著者
原田 隆史 高久 雅生 小野 永貴 杉岡 秀紀 真山 達志 逸村 裕 江草 由佳 岡部 晋典 小泉 公乃 山本 順一 安形 輝 桂 まに子 岸田 和明 佐藤 翔
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,「資料」「来館者」「非来館者」「知の拠点」「図書館制度・経営」という5つの観点を研究する5 つのグループを設定して,日本の公共図書館全体を対象とする大規模な質的・量的調査を実施する。これによって日本の公共図書館に関して,それぞれの機能・サービスの基準とし,規模や地域経済など,図書館の状況に応じたベースラインを明らかにする。本研究により日本の公共図書館すべてに適用可能な評価パッケージを開発可能にすることが可能になると考えられる。
著者
クロス ロバート
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.89-115, 2010-12

シャーム・ベネガル監督のデビュー作品である『Ankur/(邦題)芽生え(1973年)』は、インドの芸術映画の功績である。この物語は、インド初代首相であるジャワハルラール・ネルーのリベラルな人道主義的イデオロギーを、ベネガルが終生信奉していることを明らかにしている。非宗教的で、平等かつ近代的な、新しい独立国家インドを創出するという、ネルーの壮大なプロジェクトは、不可触民や女性の権利を保護することを目的にした社会改革や、近代的なインフラを整備するための技術的な戦略、若い世代をはぐくむ教育的で文化的な活力を含んでいた。しかしながら、ネルー時代(1947年〜64年)の業績は一様でなく、ネルー自身の残したものについては論争がある。『芽ばえ』のイデオロギー的背景にあるのが、後に失敗に終わる「ネルー主義のプロジェクト」のこの初期の期待である。ベネガルは、インドの社会を変える最大の希望は、女性の手の中にあるとするネルーの基本的な信念に共感している。そのため、『芽ばえ』の主人公は、非抑圧的階級である不可触民であるラクシュミであり、物語は、封建的で家父長的な抑圧にもかかわらず、彼女が自分の能力を高めていくというドラマになっている。本稿は、『芽ばえ』が、ベネガルがネルー時代の失敗を認めると同時に、インド社会の再生のためには、それでもなおネルー主義のイデオロギーが最善の方法である(少なくとも映画が公開された1973年時点では)と信じていることを表現していると主張する。したがって、本稿で呼ぶ「ネルー主義の女性」である、ラクシュミが象徴する人物は、ネルーが1947年に構想した、非宗教的でより公正で進歩的なインドのための、ベネガルが抱く指導者像である。
著者
内田 智雄
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.124-138, 1957-01-30

資料訳ならびに注:中国法制史研究会
著者
太田 肇
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

インターネットをはじめとする情報通信技術の発達、経済のソフト化に伴い、人的資源管理が変化している。第一に、時間と場所とにとらわれない働き方が進行している。とりわけアメリカの企業においては、在宅勤務などの普及が著しい。一方わが国では、技術的条件は整っていても、職場の風土や仕事の進め方(いわゆる集団主義)の面での制約から、働き方の柔軟化は後れている。第二に、IT化・ソフト化に伴って個人の能力格差が増幅された形で成果に反映されるようになったため、それが処遇の格差をもたらす要因になっている。それは、わが国でも成果主義の普及という形で現れている。第三に、IT化やソフト化に伴って、より質の高いモチベーションが要求されるようになり、それが動機づけの内容に影響を与えている。その中でもとくに注目されるのは、金銭的報酬より非金銭的な報酬、とりわけ個人の承認欲求に働きかける動機づけである。企業その他の組織において行った実証研究の結果、顧客からの感謝や承認を従業員にフィードバックしたところ、モチベーションや組織・仕事に対するコミットメントなどが向上することが明らかになった。
著者
石原 堅司 西納 春雄 時岡 ゆかり 吉村 俊子
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.[55]-67, 2010-08

論文(Article)本研究は2008年度に関西地区の6大学、約880名の学生を対象に実施した英語力実態調査の結果を報告するものである。1994年度に実施された英作文実態調査と同じテストやアンケート用紙を使用し、15年間で学生の英語力や教育環境がどのように変化したかを比較、考察する。最後に、調査結果を基に、現在の大学生に対する効果的な英語教育の方向性を提案したい。This study examines the changes that have occurred in Kansai-area college students' English ability during the fifteen-year period between 1994 and 2008. In 1994 a survey of the English skills of approximately 1000 students was conducted at seven Kansai-area universities. A similar survey was conducted in 2008, involving 880 students from six Kansai-area universities. The tests and questionnaires used in the two surveys were the same. The results of the surveys were compared in order to assess any changes that might have occurred in the intervening fifteen-year period. Several suggestions for improving English education for current university students are offered.
著者
岡 道男 岡 道男
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.27-68, 1969-01-15

資料
著者
玉井 史絵
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.[1]-25, 2008-08

