著者
藤井 久雄
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.50-57, 1994-06-01 (Released:2018-02-28)
著者
日和佐 楓 嶋田 大作
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

長距離自然歩道は、環境省が全国に設置している歩道で、九州自然歩道もその一つである。豊かな自然環境に触れることによって、自然保護意識を高めることを目的にしており、環境政策の基盤的手段と位置づけられる。しかし、これまでの研究では、長距離自然歩道の利用者の特性や環境保護意識の解明は、充分に行われていない。本研究では、この課題について、九州自然歩道における利用者アンケート調査を実施して、その解明に取り組む。調査方法は、ルート上の山頂や登山口の3ヶ所で、調査員が自記式質問紙を配布・回収する形で2015年秋に行った。特に、環境意識については、一般的な環境意識と自然歩道利用者のそれを比較するため、内閣府の世論調査と同じ内容とした。その結果、九州自然歩道の利用者は、森林への親しみや生物多様性への取り組みに関して、世論調査よりも環境意識が高い結果となった。また、これらの項目では、九州自然歩道の利用頻度が高い利用者ほど環境意識も高くなることが分かった。他方、自然環境との関係性が低い循環型社会の形成に関する質問では、自然歩道利用者の環境意識において、世論調査との差や利用頻度との関係はみられなかった。
著者
河原崎 里子 杉村 乾
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.95-99, 2012-04-01 (Released:2012-06-14)
参考文献数
27
被引用文献数
3 5

山菜やきのこは誰もが採集できる森の恵である。これらの利用と生育環境条件との関係は必ずしも十分には明らかにされていない。本研究では, これらを個人が採集したり, または, 団体 (個人以外の企業や自治体など) が広報・販売等で利用したりすることの地域性と生育環境との関係性を把握した。インターネット検索エンジンを利用し, 全国133市町村を対象に所定キーワードを与え, ヒット件数とその内容から各地の採集頻度を表す指標を算出した。この指標を市町村の人口, 森林面積, 気温, 積雪日数などで説明する重回帰モデルで解析した結果, 年平均気温が低い, または, 積雪日数が多い地域で山菜, きのこともに採集頻度が高いことが示された。また, 個人は天然林面積が大きなところで採集するのに対し, 団体ではその傾向は見られず, 様々な森林を利用していた。個人は景観が美しい場所で採集し, 採集をレジャーと捉える傾向があるのに対し, 団体は確実な採集のため対象の種の生育適地で採集すると考えられた。
著者
水谷 完治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.126-130, 2006-04-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
9

荒廃地における樹林化手法の開発のため, 緑化資材として粘土団子種子を用いた試験を足尾松木沢で行った。6種類の木本類を用いた播種粒数密度200粒/m2および60粒/m2では, クロマツとアカマツ合計の播種粒数密度に対する3年目の成立本数密度の割合がそれぞれ2.5%および3.7%, 成立本数密度は0.192本/m2および0.085本/m2であった。樹林化のための目安として植栽本数密度の基準を参考にし, 3年目の成立本数密度を0.4~1.2本/m2とすると, 木本類をクロマツとアカマツのみとした播種粒数密度60~200粒/m2程度で, 目安の成立本数密度に達すると試算でき, 従来の播種工よりかなり少ない播種粒数密度での樹林化の可能性を提示できた。
著者
伊藤 拓弥 榮澤 純二 矢野 宣和 松英 恵吾 内藤 健司
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.221-225, 2010
被引用文献数
4

本研究では, iPhoneにて樹高測定を行うためのソフトウェアを開発した。iPhoneをはじめとするスマートフォンは加速度センサを搭載した機種があり, デバイスの傾きを測定することができる。この加速度センサを使い三角法の原理を応用することで, iPhoneにて樹高測定が可能である。またiPhoneは優れたユーザインタフェースを有するため, 測定データの保存管理, 編集, 集計, 表示ができる。この機能を利用することで, 内業を行うことなく測定データを測定直後の現場にて即座に集計, 表示させることが可能である。またiPhoneは携帯電話回線や無線LANによって測定データを転送することができる。これらの機能によって森林調査の作業効率を大幅に向上させることができると考えられる。
著者
小林 正秀
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.203, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

ナラ枯れは、江戸時代以前から日本で発生しており、過去の被害は周辺に拡がらなかったが、1980年代以降、全国的に拡大するようになった。京都府では、1990年代に被害が発生し、2011年以降は終息に向かったが、被害が再発している地域も多い。 ナラ枯れの発生原因についても、主因、誘因、素因に別けて考えるべきであろう。主因は、カシノナガキクイムシが媒介する糸状菌(Raffaelea quercivora)であることが証明された。誘因については、2005年の総説で、ブナ科樹木の大径化を指摘した。すなわち、燃料革命で化石燃料の利用が増え、薪炭林(里山よりも奥山に多い)が放置され、カシノナガキクイムシが繁殖しやすい大径木が増えたことを指摘した。この説が定説になってしまったが、総説では温暖化の影響も指摘した。しかし「温暖化を原因とする説が提唱されたこともあったが、60年以上前に冷涼な地域で発生しており、関連性を示すデータは得られていない」と反論され、科学的な検証を試みる人はなかった。そこで、演者は、温暖化がナラ枯れに与える影響について検証してきた。ここでは、温暖化がナラ枯れの要因であることを示す。
著者
岡部 貴美子
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.12-15, 2021-06-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
2
著者
作田 耕太郎 青木 哲平
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.370, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

