著者
鳥本 司 岡崎 健一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

シリコン太陽電池に変わる次世代太陽電池の材料として、Cdなどの毒性の高い元素やInなどの希少元素を含まず、かつ高い光活性を示す環境調和型の半導体材料であるCu_2ZnSnS_4(CZTS)が注目され、薄膜太陽電池が試作されている。しかしながら、これまでにCZTSナノ粒子の化学合成はほとんど報告されていなかった。そこで本研究では、高温有機溶媒中における化学反応を利用してCZTSナノ粒子の液相合成を行い、得られた粒子についてその光電気化学特性を調べ、太陽電池の光吸収層としての可能性を検討した。対応する金属イオンの酢酸塩と硫黄粉末を、化学量論比で混合しオレイルアミンに分散させた後、240℃で加熱することにより、5-7nm程度の粒径をもつCZTSナノ粒子を合成した。粒子は、その表面がオレイルアミンで修飾されており、溶液中に安定に分散した状態として得られる。光吸収スペクトルから、粒子のバンドギャップエネルギーは約1.5eVと見積もられる。つぎに、エタンジチオールを架橋剤とする交互吸着法によって、粒子サイズを保ったまま、CZTSナノ粒子を透明電極基板上に積層した。得られたナノ粒子薄膜電極に可視光を照射すると、カソード光電流が得られ、CZTSナノ粒子はp型半導体特性を示した。また、900nm以下の波長の光照射に対して応答した。光電流の立ち上がり電位が、CZTSナノ粒子の価電子帯上端の電位であると見なすと、得られた粒子の伝導帯下端および価電子帯上端の電位は、各々、-1.2Vおよび0.3V vs.Ag/AgClであると見積もることができる。同様の手法を用いることによって、様々な化合物半導体のナノ粒子化が可能となり、本研究成果は、将来の半導体ナノ粒子を用いる太陽電池開発に大いに役立つ。
著者
眞継 隆 ヨーゼフ ブリンク ヘルマン フランケ ジークフリート ハウザー アロイスオーバー ハウザー 吉田 猛 岸田 民樹 根本 二郎 荒山 裕行 奥村 隆平 千田 純一 HAUSER Siegfried BRINK Hans-Joseph OBERHAUSER Alois FRANCKE Hermann ジーク・フリート ハウザ ラルフ・ボード シュミッ アイロス・オーバー ハウ テオドール ダムス 小川 英次 木下 宗七 藤瀬 浩司 ハウザー ジークフリート シュミット ラルフ・ボー オーバーハウザー アイロ ダムス テオドール
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

