。This article is the review of the interdisciplinary study, having been performed, on a comparison of vocal expressions in Japanese traditional and western classical-style singing, using a common verse. When the Japanese language is sung in western classical-style, the natural qualities and nuances are frequently lost and the lyrics may be difficult to comprehend. In order to resolve the problems, an important first step would be to examine Japanese traditional singing, with its rich linguistic historical and cultural base, and then compare it to western-style vocalization. In the present study performed, a common verse is sung by a number of professional artists, through which the acoustic features of vocal expression in various traditional Japanese arts will be elucidated and compared to a western approach.
著者
白井 大介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.21, pp.1-6, 2006-03-03
被引用文献数
1

高帯域ネットワークを利用したハイエンド映像通信アプリケーションとして,800万画素超の映像を符号化,蓄積,伝送及び表示する超高精細映像配信システムを開発し,実ネットワークを利用した様々な配信実験,上映評価実験を行った.この結果,2005年にハリウッド標準の最高品質のディジタルシネマ規格として4K (4096x2160ピクセル)解像度が採用された.また,ディジタルシネマのみならず,超高精細映像によりカメラワークの必要ない高臨場ライブ配信や,黒板の小さな字も判読できる遠隔講義等のアプリケーションが実現できる.本稿では,超高精細映像配信システム及びこれを用いた配信実験について紹介し,4Kディジタルシネマ規格の解説,2006年1月に行った4Kクラス非圧縮映像伝送実験などについて触れ,超高精細映像コンテンツ配信における技術動向を述べる.We developed Super High Definition movie distribution system, which allows encoding, decoding and distributing over 8 Mega pixel resolution images, as a high-end application on broadband network. We have conducted various transmission experiments and image quality estimation using actual IP network. These results has been endorsed by professionals working in Hollywood and 4K (4096 x 2160 pixels) resolution has been adopted as the highest level of the digital cinema specification formalized in Hollywood. Besides a digital cinema, this system allows implementing a high realistic live image distribution system not requiring any camera work, and a distance education system which allows a student to recognize small written words on the chalkboard. This paper introduces the Super High Definition movie distribution system and experiments using the system, and surveys the technology of Super High Definition movie transmission covering the 4K digital cinema specification.
著者
坂本 忠明 望月 孝哲 今宮 淳美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.13-18, 1999-08-20

メカニカルシャッタを使った瞬目実験で得た応答時間の分析をパンディモニアムモデルで検討する.瞬目実験は、実物図形や幾何図形を刺激とした有無判断である。課題の提示には、言葉を使った集約表現(たとえば苺クリームショートケーキ)と,合成表現(たとえば白い三角形の中に赤い丸形)、それに言葉を使わない図形同士の照合である,その結果として,(1)簡単な図形同士での照合課題の場合は1回の認知処理系で有無判断ができること,(2)具体的イメージをひとつの言葉で表現すると,認知処理系の回数が少なくなること,さらに(3)異なった認知地図が検討できたことなどを得た.
著者
坂本 忠明 望月 孝哲 今宮 淳美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.99, no.69, pp.13-18, 1999-08-20

メカニカルシャッタを使った瞬目実験で得た応答時間の分析をパンディモニアムモデルで検討する.瞬目実験は、実物図形や幾何図形を刺激とした有無判断である。課題の提示には、言葉を使った集約表現(たとえば苺クリームショートケーキ)と,合成表現(たとえば白い三角形の中に赤い丸形)、それに言葉を使わない図形同士の照合である,その結果として,(1)簡単な図形同士での照合課題の場合は1回の認知処理系で有無判断ができること,(2)具体的イメージをひとつの言葉で表現すると,認知処理系の回数が少なくなること,さらに(3)異なった認知地図が検討できたことなどを得た.
著者
李晃伸 山田 真士 西村 竜一 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.103, pp.49-54, 2004-10-22
被引用文献数
8

