5 0 0 0 IR 幽霊と参加

著者
小林 久高 猿渡 壮
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.1-19, 2014-09

「幽霊を信じる人ほど投票に行ったりボランティア活動をしたりする傾向がある」などと言えば,多くの人は不思議に思うに違いない。本稿の目的は,この奇妙な命題が真実であること,ならびに,この奇妙な命題が成り立つメカニズムについて,計量データを用いて明らかにすることにある。議論ではまず,霊的意識,政治参加,社会参加の間にプラスの相関関係が存在することが示される。次いで,霊的意識が自然志向,象徴志向,儀礼志向,共振性と関連していることが確認され,それらが人間の社会性や身体性に根ざした環境との結合に関わる原初的な意識であることが示唆される。最後に,この原初的な意識が参加を促す1つの道筋について,同類への愛着との関係を考慮しつつ分析される。人の政治活動や社会活動への参加の理由を個人の合理的な利益追求に求めるという観点は重要に違いない。しかしながら,参加を目的合理的な利益実現行動とする視点からは説明できない現象が存在することも事実である。本稿では,「幽霊と参加」という問題を分析することによって,政治参加や社会参加の背後に,個人利益の合理的追求には還元できない世界が存在することを示すものである。
著者
福田 智子 駒木 敏 田坂 憲二 黒木 香 矢野 環 川崎 廣吉 竹田 正幸 波多野 賢治 岩坪 健 古瀬 雅義 藏中 さやか 三宅 真紀 西原 一江 日比野 浩信 南里 一郎 長谷川 薫
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

平安中期成立かといわれる類題和歌集『古今和歌六帖』約4500首を対象に、独自に開発した文字列解析システムを用いて、すべての和歌の出典考証を行った。また、複雑な書き入れに対応したテキストデータ作成のため、タグ付け規則を案出した。そして、六つの伝本のテキストファイルを作成した。それらを対象に、諸本の同一歌を横並びで比較対照でき、しかも、底本を自由に選択できる校本システムを開発した。さらに、伝本の原態、特殊な漢字表記、朱筆書き入れに関する基礎資料を作成した.
著者
大友 達也
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.187-203, 2007

昭和43年11月駐車場500台を持った日本最初の本格的なダイエー香里ショッピングセンターがオープンした。その後、ダイエーが同じ型の店舗を太平洋ベルト地帯に次々オープンすると、ジャスコの店は面白いように閉店させられた。ジャスコは慌ててダイエーが出店しない北陸、東北、山陰へ出店する「逃げの戦略」に切り替えた。そのため、ダイエーは平均30万人の商圏に対して、ジャスコの店舗のお客様は8万人が平均だった。こんな小さな商圏なので、ジャスコは高占拠率が取れるノーハウを努力して蓄積していった。これが今ジャスコの最大の武器になっている。平成に入って、ジャスコはダイエーの店がある太平洋ベルト地帯へ、蓄積したノーハウで千台以上の駐車場を持つ大型店を出店して来た。そうすると、ダイエーの店舗は戦いに敗れ、次々潰れた。私はこの現象を「イオンの弔い合戦」と名づけた。これに対して、ダイエーはアメリカのウオルマートやフランスのカルフールの店舗を研究し、新型の「ハイパーマート」でイオングループに対抗した。だが、結果は惨敗。中内さんは責任を取って、ダイエーを去った。次の若い社長は「ハイパーマート」の店に修正を加えて対抗したが、駄目だった。政府は巨額負債のダイエーの倒産を恐れ、強圧的に産業再生機構を適用し、丸紅主導でダイエーの再建を計ったが上手く行かず、丸紅はイオンに助けを求めた。5月24日のダイエー株主総会はイオンから2名の取締役を受け入れた。昭和40年代馬鹿にしていたあの弱小ジャスコ(現イオン)の軍門にダイエーが入ると誰が想像したであろうか。
著者
久留島 元 Hajime Kurushima
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2014

https://doors.doshisha.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB12905772/?lang=0
著者
谷ノ内 識 Satoshi Taninouchi
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2018

https://doors.doshisha.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB13060302/?lang=0
著者
藤本 昌代
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

