著者
今井 昇
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.347-355, 2021-04-01

抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体薬であるガルカネズマブは,プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(RCT)で有効性と安全性が認められ,米国食品医薬品局で反復性群発頭痛の予防薬として承認されている。また,翼口蓋神経節刺激療法は,慢性群発頭痛の急性期治療としてRCTで有効性と安全性が確認されている。本論では,これらの治療法の作用機序,臨床試験での結果,臨床での使用方法,本邦における見通しについて概説する。
著者
中野 創
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.103, 2007-04-10

読者の皆様は「どんずあな,け」の意味がわかりますか? ここ青森県津軽地方で医師として仕事をするためには,いわゆる津軽弁を理解する必要があります.日本の津々浦々にユニークな方言がありますが,津軽弁もそれらに負けない独特の語彙を有しています.体の各所を現す言葉には,じゃんぼ,なずぎ,ぼんのご,おどげ,よろた,あぐど,どんず,はど,などがあります.それぞれ,髪,額,項,頤,太腿,踵,尻,陰茎の意味です.濁点が多いのが特徴でもありますが,それを上手くフィルターにかけると語源が推測できる語もあります.「なずぎ」は「脳(なずき)」,「ぼんのご」はうなじの窪みを表す「盆の窪(ぼんのくぼ)」,「おどげ」は「頤(おとがい)」,「あぐど」は『東海道中膝栗毛』にも用例が見いだされる,かかとを示す「踵(あくと)」がそれぞれ転訛したものと考えられます.
著者
福留 厚
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.p127-131, 1975-01
被引用文献数
1
著者
上山 浩也 八尾 隆史 岩野 知世 内田 涼太 宇都宮 尚典 阿部 大樹 沖 翔太朗 鈴木 信之 池田 厚 谷田貝 昴 赤澤 陽一 竹田 努 松本 紘平 上田 久美子 北條 麻理子 永原 章仁
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1310-1322, 2021-09-25

要旨●胃底腺粘膜に発生する胃腫瘍の中で,H. pylori未感染胃に発生する胃腫瘍の臨床病理学的・内視鏡学的特徴について概説した.今回,H. pylori未感染胃底腺粘膜に発生する胃腫瘍の中で,特に胃底腺型腺癌,胃底腺粘膜型腺癌,胃型分化型腺癌,胃型腺腫を抽出し解析した.細胞分化では,胃底腺型腺癌は胃底腺のみ,胃底腺粘膜型腺癌は腺窩上皮+胃底腺(+幽門腺),胃型分化型腺癌・胃型腺腫は腺窩上皮+幽門腺(+胃底腺)への分化を示し,通常型の胃癌に比較して異型度や悪性度は低く,内視鏡治療を選択された症例が多かった.内視鏡診断は,各タイプの特徴を理解したうえで,NBI併用拡大内視鏡診断と内視鏡所見から表層の腫瘍成分の有無,表層と上皮下の成分の関係性を推測することが,H. pylori未感染胃底腺粘膜に発生する胃腫瘍の内視鏡診断と各鑑別につながると考えられた.
著者
八尾 隆史 上山 浩也 大城 由美 黒澤 太郎 池田 厚 阿部 大樹 岡野 荘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1299-1308, 2021-09-25

要旨●H. pylori感染者の減少に伴い,活動性炎症や萎縮,腸上皮化生のない胃底腺粘膜領域に,胃型形質を示す上皮性腫瘍(胃底腺型腺癌,胃底腺粘膜型腺癌,腺窩上皮型腺癌,幽門腺腺腫など)が多くみられるようになってきた.これらの臨床病理学的特徴は広く知られているが,複雑な病理組織像あるいは細胞分化を示す腫瘍もみられるようになり,分類や鑑別診断に苦慮することがしばしばである.本稿では,これらの腫瘍の病理組織学的特徴や鑑別診断のポイントを解説し,組織分類の問題点について考察した.
著者
小野 尚子 田中 一光 木脇 佐代子 井上 雅貴 霜田 佳彦 大野 正芳 坂本 直哉 石川 麻倫 山本 桂子 清水 勇一 清水 亜衣 松野 吉宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.593-601, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント通常観察では・多彩な内視鏡像が同時に観察される.・非上皮性腫瘍としての性質(粘膜下腫瘍様)が観察され,蚕食像はなく,硬さが目立たない.拡大内視鏡観察では・腫瘍浸潤により腺管構造が破壊された無構造領域や異常血管が観察される.・間質の細胞浸潤により窩間が引き延ばされ,腺管の膨化所見がみられることがある.・前述の特徴を捉え,狙撃生検を行うことで,診断能は向上する.・治療後に腺管構造や上皮下毛細血管の回復が観察され,治療後評価にも有用である.
著者
武田 輝之 平井 郁仁 矢野 豊 高田 康道 岸 昌廣 寺澤 正明 別府 剛志 小野 陽一郎 久部 高司 長浜 孝 八尾 建史 松井 敏幸 植木 敏晴
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.163-168, 2018-02-25

