著者
大河 正志 佐藤 孝 新國 広幸
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

共振周波数の高周波数化を目的に,共振周波数のダイヤフラムサイズ依存性について考察を行った。理論どおり,ダイヤフラム厚に比例し,辺長の二乗に反比例する結果が得られた。パルス時間幅特性については,時定数が数ms程度であることが分かり,音圧特性については,最大出力電圧が音圧に比例することを確認した。また,高次共振モードの利用による高周波数化についても,その有効性を確認した。AE特徴量の推定・算出システムに関しては,「雑音処理」と「AE特徴量算出」の2つの機能からなるアプリケーションを製作した。本システムに振幅,時間幅,雑音が異なる模擬信号を入力して,AE特徴量を算出できる条件を明らかにした。
著者
坂村 律生 新田 勇
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

シュリンクフィッタ技術により微細に集光されたレーザー光を照射できる新しいレーザー装置を作成した。この装置を用いて、ラット背部の皮膚全層に作成した黒墨汁による刺青に、様々な条件のレーザー照射を行った。肉眼所見、組織学的所見に基づいて、刺青の除去に対する、至適レーザー出力、照射方法を検討した。有効な照射条件では皮膚深部の刺青も除去可能であった。少ない副作用で深部への効果を得られる可能性が示唆された。
著者
吉田 治代
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、戦間期のエルンスト・ブロッホの多元主義的思想を〈遺産プロジェクト〉と〈異化プロジェクト〉という観点から考察するものである。本研究期間内は、〈遺産プロジェクト〉に焦点を絞り、以下を明らかにした。(1)ドイツの反民主主義、軍国主義という、第一次世界大戦から顕在化する危機に抗してブロッホが生み出したのが、ドイツの民主的かつ民族的な遺産を相続するという「愛国的」プロジェクトであり、それがナチズムへの批判にもつながる。(2)「ドイツ民族主義」思想が文化多元思想につながる限りにおいてそれを受け継いだランダウアーらユダヤ系社会主義者の実践が、ブロッホのプロジェクトのモデルとなっている。
著者
宮坂 道夫 鳥谷部 真一 山内 春夫 栗原 隆 後藤 清恵 坂井 さゆり 細見 博志 田澤 立之 足立 智孝 中田 光 甲斐 克則
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、【1】医療倫理学の統合的方法論の構築、【2】統合的方法論の実践可能性の検証、【3】統合的方法論の法制度的整合性の検証を目標にしてきた。5年間の研究により、統合的方法論を「修正版四分割表」および「ナラティヴ検討シート」として完成させた。これらにより、原則論に基づくジョンセンらの方法と我々が構築してきたナラティヴ倫理による方法を統合して、臨床現場で実践可能な方法論を提示することができた。また、ハンセン病問題、終末期医療、遺伝子医療等についての臨床倫理の検討方法や諸外国との比較法制度論に関する成果等が得られた。
著者
近藤 フヂエ 武田 光一 山本 眞也 郷 晃 佐藤 哲夫 丹治 嘉彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度は、地域文化の活性化に資する表象芸術の在り方を究明するために、新大アートプロジェクト2003「うちのDEアート」を実施し、また、各地域での同種の活動の取材と意見交換を通じて、本研究に関する資料を得たが、平成16年度は、それを用いてメンバーの専門領域の立場から考察した。たとえば近藤は、美術史の立場から、芸術表象の地域性について、イメージ信仰に時代を超えた特質を見出すことができるとする解を得た。教育の立場から佐藤は、アートプロジェクトと美術教育がホモロジカルな関係にあるとする視点から、その課題を明らかにし、柳沼は、具体的に小・中学校との連携による表象芸術の意義を示した。また、実際に関わったプロジェクトとの関係で、橋本は、パブリックスペースという環境を問題にし、アートやデザインの可能性を示した。郷は、街づくりに果たす彫刻シンポジウムの役割を示した。丹治は、2003「うちのDEアート」に、最も深く関わった経験などを通して、表象芸術が地域においてどのような意味を持つのかについての一つの結論を導いた。武田は、加茂市若宮神社の天井画という新出資料について、地域における江戸後期の書画愛好の気風を明らかにした。山本は大学所有の屏風絵の模写を通じて技法研究を行い、社会的な模写の意義と効用について明らかにした。また16年度も15年度に引き続き、種々地域に根ざしたアートプロジェクトを実施した。新潟県の豊栄市の早通地区のコミュニティーの活性化のために、「光のロータリー ロウソクを灯して」等。震災を乗り越えて「元気出そう新潟県」の趣旨による、小・中・大の児童、生徒、学生による造形ワークショップ・「虹色アトリウム-光の壁画をつくろう-」など、多数の活動を行った。引き続き、本研究で得られた成果をもとに、新大アートプロジェクト2005「うちのDEアート」の実施に向け、活動を行っている。
著者
小林 裕二 岡本 明
出版者
新潟大学
雑誌
新潟歯学会雑誌 (ISSN:03850153)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.49-57, 2002-12