欧州共同体(EC)は.1992年末までに市場統合を目指しており.世界経済に対するその影響はきわめて大きい。国際化を進めつつある日本にとっても.EC市場が統合後にどの程度開放されるかは重要関心事であり.本研究において.貿易.金融.農業.企業立地などを中心に.統合市場の下で展開される域内政策と対外政策の日本経済に及ぼすインパクトを多面的に分析し.日本の対外政策のあり方について総合的に考察した。また.新しい問題として東西ドイツの統一がもたらす諸問題や.しだいに広域化していく環境問題についても検討を加えた。共同研究者が執筆した論文は,まず1991年3月に開催された共同研究会で報告が行われ,その成果が研究報告書『EC市場統合とドイツ総一』しとて,名古屋大学経済学部から1992年3月に出版された。日本側からは,真継隆「1992年EC市場統合と日本の製造業」及び千田純一「EC金融統合と日本の銀行・証券会社」の2論文が収録されているが,前者は日本からECに進出している機械メーカーと自動車メーカーを取り上げ,ECにおける貿易摩擦と日本企業の対応を論じている。また後者は,ECの92年市場統合への取り組みのうち,金融システムの統合に焦点を合わせ,わが国の銀行・証券会社がそれをどのように受け止め,どのように対応しようとしているかを考察した。ドイツ側から提出された研究論文は,B.キュルプ「欧州共同体における政策協調の必要性と経済安定効果」,H-H.フランケ「ヨーロッパ中央銀行制度の成立過程-フランスとドイツの対応-」,Th,ダムス「ドイツ統一と経済システムの比較-欧州統合及び東欧諸国の問題点を背景として-」,A.オーバーハウザー「東欧諸国の財政と市場経済への転換」,H-J,ブリンク「東ドイツ新企業の経営問題と解決第一計画経済から市場経済への移行の中で-」,F.ショーバー「国際的企業戦略のための情報・計画策定システム」等であり,ECとドイツ経済の現状と課題が詳細に分析された。ついで,第2回の共同研究会が1993年3月に開催され,その後の研究成果について報告と討論が行われた。日本側の論文は,真継隆「日本の環境問題に関する最近の研究-展望論文」,岸田民樹「環境管理の組識論的研究」,奥村隆平「地球温暖化の動学的合析」,荒山裕行「炭素税と排出権の一般均衝分析」,吉田猛「環境技術の移転のあり方-日本の非営利団体を事例として」の5篇であり,日本の当面している環境問題を多面的に取り上げ,それらの経済学と経営学の視点から分析した。ドイツ側の論文は,Th.ダムス「国際環境問題における日独両国の立場」,S.ハウザー「環境経済学への一般システム論的接近」,H-H,フランケ「ECにおける環境基準の批判的検討」,G.ブリュームレ「国際競争力の視点からみた環境政策の意義」,G.ミュラー「情報技術と交通問題-新しい視点からの検討」,H-J.ブリンク「ドイツ企業における環境対策の新しいアプローチ」,F.ショーバー「廃棄物処理のための情報システム-フライブルク大学の事例」の7篇であり,ECとドイツの最新の情報が提供された。これらの論文は日独両国でそれぞれ和文,英文の研究報告書として公刊される予定であり,関心のある研究者にも広く利用可能となる。本研究は,日本側が日本についての研究を行い,ドイツ側がドイツとECについて研究を行っており,自国の情報を相互に相手国に提供している。そのために,外国へ行って情報収集,情報(文献)分析を行う場合に比して,相手国の研究をより探く行うことが可能となっており,国際共同研究として有意義な成果が挙がっており,また日独両国における研究報告書の刊行を通じて,その研究成果が十分に活用されている。
著者
池田 素子 小林 迪弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

カイコ培養細胞(BM-N細胞)は,ある種の核多角体病ウイルスの感染に対して,細胞のタンパク質合成だけでなく,ウイルスのタンパク質合成も停止して全タンパク質合成停止となり,ウイルス増殖を阻止している.本研究は,この全タンパク質合成停止の分子機構の解明を目的として行った.その結果,BM-N細胞は1つのウイルス因子,もしくはその因子のはたらきを認識すると,自らのRNAを急速に分解する機構を使って全タンパク質合成停止となることが明らかとなった.
著者
小林 光一
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アデノ関連ウイルスを利用したwnt11治療によりウイルス性心筋炎マウスの生存を約3割改善することが可能であった。またその機序の解明のためマクロファージ系の培養細胞を使いwnt11を作用させたところ活性化されたマクロファージからの炎症誘導物質の産生が有意に抑制されることが確認された。副作用が少なく、持続的な発現誘導が可能なアデノ関連ウイルスを利用することでwnt11が心筋炎に対して治療効果を示すことが確認された。
著者
閔 祗英
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学人文科学研究 (ISSN:09109803)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.77-100, 1997-03
被引用文献数
1
著者
清水 裕之
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

