著者
細木 俊宏 高橋 邦明 村山 賢一 細木 俊宏
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高齢化社会のモデルとして豪雪・過疎地である中郷村を選び、松之山町で成功した自殺予防介入方法を異なる地域で用いることによって、有効な自殺予防介入を検証した。平成13年(平成12年度)から3回にわたって、対象者である60歳以上の中郷村村民全員(1684〜1688人)に新潟大学方式自己記入式うつ病尺度(SDS)を配布し、SDSを回収した。回収されたSDS点数をもとに、うつ状態や自殺の危険性を評価するためにDCRによる診断面接を行なった。2年目からは積極的な介入を行なうため、自責感、焦躁感、希死念慮の有無が自殺の危険性と関連している質問項目として5つを選び、診察対象者を絞り込んだ。対象者を精神科医師が診断面接し、うつ状態や自殺の危険性を評価し、自殺予防介入方法としてその妥当性を検討した。また啓蒙活動としてうつ病について講演をおこなった。平成12年度〜14年度の3年間で8名が自殺したが、7名のSDS点数は60点未満であり、診断対象から外れていた。また1名は絞込み項目で点数が低いことから診察対象から除外された。そのためSDSの総得点、絞り込むための項日は自殺既遂者を特徴づけるものとはいえなかった。しかし自殺既遂者によるアンケート結果から、自分が社会や家族にとって必要とされるか、仕事を気楽にできるか、充実した人生であるか、頭はすっきりしているか、息苦しいか、動悸がないか、などへの回答が自殺既遂者と非既遂者で異なる傾向があった。現時点まで介入前後における中郷村の自殺率の変化は認められない。啓蒙活動の継続や地元スタッフ参加協力による共同活動を通して、地域における自殺予防介入の重要性とその必要性についてある程度の理解が得られた。しかしうつ病の早期発見、早期治療から自殺を予防していくためには今回用いた手法の限界、絞込みや訪問診察などの介入方法、評価方法に改善すべき点があると考えられた。
著者
小林 昭三
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

科学概念形成に効果がある最新のITセンサー活用をベースに「active-learning理科学習モジュール群」を研究開発した。抵抗のない世界を手軽にもたらす数々の巧妙なシステム、超高速動画カメラ・運動分析ソフト活用教材、携帯型ICT(無線LAN)活用教材、抵抗が支配的世界での学習モジュール、等の有用なICT活用コンテンツを研究開発した。その効果を事前事後調査等で評価し、その修正・改良で、より効果的な理科支援・学習システムを形成・構築した。
著者
吉川 夏樹 安田 浩保 有田 博之 三沢 眞一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

田んぼダムの本格的な取組の普及に向けて,田んぼダムの経済価値の評価手法を確立し,地域治水計画上の位置づけおよび効果最大化のための戦略の構築した.経済価値の評価手法は,水田主体地域に特化した内水氾濫解析モデルによって得られた田んぼダムの浸水抑制量および抑制時間に基づき,経済評価モデルによって被害軽減額を計算するものである.さらに,多数の流域における経済価値を簡便に算出する方法として,上記の複数流域の被害軽減額を基礎データとした重回帰モデルを構築した,田んぼダムの普及には行政の主導が求められるが,こうした経済価値の評価田んぼダム導入予定地区の優先順位づけおよび重点的投資が重要であることを示した.
著者
水谷 暢
出版者
新潟大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

