1 0 0 0 OA III. 戦闘開始

著者
澤崎 坦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, 1992-11-01
著者
山崎 孝 伊藤 直之 石田 登貴代 三谷 孝之 菅野 智也 中川 哲朗 松井 文昭 増田 真代 加畑 昌弘 大谷 尚之 堀 秀昭 山門 浩太郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【目的】甲子園大会でのメディカルサポートを皮切りに、高校野球地方大会において各県士会でのメディカルサポートの取り組みが報告されている。しかし、中学生を対象としたサポート報告は少ない。今回福井県理学療法士会は、中学ボーイズリーグの大会期間中に選手のメディカルチェックを実施し、スポーツ障害予防の啓蒙活動を試みたので報告する。<BR>【方法】大会は日本少年野球連盟公認の福井大会で北陸・東海・関西地区から28チーム、906名の選手が参加した。平成18年7月22日~24日に行われ、試合会場は初日が10会場、2日目は4会場であった。サポートは初日と2日目の土・日曜日に、1会場で実施した。その会場で試合があるのは初日が6チーム、2日目が4チームで、メディカルチェックは当日に希望があったチームに試合の合間を利用して実施した。今回サポートに参加したPT は福井県アスレチックリハビリテーション研究会に参加しているPTで、初日9名、2日目13名であった。メディカルチェックの実施項目について、握力測定はOG技研社製デジタル握力計にて行い、肩関節外旋・内旋筋力は2nd肢位にてアニマ社製ミュータスF-1を用いて測定した。ROMは肩関節2nd内旋・外旋、肘関節屈曲・伸展、前腕回内・回外、SLR、股関節内旋の可動域とし、ゴニオメーターを用いて5°単位で両側測定した。FFD、上体おこしは1cm単位で測定し、腸腰筋と大腿四頭筋のタイトネスの有無と、しゃがみ込み動作の可否を調査した。実施方法は筋力・上肢ROM・下肢ROMの3セッションにPTを配置し、所要時間の短縮を図った。選手には測定中に値を伝え、投球側に機能低下がみられた場合は投球障害との関連性について説明し、測定後に集団でストレッチ指導を行った。また、大会参加全チームにストレッチ方法を記載した冊子とオーバーユースによる投球障害ついて説明したリーフレットを開会式の日に配布した。<BR>【結果】1.メディカルチェックを実施できたチーム数は初日4チーム、2日目が2チームで、両日での選手数は76名であった。2.メディカルチェックの結果では肩関節内旋(投球側38°、非投球側56°)、肘関節屈曲(投球側144°、非投球側148°)、肘関節伸展(投球側0°、非投球側4°)、前腕回内(投球側81°、非投球側88°)の可動域が非投球側に比べ、投球側が有意に低下していた。また、投球側の肘関節に-5°以上の伸展制限のある選手が26%にみられ、その半数は投手であった。<BR>【考察】選手・指導者・父兄が多く集まる大会期間中を利用してスポーツ障害予防の啓蒙を行った。甲子園出場を目指して中学から硬式野球をしている選手の4人に1人の割合で投球側の肘関節拘縮がみられていた。これは少年期からのオーバーユースが原因と考えられるため、少年期からの投球障害予防の啓蒙が求められる。今後はスタッフ数を増員し、より多くのチームに啓蒙していくことが課題である。<BR><BR><BR><BR>
著者
上村 さと美 西田 裕介 大嶽 昇弘
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, 2005-04-20

