著者
鈴木 渉 齋藤 玲
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.223-230, 2016-01-29

本稿の目的は,まず,第二言語習得研究(Second Language Acquisition Research),特に,第二言語学習におげるアウトプット(話すことや書くこと)の役割に関する研究について概観し,次いで,認知心理学の観点から,それらの研究の課題や今後の方向性について展望することである。本稿で取り上げる認知心理学における知見とは,記憶検索(memory retrieval)の現象のひとつとしての検索経験(retrieval practice)の効巣である。本稿では,検索経験の効果に関する近年の研究成果に基づいて,第二言語学習におけるアウトプット研究のこれからの展開の可能性を示したい。
著者
松崎 丈
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = BULLETIN OF MIYAGI UNIVERSITY OF EDUCATION (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.111-124, 2023-03-31

本研究では、ろう重複障害教育担当教員における実践的見識を明らかにすることを目的に、ろう重複障害のある子どもたちに対する教育実践を20年以上経験した教員3名にインタビュー調査を行った。質的データ分析の結果、8件の概念的カテゴリー(ろう重複障害教育の孤立無援化、長期化している構造的な諸問題、ろう重複障害教育担当教員同士で同僚性を形成、家族と協働でろう重複障害児のキャリア教育を考える、コミュニケーションの実践的見識の蓄積、専門家が導入するオンサイト研修、ろう重複障害児とのコミュニケーション実践の質的向上、同僚性に基づいた研修や環境の変革)が生成された。これら概念的カテゴリー同士の関係から、今後のろう重複障害教育において個々の教員の実践的見識を形成するために必要と考えられる事柄を考察した。
著者
棟方 有宗
出版者
宮城教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)サクラマス銀化魚の降河回遊行動に及ぼすコルチゾルおよびテストステロン投与の影響を、水産総合研究センター中央水産研究所日光庁舎の実験水路内で調べた結果、降河回遊行動はコルチゾルの投与量依存的に促進されること、またコルチゾル投与による降河回遊行動促進作用は、性ホルモンであるテストステロンの投与によって打ち消されることが明らかとなった。このことから、サクラマスでは河川で孵化したのち、河川内で性成熟に向かう場合にはテストステロン等の性ホルモンによって降河回遊行動が抑制され、性成熟に向かわない銀化魚の場合には、コルチゾルの働きによって川から海への降河回遊行動の発現が促進されると考えられた。(2)平成18年3月に岩手県気仙川においてサンプリングしたサクラマスの銀化魚および河川残留魚の血中ホルモン量をEIA法により測定した結果、前年と同様、主に上流域で採捕される河川残留魚では血中コルチゾル量が低く、川から海に降る過程にあると考えられる銀化魚では、血中コルチゾル量が高いことが明らかとなった。そこで、この2年間と同様の結果が得られるかどうかを確かめるため、平成19年3月にも三度、同様のサンプリング調査を行った。現在、ホルモン量を測定している。(3)春に特異的に起こるサクラマス銀化魚の降河回遊行動を誘起する外部環境要因を明らかにするため、気仙川ならびに宮城県広瀬川の上・中・下流域に水温計測ロガーを設置し、周年にわたって温度変化をモニターした。今後さらに、気象庁や国土交通省の気象・水質データを加えて、サクラマス銀化魚のコルチゾル量変動や降河回遊行動発現のメカニズムを解析する計画である。
著者
川﨑 惣一
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.37-48, 2019-01-31