論文(Article)19世紀のイギリスでは、王室の実質的な権威が低下するのと反比例して、スペクタクルとしての王室の式典の重要性が高まっていったとされる。多くの歴史家は王室の式典が帝国に歴史的な威光を付与し、国民を一つにする象徴的役割を担ったと論じている。そこで、本論ではヴィクトリア朝を代表する視覚メディア、『イラストレイティッド・ロンドン・ニュース』がどのようにジュビリーを表象し、王室の象徴的役割を具現化したのかを検討した。This essay aims at examining the representation of two Queen Victoria's jubilee celebrations, the Golden Jubilee in 1887 and the Diamond Jubilee in 1897 in the Illustrated London News (ILN). It has been argued that the spectacle of royal ceremonies acquired more importance as the political power of the monarch waned. Queen Victoria's jubilees had a symbolical function of attaching the monarch historical luster and uniting the nation and the empire. This essay examines the way in which one of the most popular media of the day, the ILN, represented the jubilees and materialized the symbolical function of the monarch.
著者
望月 詩史
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.1043-1086, 2009-07

研究ノートNote石橋湛山の日蓮論には、二つの特徴がある。第一の特徴は、現状批判の手段・方法であった点である。第二の特徴は、「危機の時代」における日蓮論が、湛山の愛国心の高まりやそれに伴う揺らぎ、動揺と連関していたことである。この時代状況の下で、彼は愛国心が刺激され、その発露が日蓮論という形で示されたのであった。日蓮論は、湛山の愛国心を考える上で非常に重要な位置を占めると考えられる。TANZAN ISHIBASHI was famous journalist in modern Japan. He was a liberal, democrat and patriot. In his argument for NICHIREN who was renowned Buddhist in middle Japan, there are two features. The first is that it is a method of criticizing political, economical, social situation. The second is that it reflect his patriotism. Under a critical situation, Asia-pacific war and Korean war, he was upset by patriotism. However, he regained his own confidence through the discussion about NICHIREN and overcame the shake. Patriotism is an essential issue in study of ISHIBASHI's political thought. It is important to examine argument about NICHIREN.
著者
中山 俊
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.83-108, 2014-02

1887年3月30日,フランスにおいて建造物と美術品の保護にかんする法律が初めて成立した。歴史的,美術的見地から「国民の利益」を有する不動産と動産,いわば歴史的記念物を指定することで,中央政府の許可のない修復工事,譲渡等を抑止することが立法の目的であった。以後,地方の学術団体は,指定するに値する文化遺産を推薦するよう求められた。トゥールーズでは,郷土史家団体のフランス南部考古学協会(SAMF)がそれに対応した。彼らは芸術の町としての過去の栄光を誇り地元の作品を保護するため,トゥールーズ独自の建造物,美術品をも指定しようとした。しかし,とくに動産にかんしては,指定に対する所有者の消極的な態度によりSAMFは情報を十分に収集することができなかった。「国民の利益」にこだわる政府と地方の連携もまた容易ではなかった。それでも,指定された建造物,美術品はSAMFが推薦したものであった。1887年法に基づいて行われた指定事業は,文化遺産を「大きな祖国」の国民芸術として保護するためのものでは必ずしもなかった。郷土史家は指定を通じて,「小さな祖国」に特有の文化遺産の保護に貢献したのである。
著者
岸 文和
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、近代に固有の「芸術家」イメージがどのような歴史的過程を経て成立したのかを、画家や絵画について語るさまざまな言説を分析することによって明らかにすることにある。この目的を達成するために、本研究では、次のことを行った。第1に、画家や絵画に言及する多様なテクスト-伝説/説話/物語/伝記/画史/画論/随筆/評論/小説-を渉猟して、膨大な数の逸話を収集した。ここで「画家」と言うのは、狭い意味では、絵画を専門とする人のことである。また、「逸話」とは、本来、特定の画家の行為/性格などが具体的に/生き生きと表象されている物語的なテクストのことである。しかし、いわゆる「常套句」に近いものも採っている。第2に、収集した逸話のそれぞれについて内容を要約し、さらに一定のトポスへと抽象度を高めることを試みた。ここで「トポス(topos)」と言うのは、画家や絵画について繰り返し使用される定型的な物語のパターンのことである。第3に、すべての逸話を、画家を単位として取りまとめ、それらの画家を絵所絵師/絵仏師/画僧/御用絵師/町絵師/文人画家/浮世絵師のカテゴリーに分類した。第4に、それぞれの画家カテゴリーごとに、どのような種類のトポスが選ばれ、どのような種類のトポスと組み合わさ、どのような場面における、どのような人物の、どのような行為/性格として具体化/具象化されるかを分析した。第5に、このようなトポスの《選択》と《結合》と《具象化》の仕方を分析することによって、特に近世の文人画家イメージと、近代の芸術家イメージとの間に、「個性を/内面性を表現する」「世間におもねらず」というトポスの点で、連続性と非連続性とが存在することが判明した。
著者
山本 浩三
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.77-88, 1959-11-30