これまで劇場建設に求められたものは、1980年代に始まる多目的ホール建設ラッシュから、その反動としての90年代には専用劇場の建設、また今日では劇場の多目的化についても見直され始めている。こうした日本の劇場建設における独特の二者択一の状況を生む背景には何があったかということを歴史的な作業を通して解明し、劇場建設に一つの見解を得ようとするものである。即ち、劇場建設における計画の「多目的」あるいは「専用」の問題についてその議論が見えてくる時代に遡ることによって、現在の劇場建設における功罪を検証しでいる。「多目的」劇場、あるいは「専用」劇場を建設を取り巻く問題の中で、現代に見られる我が国の演劇創造と劇場の乖離現象を暗示するのが、帝国劇場(1911年開場)、築地小劇場(1924年開場)、東京宝塚劇場(1933年開場)であり、それはヨーロッパの劇場空間の影響を受けて進行する。一方、ヨーロッパにおける劇場の近代化には、逆に演劇創造と劇場の協力関係が見える。特に、舞台装置家アドルフ・アッピア(1826-1928)は、舞踊家エミール・ジャック・ダルクローズ(1865-1950)と共に、ダルクローズ学校内ホール(ドイツ・ドレスデン)において、ルネッサンス以来初めてプロセニアムアーチを排除した空間を実現した。そこには、アッピアの演出理念、新しい劇場技術が反映され、ダルクローズとともにつくり出した演劇創造と劇場空間との協力関係を見ることができる。こうした協力関係が、我が国においてどのような背景で乖離の芽が作られたのかについて演劇界、建築界の言説をもとに描き出し、以下の点がなぜ達成できなかったかについて、社会における劇場の位置づけ、劇場制度、劇場技術、舞台と客席との空間構成から見直すものである。
著者
鈴木 和博 南 雅代 加藤 丈典
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

・電子プローブマイクロアナライザを高性能・高機能化して分析値の精度と確度を高めた.・トリウムやウランを含む鉱物のコンコーダントな分析値を選別する化学的基準を確立して、CHIME年代の確度を高くした.・氷上花簡岩、領家帯ミグマタイト、肥後変成岩、韓国京畿地塊の準片麻岩、中国南東部の花商岩類、中国吉林省の東清花簡岩のCHIME年代を再検討して、地質学的推定年代や同位体年代との矛盾を解明した.矛盾の原因は肥後変成岩と東清花商岩では同位体年代、氷上花商岩と京畿地塊では地質学的解釈、領家帯ミグマタイトと中国南東部花商岩ではCHIME年代にあった.
著者
西谷 望 小川 忠彦 菊池 崇 塩川 和夫 大塚 雄一 小川 忠彦 菊池 崇 塩川 和夫 大塚 雄一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、2006年11月に稼働を開始した北海道-陸別HFレーダーを主に活用し、北海道北方からオホーツク海、極東シベリア領域にわたる電場擾乱等の電離圏プラズマ関連現象と伝搬性電離圏擾乱等の超高層大気関連現象の間の相互作用の解明に焦点を置いて研究を進め、サブオーロラ帯電場擾乱の発生条件や伝搬性電離圏擾乱による電離圏プラズマ構造運動のメカニズム、および巨大地震後に超高層大気変動により引き起こされる電離圏プラズマ変動の特性等を明らかにした。
著者
中野 琢磨
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は,微細加工技術のフォトリソグラフィーを用いて円形断面を有しかつ内径の滑らかな変化を有する内径10-500μmの細動脈・毛細血管モデルを作製し,血管シミュレータ・再生医療への応用を果たすことである.これまでに私が作製してきたブロック型毛細血管モデルは,大学医学部におけるIn vitro実験や,民間企業における医療機器開発の評価デバイスに用いられたりしている.また,ワックスプリンター製血管モデルとしてのマクロ流路とフォトリソグラフィー製ネットワーク血管モデルとしてのマイクロ流路をシームレス接続した,循環型血管シミュレータに関する研究はAmerican Institute of physicsのBiomicrofluidicsに掲載された.積層型三次元露光装置の開発においては,高精細な加工精度を有する様々な微細加工法を比較検討し,システムとして一番安定している二光子光吸収法(分解能:100nm)を採用した.本システムは,二光子光吸収を発生させるフェムト秒レーザと,レーザ光をスキャニングする光学系・ステージ制御機構により構成されている.従来研究では,光造形やフォトニック結晶の作製例があるがサブマイクロオーダーの血管モデルを作製した例はなく,非常にインパクトのある研究である.また,マスクアライナとフェムト秒レーザを併用してパターニングする方法(Femto Mask hybrid Exposure : FMEx)を提案し,循環型三次元毛細血管シミュレータを作製することに成功した.
著者
若林 俊彦 吉田 純
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究のテーマである脳腫瘍に対する樹状細胞療法は、平成18年度で基礎研究、前臨床研究が終了し、平成19年度はトランスレーショナルリサーチとして臨床研究へと移行出来た。すなわち、脳腫瘍(グリオーマ)の特異的分子標的としてIL13受容体alpha2鎖由来ペプチドをGMPグレードで製造することが可能なため、樹状細胞療法の工程がすべて閉鎖回路系にて準備可能となり、厳重なクリーンルームでの管理下においての臨床応用への道が開けた。さらに、人工合成ペプチドであるために、その標的が明確であり、目標としての脳腫瘍へのT細胞の特異的攻撃性を高める可能性も示唆されている。この閉鎖回路系にて作製された樹状細胞は、臨床応用に際しての滅菌管理方法・保存方法・保存期間・パイロジェンテスト・含有提示抗原の定性・定量等も比較的簡便であり、臨床応用への可能性は極めて高いと言える。今回の、IL13受容体alpha2鎖由来ペプチドによる抗原提示効果が樹状細胞による免疫機能の増強に結びつけば、悪性脳腫瘍、特に難治性のグリオーマに対する特異的分子標的細胞療法の免疫誘導の有効性が示唆され、治療面での貢献度は極めて大きく、既存の治療方法に細胞療法分野が一翼を担い、治療選択に幅ができる事は必至である。本研究期間中に、IL13受容体alpha2鎖由来ペプチドを用いて、国際標準化機構ISO9001:2000及びISO13485:2003の管理体制下にある細胞調製施設を使用して、臨床使用用の樹状細胞を作製した。この細胞を用いて、合計4症例に対して実際の樹状細胞療法が実施され、合計16回に及ぶ樹状細胞投与が施行された。その結果、本治療法の安全性が確認され、また画像診断上の有効性や組織診断による有効性が一部の症例に確認でき、今後の治療法の展開に重要な情報が獲得され、臨床応用への大きな福音となった。他の分野から研究面で遅れていた脳腫瘍の樹状細胞療法が、殺細胞効果と静細胞効果を併せ持つ新たな治療法として今後更なる展開が期待される。
著者
糸 健太郎
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