機械に対するユーザの自然な実発話の収集と統計的な分析のために,我々は音声情報案内エージェントシステム「たけまるくん」を公共施設に設置し,2004年5月までの19ヶ月間で約17万発話を収集・整備した.本稿では現在のシステム構成,収集データの分析結果および雑音・不要音棄却実験の結果を報告する.全体のおよそ 30%が雑音などの非音声入力であった.音声入力のうち81%が有効発話であり,残りは背景会話・無意味な発声・不明瞭で聞き取れない発声・発話断片・オーバフローなどの応答不能な無効発話であった.これらの無効発話に対して,入力長とGMMに基づく雑音・不要音棄却の性能を評価した.1か月分8 248個のデータで実験した結果,雑音・息・咳・笑い声などの非音声入力は99%棄却でき,叫び声や遠隔で発声された背景会話もある程度棄却できることが分かった.一方で,発話断片やドメイン外発話については音響的特徴からの弁別は難しかった.In order to collect user's actual utterances to a speech dialogue system on real situation, we have located a speech-oriented information guidance system called ``Tekemaru-kun'' at a public civil hall, and collected 177,789 inputs via 19 months' operation. This paper will report the current system architecture, details of collected data and experimental results of invalid input rejection. As a result, non-voice (noise) inputs occupies about 30% of total input, and 81% of voice inputs are valid inputs. The rests are invalid voice inputs that includes background speech, incomprehensible voice, obscure speech, fragmented speech, level overflow and so on. Rejection of those invalid inputs has been examined based on input length threshold and GMM-based identification. Experiments on 8,248 inputs of one month showed that almost all of noise and non-verbal inputs such as breath, coughing and laughter can be rejected successfully, and distant background speech and shouts were also discriminative, whereas out-of-domain utterance, obscure speech and fragments cannot be detected only by the acoustic property.
著者
内田 好弘 谷 貞宏 橋本 昌宜 築山 修治 白川 功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1665-1673, 2006-06-15

システム・オン・パネルなど配線とグラウンド平面の距離が大きい構造では,配線間の容量結合の割合,影響範囲が大きく,容量の見積りが困難である.これまでに容量抽出の高精度化のためにいくつかの手法が提案されているが,実用的な計算量では十分な精度は得られていない.複雑な計算処理による抽出精度の向上を目指すだけでなく,配線間容量そのものを低減する設計も効果的と考えられる.本稿では,配線間容量低減技術として一般的なグラウンド平面,シールド配線の追加,配線間隔の調整をシステム・オン・パネルに適用して,容量成分と見積もりやすさについて評価を行った.その結果,配線間容量のミラー効果を考慮した実効最悪容量を改善しつつ,抽出を容易にすることが可能であることが分かった.In system on panel circuits, coupling capacitance is much significant since a ground plane locates far away unlike LSI designs. To solve difficulty in capacitance extraction, which comes from wide-range coupling in system on panel circuits, some methods have been proposed, but still their efficiency and accuracy are not sufficient. This work focuses on interconnect design to reduce coupling capacitance instead of improving accuracy and efficiency by complex computation and enhancing algorithm. Using an effective worst-case capacitance which considers mirror effect of coupling capacitance, the effectiveness of adding ground plane and insertion of shield wires are evaluated from the aspect of weakening capacitive coupling and simplifying capacitance extraction. Experimental results reveal that ground plane and shield wires contribute both to reduce the effective worst-case capacitance and to simplify capacitance extraction.
著者
千葉 直子 藤村 明子 高橋 克巳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.20, pp.115-120, 2009-02-26

インターネット上の違法有害情報問題に関して、そのなかでも特に社会問題化や国際動向により、喫緊の対策が求められている分野を取り上げる。具体的には、出会い系サイト、自殺誘引サイト、児童ポルノ、ネットいじめ、ネット上の犯行予告について、近年の状況や対策動向をとりまとめ、今後の方向性について述べる。Recently, illegal and harmful information on the Internet has become one of the important social problems in terms of public policy and child protection. In this paper, we focus on some problems requiring the urgent countermeasures because of international trend and social environment, such as dating sites, suicide sites, child porno distribution, cyber bullying and notice of crime on the Internet. We survey the recent circumstance, the trend of countermeasures and the future trend.
著者
深谷 大樹 石原 進
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.20, pp.151-156, 2009-02-26

