著者
伊藤信博
出版者
名古屋大学
雑誌
言語文化論集
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, 2009-10-09
著者
伊藤 カンナ
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學法政論集 (ISSN:04395905)
巻号頁・発行日
vol.260, pp.211-229, 2015-02-25

本論文は、平成23-26年度科学研究費補助金基盤研究(A)(課題番号23243026)「日米特殊関係による東アジア地域再編の政治経済史研究」の助成を受けた研究成果の一部である。
著者
佐藤 彰一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

タキトゥスが『ゲルマーニア』を著した後1世紀以前の北西ヨーロッパを生活圏とした「ゲルマン人」の実態を探る一環として、彼らの経済生活を解明しようとした。筆者はタキトゥスの前掲書第45章に見える、ゲルマン人の琥珀交易の実態を解明したいと考えた。琥珀は松材に含まれる樹脂が化石化したもので、北海沿岸からバルト海南岸、南東岸、東岸を産地としている。古代の著作家の記述にはシチリア島や地中海北岸のリグリア地方でも産するとあるが、通常琥珀酸10~13%含まれるのに、これらの地域から産するものには琥珀酸の含有が欠けていて、紛い物である。真正の琥珀は「北の黄金」と称され、装飾品、薫香剤として重宝され、現在の中東地域まで「輸出」された。この点は最近シリアで発見された貴族身分の女性の墓から見つかった琥珀ビーズが蛍光スペクトラム分析で、バルト海産の琥珀であることが実証されている。研究は古典古代の著作家の記述の網羅的な調査と、そこから浮かび上がるバルト海地方とギリシアを初めとする東地中海地方との交易のルートの調査を行なった。後者の問題は主に最近の考古学研究の発掘報告書に導かれた。ホメロスも含めて、ホメロス以前の琥珀に関する所見があり、筆者が注目したのは交易ルートのうち、おそらく最も古いと思われるものがバルト海から南ロシアを経て、黒海に至るルートである。それはトロイ戦争が起こったとされる前1200年よりも古い『アルゴナウタイ』の伝承に反映していると思われる。「アルゴナウタイ」の航海者たちが、黒海から現在のアゾフ海に入り、ドン川を遡り、いくつかの河川ルートを使って、バルト海と思しき海に達し、そこから北海に入り、イベリア半島を周航し、「ヘラクレスの柱」すなわちジブラルタル海峡をへて、地中海経由で故郷ギリシアに帰還するのである。北西ヨーロッパと東地中海世界との交易は、想像以上に古い歴史を持っているのである。
著者
南 雅代 淺原 良浩 山本 鋼志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

・骨中のストロンチウム(Sr)同位体比が、生育地の地質のSr同位体比を反映することを、現生動物・魚と地質のSr分析から確認した。・鎌倉由比ケ浜遺跡から出土した人骨・歯、獣骨のSr分析を行なった。骨中のSrは続成Srに置換されていたが、歯エナメル質は食物Srを保持しており、人の生育地(地質)の推定に使えることを示した。・骨Srの考古学研究に必要な地質Sr同位体比マップの作成にとりかかった。・微少量の骨試料による高確度^<14>C年代測定のための検討を行った。
著者
本 秀紀 愛敬 浩二 森 英樹 小澤 隆一 植松 健一 村田 尚紀 木下 智史 中里見 博 小林 武 上脇 博之 奥野 恒久 近藤 真 植村 勝慶 倉持 孝司 小松 浩 岡田 章宏 足立 英郎 塚田 哲之 大河内 美紀 岡本 篤尚 前原 清隆 中富 公一 彼谷 環 清田 雄治 丹羽 徹 伊藤 雅康 高橋 利安 川畑 博昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

