著者
鈴木 舞
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2015

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 福島 真人, 東京大学教授 橋本 敦彦, 東京大学教授 木村 忠正, 東京大学準教授 津田 浩司, 国際基督教大学上級準教授 山口 富子
著者
趙 衛国
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.337-346, 2008-03-10

This paper examines the effects of interaction with a different cultural environment on personality formation and ego establishment in ten Chinese students, and then draws conclusions concerning the main effects of adjusting to a new cultural identity. An analysis of data from a three-year ethnographic study in K. High School suggests that three key factors influence adjustment: the existence of friends and important others comparisons between Chinese and Japanese schools, and family influences. These three factors are interactive, and influence students'adjustment to a new school and the re-adjustment of their cultural identity.
著者
宮原 ひろ子 門叶 冬樹 堀内 一穂 横山 祐典
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

マウンダー極小期(西暦1645-1715年の黒点消失期)において発生していた約28年に一度の宇宙線の1年スケールの異常増加の正確な年代を決定するため、山形大学高感度加速器質量分析センターに導入された加速器質量分析計を用いて、樹木年輪中の炭素14の測定精度を向上させるための基礎実験を行った。多重測定によって加速器質量分析計の安定性の検証と測定精度向上のためのメソッド開発を行い、従来の1/4以下の測定誤差を達成することに成功した。
出版者
東京大学
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.11, pp.41-49, 1896
出版者
東京大学
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.11, pp.37-40, 1896
著者
富永 健一
出版者
東京大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1985

本プロジェクトの目的は、社会調査データに関するデータバンクを作成することによって、データの共同利用を促進することにある。この目的のために、昭和58年度および59年度において、日本における社会調査データの所在・形状・内容等についてのアンケート調査を実施し、その回答に基づいて社会調査データについてのデータベースを作成した。データベースはパーソナル・コンピューターにファイル化することで必要に応じた検索を可能にするとともに、情報の一部を冊子に編集してアンケート調査に回答した研究者の配布した。本年度の作業は、実際に磁気テープ化された社会調査データを収集し、コードブックを作成してデータの共同利用を可能にすると共に、研究メンバーによるそのデータの分析を行うことである。収集されたデータは、研究メンバーの専攻分野とデータの入手可能性に鑑み、社会階層に関する分野に限定されたが、日本(1955年,1965年,1975年),米国(1962年,1973年),英国(1972年),西独(1980年),ポーランド(1972年)と広く国際的に協力を得ることができた。これらのデータはすべて磁気テープ化されており、SPSSによる集計のための基本プログラムが作成され、東大計算機センターをはじめとする日本の主要な計算機センターでの利用が可能になった。またコードブックについては、日本は研究代表者である富永などによってすでに作成されていたが、諸外国のそれは英語ないし独語で書かれていて使いにくいので、邦訳した上で冊子にまとめ、広く日本の研究者にとって利用できるよう作業中である。以上の作業に基づいて、研究メンバーが各国のデータを分担し、時系列的な社会移動のトレンド分析ないし国際的な社会移動パターンの比較分析を行い、その結果を論文化した上で冊子にまとめることによって社会階層研究に貢献すると共に、データバンクの有効利用の可能性を示すべく作業中である。
著者
高岡 文子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.327-336, 1998-03-26

The major purpose of this article is to describe the problem of preparation and education of school counselors in Japan, and especially to highlight the following : (a) the current status of school counseling services and the major issues that both teachers and counselors are dealing with today in Japanese school systems, and (b) the preparation and education of school counselors in the U. S. A., stressing the author's own experience of participating in the school counselor preparation programs at Boston University Graduate School of Education. This review further discusses the future challenges for school counselors and anticipated trends of the school counselor preparation programs at the graduate level in the university setting in Japan.
著者
角井 誠
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究は、フランスの映画監督ジャン・ルノワールの演技指導のあり方を明らかにすることによって、フランス映画を演技論の観点から再考し、映画における演技の独自性を解明することを目的としている。本年度も昨年度に引き続き、パリの映画図書館(BIFI)などにおいて作品の製作資料や映画雑誌の調査を進め、ルノワールの演技論や演技指導のあり方を同時代の演技をめぐる言説や実践のなかに置き直すことを試みた。本年度はとりわけ、昨年度に行ったサイレント時代におけるルノワールの演技論についての研究を踏まえたうえで、トーキー以降の演技論について検討した。具体的には、トーキー移行期のルノワールが、一方で台詞を警戒する前衛的な立場から距離を取りつつ、他方で当時主流となった、台詞を中心とする演劇的な映画とも一線を画しつつ、人物の個性に即した独自の声の演出、演技指導のあり方を模索していった過程を当時の資料に基づき考察した。また、その過程で確立されていった、テクストの朗読による「イタリア式本読み」と呼ばれるリハーサル方法についても、同様の方法を用いていた舞台演出家ルイ・ジュヴェとの関係性という観点から検討を行った。以上の作業を通じて、同時代の映画および演劇における言説を背景に、ルノワールの演技論の輪郭を浮かび上がらせる手がかりを得ることができたと考えている。これら研究の成果は、早稲田大学演劇博物館グローバルCOE「演劇・映像の国際的研究拠点」の紀要および国際シンポジウム「ACTING-演じるということ」において発表した。
著者
初貝 安弘 笠 真生 丸山 勲
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

