著者
斎藤 哲
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究はヴァイマル時代のドイツ共産党と、第2次世界大戦後の東ドイツにおける社会主義統一党に代表される、20世紀ドイツの共産主義運動の歴虫的な特徴を両性関係に焦点を当てて解明することを目的としていた。この目的を達成するために、次の課題を設定した。1)ドイツ共産党によって女性に対して行われた働きかけを主として担った男性党員たちは、どのような姿勢で女性の抱える問題に向かいあったのか。また、女性たちはそれに対してどのように反応したのか。2)戦後東ドイツにおける消費生活の変化にあわせて、職場や家庭における両性関係に変化が生じたのか。3)ヴァイマル時代から1960年代末に至るまでの時期に、ドイツ人の家庭生活の中で両性関係に根本的な変化は生じていたのか。これらの課題に関する成果は以下の通りである。1)ドイツ共産党の男性党員は一般に、女性は政治に関わるべきではなく、家事と育児に専念すべきであると考え、その点でドイツ社会一般の通念に従っていた。2)ヴァイマル時代のプロレタリア女性にとって、共産党の主張する女性の解放と、女性たちの求める解放との間には大きな齟齬があった。3)以上1)〜2)のような状況は、第2次世界大戦後の東ドイツにおいても見られた。社会主義統一党と東ドイツ政府は家庭や職業における女性の負担を軽減するために、女性に配慮した消費政策の展開を含めて様々な措置を執ったが、女性が家事と育児を担うべきであるという点、社会生活の決定権は男性が握るという点では、きわめて保守的であった。4)ヴァイマル時代及び第2次世界大戦後の東西両ドイツにおける消費生活の発展は、家事に関する限りで、女性の家庭内での地位を強めたように見えたが、それは男女の性別役割分担を廃棄するものではなかった。1)〜3)に述べたようなドイツ共産主義運動における男性中心主義的な特徴は、このようなドイツ社会一般のあり方を反映していた。
著者
平野 満
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、採薬記を集成して資料集として提供するための基礎的研究にあった、主として諸写本の書誌的調査により関連史料を援用した。年度内の成果は以下である。1.小野蘭山の採薬記のうち、『常野採薬記』『甲駿豆相採薬記』の諸写本を書誌的調査と蘭山の『日記』によって検討し、成立事情と転写系統を明らかにした。(研究発表1)2.蘭山の採薬記のうち、『遊毛記』『紀州採薬記』『駿州勢州採薬記』『上州妙義山武州三峯山採薬記』について,1.と同様に、その転写系統を明らかにした。また、蘭山に同行した門人による採薬記,宮地維則『常毛採品目録附常毛物産目録』・『藤子南紀採薬志稿』三谷笙州『信州駒ヶ岳採薬記』についても触れた。また、『藤子南紀採薬志稿』の著者「藤子」が江戸金助町住の医師加藤玄亭であることを明らかにした。(研究発表2)1.2.の検討から蘭山「採薬記」の転写本は山本読書室の蔵本が底本となって流布した事実を確認できた、山本読書室は近世後期の本草挙の情報発信源であったことが判明した。3.蘭山門人山本亡羊読書室の採薬の年表を作成して、いかに山本読書室が採薬を重んじたかをみた。(研究発表3,原稿提出済み)4.山本読書室の採薬記について、所在の確認と書誌的な調査により転写関係を明らかにした。5.近世から明治期にいたる間に成立した「採薬記」すべての(仮)所在目録を作成した。適時、増補改定が必要であることはいうまでもない。
著者
川口 太郎 中澤 高志 佐藤 英人
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

高齢化がすすむ大都市圏の郊外住宅地の持続可能性を住民特性の面から検討し,内郊の「街なか化」する住宅地,外郊の「地元化」する住宅地,アッパーミドルの「孤立化」する住宅地を見出した。また,第二世代の居住地選択は,働き方や家族の在り方が多様化するなかで,単線的・画一的にとらえることが難しくなったものの,そのなかで実家との関係性が選択に際して大きな位置を占めていることが明らかになった。
著者
伊藤 隆康
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

包括緩和政策において、政策導入直後から日銀幹部が積極的に市場との対話を行い、導入3カ月後においては、社債スプレッドの低下や株価上昇という形で効果が見られた。量的・質的緩和政策においては、導入3カ月後に緩和効果が認められたのが、短期金利と株価、ドル円為替レートであった。一方、中長期ゾーンのイールドカーブ低下効果は認められず、中長期金利は上昇した。この点は市場との対話の限界を示した。東日本大震災後における日銀の市場との対話や流動性供給、金融緩和策の強化などが、短期金融市場と国債市場に与えた影響を検証し、こうした一連の政策対応が功を奏して、金融市場は混乱なく安定的に推移したことが分かった。
著者
マーク ケヴィンL. 中嶋 正夫 三宅 和子
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

