著者
跡部 真人
出版者
横浜国立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

微小な流路内で化学反応を行うマイクロリアクターは、様々な分野で応用が期待されている反応デバイスであり、これを利用した研究は1990年代初頭から分析化学の分野で、また、最近は有機合成化学の分野でも大きな成果を挙げている。とくに大きな比界面積を有し迅速な溶液混合が可能といった特徴は、均一系反応よりもむしろ固-液不均一系界面での反応のほうが効率化できるなど利点が多く、典型的な固-液界面での反応である電気化学反応においても大変魅力的なものと言える。さらに、電気化学測定・分析の領域のみならず、電解合成の分野においては、マイクロリアクターの利点はこれだけではない。電極間距離がマイクロオーダーであり、「電解液の流れがリアクター内で厳密に制御されている」といった特徴を最大限に活用すれば、従来のバッチ式反応容器(フラスコやビーカー)では決して実現できなかった全く新しい電解合成反応や電解合成システムが構築できることも予想される。このような着想に基づき、今年度はマイクロリアクターを利用した1)電解反応をキーステップとするカスケード反応システムの開発と2)連続的レドックス反応システムの開発の2つの電解反応システムの開発を実施し、着想原理の妥当性を十分に示すことが出来た。さらにそれぞれの反応システムの汎用性やリミテーションについても検証し、電解合成プロセスにおけるマイクロリアクター利用技術の基盤的指針を獲得した。
著者
柳 赫秀 荒木 一郎 椛島 洋美 李 弘杓 伊藤 一頼 大矢根 聡 李 弘杓 伊藤 一頼 大矢根 聡 川瀬 剛志
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

受給期間中33回の研究会を開き、研究代表者・分担者だけでなく、研究会参加者の間で国際通商法秩序の現状と課題について理解を含めると同時に、その成果を同タイトルの本にまとめるべく作業を行っている。
著者
横山 泰 生方 俊
出版者
横浜国立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

フォトクロミズムに伴って生成する二つの安定な状態が、可視部に吸収を持たないような熱不可逆ステルスフォトクロミックシステムを、短段階の合成経路で合成した。さらに、100%のジアステレオ選択性で光環化するジアリールエテン、非常に高い量子収率で光環化するビスチアゾリルインデノン誘導体の合成を行った。また、スピロオキサジンの光着色体から無色体への熱戻り反応を架橋ポリシロキサンにペンダントして行うと、溶液中同様の速い速度で戻ることを示した。
著者
物部 博文
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

火災や火炎に対応する消防員の装具は、必然的に衣服熱抵抗の高い密閉型の衣服となる。しかし、火災に対する熱抵抗性を高めることで、夏季における消火活動中に消防士がヒートストレスを生じ、たおれるという事故も発生するようになってきた。そこで、本研究では、消防服を着用し消火活動を行うことでどの程度生体への影響が生じるのか。その時に認知判断能力へはどの程度の影響があるのか。また、どの様な部位をどの様な方法で冷却することが効果的であるのか。を明らかにすることを目的した。実際にヒートストレスが生じた消火活動の状況をシナリオ化し、被験者に同程度の負荷を与えたところ約2℃近い体温上昇が生じることが明らかになった。しかし、今回の実験結果に限って言えば、一過性のヒートストレスでは、認知判断力には影響がないことが示唆された。また、衣服内換気を行うことで体温の上昇を約1℃抑えられること、頭部冷却を行うことで快適感が向上することを明らかにし、換気型消防服の開発に取りかかった。平成17年度は、日本家政学会で「換気型消防服の開発」で、を、日本衣服学会で「消火活動に伴う体温上昇と認知判断」を発表するとともに、3年間の総括として研究報告書を作成した。
著者
西野 耕一
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