【はじめに】要介護高齢者を介護する介護者の介護に対する負担感は、要介護高齢者の日常生活能力との関係もあるが必ずしもそれだけではない。今回、介護者の介護負担感をZarit介護負担尺度日本語版(以下、ZBI)と、その下位尺度であるPersonal strain(介護を必要とする状況に対する否定的感情の程度を示す介護負担感)及びRole strain(介護によって社会生活に支障をきたしている程度から生じる介護負担感)を用い、介護期間と介護負担感との関係を検討した。<BR>【方法】対象は訪問看護ステーションを利用している中枢神経疾患既往の要介護高齢者22名(男性11名、女性11名、平均年齢79.1歳、要介護度平均3.9)の主介護者22名(男性4名、女性18名、平均年齢63.5歳)であった(続柄は配偶者10名、嫁4名、子供6名、血縁者2名)。介護者に対しZBI、介護期間、介護者の健康状態を質問紙に記し自記式にて調査した。結果をもとにZBIの総得点(合計88点)を算出した。また、ZBIをPersonal strain項目に該当する項目(合計48点)と、Role strain項目に該当する項目(合計24点)に分類し、各々を合計点数で除して介護負担感(%)を算出した。統計学的手法としてはピアソンの相関係数検定を用い有意水準を5%未満とした。また、介護者の健康状態の把握は良好、不良の2択での記載とした。<BR>【結果】平均介護期間は6.0±5.03年、ZBI総得点平均は30.3±14.7点であった。Personal strain該当項目の介護負担感は35.0%(17.0±8.3点)、Role strain該当項目の介護負担感は33.0%(8.0±4.6点)であった。介護期間とZBI総得点(r=0.43)及び介護期間とPersonal strain項目点(r=0.45)においては有意な関係が認められた(p<0.05)。また、Personal strain項目点とRole strain項目点間でも有意な関係が認められた(r=0.74、p<0.05)。介護者の健康状態は良好9名(平均年齢58.2歳、ZBI総得点平均25.5点、平均介護期間3.9年)、不良13名(平均年齢67.1歳、ZBI総得点平均33.6点、平均介護期間7.9年)であった。<BR>【まとめ】介護期間が増すごとに介護負担感総得点及び、Personal strain項目の点数の増大が認められた。また、Personal strain項目とRole strain項目間においても有意な関係が認められた。よって、介護期間が増すにつれ現状のPersonal strain項目の負担感の把握と軽減が、Role strain項目の介護負担感の軽減に関与し、ZBI総得点の減少を得られると考えられる。さらには介護者の継時的な体調管理も必要と考えられる。
著者
新井 武志 大渕 修一 逸見 治 稲葉 康子 柴 喜崇 二見 俊郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.118-125, 2006-06-20
被引用文献数
9

本研究では,包括的高齢者運動トレーニング(以下CGT; Comprehensive Geriatric Training)に参加した地域在住虚弱高齢者の健康関連Quality of Life(以下HRQOL),うつ傾向,転倒に関する自己効力感を評価し,CGTによる身体機能改善効果との関連について検討した。対象は,CGTに参加した地域在住の虚弱高齢者20名(男性4名,女性16名,平均年齢74.6±7.2歳)であった。CGT開始前後に歩行能力やバランス機能などの身体機能測定に加えて,HRQOL (MOS Short-Form 36-Item Health Survey;以下SF-36),高齢者うつ評価(Geriatric Depression Scale簡易版;以下GDS),転倒に関する自己効力感(Falls Efficacy Scale;以下FES)を測定した。介入により有意に改善した身体機能の変化量とSF-36,GDS,FESとの相関関係について検討した。トレーニング後,参加者の身体機能は最大歩行速度,ファンクショナルリーチ,長座位体前屈,Timed Up and Goが有意に改善した(p<.01〜.05)。SF-36,GDS,FESの初回評価値とそれら身体機能の変化量との関係では,SF-36(心の健康)がファンクショナルリーチの変化量と有意な相関(r=0.53,p<.05,年齢調整後偏相関係数r=0.53,p<.05)を認めたのみで,GDS,FESはいずれにも有意な相関を認めなかった。今回CGTに参加した地域在住の虚弱高齢者において,身体機能の改善効果とうつ傾向や転倒に関する自己効力感の関連は認められなかった。適切な介入方法を用いることによって,HRQOLやうつ傾向,転倒に関する自己効力感の高・低にかかわらず高齢者の身体機能を向上させられる可能性が示唆された。
著者
川島昭彦 川島 敏生 横塚 政久 野鳥 長子 三ツ木 豊 三ツ木 裕子 田村 真佐美 栗山 節郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.117-122, 1990
被引用文献数
1

廃用性筋萎縮が生じた膝伸筋のトルク, スピード, 大腿周径の変化を測定した。廃用によって, トルク, スピード, 周径のそれぞれに減少を認めた。減少率は, スピードに比較してトルクが高く, ST線維の萎縮の強さが推測された。さらに当院での通常の訓練を行った後に第二回の測定を行った。その結果, 統計的にトルクのみ改善を認め, スピードと周径に変化はなかった。今後, スピードに対するアプローチも必要と思われた。廃用による周径とトルク, スピードの相関は, 低いか, 無相関であった。周径で厳密に筋力を推定することは困難であり, 評価としての周径の意義について測定方法を含めた再考が必要と思われた。
著者
宮原 洋八 竹下 寿郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.155-159, 2004-06-20
被引用文献数
4