Composite resin restorations which have been widely used in the clinics have a problem to bring about hypersensitivity and secondary dental caries due to the microleakage of enamel and dentinal margin caused by polymerization contraction. The purpose of this study is to verify the occurrence of microleakages and to certify the clinical technique in order to avoid microleakage by using three different types of resin bonding systems which are known to have enough bonding strength to dentin. After pretreatment of three types of resin bonding systems, composite resin was filled in the cervical cavities which had been prepared on extracted human premolars. Then three polishing groups, namely, immediately polished group, resin impregnation group and one week water-immersed before polishing group were examined. The specimens were stained and the marginal-leakage was measured under measuring microscope. Further the Laser Scanning Microscope was used to observe the pretreated surface of dentin and enamel. The elemental distribution on adhered surface was analyzed by Electron probe micro-analyzer. Results showed that microleakage was significant on the enamel margin more than on dentinal margin. The present investigation showed that one week water-immersed before polishing group and resin impregnation group have strong marginal seal even after mechanical cyclic load test and thermal load test. Further, the degree of decalcification on pretreated surface is significantly different by the pretreatment agents, and the distribution of elements on adhered dentin surface is dissimilar by the bonding agents because of their permeability into dentin. The present study showed that the complete elimination of marginal leakage is not perfect yet even with the presence of the three bonding systems used in this study. As a conclusion on clinical aspect it is recommended to avoid immediate-polishing or using of the resin impregnation method in order to lessen marginal microleakage.これまで広く用いられてきたボンディングシステムによるコンポジットレジン修復では、いまだレジン自身の重合収縮の問題は解決されておらず、エナメル質窩緑部及び象牙質窩縁部での辺縁漏洩が原因で、臨床上、知覚過敏や二次齲蝕をおこすという問題点がある。本研究は、近年の特に象牙質への接着強化を標榜する各種レジンボンディングシステムを用いたコンポジットレジン修復物の辺縁漏洩の発生状態を明らかにし、その防止のための臨床技法を確立するために行われた。ヒト抜去小臼歯に一窩洞でエナメル質、象牙質両窩縁を有する歯頚部窩洞を形成し、3種のレジンボンディングシステムを用いてコンポジットレジン充填を行った。その後、当日研磨群、レジンインプレグネーション法群そして一週間水中浸漬後研磨群の研磨方法の異なる3群に分け、辺縁漏洩試験を行った。さらに走査型共焦点レーザー顕微鏡を用いて、各種レジンボンディングシステム前処理後の表面性状を観察し、Ⅹ線マイクロアナライザーにより接着境界面の元素分析を行った。その結果、象牙質窩緑よりエナメル質窩縁の方が微少漏洩が多く見られた。また、一週間水中浸漬後研磨群およびレジンインプレグネーション法を用いた群では、繰り返し荷重、熱サイクルのどちらの負荷を加えた場合でも、エナメル質窩縁、象牙質窩縁の両者で、高い辺縁封鎖性が得られた。しかし前処理剤の違いにより接着境界面の脱灰の程度は大きく異なり、さらにボンディング剤の象牙質への浸透性の違いから、材料により接着界面の元素分布も大きく異なることが明らかになり、現時点ではまだ改良の余地があることが示唆された。以上から臨床的にはいまだ当日研磨を避ける、もしくはレジンインプレグネーション法を行うという術式を加え微少漏洩を最小限に抑える必要があることが示された。
著者
岩久 正明 福島 正義 岡本 明 子田 晃一 児玉 臨麟 吉羽 邦彦 鮎川 幸雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ウ蝕への系統的対応のためのクリニカルカリオロジーを確立することを目的として、これまでの一連の研究成果を総合的に検討するとともに臨床対応へのシステム化を図ることである。主要な結果は以下のとおりである。1.ウ蝕の各ステージにおける病態の分析・診断(1)レーザーによるウ蝕診断法ついてその有用性を明らかにした。(2)ウ蝕治療後における抗原提示細胞の局在とその動態を免疫組織化学的に検索した結果・修復処置後も長期間残存するが明らかにされた。2.感染症としてのう蝕への対応(1)ウ蝕象牙質から高頻度に検出されるPseudoramibacter alactolyticusの遺伝学的多様性が明らかにされた。(2)in vitroにおける人工的バイオフィルム形成モデルを確立し、抗菌剤効累の判定におけるその有用性を明らかにした。3.ウ蝕治療(1)Er: YAGレーザーよる歯質蒸散部の微細形態、切削効率、および歯髄反応について検討し、その臨床応用への有用性が明らかにされた。(2)象牙質・歯髄複合体の修復、再生メカニズムの解明の一環として、直接覆髄処置後ならびに歯牙移植実験モデルにおける硬組織形成過程を免疫組織化学的に観察し、この過程における非コラーゲン性タンパクの関連性を明らかにした。(3)難治性感染根管症例への対処法として、混合抗菌剤の応用を検討し、根管内貼薬の基材としてのプロヒレングリコールの有効性が認められた。4.術後の再感染予防再発予防のための抗ウ蝕性修復材に関する研究の一環として、各種フッ素徐放性修復材料による歯質の強化(耐酸性)が明らかにされ、臨床応用への有効性が示唆された。5.術後指導、定期診査、リスク評価要介護高齢者の口腔ケアのために新たに開発された口腔ブラシのプラーク除去効果と臨床応用への有用性が示唆された。
著者
吉羽 邦彦 吉羽 永子 細矢 明宏
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

