著者
戸村 佳代
出版者
明治大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、主節が省略された複文が発話された際に、日本語話者がその省略部分を復元し正しく理解するのに関与しているメカニズムを、語用論・関連性理論などの観点から明らかにすることを目的とし、次の4つの視点で研究を進めた。(1) 日本語の母語話者が省略された主節の復元に利用する語用論的情報を明らかにする。(2) 主節の省略を許す接続助詞の意味情報と文脈の関わりを分析する。(3) 主節の省略を促す要因と主節の省略が可能となる条件を明らかにする。(4) 学習上の困難点をより明確にし、学習者に与えるべき情報を特定する。主節が省略された複文の主節を日本語話者が頭の中で復元し理解する際には、次の意味情報が大きく寄与している。(1) 問題となる複文に用いられている接続助詞が持つ意味情報(2) 問題となる複文に先行する文脈から得られる意味情報(3) 問題となる複文に続いて現れる文脈からの意味情報これらの情報の実態を捉えるために、従属節(S_1+接続助詞)のみの情報が主節(S_2)をどの程度まで規定し得るかを見るための調査を行い、調査結果をデータベース化した。分析にあたっては、(1) 特殊な文脈の中に入らず、従属節だけが単独で提示された場合、(2) 従属節がさらに条件節を伴っている場合(3) 文脈情報がさらに付け加わっている場合(4) 同一の文脈・同一の従属節に対して異なる接続助詞を伴わせた場合に、主節の解釈がどのように変化するかなどに分類し、接続助詞の機能と文脈の役割を明らかにする試みを行った。この研究の詳細については『明治大学教養論集』に発表の予定である。。
著者
山崎 英三
出版者
明治大学
雑誌
明治大学科学技術研究所紀要 (ISSN:03864944)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.205-230, 1964

