著者
長尾 博暢
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

日本の大学インターンシップの「多様性」を理論的に整理するため、正課のインターンシップにかかわる大学組織に焦点を当てた研究を行った。その結果、インターンシップにかかわる教員組織および厚生補導組織の実態と関係性の解明が要諦であると同時に、両者のさらに外縁にある学外アクターと教育課程との関係性こそが、教員組織と厚生補導組織の関係性を規定しており、多様なインターンシップの理論的整理の新たな基軸となるという知見に至った。
著者
藤井 嘉儀
出版者
鳥取大学
雑誌
鳥取大学農学部研究報告 (ISSN:03720349)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.159-168, 1985-01
著者
阿部 友紀 安東 孝止
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は, 励起子結合エネルギーの大きいZnO系量子井戸における励起子効果を最大限に活用することによって,光変調器を実現することである。我々は,c面サファイア基板上に1nm程度のMgOバッファ層を成長した後にO極性ZnOバッファを成長して,バッファ層の高品質化を行った。紫外透明導電膜であるPEDOT:PSSとZnO/ZnMgO量子井戸のショットキ型光変調器を作製し,20meVのシュタルクシフトを得た。また,透過型光変調器として波長370nm(3.35eV)において光変調動作を確認した。さらに,電解液でZnO表面にコンタクトをとることにより2Vという低電圧動作も確認した。
著者
会見 忠則
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

毒きのこ等難栽培性きのこ栽培のための基盤技術開発のために,ツキヨタケの人工栽培を確立すると共に,その毒成分であるイルジンSが,子実体で濃縮されると同時に,抗線虫活性を有し,自然界での生存戦略に寄与していた.ニガクリタケの人工栽培では,菌糸蔓延後,放置したままでは,原基形成までしかできないが,ガス交換により,子実体を発生させることができた.その他に,鳥取大学農学部及び同附属菌類きのこ遺伝資源研究センター保有の42種62株(腐生菌20種40株,毒きのこ4種11株,食毒不明22種22株)を用いた栽培試験を行い,22菌株で,良好な菌糸蔓延が観察でき,その内,1菌株で,子実体が発生させることができた.
著者
小玉 芳敬
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

斜面に発達する風紋を鳥取砂丘で精査した結果,風紋の限界進行傾斜角は降りで-17度,登りで+24度であることが判明した。また進行傾斜角に応じた風紋の断面形態を徹底的に計測した結果,形態特性は4種類に分類され,降り坂では波長6cmほどの短い風紋が,登坂では波長12cmほどの長い風紋が観察されることを明らかにした。いっぽう横列砂丘の風上側斜面の傾斜角を地形図の計測により調べた結果, 7度を中心にして4度~10度の傾斜角を持つ横列砂丘が多いことが判明した。
著者
金田 由紀子
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

全国の自治体(市区町村数1,741)に所属する保健師を対象に「老いと死の準備教育」に関する実態調査を実施した(有効回答率38.4%)。自治体における教育実施の必要性については61.7%があると回答していたが、実際に実施ありと回答した者は15.8%であった。今後の実施予定ありと回答した者も12.0%と低かった。実施上の問題として、実施方法が未確立とした者が89.7%と9割にものぼり、必要性を感じながらも具体的な根拠に基づく方法が未確立であるため、実施に至っていない実態が明らかとなった。本研究結果から、多死社会において、自治体レベルでの具体的なプログラムを早急に構築する必要性が明らかとなった。
著者
伊福 伸介
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

キチンナノファイバーの簡便な調整方法を見出した。カニ殻からタンパク質と炭酸カルシウムを除去した後、酸性条件下においてグラインダーで解繊することにより調製できる。得られるナノファイバーは均一で幅が10~20ナノと極めて細く、高アスペクト比である。この方法はエビ殻にも適用可能である。また、本法はカニ殻に内包されるキチンナノファイバーをありのままの状態で単離できるため、本来の結晶構造や形状が維持されている。また、キチンナノファイバーでアクリル樹脂を補強した複合材料の作成に成功した。この複合フィルムはキチンナノファイバーのサイズ効果により透明である。また、物性に優れるキチンナノファイバーの補強効果により、アクリル樹脂の強度、弾性率を大幅に向上させ、線熱膨張係数を大幅に低下させることができた。
著者
鈴木 康江 南前 恵子 前田 隆子 前田 隆子
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