学習者コーパス構築への従来のアプローチは、有用であると考えられてはいたが、教育の過程からは切り離されているものであった。この研究プロジェクトの主な成果は、パラレル学習者コーパスを構築する過程が、教育といかに結合されていくかというモデルを見せることが出来たことである。言い換えれば、この研究におけるコーパス構築技術は、同様に教育技術であると呼ぶことができるのである。この研究は、その他のプロジェクト、特に生徒の積極的な参加や創造性を生かすようなプロジェクトに、この研究モデルが適用できることを示した。学習者コーパス研究と実践的教育の系統だった結合は、CALL(Computer Assisted Language Learning)の分野の新しい活用を含め、広範囲のカリキュラム開発(教育体系開発)をもたらすことになる。加えて、学習者コーパスの構築に平行し、CALL教材が携帯電話の使用に合わせて開発された。
著者
北田 葉子
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

トスカナ大公国の宮廷について、とくにフィレンツェ人高位役職者に着目して研究を進めてきた。その結果、フィレンツェ人は第5代トスカナ大公フェルディナンド2世の時代に急増していることが確認された。フェルディナンド2世時代には、フィレンツェ人が封建的称号を獲得し、市民から封建貴族へと変わっていく時代であり、この封建貴族化の現象と宮廷人の急増はリンクしていると考えられる。これまでの研究では、フィレンツェでは元老院議員になること、騎士団に入ることなどさまざまな名誉への道があり、宮廷は決して中心的な役割を果たすことはなかったとされてきた。しかし本研究により、フェルディナンド2世の時代には、封建貴族となったフィレンツェ人は宮廷に入り、そのほかの名誉を求めなくなる傾向があると分かった。しかも彼らは宮廷の最高職である大執事などに就き、その肩書きによって政府の最高機関である国務評議会にまで参加していた。つまり宮廷職は、そのほかの名誉をしのぐ最高の名誉ある職になったのである。また宮廷文化については、当時の宮廷に出入りするエリートたちが、ギリシア・ローマ神話をどのように受け入れていったかについて考察したが、その結果、神話の「マニュアル」といったものが存在し、それが大きな影響力を持っていたことが分かった。このマニュアルには、神々をどのような姿で表すのかを具体的にイメージで示すものもあり、そのイメージは、画家たちにも利用された。絵画や祝祭装飾でそのイメージは具体化するが、具体化されたイメージは再び祝祭の記録や絵画の説明の中で描写されていた。このように「マニュアル」に書かれた神々のイメージは、ビジュアルから再び書物となって循環し、それによって宮廷に出入りし、祝祭や絵画をつぶさに見ることのできるエリート層に、典型的な神々のイメージを与えていったのである。
著者
樋渡 さゆり
出版者
明治大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

「風景」と「言語」の問題を軸にして、18世紀から20世紀の英詩の特徴を探るという展望の中で、本年は主にテニスンを中心にヴィクトリア朝の文学について考察し、あわせて、ワーズワスらロマン派の文学との関連について考察した。研究としては(1)論文「『イノック・アーデン』と解釈学的な旅」、および(2)国際学会での口頭発表“Descriptive Sketches and the New Language"としてまとめた。従来、文学史としては記述されて来たが、今後の研究が期待される18世紀、ロマン派、そしてヴィクトリア朝の詩の関連について、および、それらと象徴主義や、小説における自然主義との有機的な関わりを明らかにする、という、長期的な展望の研究の一部である。最近のヴィクトリア朝研究の中で、とくに「神と自然」をめぐる自然科学史研究の成果をもとにテニスンの活動や作品を再評価すると、当時の英国文化の特徴は、さまざまな領域に渡る時間的・空間的なコミュニケーションの拡大であることがわかる。上記(1)では、テニスンの作品に特徴的なのは解釈学的なコードの間の「対話」であり、コミュニケーションと翻訳を中心的なテーマとしてヴィクトリア朝時代に特徴的なコミュニケーションのあり方を描いたことを示した。共通する視点から、「風景」や「牧歌」、「言語」のテーマに関わる「コード転換」というテーマから、ワーズワスの叙景詩を、18世紀のピクチャレスク美学との関連から考察したものが(2)である。本年度と同様、今後も、同時代の絵画、造園術、自然科学史、宗教、文化論など、重要な手掛かりになると思われる領域の研究を参考にして、ロマン派以降の英詩について考察を続ける予定である。
著者
三木 一郎 松瀬 貢規 久保田 寿夫
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