この研究は低流動性社会としての日本、高流動性社会としての米国シリコンバレー、中流動性社会のフランスで就業する人々の組織間移動、就業観の比較を行ったものである。本研究の対象者は科学技術系の研究者・技術者である。頻繁な転職が多く、世界中で注目を集めるシリコンバレーでは起業する成功者だけでなく、解雇や倒産に不安も抱える人々も多かった。しかしながら、分析の結果、組織と長期的な関係を築く日本の研究者、技術者より、解雇が多いシリコンバレーや中流動性社会のフランスの研究者、技術者の忠誠心の方が高いことが明らかになった。このことから組織に対する忠誠心は勤続の長さでは規定されないことが発見されたのである。
著者
中田 考
出版者
同志社大学
雑誌
一神教学際研究 (ISSN:18801072)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.63-77, 2006

イスラームはアダム以来の全ての預言者の宗教であり、救済が「ムハンマドのウンマ」を越えて、全ての「一神教徒」に及ぶことは、宗派、学派の違いを超えたイスラームの合意事項である。ムハンマドの宣教以降については、ムハンマドのウンマを越えた救済の可能性については、スンナ派の「正統」アシュアリー派神学が、イスラームの宣教が届いていない者の救済を認めている。同派による異教徒の救済論は、外在的な妥協の産物、折衷策ではなく、思想の内在的な理論的要請から生まれたものである。私見によれば、同派の救済論の伝統を継承し深化発展させることこそが、将来のイスラームと他宗教の共存の神学的基礎となる。また宣教が届いていない者の救済を説く学説は、イスラームとの接触の歴史的が浅く、先祖への想いが強い国における宣教においては極めて重要な実践的帰結を有する。祖先供養の禁止は宣教の大きな障害となりうるからである。
著者
西川 和樹 Kazuki Nishikawa
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2022

source:https://doors.doshisha.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB13194889/?lang=0
著者
高橋 侑里 Yuri Takahashi
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2022

source:https://doors.doshisha.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB13194890/?lang=0
著者
斎藤 尚久
出版者
同志社大学
雑誌
同志社商学 (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.224-255, 1987

研究 出石邦保教授 追悼号
著者
岡本 由美子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-07-19

研究5年目は、2つのことを行った。まず第一に、社会的インパクト調査の具体的な調査手法について、さらに詳細に学んだ。その知識を活用し、委託調査を通じて、フェアトレード(FT)を含めた国際認証制度の小規模農家組合員に与えたインパクト調査を行った。第二に、組合長に対して詳細なインタビュー調査を行い、2019年度までに得られていた調査結果の理解をさらに深めた。その結果、以下のことが明らかとなった。まず第一に、国際認証制度の存在は、収入の安定・増加のみならず、女性の地位向上、社会面での充実、環境への意識の高まり等により、SDGsの達成と人間の幸福感の向上をもたらす可能性が高いことが明らかとなった。具体的には、国際認証制度の中でもFTは組合の結成とあらゆる面での差別撤廃を求める国際基準であるため、FTをきっかけにしてジェンダー平等化が進展していることが分かった。これに加え、国際認証制度の存在により、環境に対する意識の劇的な向上が明確となった。収入の増加は確実に子供の教育や医療への支出の増加に向けられているが、これは必ずしも組合員の特徴だけではなく、純粋なインパクトとは言えない可能性はある。最後に、国際認証制度の取得を通したコーヒーの生産・販売に取り組む小規模農家組合員の方がメンバー以外の農家に比べ、確実に、well-beingの向上に繋がっているとの調査結果を得た。しかし、国際認証制度はいい面ばかりではない。もちろん、これは国際認証制度を取得した組合員だけの問題ではないが、コーヒーの価格が安定、又は、上昇することによって小規模農家がコーヒー生産に特化してしまい、それまで、自家生産をしていた食糧生産を減らす傾向が明確となった。フードセキュリティーの問題の深刻さが明らかとなった。今後は国際認証制度の負の側面を考慮に入れながら制度設計を行う必要性があることが明らかとなった。
著者
山本 浩三
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.124-136, 1960-01-20

資料
著者
田村 雲供
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.1-30, 2007

第一次世界大戦後のドイツ・ヴァイマル共和国では、開放は同時に消費指向性をもたらした。まず「性」の解放が進む。これは産児制限への欲求となって「性相談所」の設立をうながす。1919年から1932年までに400件以上の相談所ができ、そのうちのほぼ400件がベルリーンに集中していた。20年末には最高潮となる。フェミニスト、ヘレーネ・シュテッカーは精力的に相談所設立にかかわり、「性の民主化」をおしすすめた。しかし、1926年以降には公営の「結婚相談所」が設けられ、その方針は社会ダーウィン主義的な選別的断種においていた。「性科学」と「優生学」への両極化へのプロセスがはじまる。しかし、ナチズムはすべての成果を破壊する。