比較憲法研究・憲法理論研究を通じて、(1)先進諸国が「ポスト・デモクラシー」という問題状況の中でさまざまな問題を抱えていること、(2)各国の政治状況・憲法制度の差異等が原因となって、その問題の現れ方には多様性があること、の2点が確認された。そして、「ポスト・デモクラシー」の状況の下で国内・国際の両面で進行する「格差社会」化の問題は、今日の憲法制度・憲法理論において有力な地位を占める「法的立憲主義Liberal Democracy」の考え方では、適切・正当な対応をすることが困難であることを明らかにした。以上の検討を踏まえて、民主主義をシリアスに受け止める憲法理論の構築の必要性が確認された一方、「政治的公共圏」論を抽象論としてではなく、(日本を含めた)実証的な比較憲法研究との関連において、その意義と問題点を検討するための理論的条件を整備した。
著者
羽賀 祥二
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、20世紀前期(明治末縲恟コ和戦前期)の地域社会の歴史像を構築した郷土史家の歴史学的方法論と歴史叙述に表れた歴史的構想力について考察を行い、彼らが地域社会のアイデンティティーの創出、地域の歴史的起源や文化的多様性の発見、地域の再生にどのような役割を果たしたのかを解明することである。本研究では、次の調査・研究を実施した。(1)愛知県の郷土史家である津田応助の関係史料(象山文庫)が所蔵されている小牧市図書館の調査を行い、彼が編纂した郡町誌関係の史料、津田日記などの所在を確認し、一部の撮影を実施した。(2)津田編『贈従五位林金兵衛伝』の編纂の過程を知ることができる『林金兵衛家文書』を購入し、整理作業を近代史料学の授業の際に実施した。ここには林金兵衛の地租改正反対運動に関する貴重な史料も含まれており、明治前期の尾張地域史の実証研究にも貢献することができる。(3)東海地域を中心として歴史遺産の発掘と保存、郷土史家の地域史研究、名古屋における郷土史の形成と歴史祭典の実施に関する論文を公表し、この地域の歴史意識の特徴、郷土史家の歴史的役割に関して考察をおこなった。また、暫定的ではあるが、『林金兵衛家文書』の目録を作成できたことは、今後郷土史研究を進めていく上で、基礎的な作業となった。
著者
レザーイ アリレザー
出版者
名古屋大学
雑誌
国際開発研究フォーラム (ISSN:13413732)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.175-196, 2013-03

Language is born out of actual societal relationships. As swear words are a part of language, it goes without saying that these can be used as one portal to investigating the non-material culture of a community. This article examines how the concept of 'phallus' can be used as an indicator of concepts of 'masculinity' in a culture, and how ideas of both of these appear in sexual swear words. This article will focus on why Japanese language does not possess the same sexual swear words that hint violating a man or the women in his family, as appears in many languages in the Middle East(e. g. Arabic, Persian, Turkish) and Mediterranean regions(e. g. Italian, Spanish, French).
著者
堀田 典裕
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、1960年代初頭に建設された「伊勢湾台風復興住宅」の全容を解明し、その建築デザインについて史的考察を加えたものである。最初に、伊勢湾台風後の復興都市計画と公営住宅に関する資料の悉皆調査を行い、次に、現存住宅の実測調査を行った。前者では、自治体による都市計画のみならず黒川紀章や浅田孝による農村都市計画を、干拓地の復興計画という観点から再評価し、後者では、勝田千里(鍋田干拓・川口干拓・平坂干拓)や小菅百寿(城南干拓・水茎干拓)によるCB造住宅と、農林省(多芸輪中)によるRC造集合住宅について、同時代の都市住宅における建築計画と構法が応用された実験農村住宅として評価した。
著者
増田 知子 角田 篤泰 中村 誠 佐野 智也 小川 泰弘
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は「昭和天皇実録」を用い、情報の抽出・加工を行うことで、天皇を頂点とする権威的秩序と明治期から戦後まで続いた寡頭政の変遷を分析することを目的とする。(a)宮内庁から入手したデータからテキストデータを作成し、拝謁者等の氏名・肩書の抽出を行った。結果、44322種類の肩書と人名のセットを抽出できた。出現回数の多い肩書を見ると、親王、内大臣、宮内大臣が上位に来ることがわかった。また、1941-44年について、人物ごとに月ごとの拝謁回数をグラフ化したところ、歴史的事件との相関関係が見いだせる可能性が高いとわかった。(b)(a)に関連し、『法律新聞』のデータ整備を行い検索データベースを完成させた。
著者
福田 純也
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