要旨●現在,潰瘍性大腸炎を評価するための内視鏡スコアは多数存在するが,スコアの統一化についての一定のコンセンサスはない.これまでのスコアは検者内・検者間一致率などの信頼性評価が十分ではなかったことがその要因の一つである.2012年に提唱されたUCEISはその問題を指摘し検討した上で作成された内視鏡スコアである.今回,筆者らは現在汎用されているMESとUCEISの両者に関して検者間一致率を検討した.その結果,UCEISはMESと比較し,検者間一致率が高い傾向にあった.今後の課題として,UCEISによる粘膜治癒の定義や長期予後との検討などが挙げられるが,妥当性の検証結果からは今後の臨床研究などで使用するスコアとしてより適したものであると考えられた.
著者
髙林 馨 緒方 晴彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.742-743, 2021-05-24

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)における内視鏡活動性スコアはこれまでに数多く報告されているが,本稿ではその中でも本邦で使用頻度の高いMES(Mayo endoscopic subscore)とUCEIS(ulcerative colitis endoscopic index of severity)について概説する.

3 0 0 0 塵肺症

著者
藤村 直樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1196-1198, 1986-07-10

塵肺症は,佐渡金山では"山気",明治以後の鉱夫の間では"ヨロケ"として古くから知られた職業性疾患であったが,近年,免疫学の進歩に伴い,本症に種々の免疫異常が存在し,病変形成や病態生理に免疫学的機序が一定の役割を担っているという,免疫学的疾患としての側面が注目されるようになっている.本稿では,代表的な塵肺症である珪肺症と石綿肺につき,免疫病態生理の面から概説を試みたい.
著者
上田 敏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.73-77, 2022-01-10

この連載は本誌が50周年を迎えたのを契機に,本誌の過去半世紀にわたる足跡を振り返ってみようとするものである.その目的は,単なる回顧ではなく,本誌をある種の「鏡」として,それに映った日本と世界のリハビリテーションの「歩み」を振り返り,そのなかで「これから」の進むべき道を探ろうとする「古きを訪ねて新しきを知る」ことである.本誌の読者の中には,本誌発刊の頃には「まだ生まれてさえいなかった」という方も少なくないと思われるので,できるだけ時代背景も感じとれるように述べていきたい.
著者
今村 幸嗣 大塚 祐司 川副 泰成 青木 勉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1037-1040, 2018-09-15

抄録 症例はパニック障害の25歳,女性。初診時血清ヘモグロビン12.4g/dl,血清フェリチン11ng/mlと貧血のない鉄欠乏であった。鉄剤補充のみで,鉄欠乏とパニック症状が改善した。鉄欠乏と抑うつ気分との関連性について多数の報告があり,鉄剤補充による抑うつ気分の改善が示されているが,パニック症状に対する効果の報告は少ない。本症例では,パニック障害に対する鉄剤補充の有効性を示唆する結果となった。精神科の診療場面において,鉄欠乏は看過されることが多い。我々精神科医は,わが国の女性の約半数が,鉄不足による精神障害予備軍であるという現状を認識し,適切に鉄欠乏を評価することで,診断・治療につなげる必要がある。
著者
上堂 文也
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.603, 2017-05-24

定義 胃の腸上皮化生はH. pyloriの慢性感染によって,胃粘膜が腸の形質を持つ粘膜に変化する現象で,胃癌発生のリスクと密接に関連している.NBI併用拡大観察で腸上皮化生をみると,上皮の辺縁部(表面)に青白色調の光の線を認める(Fig. 1,2).これが,LBC(light blue crest)で“上皮の表層を縁取る青白い線”と定義されている1).病理組織学的腸上皮化生の診断に有用である(感度:89%,特異度:93%).
著者
伊東 清志 猪俣 裕樹 丸山 拓実 荻原 直樹 佐藤 大輔 八子 武裕 四方 聖二 北澤 和夫 小林 茂昭
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1183-1196, 2021-11-10

