著者
岩田 隆 大亦 郁子 緒方 邦安
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.350-358, 1969 (Released:2007-07-05)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

前報で, 収穫後の果実の成熟に伴う呼吸型は3種に分類するのが適当であることを述べたが, 本報はこれをエチレンとの関係について検討したものである。一時上昇型 (climacteric 型) としてトマトおよびバナナ, 末期上昇型としてイチゴ•カキおよびモモ, 漸減型果実として温州ミカンを選んだ。(1) トマト緑白色果はエチレン処理によつて着色が促進された。同一圃場から得られた緑白色果でも, 遅い時期に収穫されたもののほうが効果が大であつた。呼吸の climacteric rise はエチレン処理によつて早く現われた。着色果に処理した場合には効果がなかつた。緑白色果を貯蔵すると, 着色に伴つて果実組織内のエチレン濃度が著しく増大し, また, 呼吸上昇以前にかなりの水準に達していた。(2) バナナ緑色果にエチレン処理を行なうと急速に成熟が進んだ。やはり climacteric rise が促進されたがピーク値は自然な climacteric の場合よりもかなり大きくなつた。(3) イチゴは, 緑色が消失して白色に近い状態となつた果実を収穫し, エチレン処理を行なつたが, 着色や軟化の進みかたに影響はなかつた。呼吸量についても処理効果はみられなかつた。果実組織内エチレン濃度は白色果でかなりの値となり, 以後はあまり変わらないようであつた。(4) モモ未熟果にエチレン処理を行なつても, 軟化の進展に影響はなく, 呼吸量もほとんど変わらなかつた。果肉組織内エチレン濃度は, かなり未熟な段階でも高い値となつた。(5) カキ未熟果はエチレン処理によつて急速に着色し, 軟化が進んだ。渋ガキは脱渋された。呼吸量は未熟果, 熟果ともにエチレン処理によつて著しく増大した。果肉組織内エチレン濃度は, かなり軟化した段階でやや大きくなつたが, 全般に低い値であつた。(6) 温州ミカン未熟果はエチレンによつて黄化が促進された。呼吸量は未熟果, 熟果とも処理によつて著しく増大した。エチレン処理によつて呼吸の増大した果実から, エチレンを除去すると, 呼吸量は無処理のものと同じ水準に戻り, これにエチレンを処理すると, また増大した。果実内エチレン濃度は全般に低い値であつた。(7) エチレン処理の効果の有無は, 処理時の果実内エチレン濃度が生理的に活性な値にあるかどうかによるものであり, エチレン処理に対する反応から climacteric の有無を区別することはできないと考えられた。
著者
城島 十三夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.109-114, 1994 (Released:2008-05-15)
参考文献数
15
被引用文献数
5 4

トマトの果実の着色状況 (着色または広義の果色)は熟度の指標としてのみでなく, 品質の重要な要素としても利用されている. 特に, 樹上成熟トマトの消費が近年高まるにつれて, 果色は品質要素として一層重要視される傾向がみられる (阿部ら, 1970;東尾ら,1989).ところで, 我が国におけるトマトの一般栽培品種は現在のところ果肉が桃赤色の品種にほとんど限られているが, 黄色系や橙色系品種も時にみられるようになってきた. トマトの果色発現には, かなりの数の遺伝子が関与していることが知られているが (Kargelら,1960;Khudairi, 1972;Stevens-Rick, 1986;Tomesら,1953), 赤色, 黄色そして橙色など基本的な果肉の色には主にRおよびT遺伝子座が関与し, Rは生成されるカロテン色素の量を, そしてTは生成されるそのカロテン類の化学型を決定する. したがって, 遺伝子型R-T- (RRTT, RRTt, RrTT, またはRrTt) のにおいてはトランス型のリコペンが果肉内部で多量に生成集積されるため赤色果肉の果実 (桃赤色系を含めた一般的な赤色型, 以下同様) となり, そしてrrT-(rrTTまたはrrTt) ではトランス型のβ-カロテンのみを少量形成するため黄色の果実 (黄色型) となる.一方, R-tt (RRttまたはRrtt) ではシス型の種々のカロテン類を多量に形成するため橙色果実 (橙色型)となり, そしてrrttではそれらの量が少なくなるため黄橙色果実 (黄橙色型) となる (広田, 1975;Jenkins•Mackinney, 1953,1955;LeRosenら, 1941). これらの果色は色相を表わすa, bの比 (a/b値) によって明確に類別された (城島ら, 1986). さらに, それぞれの果色型の色素成分および色素量の分析も比較的容易に行えるようになった (Johjima•Ogura, 1983;Johjima, 1993).そこで, 本報ではRとT遺伝子が関与する種々の遺伝子型系統を供試して, トマトの基本的な果色型の露地およびハウス栽培, さらに, 着色障害の発生が顕著な32°C以上 (施山•阿部, 1977;Tomes, 1963)の高温環境下における着色特性と色素含量, 組成について調査し, これらの間の関係について明らかにした,
著者
小池 安比古 大引 明 森 源治郎 今西 英雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.639-644, 1994 (Released:2008-05-15)
参考文献数
13
被引用文献数
3 4