Au 17 eme siecle Descartes s'est occupe de construire les lois de choc pour demontrer celles de propagation de la lumiere. Apres une centaine d'annees, Maupertuis a propose le principe de la moindre action, en pretendant que son principe peut deduire non seulement les lois de propagation de la lumiere, mais les lois de choc pour les corps elastiques et pour les corps durs (non-elastiques). L'un et l'autre ont recherche le premier principe de la nature. Descartes ayant vecu dans le temps ou la mecanique newtonienne etait a l'aube du jour, il a cru qu' il pourrait construire la science physique avec ses idees innees : l'extension et le mouvement. Aux jours de Maupertuis, Newton avait deja developpe sa mecanique. Cependant, plus la mecanique newtonienne s'est developpe, plus on a du reconnaitre que son applicabilite etait bien restreinte. La mecanique newtonienne etait trop impuissante pour expliquer toutes les phenomenes de la nature. On n'a pu se confier a l'extension ou au mouvement de Descartes. Aussi en mettant l'extension au meme rang que toutes les qualites sensibles, Maupertuis a-t-il etaye l'idealisme de Berkeley. Cependant, il est tres curieux que les pensees de Maupertuis laissent des fragments de metaphysique cartesienne. C'est peut-etre parce que Maupertuis, en croyant l'universalite de son principe de la moindre action, n'a pas cesse d'avoir la preference pour le systeme qu'on reprochait tant au 18 eme siecle.
著者
兼橋 真二
出版者
明治大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は天然漆の長期安定性に及ぼす影響因子と漆構造との関係解明と漆の更なる有効利用を目的とした新規な機能材料の創製を目的としている。本研究では産地の異なる漆(ベトナム、ミャンマー、中国)塗膜を調製し、各種構造解析を行い基本物性を明らかにした。また漆の構成成分である水球サイズに着目し、この水球の大きさ、分散状態の異なる漆液を調製し、その漆塗膜の紫外線劣化と水球の状態に関係があることを見出した。これは水球中に存在する酵素の反応性が大きく関係するものであった。漆の有効利用を目的として、漆を用いた電波吸収特性を有するハイブリッド材料の創製では漆が酸化鉄等の多量の金属フィラーを含有することのできる優れたバインダー特性を有することを明らかにした。また漆の構成成分であるウルシオールと類似構造体のバイオマスである非可食なカシューナッツシェルリキッドに着目し、エポキシ反応、プレポリマー化(酸化重合)により新規なバイオベースエポキシ材料を得た。このエポキシ材料は市販品のものよりも乾燥性、耐熱性に優れるものであった。また加熱により熱硬化特性を示す材料であった。またアミン化合物を含有した複合材料では、大腸菌、黄色ブドウ球菌に対する抗菌特性を有することを明らかにし、医療用塗料への可能性を見出した。漆は通常の環境下で優れた長期耐久性や美的な外観特性を有する。この漆の優れた機能を学びそれらを再現することを目的として、このカシューナッツシェルリキッドを原料としたカテコール類の合成と酵素重合を用いたポリカテコールの研究と新規な合成漆を開発した。得られた合成漆は黄色い外観であり、この発色原因が乾燥(重合)過程で生じるキノンに由来することを明らかにした。
著者
山岸 智子 鎌田 繁 酒井 啓子 富田 健次 保坂 修司 飯塚 正人
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、これまでのステレオタイプ的なシーア派観はもとより、シーア派が「問題化」する構造を解明するために、構築主義的な観点を導入し、シーア派の哲学思想・宗教実践・社会集団化のコンテクストを分析することを課題とした。研究分担者・研究協力者が会合を持って、これまでの研究を振り返り、自らの研究の取り組みについて議論したのみならず、英国・イラン・アメリカ・アラブ首長国連邦・レバノンから一線級の研究者を招聘して意見交換をし、交流の道を開き、こちらからも10カ国以上に赴いて資料収集・現地調査・研究発表などを行った。こうして得た成果は多岐にわたるが、以下のようにまとめられるだろう。1.多様性:さまざまな例が示され、シーア派とはいっても、その集団としてのありようや位置づけが多様であることが、明らかになった。それは、立場の違い(サラフィーヤ主義者とシーア派信徒)や国・地域の違いのみならず、一つの地域・家族でも状況の変化によるシーア派アイデンティティに変化があることが分かった。2.新しい学問的アプローチ:思想研究に歴史的観点を導入する、「人」という観点から思想の展開や指導者の条件を見直す、思想の中のモチーフの見直し、などアプローチや観点を変えることで、新たな知見を得た。3.ローカルとグローバルのインターフェース:宗派として国民国家のなかに位置づけられる際にも、国際的な力学や国家を越えるネットワークが関連すること、宗派の絆のグローバルな経済活動への活用、信徒や学者の国を越えた移動の実際、などが明らかとなった。4.これまでの研究の空白を埋める:そしてシーア派としての制度・知の再生産にかかわるイスラーム法学者のありさまや教育の実態、宗教的慣行など、十分に解明されてこなかったピックも本研究で考察の対象となり、さまざまな発見があった。
著者
中村 卓
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、「おいしい」食感の感性表現を客観的な機器を用いた食品構造の破壊過程の解析から食品属性に翻訳するシステムの開発を目的とした。タピオカ澱粉ゲルを用いて「もちもち」食感表現を構造と物性に翻訳し、タピオカ澱粉の伸展性が寄与することを明らかにした。パスタの「モッチリ/プリッ」、うどんの「つるつる」、プリンの「とろ~り」のおいしい食感表現を構造と物性に翻訳した。以上の様に、咀嚼破壊の過程を (イ)知覚の意識化(官能評価)、(ロ)機器破壊による単純モデル化することで、硬・柔のレベルではない「おいしい」食感の感性表現を、知覚に対応した食品属性の変化に翻訳するシステムを確立することが出来た。
著者
川島 高峰
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