象牙質・歯髄複合体の修復・再生過程における歯髄組織幹細胞/前駆細胞の動態と象牙芽細胞への分化機構を解明する目的で, 直接覆髄処置, レーザー照射, あるいは歯の再植, 歯髄組織の移植を行い, その後の硬組織形成過程について免疫組織化学的に観察した。その結果, 歯髄組織中に存在する歯髄固有細胞から分化した象牙芽細胞様細胞あるいは骨芽細胞様細胞によって硬組織形成が行われることが明らかにされた。
著者
新川 敏光
出版者
新潟大学
雑誌
法政理論 (ISSN:02861577)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.83-148, 1992-11
著者
小谷 スミ子 伊藤 知子 内藤 照美
出版者
新潟大学
雑誌
新潟大学教育人間科学部紀要. 自然科学編 (ISSN:13442961)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.61-80, 2003-11-28

新潟県の小学校教員を対象に学級の食物アレルギー児の実態と学校給食での対応についてアンケート調査を行った。食物アレルギー児のいる学校は46.0%,学級は21.3%,食物アレルギー児は1.3%,食物アレルギー児の55.1%は除去食を4.7%は弁当を持参していた。食物アレルギー児がいつも食べない原因食品は卵・卵製品が最も多く,次いでエビ・カニなど,穀類,牛乳・果実・魚類・大豆・大豆製品であった。アナフィラキシーについて知識のある教員は73.8%であった。アナフィラキシーを起こした児童は給食のあと運動したときやエビ,そばを食べたあとが多く,5.2%の教員が経験していた。学校給食の調理方式は市部で自校方式66.7%,センター方式27.3%,郡部で自校方式52.2%,センター方式45.6%であった。栄養職員がいると答えた教員は市部58.0%,郡部21.3%,兼任でいないは市部29.0%,郡部48.8%,いないは市部5.9%,郡部26.5%であった。学校給食で食物アレルギー児向けメニューを取り入れている学校は市部38.2%,郡部21.1%であり,自校方式29.0%,センター方式21.6%であった。食物アレルギー児のいる学級の20.8%,除去食児のいる学級の31.7%がメニューを取り入れていた。メニューを取り入れるに際し学級担任は保護者,養護教諭,栄養士,学校などとの連携を重要視し,患児に応じた除去食,代替食で対応していた。メニューを取り入れるのが困難な理由としてセンター方式のため,予算がない,人手がない,他の児童への配慮などが挙げられた。食物アレルギー児の弁当持参への対応では,給食献立表を見て食べられない時は弁当を持ってきてもよい50.9%が最も多く,次いで給食で食べられない食品を残してもよい38.5%であり,栄養士と相談して給食のメニューから問題の食品を抜いてもらう22.・8%,毎日弁当を持ってきていい20.2%は少なかった。学校給食に食物アレルギー児向けメニューを取り入れるには学級担任・患児・保護者・養護教諭・栄養職員・主治医・管理職相互のコミュニケーションに加え,行政からの人員配置や経済的支援も必要であると考えられた。
著者
栗原 隆 加藤 尚武 座小田 豊 尾崎 彰宏 野家 伸也 伊坂 青司 山内 志朗 鈴木 光太郎 佐藤 透 城戸 淳
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

「主体」は空間の中で、形の認知に感応する中でこそ自覚されるものであって、自我の自己措定のような機序によって成り立つものではないことが確認された。
著者
榎本 千賀子
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

新潟県南魚沼市六日町の今成家の写真実践の事例分析を中心としながら、日本における明治初頭の写真受容を、歌舞伎や浮世絵、黄表紙などの庶民文化との関連性と、写真以外への領域への社会・文化的影響に注目しつつ分析した。今成家の事例から、先行する西洋由来の視覚装置への受容を引き継いで生まれた「心を写す写真」や、「声・動きを写す写真」という写真をめぐる定型的イメージを発見し、それらが明治初頭の日本における遊戯的な文化領域に広く共有されていたことを示した。また、「心を写す写真」が文学の近代化に与えた影響と、「声・動きを写す写真」が蓄音機や活動写真などの後続メディアの受容に与えた影響を指摘した。
著者
生駒 忠昭 脇川 祐介
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

有機物質からなる薄膜における電気の流れやすさが外部磁場によって変化する現象を磁気伝導効果という。本研究は、磁気伝導効果を利用して有機太陽電池の中でおこる荷電キャリアが関係する反応を明らかにした。電子と正孔の再結合反応・励起子とキャリアの衝突に由来するトラップ反応・一重項励起子解裂の存在を明らかにした。本研究で開発した解析方法は、太陽電池素子を破壊せず動作条件下(室温・太陽光照射・低電圧)におけるキャリア反応を半定量的に評価できる新しいデバイス評価技術である。
著者
阿部 貴志
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