現代物理学においては「対称性の破れ」とそれを記述する「秩序変数」の概念が基本的であると考えられてきた。主たる現代物理学の目的の一つはこれらを用いた物理的な「相」の分類、理解であったと言えよう。特にその相の質的変化としての「相転移」においては臨界点における局所的ゆらぎ時空間的な発散的振る舞いの正確な記述のために局所的場の理論を用いた繰り込み群ならびにその再帰的階層的概念が極めて有効であり、Landau-Ginzberg-Wilsonによる一つの認識論的パラダイムが構築されるに至った。一方近年の研究の進展により、量子効果が古典論に対する摂動であるにとどまらず、新たな物質相としての「量子相」が広く存在することが認知されるに至った。物性論に例をとれば種々の量子ホール相、強相関電子群におけるスピン液体相、近藤格子系等における量子液体相、整数スピン鎖におけるHaldane相等がその典型例となる。これらは、如何なる対称性の破れを伴わず、古典的秩序変数によっては特徴づけることのできない古典的対応物の存在しない真に量子的な新物質相である。これらの相は「量子液体相」と近年総称され多くの興味をあつめている。これらの新奇な「量子相」「量子液体相」の存在とその重大な意義の認識は上述の古典的パラダイムからのパラダイムシフトの必要性を強く示唆し、あらたな自然法則の理解、発見を要求する。その要求に応えるべく提案されたのが、「トポロジカル秩序」「量子秩序」の概念であり、共同研究者とともに、私もその概念形成を行ってきたものである。このトポロジカル秩序の概念はLGWを越えた新しいパラダイムを目指すものではあるがその正確な定義は現在、まだその建築途上にあるといえる。以上を歴史的背景として本研究において私は量子系の特徴である「幾何学的位相」を用いたベリー接続を直接の手段とし、ベリー位相、チャーン数等により多体の電子論、物性論におけるトポロジカルな秩序変数を構成する理論的提案を行い、それに基づく大規模数値計算機による具体的な数値計算により、シングレット液体相の分類、グラフェンでの量子ホール相の確定等に成功した。また一般化されたVBS状態等におけるエンタングルメントエントロピーを具体的に計算することによりその量子液体相における意義をまた明確にした。
著者
岸 利治 岩城 一郎
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

デジタルマイクロピペットを用いてコンクリートの鉛直面に一定量の水を一定時間間隔で複数回流下させ,所定の回数だけ流下させた後に流水距離を測定するという極めて簡易なコンクリート表層品質の評価手法(繰り返し流水試験)の開発を行った。コンクリート鉛直面を流れる流水は蛇行や分岐をしがちであることから、適当な流水ガイドについて検討し、コンクリート表面に鉛筆で平行な二本の直線を約5mm間隔で罫書いたものが最も理想的な流水ガイドとなると結論付けた。測定者一人で簡便に測定ができるように更に治具を工夫することで、表層品質簡易測定方法として活用できると考えている。
著者
古川 亮
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究課題の遂行課程で、粘性の圧力微分の逆数を超える剪断率を与えたとき、液体の一様状態が不安定化し、遂にはキャビテーションやシアバンドどいった非線形現象に至るという全く新たな機構を提案した。この機構は特に粘性の大きな液体系について広く成立しうるものであると予想しており、この研究で得られた知見を基に、さらなる一般化を行った。特に過冷却状態あるいは、ガラス状態にある極めて高粘性な液体や固体(金属ガラスや地球マントルなど)の塑性変形の機構、あるいはシアバンド形成、破壊、疲労現象などの不均一化を伴う変形について理解するために、自由体積などミクロな描像を有効的に組み入れたメソスケールモデルの立場から、系統的な研究を行ってきた。そのほかに、下記のような研究を展開した。(i)過冷却液体中に成長する動的不均一構造と輸送物性の関係について、主に数値シミュレーションを援用して、新たな知見を得た。(ii)膜の連続体シミュレーション法を開発し、流体力学相互作用など複雑な効果がある場合につい研究を行った。これらの研究についても、現在、論文投稿中である。
著者
大隅 良典
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