敗戦後、東アジア社会主義圏に抑留・残留を余儀なくされた邦人の帰還交渉が行われた。国際共産主義運動は抑留を政治的に利用し、抑留者の帰還をアクティブの入国手段とした「偽装抑留」や、引揚船を日ソ間の工作活動に利用するため船員等を組織化するといった非合法的な活動を展開した。1950年代の平和攻勢の下では、帰還交渉が社会主義陣営に有利に展開するよう様々な合法・非合法の活動を展開し、そこでは戦前のコミンテルン期の国際共産主義の活動家がシベリア抑留に際し、抑留者として民主化運動指導者層にいたことが認められた。
著者
倉本 宣 本田 裕紀郎 八木 正徳
出版者
明治大学
雑誌
明治大学農学部研究報告 (ISSN:04656083)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.27-32, 2000-07-30
被引用文献数
12 9

We reviewed the habitats of plants which grow on shingle river beds, based on available literature. They consist of endemics on shingle river beds and plants which grow in dry areas or grasslands. In the floodplain of the Tama River, endemics on the shingle river bed, Aster kantoensis and Ixelis tamagawaensis have been decreasing rapidly. A conservation plan for endemics should be developed and put into practice soon.
著者
風間 信隆 松田 健 清水 一之
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,近年のドイツの企業システムとコーポレート・ガバナンスの動向を検討し,その結果,1)1990年代以降,ドイツの株式市場が外国人機関投資家の株式保有の増加とともに変容し,株式市場による外部コントロールが増大してきたこと,2)「株主価値重視経営」(「選択と集中」によるリストラと短期的利益重視による企業価値の極大化)が経営者に支持されてきたが,これが逆に長期的視点に立つ能力構築を妨げるとともに,業績連動報酬による経営者の高額報酬と社会的格差の拡大に結び付くものとして批判されてきていること,3)1990年代末から2000年代初頭にかけてドイツ工業連盟(BDI)会長ロゴウスキーの「共同決定は歴史の誤り」発言に見られるような,労使共同決定批判が展開されてきたが,今日ではむしろ共同決定に対する再評価が起きていること,4)しかし,グローバル化に伴い,ドイツの伝統的企業システムを支える諸制度(共同決定や労使関係,株式市場,会社機関等)も大きく変化しており,これによってドイツの企業統治の在り方も進化を遂げていることを明らかにした。
著者
林 雅彦 腮尾 尚子 西岡 亜紀
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

三年間の研究活動を通して、中世・近世期を中心に、日本から東アジア・ヨーロッパまでを広く視野に入れながら、名も無き大衆の生と死にかかわる真摯な信仰・俗信を反映した、多種多様な図像を発掘し、その意味を解読・分析してきた。3人の研究者が、それぞれの分野の資料を集めたうえで、同時代の宗教的なテキストや民衆文学などを用いながら、図像の起源や来歴や社会的な役割などを分析した。そして、そうした研究内容を研究者だけでなく、広く一般社会に向けて発信するため、三年目に、明治大学博物館において、企画展「民衆の図像展」を開催し、貴重な実物資料を展示・解説し、多くの観覧者を動員した。また、これ以外にも、多くの一般向け講座での講演、国際図像解読研究会、国際熊野学会他の学術会議、『国文学解釈と観賞』における数回の特集の他の出版物などによる社会還元を果たした。
著者
高木 友博
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.理論基礎検討(1)連想記憶方式の基本的考え方を調査すると同時に,オントワジーの基本的考え方および応用事例の調査を行い,ファジィ集合による両者の融合方式について検討した.その際特に下記の観点で成果を得た.・双方向連想記憶以外の連想機構の導入:CFSにおいて概念同士の説明関係をうまく表現するためホップフィールドニューラルネットの使用を試み,断片知識同士の分離性,層状に制約されない知識表現の可能性を確認.・順序性の導入手法:クロックの推移をノードに割り当てることにより,時間を表現できることを確認した.(2)テキストによる概念の表現方式とマッチング方式およびパターン情報とシンボル情報のマッチング方式.2.プロトタイプシステムの開発以下の応用領域における,プロトタイプシステムを開発し,いずれも人間の感覚により近い結果を得られることを確認した.(1)番組推薦:デジタルTV放送において視聴者が過去に見た番組のEPG(Electric Program Guide)に含まれる重要語から視聴者の好みをオン下ロジー内に学習により形づくり,新しく視聴候補となる番組の選好度を求め番組推薦を行う.(2)音楽検索:手紙文からその雰囲気をオントロジーを用いて認識し,それに近い雰囲気の曲を選択する.(3)検索エンジン:「冬」「スポーツ」といったキーワード入力から「スキー」や「スケート」といった具体的概念を含むホームページにまで検索対象を拡張.またスコアリングを伴った検索を行う.(4)文書分類:文章中に直接含まれる単語の出現頻度による類似性評価ではなく,間接的な語に置き換え,概念的な距離を測ることにより,より人間の感覚に近い分類を行う.(5)画像検索:感覚的表現のキーワード(例:ゴージャス)からの,花の画像検索プロトタイプシステムを構築た.その結果,人間の感覚にあった検索が行われることが確認された.
著者
刈屋 武昭 佃 良彦 前川 功一 山村 能郎 乾 孝治 田野倉 葉子 神薗 健次
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