車々間アドホックネットワーク( Vehicular Ad hoc Networks:VANET )では,走行車両が生成した特定の位置に関連付けられた情報(位置依存情報)を配信することによる渋滞緩和,車両の衝突回避支援などへの応用が考えられている.このため,位置依存情報に付加された位置の信憑性が重要となる.例えば,渋滞の発生位置を偽ることで,他車両を意図的に誘導し,交通量を操作する等の不正が起こりうる.そのため端末が生成した位置依存情報の信憑性評価が必要となる.しかし,信憑性評価に位置依存情報の発生位置周辺の複数端末を利用する従来手法では,他端末と通信ができない端末(孤立端末)が生成した位置依存情報の信憑性評価ができなかった.本稿では,端末の孤立前後の他端末との遭遇記録を基にして,孤立中に存在していた存在範囲を予測し,それを基に信憑性評価を行う Malicious Isolated Node Detection using Mutual Observation(MIND-MO)を提案する.シミュレーションの結果,合理的な理由に基づき,孤立時に生成された虚偽の位置依存情報の信憑性判定を行う際に有用性があることを確認した.Dissemination of location dependent information is one of the important applications of vehicular ad hoc networks (VANETs) which will be used for avoidance of traffic congestion, traffic accident etc. If a position attached to such information is forged, many problems, e.g. vehicular traffic control by malicious users, will occur. Thus evaluation of the credibility of location dependent information is important. One solution for this is to obtain the same information by multiple nodes which can communicate each other. However, the solution can not applied for a case that an isolated node generates a location dependent data item. In this paper, we propose a Malicious Isolated Node Detection using Mutual Observation(MIND-MO) scheme for evaluating credibility of location dependent information generated by an isolated node in VANETs. In the scheme, the credibility is checked by estimating the possible location of the isolated node using records of encounters generated before and after the isolation. The simulation results showed that MIND-MO is useful for evaluating credibility of false location dependent information generated based on rational reasons by isolated nodes.
著者
村田健史 岡田 雅樹 阿部 文雄 荒木 徹 松本 紘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.115-130, 2002-12-15
被引用文献数
5

現在,宇宙開拓科学や地球環境科学の様々な分野において,広域観測が進められている.我が国では,観測データの取得・蓄積は諸外国と比較して進んでいるが,データのネットワーク上での公開・発信は不十分な点が多い.広域観測データは,観測グループ独自のデータ較正方法やデータ公開ルールがあり,データ管理・公開が機関ごとに独立に行われる傾向がある.一方,データ解析者は,これらの分散管理されているデータを一元的に利用したい.しかし,米国の米国宇宙科学データセンター(NSSDC )のような統合的データセンターの実現は容易ではない.本研究では,広域宇宙地球観測の1 つである,太陽地球系物理(STP )観測データのための分散データベースを提案する.提案する分散データベースでは,データファイルおよびデータ利用者のメタ情報を抽出し,メタデータベース化する.各観測グループはメタデータベースを独自に管理することで,データの管理権限を保護することができる.一方,分散データベースシステムによって各データに対して透過的にアクセスすることにより,データ解析者は一元的にデータを利用することができる.本稿では,分散データベースのシステム設計を行い,実際に試験データを用いたデータベースを構築した.その結果,提案する垂直分散型分散データベースによって,実用上有効なアクセス速度でメタ情報取得が可能であることが分かった.Due to the development of computer performance and information networks,we can now easily access to observation data for large-scale Solar-Terrestrial Physics (STP)through the Internet.However,for integrated studies with help of a variety of observation data together, we need to a distributed network database system with which users are able to access to any observation data with high transparency.It is widely said that distribution systems and facilities for STP data are inferior to observation and storage systems in Japan. However, it is diffcult to construct a central data management center for huge amount of data because of financial,political,and technical reasons.We herein propose a distributed database system for STP data.In the presented database system,index information of both observation data files and access users are stored and managed as a meta-detabase.Through the access to the meta-detabase,users obtain information of the observation data:not only datasite addresses, directory names and ?le names of the data,but authorization of the data.One's authorization to access one data is provided by the team or mission responsible for the data.This suggests that the ownerships of observation data to each team/mission are preserved though the present meta-database seems to be only one from user side.
著者
戸田 賢二 西田 健次 高橋 栄一 Nick Michell 山口 喜教
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1619-1629, 1995-07-15
被引用文献数
13