現在まで有限生成クライン群,特に擬フックス群の変形空間を,曲面上の射影構造との関係を通して研究している.射影構造空間において擬フックス群ホロノミーを持つ射影構造の集合は無限個の連結成分を持つが,この各成分は自己接触し任意の2つの成分は互いに接触することを明らかにした.この結果を論文「Exotic projectives structures and quasi-fuchsian spaces II」にまとめ投稿した.上記の結果は各成分間の接ぎ木写像が不連続となる現象に注目することで得られるのだが,逆にある意味においては連続であることを示すことにより,擬フックス群に関するGoldman's grafting theoremを擬フックス群空間の境界群にまで拡張できることを示した.これは論文「On continuous extension of grafting maps」として準備中である.一方で,3次元球面S^3の等角写像全体の成す群Conf(S^3)の離散部分群の研究をした.特にクライン群(Conf(S^2)の離散部分群)のConf(S^3)の中での変形空間を考察することで,今まで研究してきたConf(S^2)での変形空間に対して一段高い見地を得ることを目指している.具体的にはConf(S^2)におけるonce punctured torus groupに関する理論をConf(S^3)において構築する研究を荒木氏(東大)と共同で行った.すなわち特異3次元トーラス上の等角構造を一意化するConf(S^3)のクライン群を考え,その群の極限集合や変形空間(Maskit slice)の3次元コンピュータグラフィックスを描かせる試みを行った.
著者
武藤 俊介 吉田 朋子 巽 一厳
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ハードウェア開発としてTEM用波長分散型X線分光器の開発を行い, 軟X線領域の状態分析を可能とした。またデータ測定・解析ソフトウェア開発としてスペクトル回復ソフトウェア, オンラインEELSペクトルのドリフト補正スクリプト及び多変量解析に基づくスペクトル分解・成分空間分布可視化プログラムを開発した。これらを基にした応用研究として, 電子チャネリングを利用したサイト選択的電子状態測定, リチウムイオン二次電池正極材料のドーパント効果及び画像劣化診断, 窒素注入による可視光応答化チタニア光触媒の窒素の状態分析, 水素吸蔵材料の状態分析及び9)その他のナノ構造分析を行った。
著者
田中 重好 藤田 弘夫 熊田 俊郎 友枝 敏雄 堀川 三郎 横田 尚俊 田中 重好
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「生活公共性」という新しい社会学的な概念を検討し、都市環境や都市空間の実証的な研究に援用可能であることを確認した。その概念を用いて、日本、中国、イタリアやドイツの都市空間の実証的な研究を行った。公共性という概念は、実証的な国際比較研究において重要な鍵概念であるばかりではなく、危機にある社会学理論の今後の再建においても重要な概念であることを検討してきた。本研究の研究成果は、『東アジアにおける公共性の変容』(慶応大学出版会、2010、日本語)、『地域から生まれる公共性』(ミネルヴァ書房、 2010、日本語)、 The Comparative Study of the Publicnee(中国社会科学出版社、2013、英語)、科学研究費報告書『都市環境における生活公共性の比較社会学的研究』としてまとめ、公刊した。とくに、我々としては、国際比較社会学の研究成果を英文で出版しえたことは、重要であったと考えている。また、 2012 年日本社会学会大会において「生活公共性と比較社会学」という特別セッションを海外から 6 名の研究者を招聘して開催し、研究報告をおこなった。本セッションの全体は、科学研究費報告書『都市環境における生活公共性の比較社会学的研究』に収録した。
著者
家田 章正
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