第1に、金利、国債価格、社債価格、信用リスクの変動にかかわるクロスセクション分析モデルを展開し、金融危機を含む期間に対して、多様な分析を行った。中でも、日本、米国、欧州5か国の国債分析、日本社債を中心とした社債別の信用リスク指標と市場格付け法を開発し、それに基づく企業別、業種別の倒産確率の期間構造を導出した。第2に、さらに時系列分析として、国債価格予測モデルの定式化と予測とその日本国債価格への応用、動学的変動相関モデルによる東南アジア諸国の債券利回りの世界債券市場の中での共和分性の検証、また為替レート変動分析に関して分散変動回帰モデルにおいて構造変化点の推定法などの研究を行った。
著者
堂野前 彰子
出版者
明治大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

韓半島との関係が深い日本海周辺地域に限定し、(1)文献研究と(2)フィールド調査を行うことから、日本海を利用した交易の様相を総合的に捉えることを試み、渡来人の移動とも重なる古代の「交易」ルートを解明することにより、古代日本文学や当該地域の寺社縁起譚、民間伝承等の新しい解釈を行った。また比較研究として琉球説話集『遺老説伝』や韓国仏教説話集『三国遺事』の研究に取り組み、「交易」の視点を導入した解釈や研究方法を提示した。
著者
中村 幸男 Nguen Cong Minh 東平 光生 川村 匡弥
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、単体的複体から定まる代数であるStanley-Reisner環を中心として、単体的複体の持つ離散数学的な性質とStanley-Reisner環の持つ代数的な性質の関連を調査することを目的としたものである。成果としては、Stanley-Reisner イデアルの通常べき、及び記号的べきによる剰余環のk-Buchsbaum性に関するものがある。
著者
橋田 祥子 加治屋 亮一 小池 義和 安田 明生 大森 宏 藤崎 健一郎
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、明星大学緑地環境保全ボランティアクローバーを、日野市、あきる野市、八王子市の市民が、緑地保全や緑の環境緩和効果に関する環境測定を通じて交流する仕組みの核として位置づけ、芝浦工業大学と共同で開発した環境教育ツール(GPSを用いた移動観測装置)を用い、中学生と共同で環境測定を実施した。また、東京大学大森研究室と共同開発した、ホームページを用いた対話型環境教育ツールを用いて樹名板の作成や構内樹木マップの作成に取り組み、市民が緑に親しむきっかけづくりに取り組んだ。今回開発した環境教育ツールを様々な場面で応用し、若い世代が緑に親しみ、緑地保全に興味を持つきっかけを広げてゆきたい。
著者
中村 聡史
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究プロジェクトでは,情報検索におけるユーザの検索意図やコンテキスト,プロファイルといった情報を,視線の動きによって推定したり,興味を持てるような観点語を質問応答サービスから取得して提示する手法などを実現した.また,本手法によって,検索結果をダイナミックに再ランキング,再サーチする手法を実現し,ユーザの情報検索行動を手助けする手法を実現した.さらに,マルチメディアコンテンツに対する対話的な検索も実現した.
著者
長友 康行 高橋 正郎 古賀 勇 Oscar Macia
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

