著者
石井 清
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.103-114, 2000
著者
渡辺 眞之 Komarek Jiri
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
no.34, pp.115-124, 2000-12
被引用文献数
1
出版者
国立科学博物館
巻号頁・発行日
vol.14(4), no.160, 1943-04
著者
加瀬 友喜 近藤 康生
出版者
国立科学博物館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.“生きている化石"モクレンタマガイの解剖学的研究を行った結果、この巻貝は原始的な神経系をもち、多くの点で淡水性のリンゴガイ科の巻貝に近縁であることが明らかとなった。また、モクレンタマガイは肉食性ではなく、植物食であったことが明らかとなった。この発見により、タマガイ類は白亜紀中頃に出現し、従来三畳紀から知られているモクレンタマガイ類とは類縁が薄く、しかもそれらは他の貝類に穿孔して捕食しなかったと考えられる。その結果、タマガイ類とその捕食痕の化石記録は調和的となり、従来のタマガイ類の捕食の起源についての2説のうち、白亜紀中期起源説が正しいことがわかった。2.タマガイ類の捕食痕を調査した結果、それらの中には他の原因で似たような穴ができることがわかった。1つはカサガイ類による棲い痕で、白亜紀のアンモナイトの殼表面に多く見つかった。これらは小型のカサガイ類が殼表面の1ヶ所に定住する為、その部分が殼形と同じ形に凹むためにできたと思われる。穴はタマガイ類の不完全な捕食痕のようにパラボラ形で中央がやや凸となるが、形は大きくやや不規則な点などで区別ができる。従来、モササウルスの噛み痕といわれているプラセンチセラス属アンモナイトの穴も同じ起源と考えられる。その他、無生物的にタマガイ類の捕食痕に似た穴ができることもわかった。3.巻貝各種のタマガイ類の捕食痕を調査した結果、殼形により捕食の様式が異なる1例を見出した。これは巻貝の殼形態が長く伸長することが捕食から身を守る適応形態となっていることである。つまり、殼の伸長度と捕食痕の数の頻度を調べた結果、殼形が長くなると捕食痕数も増加することがわかった。従来捕食痕をもつ個体の頻度で捕食圧を推定した研究例は再評価する必要がでてきた。
著者
山口 敏 石田 肇
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series D, Anthropology (ISSN:03853039)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-16, 2000
被引用文献数
4

An almost complete adult male skull, two incomplete adult female crania, and several adult limb bones of the early historic time (the Heian period), discovered in the Tekiana cave site on Tobi-shima Island in the Sea of Japan, were measured and described. Comparison was made with the recent Japanese, protohistoric Japanese of the Kofun period, the Jomon remains, the recent Ainu in Hokkaido, and a nearly contemporary skeletal series from Troickoe in the Amur valley. The male skull showed the closest resemblance to the Jomon remains, and the two female crania were closest either to the protohistoric Kofun series or the recent Japanese, both in metric and morphological comparisons. This probably implies that there was some element retaining archaic Jomon-like morphological features among the population of early historic times in the northern part of Honshu Island.
著者
鈴木 正将
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.37-44, 1972

1971年国立科学博物館が行なった北海道幌尻岳生物調査の採集品のうち, ザイウムシ類の標本を検討し, 3亜目・4科・7属・7種を同定し得た。その種名は次のとおりである。1) ツムガタアゴザトウムシNipponopsalis yezoensis (SUZUKI) 2) マキノアゴザトウムシSabacon makinoi SUZUKI 3) トゲザトウムシOligolophus asperus (KARSCH) 4) スジザトウムシMitopus morio (FABRICIUS) 5) ユミヒゲザトウムシLeiobunum curvipalpi ROEWER 6) ナミザトウムシ Nelima genufusca (KARSCH) 7) アカマタテヅメザトウムシ Peltonychia akamai SUZUKI, n. sp. これまで北海道(クナシリ, エトロフ島を除く)からは, 2亜目・3科・8属・9種が知られているが, 今回の採集品のうち, アカマタテヅメザトウムシ以外の6種はすべて, 北海道の他産地と共通である。アカマタテヅメザトウムシは, 北海道から初の有鉤類の発見である。同種は本州の山梨・群馬両県からも発見されたが, 北海道と本州間には, 交尾器はもとより, サイズや形態的にも僅少の差しか認められない。有鉤類は熱帯に饒産するが, タテヅメザトウムシ科は例外で, ヨーロッパや日本・韓国を含む東アジアのみから知られ, かく現在の分布は旧北区に限られている。それは本来東洋区的な要素であるが, その祖先は非常に古い地質時代にヨーロッパやアジアに進出し, そこで分化したと推察される。しかし, いまでは遺跡的動物として, 両地方の洞窟や地中にわずかに残存しているにすぎない。他の6種はいずれも典型的な旧(全)北区系要素であり, しかもすべてが本州と共通である。もっともツムガタアゴザトウムシとスジザトウムシは極度の寒地性の種で, 本州ではいまのところ日本アルプスの高所(1,500m以上)のみから発見されている。アカマタテヅメザトウムシは, 西日本産のニホンタテヅメザトウムシや韓国産の Peltonychia coreana から, 第3,4趺節の爪の分枝のもよう, および交尾器の構造などで明瞭に識別することができる。
著者
藤井 英一 上野 輝彌 島口 天
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館研究報告 C類 地質学・古生物学 (ISSN:18819079)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.89-93, 2007-12