本論の目的は、「人はなぜ謝罪するのか」という問いに対して哲学的なアプローチを試みること、そしてそれによって、謝罪というテーマに関する一定の見通しを得ることにある。 一般に、謝罪の目的は「過去の過ちを償うこと」にある、と理解されているように思われる。しかし、過去を書き換えることはできないし、後悔や自責の念だけでは、私たちを謝罪へと促す理由としては十分ではない。むしろ謝罪は、未来における個人の人格的な評価を高め、人々との間の関係をよりよいものにするために為される、と理解されるのがふさわしい。 私たちは、個別の行為をその担い手である人格に結びつけて理解するという傾向を持っている。過ちとされる行為は、その担い手である人格の評価を著しく下げるであろうし、反対に、加害者は謝罪することによって自らの人格的評価を高めることができるであろう。ただし、謝罪によって加害者が後悔や自責の念から解放されるかどうか、被害者が苦しみや傷つきから癒されるかどうか、加害者が被害者から赦しを得られるかどうかといったことは事前に確実に予測できることではなく、その意味で謝罪はつねに「賭け」である。それでも人があえて謝罪に踏み切るのは、加害者たる自分自身および被害者、そして両者を取り巻く人々のよりよい在り方とお互いのよりよい関係の構築を目指してそれを実現したいと願うからである。 したがって、謝罪の意義は〈加害者と被害者、および両者を取り巻く人々との間によりよい人間関係を(再)構築すること〉にあり、私たちが謝罪する根本的な理由は、私たちが社会的かつ倫理的存在であり、未来において、他者たちと共に、幸福でより善い生を送ることを望むからだ、と言うことができる。
著者
田端 健人 守谷 繁
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
no.54, pp.367-384, 2020-01-30

本稿は、小学校特別活動での話し合い活動を、新学習指導要領の「合意形成」「意思決定」の視点から構想し実施した研究実践の報告です。構想にあたっては、「討議デモクラシー」ならびに「子どもの哲学ハワイ/ みやぎ」の理論と実践を参照し、小学₆年生の学級での児童による民主的討議による合意形成を目指しました。第₁章では、実践者守谷の問題意識として、「学校的なもの」による児童の抑圧の実態とその解放(脱学校化)という課題を記し、第₂章では、話し合いの議題として学級の多くの児童が「朝遊び」を提案したことを述べ、この議題が前記の実態と課題に沿うことを示しました。第₃章では、実践者守谷の問題意識に対し、合意形成や意思決定の話し合い活動をどのように理解し実践するかについて、研究者田端が討議デモクラシーの理論と実践を参照し応答を試みました。こうした事前の検討を経て、どのような特別活動の話し合いがなされたかを、第₄章に記しています。話し合いは₃時間構成で実施されましたが、議論が白熱した第₁時の詳細な記録を掲載しました。話し合いでは、「朝遊びは『本当に』絆を深めることになっているか」の問いをきっかけに、児童たちは本音を語り始め、「絆を深めるどころか逆に学級内のスクールカーストを助長している」という痛烈な批判まで噴出しました。第₅章では守谷の総括、第₆章では田端の総括を記しています。児童たちの批判意識に一定の限界はあったものの、わたしたちが予想した以上に児童は、自分たちの現状を見つめ直し、批判的・創造的・ケア的思考で話し合いを展開し、自分たちの学校生活をより良いものにする意義深い討議になったと総括しました。わたしたちはこの実践の理念と方法を、「討議教育(デリバレイティブ・エドゥケーション)」として提案します。
著者
田端 健人 真竹 健人
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.255-276, 2012