水を作動流体とする軸対称衝突噴流を用いて、そのよどみ領域における希薄分散粒子群の乱流特性を実験的かつ数値的に調べ、粒子群の乱流輸送メカニズムおよび伝熱との関係を明らかにした。以下に具体的な研究成果を記す。(1)粒子挙動の3次元計測:2台のテレビカメラを用いるステレオ画像計測技術を適用して、ノズルより希薄に注入されたガラスビーズ(粒径=0.8、1.0、1.2、1.4mm、比重2.6)の軌跡を時系列ラグラジアン計測した。取得されたデータより、オイラー平均量(粒子平均速度、粒子速度変動)、粒子スリップ速度、平均軌跡、平均軌跡からの拡散、速度変動のラグラジアン自己相関などを明らかにした。(2)粒子挙動の数値シミュレーション:連続相は希薄分散粒子相による影響を受けない(one-way coupling)との仮定の下で、Lagrangian eddy-particle interactionモデルによる粒子挙動の数値シミュレーションを実施した。まず、手法構築のため円管内乱流における液滴の管壁付着の予測を行い、従来の報告と良好な一致を得た。次に、衝突噴流場における粒子挙動の予測を行い、(1)に述べた実験結果との妥当な一致を見た。(3)伝熱促進の実験的検討:アルミニウム粒子、スチレン粒子、ガラス粒子を複数の重量割合(1、2、3%)で懸濁させ加熱衝突壁の伝熱促進割合を測定した。その結果、粒子緩和時間と粒子衝突割合との積によりよどみ領域の伝熱促進割合が整理できることを明らかにした。
著者
横山 泰 生方 俊
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

代表的な熱不可逆フォトクロミック化合物であるジアリールエテンは、ヘキサトリエン部位が光環化する際に二つの不斉炭素を生じる。ヘキサトリエン部位の周辺に不斉炭素を導入すると、環化で生じる不斉炭素の絶対立体配置が片方に偏って、ジアステレオ選択的なフォトクロミズムを生じる。我々は、ヘキサトリエンの末端に不斉炭素を導入した化合物1を合成し、不斉炭素の周辺に働くアリリックストレインを立体配座のパイロットとして用いて、88%から94%deと、高いジアステレオ選択的フォトクロミック閉環反応を実現してきた。しかし、用いる複素芳香環の接続位置を3位から2位に変えた化合物2では、比旋光度変化は13000と大きいものの、ジアステレオ選択性は47%deと大きく低下した。そこで、電子反発を有効に働かせることができるために高い選択性を示すであろう分子3を設計し、合成を行った。その結果、3の光環化におけるジアステレオ選択性は90%deまで向上した。それに伴って、光反応に伴う比旋光度変化は9530の変化を示した。この結果は、J.Org.Chem.に掲載された。さらに、アリリックストレインを働かせるパイロット置換基を両側のベンゾチエニルエテンにつけた化合物を合成したところ、ビスベンゾチエニルヘキサフルオロシクロペンテンの化合物4ではジアステレオ選択性は98%de、比旋光度変化は142goを示した。残念なことに、同じ置換基をつけたビスナフトチエニルエテン5、ベンゾチエニル基とナフトチエニル基をもつもの6、については、光反応性が極端に低下し、紫外光照射によってわずかな着色体を与えるのみであった。
著者
泉谷 周三郎 有江 大介
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、現代の大衆社会の原型が形成された19世紀英国・ヴィクトリア時代の知的文化的環境の特質を、当時の社会的な諸問題を念頭に置きながら代表的思想家J.S.ミルとその周辺の諸家の知的営為を中心に検討した。具体的には、自由、正義、宗教を選び、人文・社会科学の2つの領域から考察をぶつけ合った。それにより、英国国教会系知識人、福音主義やユニテリアン、ロマン主義や功利主義の相互関係を、当時の社会改良運動に目配りしつつ従来にない形で明らかにした。
著者
富井 尚志
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