A fossil barbourisiid whalefish collected beside the Arakawa River, Aomori City, and believed to be from the Middle Miocene Wadagawa Formation, is described as a new genus and species, Miobarbourisia aomori in the family Barbourisiidae. The genus Miobarbourisia is more primitive to other whalefishes (including Barbourisia) in having large, long pelvic fins, a more anterior dorsal fin and an anal fin far behind the origin of the dorsal fin. This specimen is the first whalefish fossil discovered worldwide.
著者
堤 千絵
出版者
国立科学博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

さまざまな環境に進出し多様化を遂げた植物の大部分が菌と共生し,植物の陸上への進化には共生菌が重要な役割を果たした可能性が指摘されている.本研究では,地上から樹上へと進化した着生植物に着目し,着生植物の進化に伴う共生菌の遺伝的分化,各菌が植物の生育に与える影響を調査した.ラン科クモキリソウ属の着生種フガクスズムシと地性種クモキリソウでは,菌根菌が遺伝的にわずかながら異なり,菌により植物の発芽率やプロトコーム分化率が異なることから,菌の分化が生育場所の分化に関与していると推定された.ツツジ科の一部の分類群でも分子系統解析や菌の比較を行った.
著者
加藤 雅啓
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Museum of Nature and Science. Series B, Botany (ISSN:18819060)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.63-73, 2008-06

A taxonomic revision, including a key to the species, synonymy and taxonomic notes, of the two genera and six species Podostemaceae of Japan is presented. Cladopus is represented by C. doianus and C. fukienensis, and Hydrobryum, by H. japonicum, H. floribundum, H. puncticulatum, and H. koribanum. Of these, H. floribundum, H. puncticulatum, and H. koribanum are endemic to Japan, while the others are distributed in China (Fujian, Yunnan) and also northern Thailand.
著者
松丸 国照 松尾 康弘 林 明
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
no.14, pp.p25-32,図2p, 1981-12

伊豆半島の静岡県田方郡中伊豆町下白岩(第1図)および下田市満金(第2図)にそれぞれ発達する石灰質岩は単体のレピドシクリナおよび浮遊性有孔虫を多数産出することで有名である。筆者らが下白岩および満金両化石産地のレピドシクリナおよび浮遊性有孔虫の研究をとおして確認したことは, おおよそ次のように要約される。1. 下白岩産地の下白岩層および満余産地の白浜層群下部層から共通して Lepidocyclina (Trybliolepidina) rutteni VAN DER VLERK を産出する。この大型有孔虫の胚芽室構造形態は下白岩標木群および満金標本群とも互いに酷似している。このことから, 筆者らは Lepidocyclina の胚芽室促進進化の程度は同じ段階のものであると結論づけることができた。2. 下白岩層からの浮遊性有孔虫群集は Zone N.14 および Zone N.17 をそれぞれ示す群集の混合からなっている。一方, 白浜層群下部層からの浮遊性有孔虫群集は Zone N.17 のものである。3.1,2の資料を総合すると, L. (T.) rutteni を産する下白岩層および白浜層群下部層は互いに対比される。また, 両地層の時代は浮遊性有孔虫分帯の N.17,つまり後期中新世と示唆される。
著者
菅原 十一
出版者
国立科学博物館
雑誌
自然教育園報告 (ISSN:0385759X)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.37-46, 1995-03
被引用文献数
2

