- 著者
-
畠中 利治
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
本課題の主題である、競合と協調の作用の両立は、進化計算における重要な概念であるExploitationとExplorationのバランスの実現にとって重要な役割を担うことは、直観的には理解されるが、それらが内在するシステムの挙動は複雑であり、さまざまなパターンを示すことが数理的には調べられている。本課題では、その数理科学的な知見から、進化計算の探索過程をモデル化することを狙っており、具体的には、関数最適化に望ましい挙動を示す数理モデルを与えるとともに、そのモデルに基づく進化計算のインスタンスの提案を行ってきた。その概念を利用した群知能モデルについても研究を行い、昨年度からは、必要とする機能から最適化法を構築するアプロ―チを検討している。今年度は、前年度に発表した一般化群知能モデルの拡張を行った。具体的には、エージェントのランダム要素として、個々のエージェントがランダムウォークする機能を付加し、その状況でのモデルの性質をブラックボックス関数最適化の基本ベンチマーク問題を用いて調査した。この結果は、計測自動制御学会のAnnual Conference で発表した。このモデルは、競合(反発)と協調(走化)をベースにしており、ブラックボックス関数最適化における探査と探索のバランスを実現するものとなっている。また、代表的な群知能モデルの粒子群最適化(Particle Swarm Optimization, PSO)とホタルのアルゴリズム(Firefly Algorithm, FA)の特性を併せ持つことで、探索性能を改善するHybrid Swarm の検討を進めている。両者の探索メカニズムに関する理解から、ハイブリッド型のモデルを提案し、複雑な景観をもつブラックボックス関数の最適化問題のベンチマーク問題における性能調査を行い、ACMが主催する進化計算に関する国際会議GECCO2018で発表した。