Point・頚椎前方除圧固定術は,米国の脳神経外科医が開発し,長きにわたり改良され,受け継がれてきた信頼性が高い治療方法である.・頚椎は運動器として動きながら頭蓋を支える側面をもつため,脊髄への圧迫も「動態」での評価が必要であり,「固定」することで圧迫を解除することは理にかなっている.・この方法を安全かつ効果的に行うためには,局所解剖を十分に理解し,術中の操作に取り入れることが大切である.
著者
寳子丸 稔
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1136-1140, 2021-11-10

脊髄脊椎疾患は非常に多い病気である 若い脳神経外科の先生方の中には,「脊髄外科」といってもピンと来ない方も多いのではないかと思います.実際,Japan Neurosurgical Database(JND)の2018年のデータ1)によると,全脳神経外科手術207,783件のうち,脊髄脊椎手術は17,969件(8.6%)を占めるにすぎません.また,同年の京都大学関連施設の非公式のデータでは,全38施設において年間の全脳神経外科手術件数が平均304件あるにもかかわらず,26施設で脊髄脊椎手術件数が10件以下となっており,多くの施設において脊髄脊椎疾患は縁遠いものとなっています. それでは,脊髄脊椎疾患は少ない病気かというと,決してそうではありません.有訴者率とは,病気やけがなどで自覚症状のある人の人口1,000人当たりの割合を示す指標です.そのデータは厚生労働省webサイトで確認することができますが,その1位と2位は腰痛と肩こりで,症状として最も多いものです.また,連続剖検例による検討2)では,80歳を超えると37%の人に頚椎での脊髄圧迫が認められたと報告されており,頚椎症性脊髄症は非常に多い病気です.さらに,DALYs(disability-adjusted life-years)とは,病的状態,障害,早死により失われた年数を意味する疾病負荷を総合的に示す指標ですが,世界全体でみると,腰痛と頚部痛が1990年には13位であったものが2016年には4位に上昇しています.また,先進国に限ると1990年から不動の2位を占めています3).これらのことから,脊髄脊椎疾患が引き起こす症状は社会への大きな負担になっているばかりでなく,国の経済が発展するに従い年々増加していることがわかります.
著者
小野寺 宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.390-395, 2002-05-01

はじめに —呼吸不全死がパーキンソン病の死因第一位—レボドパがパーキンソン病治療の主役となった現在でも,患者死因の第一位は肺炎などの呼吸器合併症である。病期が進むにつれて誤嚥や呼吸器感染症が医療・介護の面で大きな問題となり,パーキンソン病患者の半数以上が呼吸不全死に至るとの報告が多い。パーキンソン病患者が軽い上気道感染症から急速に呼吸不全に陥ることもよく経験するが,突然死の転帰をとることも稀ではない。しかし,パーキンソン病における呼吸機能異常についてはほとんど注目されておらず研究報告も少ない。パーキンソン病特有の無動や固縮による拘束性換気障害や喀痰排出障害,あるいは誤嚥のため,単純に呼吸器合併症が多いものと考えられてきたからである。しかし,呼吸調節にはドパミン系やノルアドレナリン系,アセチルコリン系などのニューロンが重要な役割を果たしており,これらの神経伝達系がパーキンソン病において著明に障害されることは周知の事実である。そこでわれわれは,パーキンソン病における化学的呼吸調節機能を検討した結果,低酸素時の呼吸調節障害により呼吸困難感を自覚しにくいことを見い出した1)。小論ではパーキンソン病における呼吸調節機能を概観し,突然死が高頻度に認められる多系統変性症(MSA, Shy-Drager症候群)における呼吸調節機能と比較した。
著者
西村 泰彦 Thomas Lübbers 北山 真理 吉村 政樹 服部 剛典
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1124-1135, 2021-11-10

Point・全内視鏡下脊椎手術(FESS)で使用される内視鏡はforaminoscope(椎間孔鏡)であるので,椎間孔からのアクセスを習熟することが肝要である.・水中手術であるため,われわれ脳神経外科医にとって重要な硬膜内外の圧に影響を与えながら処置を行っていることを自覚することが重要である.・FESSは極めて低侵襲な手術手技であるが,その習熟には急峻なラーニングカーブが存在する.
著者
青柳 邦彦 中村 昌太郎 飯田 三雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.370, 1996-02-26