電気自動車(EV)用40kW、12-8極のスイッチトリラクタンスモータ(SRM)の設計開発を行い、始動および定常駆動の位置センサレス制御アルゴリズムの開発・実用化を目指し、新しい駆動系電気自動車の完成を最終目的として研究を行った。市販の車をベースに電気自動車を開発するために、従来のエンジンを取り外し、代わりにSRMがそのまま設置できるようにモータ外形寸法をまず決定し、次にバッテリーで供給可能な電圧から必要なトルクが得られる電流を求め、基本的なモータ仕様を割り出した。これらの基本設計を基にモータの製作をメーカーに依頼し、同時にSRM用の特殊なインバータの製作を別メーカーに依頼した。これと並行して、位置センサレス制御アルゴリズムの開発を進め、次の事を明らかにした。1.始動、および低速から高速まで安定して運転が可能な位置センサレス制御手法を開発できた。ただし、始動法に関しては既に類似の手怯が発表されていることが明らかになった。2.負荷が印加され、電流が流れると磁気飽和の影響によりセンサレス制御の精度が悪化するが、これに対処する方法を開発した。3.速度推定は、低速になるとその精度が悪化していたが、これを改善する手法を見出すことが出来た。以上が、センサレス手法に関する研究成果である。EVを構成する基本的な要素、すなわちSRM、駆動用インバータおよひバッテリーによる模擬実験用システムを構成し、実験を行った。負荷にはPMモータを使用した。各指令速度に対する電流、電圧波形の測定、負荷試験などを実施した。これらの結果より、効率については、モータ単体て80-90%、駆動回路まで含めると65-75%程度であることがわかった。さらに、SRMの大きな欠点である振動・騒音についても追加て研究を進め、これらを軽減できる一方法を明らかに出来た。今後はこれをさらに進め、より実用性の高いSRM搭載電気自動車の開発を進める予定である。
著者
今村 哲也
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

近隣民事紛争への仲裁的介入から、家庭内暴力・虐待の排除および迷惑防止条例の執行そしてテロ対策のための警察活動まで、警察活動を授権する作用法の行政警察化は避けられない。法治主義原則からは、可能な限りの事前介入要件の厳格化・明確化が人権侵害抑止のために必要であることはいうまでもないが、くわえて組織法的観点からの、第三者機関(審議会)の警察力育成(警察官教育)の充実と、警察の制度と作用・活動にかかる審議会制度の設置・活動が重要である。
著者
一之瀬 真志
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,1)ヒトの動的運動時における筋代謝受容器反射の特性を定量化する実験手法を確立した.また,2)筋代謝受容器刺激時には,動脈圧受容器反射による血管収縮反応が顕著に高まることを明らかにし,このような末梢反射の相互作用が運動時の循環調節に大きく貢献する可能性をみいだした.これらの研究成果は,運動時の循環調節メカニズムの解明を進め,運動の安全性や健康増進の効果を考える上で有意義な学問的基盤となると考えられる.
著者
小林 繁
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、障害児・者の学習文化活動を保障していくための課題と方向性を探っていくことを意図して、全国の先進事例や先行研究の調査とともに、全国の市町村自治体での取り組み状況についてのアンケート調査を実施した。そこでは、この間の生涯学習施策の進展に伴って、障害をもつ人の学習・文化保障の取り組みがどの程度進んでいるかを具体的に把握、分析する課題意識のもとに考察を行った。まず先進事例としては、東京を中心に行われている障害者青年学級(教室)、障害をもつ人を対象とした講座および届けるという発想にもとついたアウトリーチサービスの取り組み、大学で行われているオープンカレッジ、社会教育施設での対応、などについての調査見学を行った。また、全国調査の結果からは、まず学校週5日制対応の事業については、圧倒的に多くの市町村ではその対応がなされていない状況が明らかとなり、障害をもつ児童が地域で生き生きと学習文化事業に参加していく取り組みが求められていることを提起した。また、障害をもつ人が参加できるような配慮をしている事業を実施している自治体が回答した自治体総数の30%であり、依然として課題が大きいことがあらためて確認された。その意味で、教育を受ける権利を保障する責務を負う教育行政、とりわけ社会教育行政の役割と課題が浮き彫りにされたと同時に、とりわけスタッフやボランティアといった人的な面とプログラムなどのソフトの面からの学習支援のあり方を先進事例の取り組みから学んでいく必要性を強調した。そうした点をふまえ、最後にまとめとして、以下の視点の重要性を提起した。(1)学習権保障の視点(2)ノーマライゼーションとポジティブアクションの視点(3)社会教育施設・機関の役割
著者
藤田 直晴 小畑 精和 伊藤 剛 虎岩 直子 市川 宏雄 広松 悟 輿水 肇
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