この研究の目的は地域在住高齢者を対象に健康寿命と運動能力の関連を調査し,日常生活活動低下の因子を明らかにすることである。奄美大島の笠利町(総人口は6900人)に居住する60歳以上90歳未満の在宅高齢者2578人を,(1)性別(男,女),(2)年齢(60〜69歳,70〜79歳,80〜89歳),(3)居住地域(8集落)の3要因により15%順化抽出し,地域代表性のある386人を対象とした。そのうち日常生活が自立していた323名(男性113名,女性210名,年齢60歳から89歳)を対象に,ベースライン測定時の運動能力(握力,長座作前屈,閉眼片足立ち,10m最大歩行速度)により,3年後の日常生活活動における自立,非自立状態をどの程度予測できるかを検討した。測定された運動能力はすべて年齢と有意な負の相関を示した。日常生活の自立率は,年代が上がるにつれて減少し,3年間の追跡により日常生活活動の低下に関する要因を分析した結果,握力,10m最大歩行速度と関連があった。
著者
藤澤 宏幸 鈴木 克憲 浦島 貴子 金子 文成 綿谷 美佐子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.425-429, 1994-11-30
被引用文献数
5

本研究の目的は, 運動肢位によってことなるとされる最大筋トルクが, 筋活動量の変化によるものか, または上腕骨長軸と筋走行の成す角度および筋長が変化するため(運動力学的要因)なのかを明らかにすることである。健常男性6名の右肩関節を対象に, 肩関節内外旋運動時の最大筋トルクと回旋筋群の筋電図を, 肩関節90度外転位および90度屈曲位の二つの肢位で測定した。外旋運動時の最大筋トルクは90度外転位で有意に大きかったが, 内旋運動時の最大筋トルクに有意な差はなかった。筋活動量は両肢位で有意な差がなかった。以上の結果より, 運動肢位による外旋運動時の最大筋トルクの変化は, 運動力学的要因が主因と思われた。
著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 吉田 大輔 阿南 祐也 伊藤 忠 土井 剛彦 堤本 広大 上村 一貴 BRACH Jennifer S. 鈴木 隆雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.87-95, 2013-04-20

【目的】日本語版-改訂Gait Efficacy Scale(mGES)の信頼性と妥当性を検証することを目的とした。【方法】地域在住高齢者240名を対象とした。そのうちの31名については,自記式による日本語版mGESの評価を2回実施した(評価間隔14〜20日間)。日本語版mGESの妥当性を検証するために,運動機能(chair-stand test,片脚立位時間,通常歩行速度,6分間歩行距離),生活空間,転倒恐怖感との関連を調べた。【結果】日本語版mGESは高い再検査信頼性を示し(級内相関係数[2,1]=0.945,95%信頼区間0.891〜0.973),すべての運動機能および生活空間と有意な相関関係を認めた。従属変数を転倒恐怖感の有無,独立変数を性別,各運動機能,生活空間,日本語版mGES得点としたロジスティック回帰分析の結果,転倒恐怖感と有意な関連を認めた項目は,性別(女性),通常歩行速度,日本語版mGES得点であった。【結論】高齢者における歩行状態の自信の程度を把握する指標として,日本語版mGESは良好な信頼性および妥当性を有する評価であることが確認された。
著者
新保 健次 清水 啓史
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20

【目的】上腕骨近位端骨折の保存療法はその自動運動が行われるまでほぼ8週を要し、その点で日常生活活動(以下ADL)の改善について大きな負担になっていると考えられる。しかし、上腕骨近位端骨折の保存療法例に関するADL獲得時期についての詳細な報告は少ない。そこで、今回受傷後2、3ヶ月のADLについて調査したので報告する。<BR>【方法】可能な限り詳細にそのADLを調査するために40項目(身辺動作6、更衣7、入浴4、整容6、トイレ動作1、支持4、挙上2、筋力2、生活関連動作8)を独自に作成し、各項目を「できる」、「少しできる」、「できにくい」、「全くできない」の4段階で評価した(以下、「できる」、「少しできる」をできる群とする)。動作時痛をVisual Analog Scale(以下VAS)で評価した。上腕骨近位端骨折の保存療法例6例に直接アンケート記入を依頼し、受傷後2、3ヶ月の計2回実施した。対象は全例女性で、受傷時年齢は60.8歳(43歳~79歳)であった。Neer分類による骨折型はminimal displacement骨折が3例、2part外科頚骨折が2例、3part外科頚、大結節骨折が1例であった。<BR>【結果】受傷後3ヶ月で、できる群の項目数は全例で増加した。1例が30項目(75%)であり、他5例は35~40項目(87.5%~100%)であった。VASは平均48.8mmから14.3mmであり全例で改善した。受傷後3ヶ月で全例が改善した動作は、「更衣動作」、「反対側の脇、肩を洗う」、「ズボンの後ろポケットに手をいれる」、「起きる際に患肢を支えにする」、「目の高さより上の物をとる」、「前の物に手を伸ばす」、「重い物を下げる」であった。改善が低かった動作は「ブラジャーを後ろで留める」、「エプロンのひもを後ろで結ぶ」、「背中を洗う」、「結髪動作」、「ネックレスを後ろで留める」、「患側を下にして寝る」、「手枕をする」、「重い物を目の高さまで挙げる」、「洗濯物を干す」、「自転車に乗る」であった。<BR>【考察】受傷後3ヶ月で、できる群の項目数が増加したこと、VASが改善したことから、ADL拡大に動作時痛の軽減は一つの要素になっていると考えた。他より改善が低かった1例は3part骨折で、75歳以上の高齢者であった。ADLで改善された群から、肩関節部に大きな力が加わると考えられる「目の高さより上の物をとる」、「重い物を下げる」など問題はなかった。しかし、上腕骨に回旋の加わる動作は改善が低い傾向があった。固定期間中に制限される動作に改善が低い傾向があると考えられた。上腕骨近位端骨折の保存療法に影響を及ぼす因子については骨折型、年齢が影響するとの報告がある。後療法では各症例のゴールを踏まえ、機能改善だけでなく骨折型や骨癒合の状態を確認する、できない動作に代償動作の指導を行うなどの必要があると考えられた。<BR>【まとめ】上腕骨近位端骨折の保存療法例6例に受傷後2、3ケ月のADLに関するアンケート調査を行った。全例で受傷後2~3ヶ月でADLの改善が見られた。
著者
新保 健次 清水 啓史
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.C0563, 2008