1研究の目的と具体的手法(1)中越地震寄付金集め。畑「荒らし」。「宗教」か曖昧模糊。特殊「水」等「騙し」か不明。マスコミ取材「被害」か「利用」か両面か不明なもの。--そういった多数の「認知不可」具体例と発見視角を蒐集・分類・整理してきた(後掲URL(1))。(2)これらに対し、GPS・PDA、遠隔操作電子機器・webカメラ・面談調査等を使って、「認知外被害」か。もし、そうなら、どう予防等できるのか。--その手練手管を試み、その機材の写真も、3の素材写真も、後掲URL(2)に多数載せてきた。(3)上記(1)(2)について、協力者多数を仰ぎ、調査に協力して貰い、氏名・場所等の詳細を除いて、後掲URL(3)にアップし、IDとパスをお知らせして見て貰い、第三者からの聴き取りもしてきた。2研究から得られた知見(1)「分からないことはない」という、「科学万能観」と「科学でも分からないことがある」信念との表裏の関係があり、その暗黒深層心理を衝かれると、通常の「疑念」思考が麻痺することが分かった。明らかな「被害」であっても、「騙されて等いない」、と通じない。(2)これは、老若男女・教養・財産等と関係がない。生活保護費から「水」を買う大卒者。製作電子機器も使わず簡単に壊す者。『被害』観からの再考が必要。(3)口頭での説明も上の空で、「知」の深さ以外、小・中・高・大学での「教え込み」教育に一端があるのに気づいた。モノを手作りする癖のある人は、「ハタッ!」と気づく例が多かった。3研究成果の公開方法(後記urlのwebサーバーのみならず、予備サーバーも中古で造った。)BD付本での公開予定が、BDがPCとBDレコーダー規格等メーカーで違い、後記webアップに止めた。規格が統一となれば、収録済みBGM(2)に、モノ作りを入れ、試行錯誤させる本も付し、2008年内に、出版予定。
著者
三浦 さやか
出版者
新潟大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

【研究目的】組織内で既に運用している(学術ポータルなどの)認証システムを活用し、フリーのOSソフトウェアをベースにストレージサービスの構築を目指す。これを達成することにより、大容量の機密データをセキュアで安価なシステムで取り扱うことが可能となる。【研究方法】フリーのOSソフトウェアやアプリケーションの組み合わせで、既に運用している認証システムと連携させる方法を考える。例えば、ファイルダウンロード権利を与えようとする者にパスワードをメール送信するサービスは既にあるが、ファイルのアップロード・ダウンロード時にもActive Directoryなどの認証を利用できるサービスはまだない。【研究成果】PHPでActive Directoryサーバに認証問い合わせをし、正規ユーザがメイン画面で送信先や送信ファイルを指定できるプログラムを作成した。送信ファイルはサーバにアップロードされ、ファイル保存先が相手先に通知されるシステムである。プログラムのセキュリティを向上させた後、試験運用を開始する予定である。
著者
加井 久雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は,原則主義に基づくIFRSの影響が日本企業の単体財務諸表に影響を与える影響を連単分離によって遮断しようとしても上手くいかない条件を数理モデル分析によって明らかにした。具体的には,原則主義であるがために経営者が利益操作を行ないやすいならば,相対的に利益操作されにくい単体財務諸表を投資家は利用することや,子会社を使った親会社の利益管理が容易であるほど,株主と経営者の利害対立の緩和に連結財務諸表の方が有用であることなどを厳密に示した。これらの成果を学会などで報告すると共に,学術誌にも公表した。
著者
田巻 帝子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

一般市民が日常生活のトラブルを未然に防ぐためや法的な問題に直面した際に適切な対応を自らとるために、その行動を支援するカナダや英国のPublic Legal Education(以下、PLE)の制度と実態について調査を行った。その結果、PLEとして多種多様な機関による活動が行われていること、カナダと英国では異なること、活動資金獲得などの問題を抱えていること等がわかった。国民が「自分のため」に司法参加する手段としてPLEは有効であり、既存のPLE活動類似の機関に考慮し、グローバル化する社会に対応するため外国人居住者や社会的弱者をも射程にいれて、日本独自のPLEを促進する必要があると思われる。
著者
荒木 肇 中野 和弘 福山 利範
出版者
新潟大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