中毒性巨大結腸は,重症の腸炎により腸管が弛緩性に拡張した状態で,通常,横行結腸に認められる.多くは重症の潰瘍性大腸炎に合併したもので,頻脈,発熱,低蛋白血症,電解質異常を伴っている.しばしば穿孔を来し,その場合,死亡率が高率で約50%に及ぶとも言われている.当初,Bockusら1)が“toxic aganglionic megacolon”という名称で記載したが,本症の発生機序として腸筋神経叢の障害以外にも,筋層の広範な破壊や抗コリン薬の使用などが関与する2)ことから,現在では“toxic megacolon”と呼んでいる.なお,原疾患は潰瘍性大腸炎に限定されず,Crohn病,偽膜性腸炎,感染性腸炎(サルモネラ,キャンピロバクター,Clostridium dtfficile,サイトメガロウイルス)でも起こりうる. X線学的には,背臥位での腹部単純写真が診断に有用であり,横行結腸の拡張(直径7~10cm以上)2)3)が特徴的である(Fig.1).拡張した腸管はhaustraが消失し,また潰瘍と炎症性ポリープのため,辺縁のぼけ像を伴う結節状の凹凸像として認められる.
著者
大津 健聖 平井 郁仁
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.670, 2017-05-24

定義 腸間膜静脈硬化症(mesenteric phlebosclerosis ; MP)は,1993年にIwashitaら1)が新しい疾患概念として提唱した.基本的な病態は,腸壁から腸間膜静脈における石灰化に伴う腸管循環不全による虚血と考えられており,右側結腸を中心に炎症反応を伴わない慢性虚血性変化とされている.近年,MPと漢方薬長期内服との関連性が報告されている.なかでも,漢方薬で頻用される生薬である山梔子は8割以上の症例で内服されており,強い関連が考えられる2).MPを疑う症例には,特に薬剤内服歴などの詳細な病歴聴取が必要である.
著者
三輪 英人
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.139-146, 2007-02-01

はじめに プラセボ(placebo)効果は,薬理学的に作用が期待できない偽薬にもかかわらず,何らかの臨床的効果が得られることを示す。一般には,良い治療効果が出現した場合に用いられるが,副作用としてみられる場合もある1)。偽薬によって副作用が出現する場合には,ノセボ(nocebo)効果とも呼ばれる。薬物以外の治療手段においてもプラセボという言葉は繁用されており,シャム手術に対してもプラセボ手術と呼称されている。 プラセボ(placebo)の語源はラテン語で,‘I shall please'(私は喜ばせるでしょう)を意味するとされている1)。このプラセボ効果は,歴史的観点からは,おそらくは近代的医学の発展前には治療効果の本質であった可能性すらあるのではないだろうか。現代の日常診療の中でさえ,実際の医学的治療におけるかなりの部分を占めている可能性が高い。しかし,プラセボを治療薬の1つとして位置づけ得るかに関しては,人道的見地からも,また客観的治療効果の面からも批判がある。Hrobjartssonら(2001)の論文2)は良く知られている。プラセボが使用された100編以上の臨床試験データをレビューした結果,痛み以外の症状を改善する十分な証拠は得られなかったと述べ,新薬開発のための臨床試験以外に治療手段としての偽薬を使用することを批判している。一方で,実地臨床の場において,プラセボ効果が特に顕著であると広く実感されている疾患がある。疼痛,抑うつ,パーキンソン病である3)。本稿では,パーキンソン病におけるプラセボ効果に焦点を当て,その効果が本質的に病態を改善しているらしい臨床的知見や,プラセボ効果とドパミンに関する基礎医学的研究成果などについて述べたい。
著者
入口 陽介 浜田 勉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.574, 2017-05-24

定義 スキルス胃癌の線維性収縮が軽度〜中等度の場合,胃体部大彎の縦走するひだに交錯する横走する粘膜ひだを認め,ベルギーワッフル(Fig. 1)に類似していることから呼称されている1).胃底腺領域に原発巣が存在するスキルス胃癌では,原発巣以外の粘膜層には癌浸潤は認めないため粘膜層の伸展は良好であるのに対して,粘膜下層以深に浸潤している領域では,器質的変化が生じて弾性が消失し,長軸方向と短軸方向の両方向への短縮が認められ,縦走するひだに横走するひだが生じ交錯する形態を呈することがある(Fig. 2,3).