環境メタゲノム資源から、連続塩基・アミノ酸組成に基づく一括学習型自己組織化マップ(BLSOM)を基に、環境中の微生物叢のための生物系統推定ソフトウェア、地球環境改善に役立つ新規微生物ゲノムの検出手法、ならびに、それらが持つ環境浄化システムに関与する有用遺伝子候補の探索手法を開発した。新規性の高いゲノム断片配列を微生物ゲノム別に再構成するための手法が開発でき、環境が保有する環境浄化システムを構成する微生物や代謝遺伝子セットの全体像が把握でき、様々な微生物が持つ環境浄化システムの全体像把握に向けた情報学的スクリーニング法としての活用も期待できる。
著者
加井 久雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,会計の機能を会計基準の国際的統合化の文脈で数理モデルを使って検討するものである。日本の金融庁は,2015年4月に『IFRS適用レポート』を公表した。このレポートは,IFRSを任意適用した日本企業を対象にしたアンケート調査の結果を紹介している。その中で興味深いのは,IFRSを任意適用した理由として最も多かったのは経営管理への貢献であり,財務報告の比較可能性を大きく上回った。このことはIFRSを任意適用する日本企業にも,経営管理体制はあまり変えないまま,財務報告の部分だけを変えている企業と,経営管理体制を根本的に組みなおしている企業あることを意味し,この差異をもたらす要因の解明が重要であると言える。本年度は,前年度に引き続き,IFRSを基礎とする多国籍企業全体の最適な経営管理体制について検討した。「企業集団内の統一会計基準の性質と組織構造」では,本源的な企業価値を生み出す活動を行う生産部門と業績評価や公表財務諸表の作成といった情報生産を行う会計部門の関係に焦点を当て,多国籍企業内で統一的に利用する会計基準(IFRS)の性質によって生産部門と会計部門の最適な距離がどのように変わるのかを明らかにした。また,「「企業集団内の統一的会計基準と会計部門の活動」では,生産部門と会計部門の距離を所与として,会計部門は,情報生産コストの削減活動と生産部門への助言活動の二つの活動を行うものとし,多国籍企業内で統一的に利用する会計基準(IFRS)の性質によって会計部門の二つ活動の最適な水準がどのように変わるのかを明らかにしている。これらの研究は,多国籍企業におけるシェアードサービスの利用についても理論的な視点を与えるものである。
著者
榛沢 和彦 林 純一 大橋 さとみ 本多 忠幸 遠藤 祐 坂井 邦彦 井口 清太郎 中山 秀章 田中 純太 成田 一衛 下条 文武 鈴木 和夫 斉藤 六温 土田 桂蔵 北島 勲
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.120, no.1, pp.14-20, 2006-01-10
被引用文献数
4