農業では土地を利用して動植物の生産がなされるため、地球へのインパクトをゼロにするのではなく、いかに低減するかが課題となる。本研究では除草作業を取り上げ、インパクト低減のための生動的除草(雑草抑制)方法のひとつとして、「生産対象作物の畦間に秋まき性のムギ類をグランドカバー植物として栽培し、地表面を遮光して雑草生長を抑制する」方式を課題として設定し、ムギ類を秋まきと春まきした場合の雑草抑制について検討した。1.秋まき間作ムギの敷ワラマルチによる雑草抑制1993年10月にオオムギ(品種ミノリムギ)と緑肥用コムギをスイカの畦間に播種し、1994年6月8日に出穂した麦稈を刈り倒して敷ワラマルチとして、地表面での遮光程度を麦稈下の光量子密度を測定して評価した。麦稈による地表面の遮光はコムギの方が持続し、穂発芽した新葉による遮光程度はオオムギで大きかった。雑草量は無被覆に比べ、オオムギ麦稈マルチで約1/4に減少し、緑肥用コムギ麦稈マルチで1/10以下に減少した。麦稈の量やその分解の早晩、発生した新葉の大きさ等がムギ種により異なることが明らかとなった。2.ムギ類の春播きによる雑草抑制1994年4月7日に緑肥用コムギを春まきしたところ、播種量8kg/10a以上で雑草量は低下したが、前述の麦稈マルチ程の効果は認められず、雑草抑制率は無被覆の約60%であった。緑肥用コムギの茎葉による土壌被覆能力を光透過や画像を利用して測定すると、地表面への光透過が25%に減衰するのに播種後2か月を要し、雑草抑制能力が小さいのは初期生長が遅いためであった。20系統のオオムギを春まきすると、緑肥用コムギより栄養生長が旺盛な系統も存在し、生物マルチとしての可能性、すなわち、土壌攪拌や防除の削減の可能性が示された。
著者
鈴木 孝庸
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、各地に所蔵されている文献資料を直接閲覧することと、平曲演奏家・橋本敏江氏に実際の平曲演奏に関する様々ことがらを聴取することを基礎とし、その上で、考察および資料紹介を行うことにしている。以下、主要な研究成果を挙げることにする。(1)平曲譜本に関しては、9所蔵機関を調査した。(2)2種類の新出平曲譜本を入手した。(3)6種類の平曲譜本の複写を入手した。(4)尾崎家本『平家正節』のパソコン入力を完了した。(5)宮崎文庫記念館蔵『平家物語』(平家吟譜)を影印刊行した。(6)1種類の平曲指南書の複写を入手した。(7)當道資料に関しては、5所蔵機関を調査した。(8)1種類の新出當道資料を入手した。(9)2種類の當道資料の複写を入手した。(10)橋本敏江氏よりの「平物」に関する教授は終了し、特別な曲に入り、「読物」は終了した。
著者
高橋 洋子
出版者
新潟大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

〈目的〉家庭における調理が減少している今日において、料理を手作りすることにどのような教育的意義があるか、心理学的アプローチに重点をおいた検討を試みた。すなわち、調理という行為が単に「生きていくための生活技術」にとどまらず、「自信をもって生きていくための精神力の形成に寄与するもの」であることを示し、心身共に健全な次世代の育成に寄与しうる提言を行うことを目的として、本研究を行った。〈方法〉子どもの精神的発達を量る指標として、バンデュラが提唱した自己効力感という概念に着目し、アンケートの項目に特性的自己効力感尺度(成田ら1995)を取り入れた。2008年以降に3回実施したアンケート調査(対象は小学生・小学生の保護者・大学生、合計n=388)の回答をもとに、調理に関する因子間の関連、ならびに調理に関する諸因子と自己効力感との関連を分析した。さらに、共分散構造分析を用いて、調理が自己効力感の形成に寄与している状況をモデル化して示すことを試みた。〈結果〉調理行動・調理意識・調理の現状という潜在変数を設定し、アンケートから実際に観測された幾つかの変数も用いて様々なパス図を試作して共分散構造分析を行い、調理に関する諸因子と自己効力感との関連を構造的に説明しうるモデルを模索したものの、GFI(適合度指標)が0.9以上となるモデルを構築するには至らなかった。引き続き、有用なモデルを構築することを目指して、テキストマイニングの手法を用いてアンケートの自由記述回答を分析し、モデルを構成する要素(変数)となる概念を抽出する試みを継続することとした。
著者
高橋 均 豊島 靖子 山田 光則 小野寺 理
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