カナダの多文化政策に相応する複合的・多元的な観点から、カナダの5つの主要都市を中心に調査を行い、学術的にも都市地理学、都市社会学、都市政策、都市政治学、環境政策、文化と文学といったマルチ・ディシプリナリーな観点から、カナダの多文化政策に関する研究を行った。ヴァンクーヴァー、カルガリー、トロント、オタワ、モントリオールには、多くの移民が集中することから、社会的不平等や地域間格差を是正するための多文化政策は重要となる。このカナダの豊かな民族的多様性は、世界に広がる豊かなネットワーク資源となり、カナダの「強み」と「楽しみ」へと直結している。しかし、国際競争力が上昇するにためは、カナダの多文化社会が抱える「弱み」や「苦しみ」にも目を向ける必要があるため、長所・短所双方の観点から考察を加えた。本研究課題の成果に関しては、図書として2011年度中の出版に向けて準備中である。
著者
森永 由紀 尾崎 孝宏 高槻 成紀 高槻 成紀
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

遊牧の知識の客観的検証のために、モンゴル国北部のボルガン県の森林草原地帯で気象学的・生態学的・人類学的調査を実施した。一牧民の事例ではあるが、谷底にある夏営地と斜面上の冬営地の気温差から、盆地底の冷気湖の上にある斜面温暖帯に冬営地が設置されている可能性を指摘し、家畜にとって冬営地の気象条件が夏営地のそれより、冬季にいかに有利かを体感気温の観点から検証した。また、家畜の群れを移動群と定着群に分けて体重測定を実施した結果から、移動する場合のほうが体重増加に有利であることを示した。さらに、聞き取り調査により、調査地域が都市近郊に形成されている牧民集中地域であり、現在のモンゴル国における典型的な牧畜戦略のひとつとして、都市近郊に居住することで現金収入を最大化させようとする志向があることを明らかにした。
著者
黒澤 睦
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、告訴権・親告罪制度の観点から、犯罪被害者と刑事司法過程の関係の在り方を考察するものである。告訴および親告罪は、犯罪被害者の意思を尊重しようとする制度であり、近年の犯罪被害者を重視した法政策の中では、大きく注目されるべきものである。本研究では、とりわけ、親告罪をめぐる捜査機関・訴追機関の対応、いわゆる告訴権の濫用(不当告訴・不当不告訴)とその法的対応、告訴任意代理制度と被害者支援思想などについて、歴史的・比較法的検討を行った。
著者
酒井 孝司 坂本 雄三 倉渕 隆 岩本 靜男 永田 明寛 加治屋 亮一 遠藤 智行 今野 雅 大嶋 拓也 赤嶺 嘉彦 小野 浩己
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,複雑な事象を総合的に評価する必要がある住宅の温熱環境を対象に,非定常気流・温熱環境解析手法を用いたバーチャルハウスシミュレータの開発を行った。異なる暖房方式を採用した居室の定常・非定常温熱環境の実測を行い,検証用データベースを作成した。実測を対象に各種解析モデルを用いて解析を行い,実測と比較して精度を検討した結果,本研究で開発したシミュレータが住宅の温熱環境評価として実用的な精度を有することを示した。
著者
気賀沢 保規 肥田 路美 高橋 継男 手島 一真 松浦 典弘 高瀬 奈津子 櫻井 智美 江川 式部 江川 式部
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、魏晋南北朝隋唐時代の本質が「仏教社会」であるとの認識に立って、その社会の構造や特質を、仏教石刻(主に文字資料)を通じて明らかすることにある。本研究では、(1)房山石経、(2)山西・河北仏教石刻、(3)四川仏教石経、(4)華北仏教石刻の4本の柱を立て、現地調査や資料整理と考察を進めた。(1)では4千点以上の隋唐石経の所在状況と題記を整理し、(2)では山西長治地区の仏教に焦点を当て、(3)では洛陽の石刻資料の把握に努め、(4)では四川灌県の仏教石経の所在に迫った。当時の仏教社会の基層を浮き彫りにするにはなお研究の深化が必要となるが、多くの成果により基礎的作業はほぼ終了したと考える。