グラスマン多様体への調和写像に関する一般化されたdo Carmo-Wallch理論のさらなる一般化を定義域がコンパクトリーマン多様体の場合に達成できた。これにより、インスタントンのADHM構成法と類似の調和写像のモジュライ空間の記述が可能となった。例として、複素射影直線から複素射影空間の複素2次超曲面への正則等長写像のモジュライを記述できた。さらに、モジュライが葉層構造を持つことが示され、その葉体はケーラー商で与えられる。また、複素射影直線から2次元部分空間のなす複素グラスマン多様体への正則同変写像の分類にも成功した。いずれの場合もモジュライのコンパクト化には幾何学的な解釈が与えられる。
著者
吉田 如子
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究においては、調査票調査と面談調査という、量的および質的調査法を駆使することにより、従来の警察研究においてほぼ無視されてきた、組織運営と政策立案・策定をその職務の中心とする都道府県警察幹部警察官の存在を確認し、彼らのキャリアパス、研修内容、都道府県警察外への出向経験等と、それらの経験が日本警察運営とその政策策定、さらには地方自治体における行政、政治両部門における力関係にもたらす影響を詳らかにすることができた。
著者
牛山 久仁彦 伊藤 剛 幸田 雅治 田村 達久
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大規模災害が頻発する日本において、自治体とそれを支援する自衛隊の連携がどのように行われるのかは、極めて重要な課題である。とくに、東日本大震災では、自衛隊の迅速かつ適切な災害派遣や自治体との緊密な連携・協力のあり方が問われることとなった。本研究では、自衛隊の災害派遣をめぐる法制度や諸外国の現状との比較検討を行うと共に、今後も予想される大規模災害に際し、どのような備えが必要なのかを研究したものである。
著者
杉原 厚吉 今堀 慎治
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

背景空間の計量的性質が時間とともに変わる環境の三つの事例に対してロバストな幾何計算アルゴリズムを構成した.第一に,時間変化する流れのもとでの船の最小到達時間として定義される距離の計算法を構成し,海難救助船経路計画などへ応用した.第二に,動画を見たときの主観的奥行き錯視量の推定法を構成し,不可能モーション錯視の創作へ応用した.第三に,材料から部品を切り取る際に材料の形状変化に起因する振動を避けるカッターパス計算法を構成した.
著者
三河 隆之
出版者
明治大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

研究課題の最終年度にあたる本年度は、ジャンケレヴィッチの思想にかんしてこれまで行なってきた基礎的な読解作業および考察の成果をふまえつつ、ジャンケレヴィッチ思想の根幹にかかわる部分に関し、問い直しの作業に従事した。より具体的な内容としては、形而上学的色彩が最も強く、哲学史的文献への参照も顕著な著作である『第一哲学』を中心に、同書ほか、主に戦後の著作にひんぱんに登場する、特異な自己性をあらわす「イプセ(ipse)」とその射程をめぐって分析を行なった。従来のジャンケレヴィッチ論では、その議論や用語法の独自性を抽出するといった方向性が顕著であったが、報告者はむしろ哲学史的伝統との密接な接続関係に着目し、そこに彼の師ヴァールにも通底する神人同型論的な視角を再発見するに至った。すなわち、現代の思想家としてのジャンケレヴィッチ像とはべつに、(宗教論的な側面も含め)きわめてオーソドックスな"西洋思想"の系譜上に位置するジャンケレヴィッチの姿が望見できることを示したことになる。なお、前二年度から継続して、本研究課題に相対的観点を導入する目的から、ジャンケレヴィッチと同時代に、かれと同様ソクラテス的道徳実践の考察に注力した日本の哲学者である出隆の思索についても考察した。今年度は、出がある時期から精力的に発表するようになっていったエッセー的著作について、その内容の分析を行なうことを通じ、その動機や存在意義について考察を行なった。