本稿では、ある公立小学校3年生の学級が、前年度の「荒れた状態」から回復していくプロセスを、観察とインタヴューの文字記録によって提示する。まず、この学級が2年生の時の教室の様子と、問題行動の中心となっていた子ども「S君」の様子を描出する。次に、クラス替えを経て3年生になった時、この学級を担任した教師「A先生」の、担任を引き受けるにあたっての覚悟や教育観を、インタヴューをもとに紹介する。そして、3年生になり新しい学級がスタートした時のエピソードを、主に3つ(記録1・インタヴュー6・記録5)提示する。これらのエピソードは、学級みんなの前で、A先生がS君に、叱責と称賛という仕方で強く働きかけた場面であり、S君と学級みんなに変容をもたらしたと考えられる場面である。A先生のこうした働きかけによって、この学級はわずか1カ月ほどで、「荒れた」状態を克服していく。A先生の語りと働きかけは、一般的に流布する教育言説によっても理解可能であるが、それをはみだす独自の実践感覚と言葉遣いを含んでいた。そこで、A先生の語りと実践感覚を、一般的な教育言説を超えて、一層深く理解するために、マルティン・ブーバーの「人間関係の存在論」を参照する。特にクライエント中心療法のカウンセラー、カール・ロジャーズに対するブーバーの批判に着目し、ブーバーの「受容」論を明確化する。そして、これを資料解釈の導きとし、A 先生の語りと働きかけを、心理学的次元ではなく、存在論的次元において理解することを試みる。
著者
津田 智史 井上 史雄 高丸 圭一 中西 太郎 山下 暁美 林 青樺 梁 敏鎬 椎名 渉子 斎藤 敬太
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

災害時および防災時にいかなる語彙が必要になるのかの調査を、自治体の防災パンフレットや自治体ホームページ、また「平成28年熊本地震」後の地元新聞紙を対象として実施した。そこから、災害時に必要になる語彙およそ110語を選定した。当初、研究期間内でのデータベース構築を目標としていたが、地震以外の災害語彙についての収集もおこなったこともあり、現在もデータベース構築・公開のための作業を継続中である。
著者
石田 雅樹
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.79-88, 2013

本稿はハンナ・アーレントの「教育者」としての側面に着目し、その教育活動と研究活動がどのような関係にあったのかを検証したものである。アーレントが戦後アメリカの大学で教鞭を取っていたことは良く知られているが、具体的な授業内容や学生観、また学生からの評価などについてはこれまで断片的にしか論じられてこなかった。本稿ではこれらに着目することで、アーレントが大学教育の中で学生たちに何をどのように伝えたのか、同時代の政治的課題や政治哲学的課題をどう扱ったのかを辿り、そこで実践された「教育」が彼女の「研究」とどのように結びついていたのかを明らかにした。
著者
石田 雅樹
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.57-67, 2015

ウォルター・リップマンの政治思想は、その「世論」民主主義批判の文脈において「エリート主義」「保守主義」と解釈され、ジョン・デューイらリベラリズムの論敵として理解されてきた。しかしながら、リップマンの「政治」と「教育」をめぐる議論を検証すると、そこにはニつの政治教育論が存在し、一方はデューイらと同様に学校教育を通じてアメリカ社会を民主的に変革するものとして、他方はそれとは別の教育論理でアメリカのリベラル・デモクラシーを再構築するものとして描かれていることに気づく。本論はこれまで論じられてこなかったこのリップマンにおける二つの政治教育論を取り上げ、一方の政治教育論が「市民教育」[メディア・リテラシー」「知能テスト批判」をキーワードとして市民の政治知識の向上に寄与するものであり、他方が「コモンローの精神」「公共哲学」「文明的作法」をキーワードとして一般公衆の精神的陶冶を強調するものであることを明らかにした。
著者
佐藤 得志
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
vol.52, pp.85-96, 2018-01-31

Riemann積分の定義の方法には2つの流儀があり,それは,Riemann和から定義するものと,Darbouxの上積分,下積分から定義するものである.この2つの定義の同値性を証明するための鍵となるのがDarbouxの定理であるが,その証明はRiemann積分の理論の中では最も難しいものである.本稿においては,初学者の理解の手助けとなるように,Darbouxの定理の厳密かつ丁寧な証明を与える.また,積分可能な関数とLipschitz連続な関数の合成関数の積分可能性を証明し,これを用いて積分可能な関数の絶対値や積の積分可能性を導く.
著者
越中 康治 目久田 純一
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.167-176, 2016

