著者
山内 賢明
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.10, pp.743-748, 2009-10-15
被引用文献数
1 2

現在,業界の課題として,甲乙混和焼酎問題があり,著者は日本酒造組合中央会の焼酎需要開発部会長として,業界の先頭に立って東奔西走の多忙な日々を過ごしておられる。多忙な業務のかたわら,焼酎伝来の1つのルートについて5年以上にわたって調べられた結果を,平成19年に出版され,大きな反響を呼んでいるが,その概要から現在に至るまでの経緯,並びに壱岐の麦焼酎が出来るまでを解説して頂くとともに,部会長の立場から,今本格焼酎業界が抱えている課題についても言及して頂いた。<br>麹文化の所産であり,蒸留酒の国酒たる本格焼酎と泡盛を国民消費者に正しく理解していただき,今後も楽しんで頂くと同時に,本格焼酎の将来に目を向けた努力をしておられる気持ちを行間から読みとって頂きたい。
著者
山内 賢明
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.104, no.10, pp.743-748, 2009 (Released:2011-03-05)
著者
上東 治彦 加藤 麗奈 森山 洋憲 甫木 嘉朗 永田 信二 伊藤 伸一 神谷 昌宏
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.310-317, 2014
被引用文献数
1

発酵促進効果のあるチアミンを用いた吟醸酒小仕込み試験を行い,さらに実地醸造でのチアミン添加試験を行った結果,以下のような知見を得た。<br>1.ピルビン酸の残存しやすいAC-95株を用いた小仕込み試験において,チアミンを原料米1トン当たり1 g添加することにより発酵が促進され,ピルビン酸もピーク時で約1/7まで減少した。また,酸度やアミノ酸度は減少し,香気成分は増加した。<br>2.酒質を大きく変えることなくピルビン酸を低減させるためにはチアミン添加量は0.1~0.3 g/トン程度が適当であった。<br>3.チアミンを含む発酵助成剤フェルメイドKの添加によりピルビン酸が減少するとともにアルコール収量は増加した。<br>4.実地醸造においてチアミンを0.1~0.3 g/トン添加した結果,対照に比べモロミ中のピルビン酸が約半分に低下した。
著者
清野 慧至
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.85-88, 2020-02

アルコール飲料は世界中で広く飲用されており,社会的コミュニケーションの促進に寄与している。健康との関連性については,「酒は百薬の長」という言葉にある通り,適度な飲酒が死亡率を低減させるという報告もあるが,過度の飲酒は心身の健康に悪影響を及ぼし,社会的損失をもたらす。微生物の世界においても,アルコールへの耐性はその分類によって異なる。酢酸菌は食酢の醸造に用いられるグラム陰性の好気性細菌である。食酢の製造工程において,酢酸菌はアルコールをADHおよびALDHにより分解し,酢酸を生成する。これらの背景を鑑み,我々は酢酸菌のヘルスケア領域における活用を目指した。酢酸菌とヒトにおけるアルコール代謝の類似性に着目し,酢酸菌に含まれるADH,ALDHが,アルコールの分解を促進することで飲酒時における種々の問題を軽減するのではないかと仮説を立てた。これまでに,ADHとALDH活性を保持する酢酸菌粉末の工業的生産法を確立した。本稿では,飲酒ケアの観点から酢酸菌の様々な機能性を評価した結果を紹介する。
著者
加藤 百一
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.425-431, 2009 (Released:2011-04-05)
著者
加藤 百一
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会雑誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.p282-289, 1979-05
著者
髙峯 和則 吉﨑 由美子 島田 翔吾 髙屋 総一郎 玉置 尚徳 伊藤 清 鮫島 吉廣
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.50-57, 2011 (Released:2012-12-06)

芋焼酎の中にローズオキサイドはシス体およびトランス体が検出され,それぞれ0.8~4.6μg/Lおよび0.3~l.9μg/Lであった。ローズオキサイドの閾値は25%アルコールでは0.35μg/L,芋焼酎では14μg/Lであった。閾値での評価は「甘い」, 「華やか」, 「バラ様」であった。ローズオキサイドは一次もろみとサツマイモからは検出されなかった。モデルもろみ(pH4.2,アルコール15%)を30℃で5日間加温するとシトロネロールからローズオキサイドへ変換された。しかしネロール,ゲラニオール,リナロールおよびα-テルピネオールからは変換されなかった。シトロネロールからローズオキサイドへの変換は蒸留工程およびモデルもろみをpH3.5以下にすることで促進された。麹菌と酵母によるシトロネロールからローズオキサイドへの変換は確認されなかった。シトロネロールはゲラニオールを前駆体として酵母により変換されたが,麹は変換に関与しなかった。以上のことから,ゲラニオールから酵母の微生物的変換作用により生成したシトロネロールが発酵過程で酸触媒による化学的変換作用によりローズオキサイドに変換し, 蒸留工程で変換が促進されることが明らかになった。
著者
大久保 洋子
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.112, no.3, pp.161-166, 2017 (Released:2017-06-26)
著者
和佐野 成亮 服部 良太
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.212-218, 2014

レストランなどで食材の誤表示問題が発生し,食品の表示に再び世間の注目が集まったのは記憶に新しい。酒類についても原材料の適正表示は法令遵守の観点のみならず,商品に対する消費者の信頼性確保のためにも重要な事項であり,酒類業者は自社が販売している製品の真正性を確保する必要がある。本稿では酒類の必須成分であるエタノールの安定同位体を新たに開発した方法で分析した酒類原料の期限推定技術について解説して頂いたので,参考にして頂きたい。
著者
飯島 隆
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.113, no.10, pp.588-612, 2018-10