根株移植は、土地開発や造成にともなって、通常は伐採・処分される樹木を断幹して残し、その根株を法面などの緑化対象地点に移植して萌芽による早期の緑化を期待する工法である。移植対象木が萌芽力に富む種に限られるといった制約があるものの、原植生を材料とし、また土木工事に使用する重機をそのまま活用できるという観点から、経済性や生物多様性など優れているとされる。しかしながら、移植後の根株の枯死や萌芽の発生状況については、施工後の管理や緑化の成否判定の上で重要と考えられるものの、ほとんど検証されていない。本研究では、九州大学伊都キャンパス内の根株移植地において、施工10年目の根株の生存状況や萌芽の発生状況について明らかにすることを目的とした。2009年に対象地に移植された根株148本のうち,10年目の2018年に生存していたのは86本であり、生存率は58.1%だった。常緑樹の生存率は61.8%だったのに対し落葉樹は52.5%とやや低い値を示した。以上の結果に加え、樹種ごとの萌芽発生状況などを解析し、根株移植に適する樹種や施工地の管理法などについて検討した。
著者
升屋 勇人 安藤 裕萌 小林 真生子 河内 文彦 岩澤 勝巳
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.866, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

イチョウ(Gingko biloba)は中国原産の裸子植物イチョウ科イチョウ属の落葉高木で、古くから種子食用に栽培されている他、緑化木として公園や街路樹に多く植栽されている。最近、千葉県、愛知県で相次いで原因不明のイチョウの衰退、枯死が確認された。主な症状は、開葉後の葉先の褐変、萎れ、早期落葉により、最終的には枯死に至る。被害は複数本のまとまりで発生しており、隣接木へ被害が移行しているようにみえる事例も見られたことから、葉の感染症と土壌病害の両方の可能性が考えられた。そこで、葉、根圏双方での病原体の探索を行ったところ、葉からはGonatobotryumなどの寄生菌が検出されたが、木全体を枯死させるものとは考えられなかった。土壌釣菌実験を行ったところ、愛知県では1種類。千葉県では2種類のPhytophthora属菌が検出された。形態、およびDNA解析の結果、両県で共通して検出されたのはP. citrophthoraもしくはその近縁種と考えられた。P. cf citrophthoraを用いた土壌混和による接種試験で、イチョウの1年生実生は2か月で萎れ、枯死に至った。成木への影響を明らかにする必要はあるが、イチョウの枯死に本種が関与している可能性があると考えられた。
著者
斎藤 真己
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.348-350, 2014-12-01 (Released:2015-04-02)
参考文献数
12

スギ花粉症対策の一環として,メタセコイア雄花の発育限界温度と有効積算温度を明らかにした。メタセコイアの雄花の発育限界温度はほぼ0°C となりスギと同様の値になったが,開花に要する有効積算温度は,計算上175.4°C・日となり,スギ(184~240°C・日)よりも低い値になった。次に,10°C に設定した人工気象器を用いてメタセコイアとタテヤマスギ,ボカスギで開花試験を行った結果,メタセコイアが最も早く開花した。これらの結果から,メタセコイアの花粉はスギよりも早く飛散が始まっており,その花粉はスギと共通抗原性があることから,居住区の近隣にメタセコイアがある場合,スギ花粉症患者はスギ花粉の飛散予測よりも早く花粉症を発症する可能性があると考えられた。
著者
真坂 一彦 佐藤 孝弘 棚橋 生子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.15-22, 2013-02-01 (Released:2013-03-30)
参考文献数
37
被引用文献数
1 3

養蜂業による北海道での蜜源植物の利用実態について, 北海道養蜂協会が毎年集計している「みつ源等調査報告書」をもとに分析した。主要な蜜源植物は, 蜂蜜生産量が多い順に, ニセアカシア, シナノキ, クローバー, キハダ, アザミ, ソバ, そしてトチノキの7種である。これら7種の蜂蜜生産量に占める樹木蜜源の割合は約70%で, これに森林植生であるアザミを加えると80%弱にのぼり, 森林が蜜源域として大きく貢献していた。地域性を評価するため, 振興局 (支庁) ごとに蜜源植物の利用状況についてクラスター分析したところ, 太平洋型, オホーツク型, 道北型, 道央型, そして道南型と, 北海道の地理的区分に対応した5群に分類された。シナノキとキハダについて, 各樹種の蓄積とそれらを対象にした蜂群数の関係をみたところ, 蓄積が多い地域ほど蜂群数も多い傾向が認められた。各地域の主要7蜜源植物の多様性と全蜂群数の間には有意な相関関係があり, 蜜源植物が多様な地域ほど生産性が高いことが示唆された。
著者
北野 聡
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.34-37, 2018-10-01 (Released:2018-10-27)
参考文献数
13
著者
横尾 謙一郎
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.34-37, 2020-06-01 (Released:2020-07-02)
参考文献数
9