実時間並列計算機用相互結合網の構成要素として用いるルータチップの設計およびその性能について報告する。本ルータはパケット交換型で4入力4出力であり、多段網における優先度逆転現象の発生を抑える方式として我々の提案した「優先度先送り方式」を採用している。優先度は32ビット、入力ポートごとに8パケットの優先度キューを持ち、データ転送レートはポート当たり190メガバイト/秒、パイプラインは25ナノ秒ピッチの2段構成である。この性能は優先度制御を行わない通常の方式のルータと比較し遜色のないものである。
著者
雨宮 智浩 広田 光一 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.1701-1710, 2005-07-15
被引用文献数
4

本稿では,ウェアラブルコンピューティングのための新しい文字情報入力インタフェースとして開発した筒型の点字入力インタフェースOBOEについて述べる.開発した筒型のデバイスは持ち歩くことが容易で,両手で操作する様子が縦笛に類似しており,立ったままの姿勢で入力が可能である.また,明確なクリック感をユーザにフィードバックするメカニカル式のキースイッチを用いるため,ユーザは入力動作を直観的に確認することができる.本インタフェースの評価として,点字未習得者の学習効果の実験,および習熟者モデルと見なせる指点字通訳者の入力速度,誤入力率の計測実験をそれぞれ行った.これらの評価実験の結果から,習熟後には高速な入力が可能であることが判明した.さらに,アンケートの結果も合わせて,従来の点字タイプライタとの比較,最適なキー配列,把持の姿勢について議論する.This paper describes the development of a wearable interface for textual input on the basis of Braille input method. The device, named OBOE, is operated by both hands, which is good for portability and can be used while standing. The users get their input operations confirmed clearly by feeling the click since the buttons of the proposed device are the same mechanical switches as used in keyboards for desktop computers. The results of an experiment of learning effect revealed that the users who had no experience of Braille input could type Japanese phrases at 35.4 Braille codes per minute, and who had experience at 112.4 Braille codes per minute. Thus novices can master the proposed device and experts can input text very fast by using OBOE. Based on the results of questionnaire by the subjects, we discussed the comparison with a Braille typewriter, the optimum layout of keys for OBOE, and the posture of holding.
著者
桑門 秀典 田中 初一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.68, pp.239-244, 2002-07-18
被引用文献数
2

あるグループ内の一人のユーザが文書に署名したことを検証者は確認できるが 検証者はその署名者を特定できないようなディジタル署名方式(ring署名方式)がRivest Shamir Taumanにより提案された.ring署名方式は 内部告発者が自分の身元を明かすことなく 報道関係者に文書の信頼性を保証することに利用できる.この論文では あるグループ内のk人のユーザが署名できるように拡張したring署名方式の2つの実現方法を提案する。提案方式1は、ランダム事故帰着問題の零知識証明に基づいている.提案方式2は 有限体上の多項式を利用して実現されている.これら提案方式の構成法は、Rivest Shamir Taumanのring署名方式の構成法とは異なる.また、いずれの方式においても、署名者の匿名性は署名者の身元を特定しようとするものの計算能力に関係なく無条件に保証される.Rivest, Shamir, and Tauman have proposed a ring signature scheme such that a verifier can make sure that someone in a group signs a message, but cannnot decide the identification of the signer. The application of the ring signature is whistle-blowing. Without revealing their identification to the signer, the third party can check the validity of the message. In this paper, we propose the generalized version of the ring signature scheme, which makes it possible for k members to sign a message without revealing the identification of the verifier. We show two implementations of such a signature scheme; one is based on zero-knowledge proof of random self-reducible problems,and the other is based on the polynomial over a finite field. Similar to the ring signers is impossible even if unlimited computational resources do not make the ring of signatures.