オーロラ爆発上空では、磁力線に沿った電流(沿磁力線電流)が観測される。この沿磁力線電流が、東西電流ペアであるのか、南北ペアであるのか、あるいは両者の競合であるのかを明らにすることが、オーロラ電流系の駆動源を理解するために重要である。本研究では、地磁気データとオーロラデータを用いた地磁気逆計算法により、沿磁力線電流を面でスナップショット推定し、その成分を分解した。その結果、西向きジェット電流の南北で、推定した沿磁力線電流の、ホール成分とペダーセン成分が反相関していた。この結果は、東西ループ電流に関係した電場が、南北方向の分極電場を生成したことを示唆している。
著者
塩川 和夫 小川 忠彦 西野 正徳 大塚 雄一 湯元 清文 斉藤 昭則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

・平成13年7月に全天カメラ1式をアレシボ観測点(プエルトリコ)に持ち込み、アレシボにある大型レーダーと全天カメラによるTIDの同時観測を約2週間行った。この観測から、真夜中の赤道付近の電離層からやってくる1000kmスケールの大規模波動構造、200kmスケールの中規模伝搬性電離圏擾乱のそれぞれにっいて、レーダー・カメラ同時観測に成功した。・平成13年10月に、日本の磁気共役点にあたるオーストラリアのダーウィンに、上記のカメラを設置し、定常観測を開始した。同年10-11月にかけて、赤道域で発生したプラズマバブルが、日本の鹿児島県佐多観測点とダーウィンで同時に観測された。詳細な解析から、この構造が日本とオーストラリアでちょうど鏡像の関係になっていることが見出され、赤道プラズマバブルの構造が、南北の磁力管をつないだ非常に大規模な構造であることがわかってきた。・信楽・陸別で大気光イメージに観測された中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)を統計的に解析し、その伝搬特性の季節変化、緯度変化を初めて明らかにした。さらに、DMSP衛星との同時観測例を詳しく調べることにより、MSTIDの波状構造に伴って電離層中に分極電場が生じていることを世界で初めて示した。・平成14年8月9日に鹿児島県佐多岬とオーストラリアのダーウィンで、MSTIDの大気光イメージング観測に初めて成功した。その結果、MSTIDが磁気赤道をはさんで南北半球でちょうど対称の形をしており、南北半球で1対1に対応することがわかった。この事実は、MSTIDが電離層の分極電場の構造を持っており、その電場が磁力線を通じて南北に投影されていること、を示している。さらに平成15年5月21日から6月7日に第3回FRONTキャンペーン観測を行い、オーストラリア中央部のRenner Springs(滋賀県信楽町の磁気共役点)に新たに1台の大気光全天カメラを設置したほか、国内外計7カ所で全天カメラによる伝搬性電離圏擾乱の総合観測を行った。この観測から、中規模伝搬性電離圏擾乱が、非常に良い南北共役性をもち、南半球と北半球で対称な構造を保ちつつ伝搬していることがわかった。
著者
戸苅 進
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.44-47, 1970-03-25