最終年度となる本年度は,主に「どのような言語項目は意識的注意が当たりやすく,どのようなものは当たりにくいか」,そして「意識されやすい言語項目はより良く習得されるか」という点に関して,認知心理学において近年注目を浴びている半人工言語学習パラダイムをもちいた実証的調査を行った。こ本年度に実施した実験においては,主として言語項目の形式-意味の結びつきの卓立性が言語項目の意識されやすさと,その結果得られる意識的・無意識的知識にどのように介在するかを調査した。実験には43人が参加し,半人工言語の限定詞を学習した。学習者は,[+/-単数],[+/-有生],および [+/-行為者]が設定された。[+/-単数]は明示的に教授される項目であり,[+/-有生]は付随的学習条件かつ卓立性の高い項目,および[+/-行為者]は付随的学習条件かつ卓立性の低い項目として設定した。そのような調査の結果として,学習時の意識と,その結果得られる知識のタイプ(意識的・無意識的知識)には,当初から予想していたものより複雑な関係が見られることが明らかになった。具体的には,卓立性の高い項目は意識的知識としても無意識的知識としても学習されやすく,無意識的に学んだ場合は無意識的学習のみが促進されていた。卓立性が低い言語項目は意識されたとしても無意識的知識として習得されにくく,意識された場合においてのみ意識的知識が得られる可能性が示された。そして,無意識的学習を行った学習者は,直後テストにおいてはいかなる知識も得ていない見えたものの,時間が経つにつれて徐々に文法規則に対する知識表象が発現する可能性が示された。この結果は,無意識的知識の習得をも促進するといったプロセスを示唆し,さらに卓立性の低い項目はそのようなプロセスが促進されにくく,意識のされやすさと習得は卓立性を介して複雑な関連を持つことを示している。
著者
織田 揮準
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學教育學部紀要. 教育心理学科 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.7-42, 1968-03-25
被引用文献数
5

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
只木 良也 沖野 外輝夫 青木 淳一 斎藤 隆史 萩原 秋男
出版者
名古屋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

1.名古屋市内やその周辺の二次林について、リターフォールの季節変化、構成樹種の葉緑素の充実と成長、フェノロジー、現存量などの調査。その生産力が、貧立地にもかかわらず予想外に大きいことを確認した。名古屋市近郊里山の具体的な保全利用計画立案に参画した。(只木)2.都市樹林地で、その活動による土壌気相中のCO_2濃度の垂直分布を調べ、樹林地の環境保全効果の実態を解明した。また、外気のCO_2濃度に応じた樹木のガス交換能力、すなわち光合成、呼吸、体内蓄積(成長)などの挙動を実験的に検討し、樹木や森林の存在と空中水分の関係についても実測した。(萩原)3.都市域と里山で、鳥類の種構成、個体数の相対出現頻度および両地区の類似度を比較した。都市域の鳥類相の大部分は、里山の鳥類相に起源を持ち、都市鳥類化は、里山→農村域→都市域の順に生じたと考えられる。これを確認するためには、さらに農村域の鳥類相を調査する必要がある。(斎藤)4.都市域およびその周辺域の緑地において、豊かな自然を維持するために土壌表層の管理が重要であるが、千葉・神奈川・東京の3都県下の緑地における65地点において「自然の豊かさ」の評価を行った。その結果、評価点は自然樹林地で高く、次いで人工林や竹林、草地では評価点は低かった。(青木)5.ヨシ原実験圃場での生物群集の変遷と水質の変化について追跡調査。植物相のみならず、実験圃場に飛来する昆虫類の季節的変化も観測した。諏訪湖湖畔の再自然化計画の立案にも参画。ヨシ原実験圃場その他の研究成果を生かして、湖内に生育する水生生物の視点からの造成計画を進めた。(沖野)6.過去3年間の研究成果を踏まえて、人工集中域の自然や緑地の望ましい姿を討議し、各人の研究成果とともに研究成果報告書(「人間地球系重点領域研究B008-EK23-18」)を刊行した。(全員)
著者
中塚 武 木村 勝彦 箱崎 真隆 佐野 雅規 藤尾 慎一郎 小林 謙一 若林 邦彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

全国の埋蔵文化財調査機関と協力して、年輪酸素同位体比の標準年輪曲線の時空間的な拡張と気候変動の精密復元を行いながら、酸素同位体比年輪年代法による大量の出土材の年輪年代測定を進め、考古学の年代観の基本である土器編年に暦年代を導入して、気候変動との関係を中心に日本の先史時代像全体の再検討を行った。併せて、年輪酸素同位体比の標準年輪曲線(マスタ―クロノロジー)を国際的な学術データベースに公開すると共に、官民の関係者への酸素同位体比年輪年代法の技術一式の移転に取り組んだ。
著者
阿部 文雄 原田 知広
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、従来仮想的な理論研究の対象でしかなかったワームホールを観測的に検証する手段の研究を行い、さらに実際に探索を実施してその存在量に制限を付けることを目指した。さらに、こうした探索の理論的意義や存在可能性など、ワームホール検証を前提とした研究を前進させることを目指した。このため、2回の研究会を実施し、さらに学会などの場を利用して理論・観測の研究者間の交流を深め、議論を行った。その結果、複数の方法が考案され、実際に存在量の上限を求めることに成功した。また、ワームホールの安定性など関連した研究も進展した。一般の人の関心も高く、講演会などを通じて一般社会人との交流ができたことも大きな成果である。