経済連携協定(Economic Partnership Agreement: EPA)とは,関税削減といった自由貿易協定(Free Trade Agreement: FTA)に係る取極に加えて,非関税障壁の除去,知的財産や投資,協力などといった様々な分野に係る連携取極を二国間(バイ)や複数国間(プルリ)で締結するものである。世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)による多国間(マルチ)自由貿易交渉が停滞する中,それを補完する観点から,WTO協定内の関税及び貿易に関する一般協定(General Agreement on Tariff and Trade: GATT)第24条により,WTOの無差別原則と矛盾しないものとして許容されているEPAが,世界各国で積極的に活用されている。我が国においても2002年11月に発効した日シンガポール・EPAを皮切りに,2018年6月末現在で25ものEPA交渉を行い,うち15ものEPAが既に発効している。EPAは,酒類を取り巻く環境に対しても様々な影響を与える。日チリ・EPAは,日本市場における輸入ワインの勢力図を塗り替えたというだけでなく,日本におけるワイン飲用の習慣を一層浸透させることに貢献したと言えるだろう。また,2005年4月に発効した日メキシコ・EPAでは蒸留酒の地理的表示(Geographical Indication: GI)の相互保護が実現したほか,環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Strategic Partnership Agreement: TPP)では,それに付随した交渉において米国が蒸留酒の容器容量規制撤廃に向けた手続き開始に合意するなど,EPAを通じ,日本産酒類の輸出環境に資する成果が様々な形で得られている。とりわけ,欧州連合(European Union: EU)とのEPAである日EU・EPAは,2013年4月に交渉を開始したが,EUが世界最大の酒類輸出経済圏であること,また歴史的・文化的背景から酒類に係る独自の哲学を有し,またそれに係る様々な規制・制度が古くから存在していることから,酒類環境に多大な影響を与えるものになることが交渉開始以前から想定されていた。日EU・EPAは2017年7月6日に大枠合意(agreement in principle),同年12月8日に交渉妥結(finalisation of the negotiations),2018年7月17に署名に至ったが,事実,酒類に関し,過去のEPAとは比較にならないほど様々かつ大きな影響を与える事項が合意された。今回,酒類にかかる合意内容について,基本的事項から技術的事項まで幅広く含めて解説する。
著者
鰐川 彰
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.559-570, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
山田 潤 松田 秀喜
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.11, pp.866-873, 2009-11-15
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

かつお節は古来より使用されてきた日本の伝統的な調味料である。培乾した荒節にカビ付けした枯節は発酵食品といえる。かつお節のDPPHラジカル消去活性は,100℃,30分間の抽出時に最も強い値を示し,鰹だしの抗酸化活性成分として,クレアチニンとフェノール系の2-methoxy-4-methyl-phenol,4-ethyl-2-methoxy-phenolを同定し,さらに鰹だしにより加熱調理時のイワシの酸化が抑制されることを明らかにしたので解説していただいた。鰹だしは醤油加工品であるめんつゆやだし入り味噌などに使用されており,これらの製品においても抗酸化作用が期待される。
著者
福田 央 韓 錦順
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.105-114, 2018-02

輸入されているカシャーサとラム酒の低沸点香気成分及び中高沸点香気成分84成分を分析・比較した。カシャーサとカリブ海諸国及びインド洋諸国のラム酒では34成分に有意差が認められた。ステップワイズ法によりカシャーサ及びカリブ海諸国及びインド洋諸国のラム酒の判別分析を試みたところ,β-フェネチルアルコール,コハク酸ジエチル及びチオ酢酸S-メチルにより分類され,33点中31点が適切に判別された。判別精度を検証したところ90.9%の精度であった。また,カシャーサと日本産のラム酒では19成分に有意差が認められ,ステップワイズ法により判別分析を試みたところ,シトロネロール及びフルフラールにより適切に分類され,判別精度を検証したところ100%の精度であった。
著者
越後 多嘉志
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会雑誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.p244-249, 1977-04
著者
中台 忠信
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.25-32, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
飯塚 幸子 磯谷 敦子 神田 涼子 藤井 力
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.114, no.2, pp.93-101, 2019 (Released:2019-06-21)

(1)平成26酒造年度全国新酒鑑評会出品酒の「マスカット様」,「ライチ様」,「柑橘様」と表現される香り特性について,チオール類の関与を予測した検討を行った。(2)チオール類の関与が考えられるコメントや指摘のあった試料25点の4MMP含量は,5~14ng/Lで,いずれも以前に報告した清酒における4MMPの検知閾値(1.2ng/L)よりも高かった。(3)チオール類を選択的に抽出した試料のGC/Oを行った結果,4MMP以外のチオール類も清酒中に存在する可能性が示唆された。(4)4MMPを添加した清酒の官能評価試験を行い,清酒の香味に対する4MMPの影響を調べた。その結果,8.0ng/L以上の4MMPの添加により,「硫黄系」の香り特性が有意に増強された。また,16.0ng/L以上の4MMPの添加により,総合的な香味評価は有意に低下したものの,「マスカット」,「ライチ」,「柑橘」などと表現される「果実様」の香り特性も増強された。
著者
根来 宏明
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.694-700, 2016 (Released:2017-04-06)
著者
古屋 俊樹 木野 邦器
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.64-70, 2018 (Released:2018-05-28)

1 0 0 0 頼山陽と酒

著者
池田 明子
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.32-36, 2013-01-15

筆者は著書「吟醸酒を創った男」で,この業界に知られる作家。北陸の古都・金沢に生まれ育ち,広島へ嫁いだのち,賴山陽に傾倒し著作も多い。「山紫水明」は山陽発明の語,山陽の晩酌は「酒に自分好みに水をブレンド」していた由。本解説を楽しく味わっていただきたい。