酵母が種々の栄養飢餓条件下に活発な自食作用を示すことを見い出した。この系は自己の構成成分の制御された分解系を分子レベルで理解する上で極めて有用なモデル系である。本研究によって得られた主な成果は以下の通りである。(1)瞬間凍結・凍結置換法を用いた電顕観察により栄養飢餓条件下の細胞内膜系の微細形態を解析し酵母に於ける自食作用のモデルを提出した。(2)液胞の欠損株を栄養飢餓条件下におくと細胞質中に細胞質を取り囲んだ二重膜構造が多数蓄積することから、これらが自食胞に相当することを示した。(3)cAMPシグナル伝達に関与する変異株の解析から、自食作用の誘導には細胞内cAMPが負の調節因子として働いていることが明かとなった。(4)液胞膜H^+ーATPaseの遺伝子破壊株及びバフィロマイシンを用いた解析により、酵母細胞に於ける自食作用には、液胞内酸性化が必須でないことが明らかとなった。(5)栄養飢餓条件下に液胞内に一重膜構造ーオ-トファジックボディを蓄積しないことを指標として自食作用に欠損を有する変異株を単離することに成功した。多数の遺伝子が関与すると思われる自食作用に遺伝学的アプロ-チを導入する道が招かれた。(6)栄養飢餓条件下のタンパク質分解に於いて液胞内プロテイナ-ゼBが最も重要な役割を担っていることが明らかとなった。prbl遺伝子破壊株を作製し、この株が種々の栄養飢餓条件下に液胞内にオ-トファジックボディを蓄積することを示した。(7)窒素源の飢餓条件下の細胞周期の進行には、自食作用による多量のタンパク質分解が不可欠であり、自食作用が誘導出来ない株や、生理的条件では細胞はG_1期停止が出来ず、その生存率が急激に低下することが明らかとなった。以上の成果は4報の論文として国際欧文誌に投稿中及びその準備中であり、この成果、の植物細胞への応用は興味薄薄い今後の課題である。
著者
クラーク スティーブン (2013-2014) スティーヴン クラーク (2012) WILLIAMS Laurence LAURENCE Williams
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究のテーマは「1660年から1780年にかけてのイギリス文学・文化に見られる日本の影響」である。日本の1639年以来の「鎖国政策」がイギリスとの交流を完全に断絶するものではなかった、という提言がある。17世紀から18世紀にかけての鎖国時に西洋で流通していた「日本」のイメージは、西洋諸国(特にイギリス)にとって、自国の政治・経済の枠組みを意識的に比較検討するためのモデルであったことが明らかになる。17世紀から18世紀にかけてのイギリスにとって日本の鎖国は、当時のイギリスの重商主義・保護貿易政策を極限まで推進した場合の実例モデルであり、宗教や人種のマイノリティに対して強権的な姿勢で臨んだ場合の実例モデル、さらには中央集権的国家の代わりに封建制度と幕府体制によって国家をおさめた場合の実例モデルでもあった。鎖国時代の日本は、イギリスにとってまさに自国の「ありえたかもしれない姿」を実験的に示す格好の手本であり、活発に議論し分析すべき対象であった。これまでの成果を、東京大学、香港大学、関西学院、そして日本イギリスロマン派学会2013年全国大会において発表した。また、イギリスの「British Journal for Eighteenth-Century Studies」(イギリス18世紀研究)、東北ロマン主義研究(TARS)、と「New Directions in Travel Writing Studies」(Palgrave Macmillan, 2015)にこれらの成果が研究論文として掲載され出版される。2014年6月に東京大学で「Romantic Connections」国際学会を開催しました。