3DCGデータと、利用者の知識情報を一つのデータベース(DB)に統合化し、時空間情報を共有・検索できる「時空間情報の知識ベース」の構築方法論は、DB研究の中でも注目を集めているテーマである。本研究では、知識情報と3D形状データとを明示的に結びつけるモデル化手法によって実現手法を提案し、高度な空間共有システムの実現性を示してきた。平成16年度は、これまでの研究成果の総括として、本モデル化手法の応用事例の評価と検証を行った。すなわち、「オントロジー存在エンティティー生データ(三次元データ)」の3層構造スキーマモデル化手法を応用した「高度コミュニティ空間」システムを設計し、実装の上、評価を行った。応用事例その1として、「オフィスグループウェア」の設計・実装・評価を行った。具体的には、物を「しまう」など、単なる座標の変更の背後にある「操作の意図」を表現するモデルを導入し、データベースで共有できるような「オフィス仮想環境」の実装と評価を行った。これによって、その背後にある「意味」や「意図」を明示化し、共有・検索できる仮想空間ブラウザを実現した。応用事例その2として、診断支援を目的とした医用画像所見情報の共有を実現する、PET画像データベースの構築手法を提案し、評価を行った。PET画像は、CTやMR画像と本質的に異なり、画像内に生理学的・病理学的情報を含んだ新しい画像データで、読影に際して専門的な知識を要求する。これに対し、本手法によって、単にPET画像(=3次元画像データ)を蓄積するだけでなく、読影時の所見情報(=知識+存在に関するエンティティ)も登録しておくことで、後に診断支援となる検索を行うことのできるPET画像データベース構築手法を提案した。実際にプロトタイプ上でその実現性を示し、効果的な検索が実行できることを示した。
著者
大野 敏
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

全国に分布する比較的規模の大きい野外博物館(民家野外博物館)を中心に、10年前と現在の活動状況を確認しその経過を把握すると共に、施設における歴史的建造物の修復技術の継承に関する意識についても調査し実態を把握した。その結果、やはり規模の大きい野外博物館は, 潜在的に歴史的建造物修復技術の継承拠点としてのみならず、地域の文化財センター的な役割を担う資質を備えていることがあらためて確認できた。しかしその活動を具体化するためには, 施設単独での実現は困難であり、専門家の協力により研修体制を徐々に整えていくこと、そのための先導的施設として川崎市立日本民家園や博物館明治村は有力であること、などが明らかとなった。なお、具体的な修復研修や技術公開の参考資料として、川崎市立日本民家園における試行やその他地域での試行に関して資料をとりまとめた。
著者
鈴木 香織
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

3次元複素Q-Fano多様体に対し、その射影モデルを記述するというアプローチにより考察をおこなった。特にFano指数が2よりも大きい場合に、重み付き射影空間への埋め込みの余次元が3よりも大きい場合について研究を進め、特異点の情報を利用することで今まで得られていた分類の「候補達」の数を更に減らすことに成功した。また、ある種の反射影を用いて具体的な例の構成が可能だと予想されることもわかった。この構成にはまだ取り除くべき仮定が存在する。今後引き続き考察を進める予定である。
著者
鈴木 英之進 安藤 晋
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

多視点・多粒度型知識発見のためのデータマイニング手法として,データの重要部分を確率的クラスタリングにより要約し,情報量規準をもとに色相を割り振る方法を考案した.この方法は,医療検査データで有効性が示されたわれわれのプロトタイプラインの拡張となっている.この方法の有効性をテキスト画像データであるウェブページデータを対象として調べ,Googleに比較して再現率,適合率,および発見時間の全てにおいて優れていることを示した.この手法を改良・発展して最終手法とし,ウェブページデータやネットワーク侵入データなどに適用してその有効性を定量的に評価した.ウェブページデータを用いた実験は,多数のウェブページの内容をA4用紙1枚の表示結果から把握する課題について行った.一定時間に多数の質問を課す形式のため,評価指標としては被験者たちの正解数を採用し,Googleに比較して約35%増加することに成功した.画像やキーワードに関する個別処理は必要であるものの,知識発見のために適切な複数の視点と粒度で情報を可視化するという当初の目的を達成できたと考える.ネットワーク侵入データを用いた実験は,ウェブページへのアクセス履歴からの予測問題について行った.不正アクセス検知に関する再現率・適合率,珍しい不正アクセスの発見,可視化結果の見易さなどに関して良好な結果を得た.研究過程において,多目的型探索手法,情報量評価指標,および述語データ用クラスタリングなども開発してそれらの有効性を確認したその他,仏国カン大学と協力してアイテム集合トランザクションデータ可視化手法を開発し,良好な結果を得た.サッカーに代表される各種時空間データへの適用も進め,可視化と知識発見の両面で成果をあげた.
著者
平塚 和之 川崎 努 進士 秀明 川崎 努 平塚 和之
出版者
横浜国立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