2012年から参加同意者を募り、2014年までに931名の同意を得て、妊娠中期から順次調査を開始した。現在なお進行中ではあるが、現在までに生後1年までのデータを収集分析中である。妊娠女性の喫煙は一般女性の喫煙率よりも高い傾向にあった。禁煙は夫の喫煙状況と関連があった。喫煙男性は妊娠発覚を喜ぶ割合が有意に低かった(P<0.05)。家族機能(家族APGAR)は喫煙女性が有意に低かった(P<0.05)。出生児は現在452名であり、平均出生体重は3010.5±429.7 g、低出生体重児(2500g未満)は8.6%、極低出生体重児(1500g未満)は1.1%であった。
著者
恒川 篤史 鈴木 雅一 森田 茂紀 飯山 賢治 篠田 雅人 西田 顕郎
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、多様な生態系を対象としてさまざまなタイプの数値シミュレーションモデルを適用し、その生態系で生じている現象の理解を深め、新たな現象を解明すると同時に、モデル自体についてもさまざまな改良や開発を続けてきた。主要な研究対象と成果は以下の通りである。1.日本の代表的な森林であるスギ・ヒノキ人工林の東京大学千葉演習林において、Komatsu et al.(2006)によって開発された生態系プロセスモデルを用いて、斜面部による蒸散開始時刻の違いがどのような要因によって生じるかを解明した。2.米国モンタナ大学で開発されたBiome-BGCを日本の代表的な森林であるスギ・ヒノキ人工林の東京大学千葉演習林袋山沢に適用した結果、幹材積炭素含有量の、植栽から現在までのモデルによる計算値の推移は、千葉演習林のスギの収穫表と袋山沢での観測値をほぼ再現した。3.Centuryモデルを富士山における一次遷移のデータに適用し、その適用性を検討した。いくつかのパラメータを変更する必要があったが、パラメータを変更することでCenturyモデルは富士山における一次遷移のデータを良好に再現することができた。4.Biome-BGCモデルをモンゴル中央県のバヤンウンジュールの典型草原に適用した。さまざまなチューニングにより実測値の正確な予測が可能となった。このモデルを用いて干ばつに対する植生影響のシミュレーションを試みた。5.広域スケールの生態系プロセスモデルとして、光合成有効放射吸収率(FPAR)、葉面積指数(LAI)、4種類の気候データ(純放射、日最低気温、日平均気温、飽差)および土地被覆図を用いた生産効率モデルを用いて、1982年から1999年までの全球陸域NPPを推定した。
著者
村瀬 敏之 大槻 公一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

サルモネラに感染した鶏は本菌に汚染された鶏卵を産出する可能性がある。産卵直後では卵黄よりも、菌の増殖には適当な環境ではない卵白内に菌が存在する場合が多いといわれているため、鶏卵内のサルモネラは、卵黄膜を介して卵黄内に侵入することによって増殖を開始すると考えられる。本研究では実験的汚染モデル卵を用いて、卵内におけるサルモネラの動態を各種血清型間で比較し、抗サルモネラ卵黄抗体の存在がサルモネラの動態に及ぼす影響を検討した。SPF鶏卵の卵黄膜上にサルモネラ(SE並びに血清型インファンティス(SI)及びモンテビデオ(SM))の生菌を100個接種し、25℃で6日間インキュべートしたところ、卵黄内への侵入率及び卵黄内菌数は血清型間で有意な差を認めなかった。また、本菌が卵白内を卵黄に向かって運動することはまれであるが、卵黄の近傍に存在することは増殖に好都合であることが示唆された。SM自然感染を認めるコマーシャル産卵鶏が産出した卵の抗サルモネラ卵黄抗体を検討したところ、断餌による換羽の誘導に伴い感染した鶏が増加した可能性が示唆された。供試卵からサルモネラは検出されなかった。不活化SEワクチンを接種したコマーシャル採卵鶏が産出した卵とSPF卵を用いて、汚染モデルによりSEの卵内動態を比較した。卵黄内への侵入性には両卵のあいだに差が認められなかった。しかし、卵黄にSEを直接接種し24時間後の生菌数は、SPF卵に比べワクチン接種鶏から得られた卵において有意に少なかった。したがって、卵黄内のSEの増殖が卵黄抗体により阻害される可能性が示唆された。
著者
土橋 寳
出版者
鳥取大学
雑誌
鳥取大学教育学部研究報告. 人文社会科学 (ISSN:02878003)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.79-108, 1987-08
著者
遠山 柾雄 岩崎 正美 木下 収 杉本 勝男 竹内 芳親
出版者
鳥取大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