第一報の実験群自体の中学段階での基礎資料を整える目的と,それと対比するための対照群としてのその前年および前々年の生徒について学年成績の変遷をまとめてみた。さらに,それらの間に見られるかもしれない何らかの傾向,ないしは早期の段階での信頼度の高い予見と,それに基づく軌道修正的な進路指導のための有力な仮説は発見できないものかとの,ねらいから,いくつかの角度からそれらの資料の分析を試みた。
著者
森 健策 藤原 道隆 末永 康仁 末永 康仁 北坂 孝幸 目加田 慶人 三澤 一成
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では大規模仮想化人体データベースを構築し、それを基に医用画像の認識理解を行うことで、診断や治療を融合的に支援する手法を検討する。特に、大規模仮想化人体データベースに基づいた新しい医用画像認識理解手法について取り組む。本研究では、600例程度の仮想化人体データベースを構築した。また、仮想化人体データベースを利用して、臓器形状の差異を画像クラスタリングを利用して分類し、その結果を用いて腹部CT像から主要臓器を認識理解する手法を実現した。さらに、その結果を内視鏡手術の診断治療支援に利用する方法を検討した。
著者
深尾 良夫 山田 功夫 青木 治三
出版者
名古屋大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1990

最終年度の研究は大別して2つに分けられる。1つは前年度までに試作した改装CMG-3地震計を用いて、火山性微動の観測を行うこと、もう1つは前年度までの研究でメーカー規格との食い違いが明らかになったSTS-2地震計の感度特性を最終的に確立することである。第1の課題については1991年6月から約1年半雲仙普賢岳で試験観測を行い、特に火砕流に伴う震動記録を数多く記録した。これらの記録には通常の高感度地震計では捉えられない5-10秒の比較的長周期成分が明瞭に含まれており、広帯域地震計の威力を見せている。ビデオカメラによる火砕流記録と震動記録とを比較した結果、火砕流に伴う震動は地表に押し出された溶岩塊がゴロンと斜面を転がり始めるときに出るものであることが分かった。第2の課題については、感度特性が振巾・位相と共に固有周期140秒の速度型地震計との特性等価であることを2つの独立な方法で確認した。これはメーカ規格による固有周期120秒とは大きく異なり、解析にあたって十分な注意が必要である。またSTS-1地震計との並行観測を行い、STS-2地震計は周期50秒以上で地震計台の傾斜変動によるものではないノイズが卓越すること、このノイズは地震計を耐圧容器をかぶせることにより顕著に減少することを見出した。そこでSTS-2地震計用の耐圧容器を製作し、現在これを東海大学敷地内の地下1mに埋設しテスト観測中である(横浜市立大学と防災科学技術研究所との共同研究)。記録は地球潮汐を明らかに捉えており、この耐圧容器の効果の絶大なことを示している。
著者
渡邉 彰 筒木 潔 真家 永光 RUDOLF Jaffe LULIE Melling
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

熱帯(マレーシア)、亜熱帯(米国フロリダ)、冷温帯(北海道)に属する湿地河川水中の溶存有機物(DOM)の構造特性の異同を各種分光化学分析および分解分析法を用いて明らかにした。また、DOMの微生物分解性は低く、主に非腐植物質が分解を受ける一方、腐植物質は速やかに光分解を受けることを見出した。地域間で各成分の分解速度に違いはなく、腐植物質・非腐植物質の割合に加え、炭素組成、三次元蛍光特性を用いて、各地域の湿地起源DOMの動態を一元的に評価することが可能であることを示した。