耐病性シグナル伝達経路の解明を目的として、病害応答情報伝達系の主要因子の一つとしてイネの過敏感細胞死の制御に関与するGタンパク質の役割を初めて明らかにし、それらの性状に関する重要な知見を得た。さらに、形質転換植物・細胞による発光レポーター遺伝子を指標とした病害応答遺伝子発現モニタリングシステムを確立し、抵抗性誘導剤の評価スクリーニングや、病害応答変異体選抜等に応用可能な実験系を構築した。また、病害抵抗性と密接に関連すると想定されるDNA傷害応答性発現遺伝子の発現制御について詳しく解析し、誘導抵抗性遺伝子発現との関連を明らかにした。興味深い結果としては、銅イオンによるこれら3種類の病害応答性プロモーターの応答性に基づき、環境調和型農薬としての銅剤の作用機作に関する有意義な知見が得られた。さらに、耐病性遺伝子発現の主要転写制御因子であるNPR1の作用機作や、耐病性遺伝子発現と関連する組織特異性を制御する新規GRASタンパク質が転写制御因子として機能することを初めて明らかにした。一方、エリシター応答性プロモーターと関連転写制御因子に関する研究を重点的に実施し、転写制御因子であるタバコのNtWRKY1,2,4がERF3遺伝子プロモーターのW-box配列と相互作用することを示し、一過的発現解析によりNtWRKY1,2,4がW-boxを介して転写活性化因子として機能することを明らかにした。NtWRKY4遺伝子は、低レベルで恒常的に発現しており、傷害によって発現が変化しないが、NtWRKY1と2は傷害処理によって迅速な発現誘導を示した。また、ERF3遺伝子の発現はERF3によって抑制されることも示唆された。高等植物の遺伝子発現制御系として関連因子群が詳細に明らかにされている例は希で、これらは耐病性シグナル伝達の末端として重要な転写制御に関する知見として最も詳細な研究として高い評価が得られている。
著者
岩崎 雄一
出版者
横浜国立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

水生生物の保全を目的とした亜鉛の水質環境基準の妥当性を検討する上での資料を得るために,以下の研究を行った。1.河川上流域において亜鉛濃度が河川底生動物群集に及ぼす影響去年度の成果より,底生動物群集の種多様性は基準値(30μg/L)の2倍程度の亜鉛濃度でも顕著に減少しないことが示唆された。本年度はこの成果を広く公表するべく,国際学会での発表や国際亜鉛協会への訪問等を行い,高い評価を受けた。さらに,この結果をより多く調査データを用いて検証するために,英国に3ヶ月間滞在し,英国・米国等の重金属汚染河川約400地点における底生動物調査結果を用いた解析に着手した。本研究の成果は日本の水質環境基準や海外で提示されている安全濃度の妥当性を検討する上で有用な資料となることが期待される。2.河川下流域において亜鉛濃度が河川底生動物群集に及ぼす影響前述した上流域の結果が下流域に適用可能かを検討するために,群馬県碓氷川水系及び粕川での野外調査を去年度実施した。暫定的な結果ではあるが,碓氷川での調査結果より下流域でも上流域の結果と同様な傾向が得られている。今後は,有機汚濁の進行した河川(粕川)での調査結果をまとめ,これら成果をできるだけ早く公表する予定である。上記に加え,亜鉛等重金属がファットヘッドミノー個体群に及ぼす影響を数理モデルを用いて評価した。その結果,当該個体群が維持される亜鉛濃度は約80μg/Lと推定された(掲載雑誌において,注目論文に選出された)。
著者
大塚 英作 平野 雅章 古門 麻貴 田名部 元成 橋本 雅隆 松井 美樹
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