【目的】上腕骨近位端骨折の保存療法はその自動運動が行われるまでほぼ8週を要し、その点で日常生活活動(以下ADL)の改善について大きな負担になっていると考えられる。しかし、上腕骨近位端骨折の保存療法例に関するADL獲得時期についての詳細な報告は少ない。そこで、今回受傷後2、3ヶ月のADLについて調査したので報告する。<BR>【方法】可能な限り詳細にそのADLを調査するために40項目(身辺動作6、更衣7、入浴4、整容6、トイレ動作1、支持4、挙上2、筋力2、生活関連動作8)を独自に作成し、各項目を「できる」、「少しできる」、「できにくい」、「全くできない」の4段階で評価した(以下、「できる」、「少しできる」をできる群とする)。動作時痛をVisual Analog Scale(以下VAS)で評価した。上腕骨近位端骨折の保存療法例6例に直接アンケート記入を依頼し、受傷後2、3ヶ月の計2回実施した。対象は全例女性で、受傷時年齢は60.8歳(43歳~79歳)であった。Neer分類による骨折型はminimal displacement骨折が3例、2part外科頚骨折が2例、3part外科頚、大結節骨折が1例であった。<BR>【結果】受傷後3ヶ月で、できる群の項目数は全例で増加した。1例が30項目(75%)であり、他5例は35~40項目(87.5%~100%)であった。VASは平均48.8mmから14.3mmであり全例で改善した。受傷後3ヶ月で全例が改善した動作は、「更衣動作」、「反対側の脇、肩を洗う」、「ズボンの後ろポケットに手をいれる」、「起きる際に患肢を支えにする」、「目の高さより上の物をとる」、「前の物に手を伸ばす」、「重い物を下げる」であった。改善が低かった動作は「ブラジャーを後ろで留める」、「エプロンのひもを後ろで結ぶ」、「背中を洗う」、「結髪動作」、「ネックレスを後ろで留める」、「患側を下にして寝る」、「手枕をする」、「重い物を目の高さまで挙げる」、「洗濯物を干す」、「自転車に乗る」であった。<BR>【考察】受傷後3ヶ月で、できる群の項目数が増加したこと、VASが改善したことから、ADL拡大に動作時痛の軽減は一つの要素になっていると考えた。他より改善が低かった1例は3part骨折で、75歳以上の高齢者であった。ADLで改善された群から、肩関節部に大きな力が加わると考えられる「目の高さより上の物をとる」、「重い物を下げる」など問題はなかった。しかし、上腕骨に回旋の加わる動作は改善が低い傾向があった。固定期間中に制限される動作に改善が低い傾向があると考えられた。上腕骨近位端骨折の保存療法に影響を及ぼす因子については骨折型、年齢が影響するとの報告がある。後療法では各症例のゴールを踏まえ、機能改善だけでなく骨折型や骨癒合の状態を確認する、できない動作に代償動作の指導を行うなどの必要があると考えられた。<BR>【まとめ】上腕骨近位端骨折の保存療法例6例に受傷後2、3ケ月のADLに関するアンケート調査を行った。全例で受傷後2~3ヶ月でADLの改善が見られた。