資料
著者
山本 浩三
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.98-113, 1957-09-20

資料
著者
三宅 威仁
出版者
同志社大学
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.59-78, 2003-09

論文改革派認識論はアメリカ合衆国に移入されたオランダ新カルヴァン主義運動を母体とし、古典的基礎付け主義やそれに由来する無神論的証拠主義を論駁する意図をもって登場した。改革派認識論によれば、有神論的信念はキリスト者にとって適正に基本的であり、いかなる証拠によって基礎付けられていなくとも合理的である。また、キリスト教が真であると仮定すれば、キリスト教の諸信念は知識として保証される。Reformed epistemology originated in the Dutch neo-Calvinist movement, that had been transplanted in America, with the intention of disproving classical foundationalism and atheistic evidentialism. The main thrust of Reformed epistemology is that for Christians theistic belief is properly basic and rational without any evidential foundation. And that, if Christianity is true, Christian beliefs are warranted as knowledge.
著者
田中 八州夫
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.139-153, 2012-03
被引用文献数
1

研究ノート(Note)地域包括ケア研究会2009年度報告書において公表された「地域包括ケアシステム」は、医療・介護・予防・生活支援・すまいの5つを軸とした社会資源を活用することにより、高齢者が安心して住み続けることのできる地域をつくることを目標としている。この地域包括ケアシステムは、第5期介護保険事業計画のグランドデザインとして位置づけられ、システムを推進する中心的な役割を果たすのが地域包括支援センターである。本論文では、地域包括支援センターのおもな業務である「介護予防支援」「総合相談」「虐待防止・権利擁護」「包括的・継続的ケアマネジメント」のうち、地域包括ケアシステムにおける「総合相談」の重要性を明確にする。そして、地域包括支援センターの運営形態及び地域包括支援センターを構成する「保健師」「社会福祉士」「主任ケアマネジャー」の3職種の現状と課題を明らかにする。そしてその課題に対し、運営形態に関する改善策及び今後地域包括支援センターの職員に必要とされる資質・スキルについて検討していく。
著者
菅澤 貴之
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、量的調査と質的調査を組み合わせた混交研究法(Mixed Methods Research)を用いて、大学中退者の職業への移行やキャリア形成の変遷について、多元的な視点から捉えることにある。研究2年目となる平成29年度は、探索的な計量分析を中心に研究活動を展開した。今回の分析では、「2015年SSM調査」と「2005年SSM調査」の2つの調査データを合併して使用した。これは「大学中退」現象が日本社会ではレアイベントであるため、1つの調査データのみを用いた場合、ケース数(大学中退者数)が少数にとどまるおそれあったためである。分析結果は、2015年SSM調査研究会において報告し、年度末に論文(「戦後日本社会における大学中退者の職業への移行―傾向スコア・マッチング法による比較対照分析―」)にまとめることができた。なお、論文は『2015年SSM調査報告書』の第1巻(調査方法・概要)に収録され、すでに、2015年SSM調査研究会のウェブサイト(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/2015SSM-PJ/report.html)より公開されている。さらに、昨年度から引き続き、先端的な統計手法の習得を目的として、ICPSR(The Interuniversity Consortium for Political and Social Research)国内利用協議会が主催する統計セミナー(平成29年9月5日~9月6日)に参加した。セミナーへの参加により、平均処置効果モデルおよび潜在クラスモデルについて理解を深めることができた。なお、セミナーで習得した統計技法は、上述した報告書論文の作成に活かされている。
著者
中村 義樹
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.219-232, 2005-12

研究(Note)保育所待機児童問題は、大きな社会問題となっている。政府は「待機児童ゼロ作戦」を打ち出し待機児童解消政策を実行している。しかし、保育所施設数および保育所利用児童数が増加しているにもかかわらず待機児童数は増加している。女性の就業率の上昇、および核家族化等の要因により、保育所の利用を希望する勤労世帯が増えているからである。待機児童を解消するには3つの手法が考えられ、一つは保育所数の増加、二つ目は育児休業制度の整備、三つ目は所得保障制度の整備である。本稿では、保育を必要とする子どもの親の就業支援を考慮し、三つの手法のうち第一の保育所の整備を選んだ。理由として育児と仕事を両立する形で望ましい保育サービス環境を地域に作っていくことが大事だと考えたからである。本稿の目的は、進む少子化の中で、増える保育所待機児童問題をとりあげ、既存の社会資源を活用した保育所整備の可能性を検証することにある。そこで、神戸市の待機児童数に着目し、神戸市内の特別養護老人ホームを社会資源としてとらえ、特別養護老人ホームに保育所を併設する施策によって、待機児童数の早期解消と保育所整備コストの軽減の可能性を分析している。