本研究の目的は、現場の教師や将来教員を目指している学生たちが道徳の教科化を好ましいと感じているか否かについて、理由づけを検討することであった。前報では、教育学部生、保育者、小学校教員、中学校教員及び高等学校教員を対象として質問紙調査を実施し、①道徳の教科化、②道徳に検定教科書を導入すること、③道徳で評価を行うことのそれぞれについて、好ましいと思うか否かを尋ねた。本報では、前報で取り扱うことのできなかったこれらの理由づけの自由記述をテキストマイニングにより分析した。その結果、まず、道徳の教科化に関してネガティブな認識が示される要因のひとつが評価の導入であることが確認された。また、検定教科書や評価の導入を肯定する理由づけにおいて特徴的であったのは「教科になれば必要だから」という消極的な理由であった。特に評価に関しては、導入すること自体に積極的な意義を見出した回答はほとんど見られなかった。教科化のための検定教科書導入、教科化のための評価といった認識が、道徳の教科化に対する抵抗感をさらに強めるひとつの要因となっている可能性が示唆された。
著者
鈴木 渉 齋藤 玲
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.223-230, 2015
被引用文献数
1

本稿の目的は,まず,第二言語習得研究(Second Language Acquisition Research),特に,第二言語学習におげるアウトプット(話すことや書くこと)の役割に関する研究について概観し,次いで,認知心理学の観点から,それらの研究の課題や今後の方向性について展望することである。本稿で取り上げる認知心理学における知見とは,記憶検索(memory retrieval)の現象のひとつとしての検索経験(retrieval practice)の効巣である。本稿では,検索経験の効果に関する近年の研究成果に基づいて,第二言語学習におけるアウトプット研究のこれからの展開の可能性を示したい。
著者
本図 愛実
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.285-295, 2015

When we consider the desirable educational policy such as be supported by the people, it is useful that we see the policy augment going to change the government through the two-party system since it may not happen all the time in JAPAN. There are the two-party system in the U.K. and the U.S.A. From observing those changing government, we can notice their educational policy argument are focused on school management system and teaching profession, and belong to the context contributing to economy. After changing the government in the U.K., the coalition government has been succeeding to checks and balances system consisted of decentralized to school, evaluation by outside agency and school choice, which were confirmed in previous government. Otherwise the coalition government promotes Academies and Free schools as new school management system. It also push forward the school-led system by mainly teaching schools, which role is to initial teacher education, professional development and school self-improvement. It points out that the commitment to school governance by the people depending on their own position and the explanation for the people the result of education policy is important if educational policy would get to the public endorsement. We should carefully watch school-led system proceeding since continuing professional development needs broad and theoretical support.
著者
香曽我部 琢
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、離職が少なく、長期的に就業を継続する保育者が多い園に着目し、その園の保育実践の質も把握した上で、保育者たちがどのような関係性を築いてきたのか、そのかかわりの経験や出来事を包括的に捉え、そしてそこで生起する感情を明らかにする。とくに、仕事に対する活力や情熱などのポジティブな感情であるワーク・エンゲージメントに焦点を当て、その形成プロセスを巨視的・縦断的な視点で明らかにする。そして、その知見をもとにリーダーシップと同僚性を育む研修プログラムを開発することを目指す。
著者
亀井 文 星 千裕
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = BULLETIN OF MIYAGI UNIVERSITY OF EDUCATION (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.165-170, 2023-03-31

レジスタントスターチ(RS)は、食物繊維と類似の生理作用を持つ機能性成分として注目されている。本研究においては米飯の炊飯直後から約20℃までの温度降下の初期老化過程において、米飯のRS含量がどのように変化するかをおにぎりの形態で明らかにすることを目的とした。炊飯後すぐにおにぎりを作製し、①おにぎりを皿に置き、そのまま放冷と②おにぎりを皿に置き、皿ごとラップをかぶせて放冷の2条件で2時間室温放冷したときの温度変化とRS量の経時変化を比較検討した。①の条件下では、温度は0分から30分において急激に低下しRS量は時間経過ごとに有意にRS量は増加した。②の条件下では、温度の低下は①の条件の温度低下と比べて緩やかな低下となり、時間の経過によるRS量に有意な差は見られなかった。このことから、老化が始まるとされる60℃までのおにぎりの急激な温度低下とその後の継続的な温度低下がRSの生成に関わることが示唆された。
著者
伊沢 紘生 斉藤 千映美 杉浦 秀樹
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