電子商取引の本格化によって新しいビジネスモデルが提唱され、これを実現するためのサプライチェーン・マネジメントのあり方が議論されはじめている。海外の事例としてウォルマートを、国内の事例として株式会社しまむらを取りあげ、小売業態を起点とするサプライチェーンにおけるロジスティクス・ネットワークの構造とオペレーションについて検討した結果、小売業態を起点としたサプライチェーンに、構造上・オペレーション上の特長を見出すことが出来、中間流通における物流機能の高度化は、小売業態の設計の中に組み込まれてはじめて可能になることが理解された。サプライチェーンの革新的効率化の道具として注目されているRFID(無線タグ)についても広範なサーベイを行い、その問題点、技術的課題、応用可能性などについて検討を行った。また、伝統的な企業(ブリック&モルタル)が情報技術をフルに活用する企業(クリック&モルタル)に移行(「ネットトランジション」と呼びます)するには、単にホウムペイジを作成すればよいわけではなく、企業がおかれた競争環境の他に企業自身の組織能力を見極め、自社の優位性を活かし不利をカヴァーするような、戦略と一体となった情報システムの使い方を編み出すとともに、一旦設定された戦略と情報システムの組み合わせも、競争環境や技術の変化に対応して見直していく必要もあるわけであるが、本研究では、既存企業が戦略的に情報システムを活用するためのネットトランジションの戦略パターンおよびネットトランジションに必要な組織能力・ネットトランジションプロセスのマネジメントのあり方について検討した。これらの成果を実験的に検証するためのシミュレーターとしてビジネスゲームを構築した。さらに、本研究では、これからの企業情報システムとして期待されるERPサーバーを実際に稼動させ、その可能性や操作性、新しいビジネスモデルやサプライチェーンへの応用などについて経験を積むことが出来た。
著者
石川 宏之
出版者
横浜国立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

1.研究の背景と目的近年、都市や農村では市街地空洞化や過疎化、少子高齢化など様々な地域課題を抱えている。そうした中、英国では地域再生の手段としてミュージアム活動が用いられている。但し、持続可能なまちづくりを展開させていくには地域住民の協力と行政による支援が不可欠であり、さらに専門家で組織されるNPOなどがミュージアムの運営に関わっていくことが重要である。本研究では、都市にアメニティを与える地域遺産をミュージアム活動により管理運営するための諸要因や諸条件を明らかにすることを目的とする。2.研究方法と調査概要方法として先ずミュージアムの活動経緯から事業手法の特徴を把握し、次に財源及び公的補助金どの関わりから経営方法を捉え、最後に地域遺産を管理運営するための条件を明らかにする。調査対象は、イングランド中西部のシュロップシャー州で活動するアイアンブリッジ・ゴージ・ミュージアム・トラストである。選定理由はチャリティ団体によるインディペンデント・ミュージアムとして独自で資金調達を行ないながら総合的に地域遺産を管理運営しているからである。調査手法として現地を訪れ文献資料を収集し、関係者に対して聴き取り調査を行なった。3.結果ミュージアム活動の視点から地域遺産の管理運営の方法を捉え、以下の2つのことが指摘できた。民間非営利団体のトラストにより都市空間にアメニティを提供する自然や文化・産業などの地域遺産を管理運営することが可能である。但し、それらの公的活動に対して行政機関からの資金援助が必要であることがわかった。ミュージアムの持つ文化・芸術的なイメージは、衰退した地域の環境を一新させ、新たな企業の誘致や観光客を引き寄せる働きもあることがわかった。但し事業を拡大するには安定した自主財源を確保することが重要であり、民間企業並の経営手法のノウハウを取り入れることが必要である。
著者
両角 達男 荻原 文弘
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,スパイラルを重視した数学的活動による学校代数の単元を開発するとともに,その単元における学習過程を質的に分析することから,代数学習の深化について考察した.開発した単元は,平方根,式と証明,数列,数列の極限,球の体積・表面積であり,学校代数の系統性と単元どうしのつながりをふまえている.これらの単元を通して,無理数に関する理解が深まるなど,代数学習の深化と学習方法の改善がみられた.
著者
平山 次清 高山 武彦 平川 嘉昭 庄司 るり 上野 道雄 塚田 吉昭 岩下 英嗣 土井 康明
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海上が荒れた場合はバラストタンクと主翼および尾翼を制御することによって浅く潜航し波浪影響を避けるという新コンセプト船を提案し、その実現可能性について主として流体力学・運動制御工学の観点から実験・数値計算を実施して検討した結果、船長の半分程度まで潜水すれば波浪影響は数%以下に抑制可能であることやウェザールーチングの観点からは10%程度の燃費低減が可能といった結果を得た。