臨床的、病理組織学的にこれまで報告のない小脳変性症の3家系、3剖検例について臨床症状、および病理組織学的所見を検討した結果、それぞれが独自の臨床症状を呈し、中枢神経系の障害部位が明らかに異なり、1C2免疫染色によって陽性となる多数の核内封入体もまた、それぞれ特徴ある分布で存在していることを確認した。そのうち、1家系1剖検例でSCA17のホモ接合体であることが判明した。SCA17ホモ接合体の報告はこれまで全くなく、臨床病理学的所見と併せ、報告した。当研究所ではすでに、胎児脳cDNAライブラリーより単離された300個以上の新規クローンに基づく、増大CAG繰り返し配列を持つcDNAシークエンスとプライマーセットを開発しており、これを用いた未解明神経変性疾患の大規模スクリーニングシステムが確立している。未知の2家系についてはこれらのヒト脳で発現している増大ポリグルタミン鎖について増大の有無を確認したが、その異常伸長を認めたものはない。さらに未知の2家系中の1家系では通常のウエスタンブロッティング法により、1C2により染色される蛋白の存在を確認していたが、同サンプルの2次元電気泳動と2次元のウェスタンブロッティングを行うことで、原因蛋白(ポリグルタミンを有する)と考えられるスポットを複数同定するに至った。同定したいくつかのスポットを単離し、MALDI-TOF MS(当研究所備品)を用いてポリグルタミン鎖を持つペプチドの周辺アミノ酸配列を決定した。単離したスポットには短いポリグルタミン鎖を有する蛋白が含まれていた。
著者
石垣 健二
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

「間身体性」とは,人間の関係性の基盤であり,それは「自己と他者」の身体の間で相互理解を可能にする「身体の働き」であると同時に,そこで得るところの「身体的な感じ」である.体育やスポーツにおける身体運動の実践のなかでは,「身体的な感じ」を得ることによって,「身体的な感じ」としての「われわれ」が成立するのであり,このことが間身体性の育成にほかならない.したがって,学校教育でおこなわれる体育やスポーツの身体活動は,子どもたちにとって殊に重要である.今後,体育学における間身体性の研究は,他者の身体運動を記述する方法論の構築とその方法による具体的な「身体の働き」の抽出が必要となるだろう.
著者
宮田 等 川崎 健夫 小野 裕明 田村 正明 鈴木 崇民 山口 容史 渡辺 みのり 勝亦 正明 VEQUIZO Reynaldo M. JACOSALEM Editha P.
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