高温乾燥の激しいメキシコ沙漠の海岸砂丘地で、野菜の生産性増大に関する基礎研究を行った。供試野菜は小松菜,廿日大根,ベカナ,チンゲンサイ,レタス,グリーンデビューの6種で、これらの野菜栽培に対して点滴かんがい法,保水剤の利用,かん水頻度とかん水量等による節水技術の確立を行った。また、良質のかんがい水として空中水分を除湿機により採取し、それを育苗床へ利用することを試みた。メキシコ砂漠の地下水のEC1442μs/cmに対し、除湿水は266μs/cmで極めて良質であった。地下水に対する葉重がレタス1.9倍,チンゲンサイ1.6倍となったように、その除湿水は育苗に対して顕著な効果をあげた。また、9種の保水剤を利用した実験においてチンゲンサイの葉重には増収効果が表われたが、その中で最大の効果をあげた保水剤は約60%で、全体的には国内実験に比較して効果があがらなかった。これはかんがい水中の塩分が影響しているためであり、沙漠緑化に対しては耐塩性保水剤の開発が急務であることが示唆された。また、同量のかん水量に対して、かん水頻度の多い方がチンゲンサイの葉重は増加した。
著者
甲元 啓介 伊藤 靖夫 秋光 和也 柘植 尚志 児玉 基一朗 尾谷 浩 DUNKLE L.D. GILCHRIST D. SIEDOW J.N. WOLPERT T.J. JOHAL G. TURGEON B.G. MACKO V. 田平 弘基 YODER O.C. BRIGGS S.P. WALTON J.D. 宮川 恒 朴 杓允 荒瀬 栄 BRONSON C.R. 小林 裕和 中島 広光
出版者
鳥取大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1) リンゴ斑点落葉病菌の宿主特異的AM毒素の生合成に関与する遺伝子: 環状ペプチド合成酵素(CPS)遺伝子のユニバーサルPCRプライマーを利用して得たPCR産物は他のCPS遺伝子と相同性が認められ、サザン解析の結果、AM毒素生産菌に特異的に存在する配列であることが判明した。本遺伝子断片を用いた相同的組込みによる遺伝子破壊により、毒素非生産形質転換体が得られ、さらに野生株ゲノムライブラリーをスクリーニングして、完全長のAM毒素生合成遺伝子(AMT)のクローニングに成功した。AMTは13KbのORFをもち、イントロンはなく、毒素構成アミノ酸に対応するアミノ酸活性化ドメインが認められた。2) ナシ黒斑病菌のAK毒素生合成遺伝子: REMIによる遺伝子タギング法を用いて毒素生産菌に特異的に存在する染色体断片から、AKT1(脂肪酸合成)、AKT2,AKT3(脂肪酸改変),AKTR(発現調節因子)、AKTS1(AK毒素生合成特異的)の5つの遺伝子を単離した。また、AK毒素と類似の化学構造を有するAF及びACT毒素の生産菌も、本遺伝子ホモログを保有することが明らかとなった。3) トウモロコシ北方斑点病菌の環状ペプチドHC毒素の生合成遺伝子TOX2の解析が進み、特異的CPS遺伝子HTS1のほかに、TOXA(毒素排出ポンプ)、TOXC(脂肪酸合成酵素b*)、TOXE(発現調節因子)、TOXF(分枝アミノ酸アミノ基転移酵素)、TOXG(アラニンラセミ化酵素)などが明らかとなった。4) トウモロコシごま葉枯病菌のポリケチドT毒素の生合成遺伝子TOX1は、伝統的遺伝学手法では単一のローカスと考えられていたが、今回の分子分析でTOX1AとTOX1Bの2つのローカスからなり、それぞれ異なった染色体上に存在することが明確となった。5) ACR毒素に対する特異的感受性因子を支配している遺伝子(ACRS)を、ラフレモンmtDNAからクローニングした。この遺伝子は大腸菌で発現した。6) リンゴ斑点落葉病感受性(AM毒素のレセプター)遺伝子を求めて、プロテオーム解析によりAM毒素感受性リンゴに特異的に発現しているタンパク質(SA60)を検出した。7) 宿主特異的毒素の生合成遺伝子は水平移動で特定の菌糸に導入されたと推論できた。
著者
丹松 美由紀
出版者
鳥取大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