新潟中越地震の車中泊では地震による心的ストレス,窮屈な下肢屈曲姿勢,そして脱水により下肢深部静脈に血栓が発生しエコノミークラス症候群(肺塞栓症)が多発した.10/31,11/3,11/7には厚生連佐久総合病院の診療チームと計69名(男性4名)にポータブルエコーで,11/15から12/20までは厚生連魚沼病院に通常のエコー装置を設置しマスコミを通じて呼びかけ82名(男性13名)に下肢静脈エコー検査施行した.2005/2/28から3/31まで再度魚沼病院で検査した方を対象に再度下肢静脈エコーを行った.10/31-11/7に検査した69名中車中泊経験者は60名で,8名にヒラメ静脈浮遊血栓(そのうち1名はCTで肺塞栓症を認めた),14名に壁在血栓を認め,血栓陽性例は全員車中3泊以上であった.11/15-12/20の検査では車中泊は66名(6名は30日以上連泊),そのうち60名が下肢の疼痛や腫脹を訴えヒラメ静脈の充満血栓1名,9名で壁在血栓を含めた血栓を認め,血栓陽性例は全員震災直後から車中4泊以上であった.血栓陽性率は震災後からの経過時間とともに低下し12/20では10%であったが2/28から3/31の診療結果では新たな血栓も認め血栓陽性率は21.9%と上昇を認めた.11/7までの下肢静脈エコーにおける車中泊者のヒラメ筋最大静脈径は8.8±2.5mm(車中泊経験の無いヒラメ筋最大静脈径7.1±2.0mm)より有意に大(n=55,p<0.05),また血栓を認めた被災者のヒラメ静脈最大径10.0±2.6mmで血栓の無い被災者(7.5±4.4mm)より有意に大であった(n=67,p<0.0001).本診療調査により大災害時における車中泊は急性期に肺・静脈血栓塞栓症を起こすだけでなく,静脈の損傷により慢性期に反復性の血栓を生じて血栓後症候群になる危険性も大であることが示唆された.
著者
橋谷 英子 瀬田 充子 楊 思好 毛 久燕 林 小旻
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

中国浙江省舟山では一人遣い指人形芝居『月唐演義』を3日、以前と合わせて約20日分、全編のほぼ半分を録画し、また『粉粧楼』「胡奎売人頭」の段も2日で上演してもらい録画した。一方、伴奏もすべて一人で行う、より古い形式で上演される温州地区蒼南県の一人遣い指人形で、『粉粧楼』を4日20時間、『月唐演義』「李白出考」を2日10時間、泰順県でも『月唐演義』を1日上演してもらい、録画した。これらの録画記録を比較検討した結果、伴奏が別に加わる舟山では、人形は動きが細やかで上演の重要要素であるが、蒼南や泰順では棒に挿した人形を並べるだけの場面も多く、人形は補助で語りが主で、講史との関係がよりはっきりと窺えた。
著者
土屋 千尋
出版者
新潟大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