自然教育園は,マンモス都市「東京」の都心部にある自然緑地であるところがら,酸性雨の影響が大いに気になるところとなっている。今回は,1993年6月〜12月及び1994年1月〜12月の雨水pH測定結果をもとに,自然教育園における酸性雨の特性について検討を行った。(1) 雨水pH値は,最低pH3.7〜最高pH6.7の範囲にあるが,季節や雨量・雨の強弱によりさまざまに変化し,概略次にあげる傾向が指摘された。(2) 低pH5.0未満の酸性雨は,異なる2期の季節パターンを示していた。暖侯期を中心とした4月〜11月には全体の68%と過半数を占めるが,寒侯期を中心とした1月〜3月・12月には強い北西風が空を吹き払い40%に減少する傾向にある。(3) pH4.0未満の強酸性雨は,降り始め10分間に3mm〜6mm以上の急雨になったときみられやすい傾向にある。(4) 酸性雨は,降り始めにみられやすいが,雨量20mm以上では次第にpH5.6の通常雨にもどっていた。逆に,雨量20mm以下では,通常雨にもどりにくいことが考えられた。(5) 雨量1mm以下の霧雨や小雨及び降り始めの微少雨の間は,中和されやすく酸性雨となりにくい傾向にある。(6) このような「都心の中和霧」には,主に自動車走行により発生したコンクリートやアスファルトのアルカリ性粉塵が微細雨滴にとりこまれ中和剤の働きをしていると考えられた。(7) 自然教育園においては,年間降雨回数の内の78%が酸性雨となりやすく,特に,58%は一旦酸性雨となると通常雨に回復しにくい雨で占められる傾向にある。
著者
吉井 良三
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.75-99, 1972
被引用文献数
4

北海道の高山帯のトビムシ相は, 世界的な分布の問題からみて, はなはだ興味がある。このたび報告したポロシリ岳からの32種はもちろんその一部分にすぎないだろうが, その資料からおしはかって, ほぼ全体を知ることができよう。ポロシリ岳の北カールには, 調査隊がキャンプした7月下旬にもまだ残雪があり, 万年雪が広い面積を占めていた。日中の気温はすでにかなり高いので, この雪田からは多量の融水が流れ出して, それがカールの底に湿地帯をつくっていた。この湿地帯の周辺では多数のシロトビムシが得られたが, それらはOnychiurus tomuraushensis (YOSII) であった。この種は1940年に, 当時, 第三高等学校山岳部の部員であった梅棹忠夫, 川喜田二郎の両君によってトムラウシ岳(大雪山)の頂上付近の湿地帯からもたらされ, 著者の記載したものである。今回の豊富な資料によって, さらに研究してみると, これは北米に産するOnychiurus subtenuis FOLSOMに近似しており, 肢の小爪の形において差のある別種であることがわかった。BAGNALL(1949)は, 著者の原記載にもとづいて, 本種を模式種としてProtaphorurodesという新属をつくったが, これは彼の立てた他の各種の属とおなじく, 一般には認められていない。しかし, これを亜属としてOnychiurusという大きな属の細分につかうことは, たいへんおもしろいし, また, このような考え方によって, まことに貴重なものであった。棲息地が上述のような高山帯の湿地にかぎられていることからみて, この種は日本のトビムシのなかでも, いちばんcold stenothermalな性質を持っているものと考えられる。報文に記したように, ポロシリ岳の高山帯のトビムシのなかには, シベリアのツンドラ帯や, カナダの極北地方に分布するものがはなはだ多い。また, 別種ではあっても, 上述のシロトビムシのごとく, その近似種が極北の地域に分布している場合がすくなくない。とくに興味のあるのはCephalotoma ursi sp. n.で, その近似種の C. grandiceps (REUTER) はシベリアから, C. macnamarai (FOLSOM) は北米(ロッキー)から知らている。従来, これらの種はIsotoma属に含まれていたのであるが, 今回のC. ursiによって口器を解剖してみたところ, あきらかにIsotomaとは異なっていて, 別属とすべきものであることが判明した。さらに文献により, この C. ursi と同属にすべきものが, ピレネー山脈の高山帯から1種 (Gnathisotoma bicolor CASSAGNAU), ヒマラヤの氷河付近から1種 (Isotoma mazda YOSII) 報告されていることがわかり, 後者の口器を再検討し, 記載した。この報告のなかには, アヤトビムシ科Entomobryidaeに属するものがひとつもない。これは著者が省略したのではなくて, じっさいに1頭も採集されなかったためである。一般にアヤトビムシ科は, 寒地においては, 個体数も, 種類数も減少するのが普通であるが。今回の場合のように極端な結果が出たのはめずらしい。おなじ日高であっても, 山麓の振内付近の資料には多数のアヤトビムシが見られる。日高山脈の高山帯のトビムシを, 北海道の他の山系のそれと比較することは, 現在のわれわれの知識をもってしては不可能である。他の昆虫群とことなり, 今回の報告が北海道の高山帯のトビムシ相に関する唯一の総括的なものだからである。ただ, トビムシの分布についての一般常識からすれば, 日高山脈と, 夕張山脈と, 大雪山系とのあいだに, 大きな差はないだろうという予測はできる。しかし, これを日本アルプスの高山帯と比較すれば, かなり異なったトビムシ相であることは断言できる。黒部五郎岳や, 仙丈岳のカールの残雪付近では, O.tomuraushensisでない別種のシロトビムシ(未記載)が, おなじような生態条件のところに見出されるからである。