ニホンザルは母系血縁の複雄複雌群で暮らすサルで、群れの社会構造やメスの生活史に関しては膨大な研究成果がすでに蓄積されている。一方、群れを出て独自に行動し、他群に加入する「群れ外オス」の生活史については、野生状態での知見がほとんどない。本研究は母系社会を外側から支える群れ外オスの生活史を明らかにし、ニホンザルの社会構造の闇の部分に迫ろうと計画された。四年間の研究成果は概略以下の通りである。(1)群れ外オスの社会的存在様式としては、群れに追随するオスと追随しないオスの二通りがある。(2)非追随オスはさらに、単独で暮らすハナレオスとオスグループを作って暮らすグループオスの二通りがある。(3)閉鎖環境(金華山)ではオトナとワカモノのオスで、群れオス、追随オス、非追随オスの割合は2対3対3であった。(4)群れ外オスのうち、若年のオス(4〜10歳)はメンバーシップの安定した持続的なオスグループを作り、老齢のオス(15歳以上)はごく一時的なオスグループは作るが通常ハナレオスとして生活している。(5)持続性のあるオスグループは特定の群れの同年齢か同世代の若いオスたちが核となって形成される。(6)オスグループの中で最高齢になったオスから順に、交尾期にオスグループを離れて追随オスになる。(7)オスグループの最低齢のオスはしばらく出自群を往き来する。(8)最低齢のオスが群れオス(出自オス)を群れから連れ出し、それがオスの群れ離脱の大きな引き金になっている。(9)金華山では群れ離脱は4〜6歳で高頻度に生起する。(10)新たに群れに加入したオスの群れ滞在期間は1年から8年とばらつきが多い。(11)オスは一生の間にいくつもの群れを渡り歩くのではなく1群か多くて2群である。これらの新しい発見から、オスの生活史を描き上げることが可能になった。
著者
亀井 文 渥美 令菜
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
vol.52, pp.211-217, 2018-01-31

Background and objectives:Traditional Japanese sweets are very popular and are often eaten in middleage and elderly people. A lot of traditional Japanese sweets are made from adzuki bean paste, which is called “An”. Adzuki beans are a good source of carbohydrate as well as of protein, because they are starchy pulse. Resistant starch(RS)escapes digestion until reaching colon and acts like dietary fiber. Recently, many researchers suggest taking this new type of dietary fiber for our health benefits. The purpose of this study was to investigate that the effect of different cooking times on RS contents and particle morphology of adzuki bean paste “An”.Methods:Adzuki beans were boiled 50, 70, 90 minutes with five times volume of water. After grinding, the mixture was strained through a sieve in order to remove husk and put into cheesecloth. Then, 6kg of stone was placed on the cheesecloth for 1 hour to dehydrate “An”. Each treatment of “An” was analyzed RS contents and observed “An” particles by optical microscope.Results:RS contents of “An” of 50, 70, 90 minutes cooking time were 6.4%, 5.0%, 4.4%, respectively. These results showed that the longer adzuki beans were cooked, the less amounts of RS were formed. Optical microscope observation showed that longer cooking time increased damaged or ruptured “An” particles.Conclusions:These results indicated that damaged “An” particles had more digestible than intact “An”particles. It might be possible that intact “An” particles resist digestive enzymes. Furthermore, starch inside ‘An’ particles might be altered their structure during cooking. These change would be affected RS contents of adzuki bean paste “An”.