外国人日本語学習者の日本語発話において、韻律を構成するたかさ・つよさ・ながさのうち、特に、母音のながさに焦点をあてて、研究をおこなうことにした。筆者のこれまでの研究で、日本人の発話の母音の長短をしらべると、長短の区別が明確でないことがわかってきた。日本語教育では、短母音は1拍、長母音は2拍のながさである、とおしえているのだが、これはかならずしも日本人の発話の現実に基づいていないといえる。したがって、外国人学習者が、漢字のよみ方テストで、母音の長短の区別をまちがえるのは日本人の発話の現実を反映して、音声的事実を表記にもちこんでいることによるのではないかとかんがえた。まず、新潟大学留学生に対して筆者が定期的に実施している漢字よみ方テスト(93年度実施、1課〜16課、のべ枚数280枚、1枚につき出題漢字の平均数64)より母音の長短のあやまりを採集し、どの語のあやまりの頻度がたかいか調査した。その結果、拗音をふくむ漢字、および拗音に隣接している漢字に関して、母音の長短のあやまりの頻度がたかいという傾向がみられた。あやまりの頻度のたかい漢字をふくむ25の語彙リストを作成し、新潟大学留学生27名によみあげてもらい収録した。現在、「音声録聞見」で分析をおこなっている。27名の内訳は、中国7、香港1、韓国1、マレーシア9、インドネシア1、タイ1、モンゴル2、イギリス2、イタリア1、ギニア1、中国帰国者子弟1名である。また、標準となすべき日本語音声資料としてNHKお昼のニュースを47日分録音した。今後、この音声資料を留学生にきかせ母音の長短をどのように知覚しているか調査をおこなう。その上で、外国人学習者が、日本語の母音の長短がききわけられないのか、いいわけられないのか、もしくは、ある漢字の音価がながいかみじかいか知識としておぼえていないのか、学習者の母音とも関連づけてしらべていく予定である。
著者
伊藤 喜雄 平泉 光一 加瀬 良明 小澤 健二 青柳 斉 伊藤 忠雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

米主産地の現地調査及び流通業者からの情報提供により、新食糧法下の米流通の規制緩和は、従来の自由米市場ですでに発生していた産地間競争に加えて、卸・小売等の業者間競争を本格的かつ全国的に展開させていることが分かった。具体的には、以下の点である。1.新潟県や北陸3県、島根県などコシヒカリ品種に代表される良食味米の主産地や、大都市近郊産地の千葉・兵庫・滋賀県などでは、生産者及び農協レベルで計画外流通の販売対応が拡大しつつある。そこでは、生産者グループ・法人組織や農協において、栽培協定や品質管理、販売促進の強化など多様な産地マーケティングが展開している。2.スーパーや米卸業者、米小売専門店等の中には、上述の主産地と直接的な取引関係を結ぶ業者も多数登場している。その結果、産地ブランドの地域的細分化が進み、産地間及び流通業者間で競争が激しくなっている。特に、過剰下の買い手市場の中で、大手スーパーの産地掌握が強まっており、農協の米マーケティングの展開に大きな影響を与えている。3.北海道や東北、熊本・佐賀県などの非良食味米産地では、米需給関係の過剰基調のもとで、生産者及び農協の当初の自主販売の動きは止まり、計画流通による連合会での統一販売対応に回帰しつつある。そこでは、米流通再編の担い手である大手スーパー等に対して、経済連・全農の組織再編による系統米販売体制の強化が模索されている。4.米国や中国の海外ジャポニカ米主産地に関しては、産地レベルでの技術開発では食味よりも収量志向が強く、国産米と競合する現地のブランド米(良食味米)は量的には極めて少ない。そのため、品質面で日本との競争力は現在時点では小さいと言えそうだ。2年間の実態調査により,現下の米産業の競争構造に関して以上の点が明らかになった。