原子炉ではウラン燃料が消費されると共にプルトニウムが生成される。危険なプルトニウムの量をモニターできる原子炉ニュートリノ検出器の開発をGd含有新型プラスチックシンチレータを用いて行った。 Am241/Be線源からのガンマ線,中性子をニュートリノ疑似信号として用い,82kgのプロトタイプ検出器の性能を評価した。得られた実験データを基に,Geant4シミュレーションによって1トンの原子炉モニターの性能について評価した。熱出力3GWの原子炉の燃料交換前後でのプルトニウム量に関して、11日間の測定で6% の燃料(プルトニウム90kg相当)の取り出しを2σの有意度で確認できるという結果を得た。
著者
小林 昭三 五十嵐 尤二 興治 文子 伊藤 克美 鈴木 恒雄 松田 正久 川勝 博 生源寺 孝浩 石井 恭子 伊藤 稔明 北林 雅洋 種村 雅子 三石 初雄 滝川 洋二 大野 栄三
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ミリ秒分解能ICT活用等によるアクティブ・ラーニング(AL)型授業を創新する豊富な研究成果を得た。例えば「摩擦抵抗が無視できる;超軽量力学台車システム、ホバーサッカー型空中浮揚システム、ガラスビーズ敷き滑走台システム、アクリルパイプ系吹き矢システム、V字型振り子衝突システム、摩擦抵抗が支配的な超軽量紙カップ落下システム」他、等の体系的AL型授業法を研究開発した。これ等の本研究の成果を国内外の学会やワークショップ・ICPE国際会議等で発表・交流して国内外での多様な普及活動に取り組んだ。
著者
中野 俊郎 吉田 昭治 粟生田 忠雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

長辺50m、短辺40mの20aの水田に排水の能力差のある暗渠条件を長辺方向に2本設けて、暗渠の能力差による排水効果を測定した。一本の暗渠は小排水路に排水され暗渠の水頭差は田面下60cmである。他方の暗渠は田面下100cmに埋設された集水渠に接続したため大排水路の水位が集水渠より常時高く暗渠には約40cmのサクションが掛かる構造になった。その結果、取水時、間断潅水時および落水の水管理時には集水渠に接続した方のA暗渠の水位は常時田面下60cmを維持するようになり、土壌水分張力値もA暗渠の方が大きくなることがわかった。気象装置や土壌水分張力測定器を設置観測開始年の2年間は少雨高温の特異年であった。TDR土壌水分率測定結果も平行して測定した結果は、作土層と耕盤層の土壌水分は心土層より約1日遅れで圧力が伝達されて減少し始めることが分かった。お盆過ぎから刈取り期近くの間断灌漑は慣習的に5〜4日間隔で水管理されているが、耕盤層の水分張力の減衰が1日間観測されていることから、3日間隔の方が稲の生育生長および収量や地耐力の発現に好結果を期待することができると思われる。地耐力の測定にはコーン指数で判定する構造改善局基準があるが、側面摩擦抵抗や泥炭地水田では必ずしも適さない事例があり、ベーン試験と三軸試験機を用いた非排水条件の側圧一定試験から有効応力解析を行いベーン試験による沈下量とスリップ率から判定した。その結果、シルト質粘土地盤の作土層表面が極度に乾燥履歴を受けてシルトの噛合い成分が強くなり、刈取り期近くになると粘着力成分より摩擦力成分が卓越することが判明した。一方、植物遺骸が堆積した泥炭地水田の作土層の表面が乾燥すると植物遺骸の繊維質がメッシュ構造を生成して地耐力が増強されると判断した。
著者
夏目 里恵 阿部 学 菅井 智昭 葉山 文恵 崎村 建司
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.119, no.12, pp.730-734, 2005-12-10

グルタミン酸興奮毒性は,脳虚血やてんかんなどの急性疾患ばかりでなく,長い過程を経る神経変性疾患による神経細胞死の原因としても注目されている.グルタミン酸受容体チャネルは,興奮毒性発現機序において中心的な役割を果たしていると考えられてきた.とりわけ,高いCaイオンの透過性を持つNMDA型グルタミン酸受容体はその鍵を握る分子として注目されてきた.この受容体の機能特性を決定する4種類のGluRεサブユニットノックアウトマウスを用いて,カイニン酸急性毒性におけるNMDA型受容体の関与を検証した.その結果,GluRε1サブユニットがカイニン酸による興奮毒性発現に最も重要な役割を果たしていることが明らかになった.さらに,小脳顆粒細胞に有意に発現するGluRε3や幼者期に主な発現があるGluRε4にも毒性発現への影響力が有ることから,NMDA型受容体は様々な機序で興奮毒性に関与していることが示唆された.