理科実験に対して敷居の高さを感じている小学校教員を対象として,科学や実験に対する苦手意識の克服プログラムの開発を目的に,小学校教員対象講習会(教員向け出前おもしろ実験室)を計画・実施・評価した.これまでの知見から,休日またはわざわざ出向く形での事業に参加者を募ることは難しいことが察せられた.そこで,できるだけ多くの教員が参加しやすいように次のようなプログラムで実施した.1.すでに開発済みの小学生対象の「出前おもしろ実験室」を開催した.2.「出前おもしろ実験室」終了後(放課後),小学校教員に対して(1)気軽にでき,(2)教科書への導入につながる実験を指導し解説する講習会を実施した.3.開催前には,教員の意識と希望調査を行ない,開催後はアンケートを実施した.4.アンケート結果や,県内外の科学・技術館などと交流し情報収集することにより,開催方法,内容などを随時見直し,より効果的なものとなるよう改良しながらいくつかの形式で実施した.(1)グループ別研修:事前に希望する分野の調査を行い,それに沿った実験を指導した.実施回数2回参加人数24名(2)全員研修:準備した実験と部外講師による講義を行った.実施回数1回参加人数25名(3)他事業との共同企画:実施回数2回参加人数20名総計69名の小学校教員を対象として講習会を開催することができ,事後アンケートの結果によると,大方の参加者から高い評価を得ている.子どもを対象とした「出前おもしろ実験室」とリンクさせることで効果的なプログラムを構築できた.この研究を通して,予想以上に実験を苦手とする教員が多く,小学校教員の理科実験離れが深刻であると感じている.やらなければいけないという義務感ではなく,やってみると楽しいという意識をもつことが教員にも必要であるという知見を得た.このような活動は何より継続することで大きな効果が得られる.今後も本研究と実践を通じて,いろいろな理科授業のかたちを提案し,小学校の理科授業における実験不足を補うことに寄与できるものと期待する.
著者
森川 修
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

鳥取大学における学力試験を課さない入試区分(AO入試,推薦入試Ⅰ)の合格者に対し,合格直後から入学直前まで,インターネットに接続されたPCを用いて自学自習ができるe-ラーニングを実施させた.合格後と入学後に学力試験の結果から,e-ラーニングの進捗率が高かった者や一定のペースで学習した者の成績は良好であった.また,卒業までの成績追跡の調査で,AO入試,推薦入試Ⅰの合格者は,一般入試合格者と比較して,大学在学中の学業成績や卒業率などに有意差は見られなかった.その結果,e-ラーニングは学習習慣を継続させるために有用なツールで,リメディアル教育として十分に利用可能である例を示した.