ニホンスイセンの開花に及ぼす貯蔵温度と栽培温度の影響を調べるとともに, 抑制栽培における開花と長期貯蔵温度との関係について検討した.りん茎の貯蔵温度としては100%の開花がみられ,開花期も比較的早く, 小花数が多く品質のよい切り花が得られた25°Cが適していた.雌ずい形成期に達した後の栽培温度としては, 15°Cおよび20°Cが適していた.抑制栽培のためには, 花芽未分化の段階から5°~10°Cの低温でりん茎を乾燥貯蔵し, この長期貯蔵球を適宜取り出して30°Cで3週間, ついで25°Cで12週間おいた後に植え付け, 15°~20°Cの温度下で栽培することにより可能であることが明らかとなった.
著者
イスラム オバイドル M. 松井 鋳一郎 市橋 正一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.1132-1138, 1999-11-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
24
被引用文献数
11 18

光質がCattleyaの発芽と発育に及ぼす影響を明らかにするため, C. walkeriana種子を京都培地に無菌播種し, 異なる光質条件で16時間日長, 室温25℃で培養した.その結果, 播種70日後の発芽率は赤, 黄および青色光下で高かったが, 緑色光では低かった.その後, 植え替えて同様に異なる光質で培養を続けたところ, シュートと根の発育は赤, 黄色光ですぐれた.青色光では実生の新鮮重とシュートの発育は増大したが乾燥重は小さかった.緑色光ではシュート長が大となり, 葉数は増加し, シュートと葉軸からの根の発育は促進された.一方, 新鮮重や乾物重, 葉の長さ, 葉の幅や根の伸長は他の区より劣った.TTC反応で見た根のデヒドロゲナーゼ活性は青色光で最も高く, 赤色光で最も劣った.
著者
庵原 遜
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.183-189, 1966 (Released:2007-07-05)
参考文献数
13

(1) 1963•1964年の2か年にわたつて, ナシ•モモ•カエデ•ハクモクレン•ロウバイ•ツバキ•サザンカを材料として, 緑枝接と前年枝接との活着経過を組織学的に観察比較した。(2) 緑枝接の場合, 実験に使つた各花木はいずれも良く活着したが, 前年枝接の場合ナシ以外はすべて活着せず, 3~4週間で穂木が枯死してしまつた。(3) 緑枝接でも, 前年枝接でも, 接木が活着する場合, その組織学的な一般経過は次の3つの Stage に分けることがでぎる。1. 第1 Stage: 台木と穂木の形成層に近い柔細胞が分裂してゆ創細胞を形成し, それぞれの傷面より押し出して両者が接触する。2. 第2 Stage: 接触したゆ創細胞がさらに分裂増殖して, 互いに交錯抱合する。3. 第3 Stage: 交錯抱合したゆ創組織中の一部の細胞が分化して連絡形成層となり, 台木と穂木の形成層を連絡する。この時期にはゆ創組織中の一部の細胞が分化して彎曲した通導管となり, 台木と穂木の通導組織を連絡している。この第3 Stage で接木のゆ合作用は完成したといえる。4. 前年枝接(ナシ)の場合, ゆ創細胞が形成されるのは, 台木穂木ともに形成層に近い飾部組織の柔細胞からだけであつたが, 緑枝接の場合は形成層に近い木部および篩部組織の柔細胞はもちろん, 少し遅れてPith, Protoxylem, Cortex の柔細胞からも分裂形成される。5. ゆ合作用の進行速度は, 前年枝接 (ナシ) の場合第3 Stage (形成層の連絡) に達するのに5~6週間を要したが, 緑枝接の場合は一般に非常に早く, ナシ•モモは10~12日, ハクモクレン•ツバキ•サザンカは20~25日, カエデ•ロウバイは25~30日で第3 Stageに達した。6. 緑枝接は, 台木と穂木の組織が若くて未分化の柔細胞が多く, いろいろな組織からゆ創細胞が分裂形成されることと, 接木時期の環境条件がゆ合組織の形成発達に有利なことなどのために, 接木活着が容易であると考えられる。
著者
小又 昭彦 蓬田 勝之 中村 祥二 太田 忠男 井澤 靖子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.429-434, 1989 (Released:2007-07-05)
参考文献数
6
被引用文献数
6 7

ツバキ属の花の香気成分について解析を行ったところ以下の結果を得た.1. ツバキ属の花の香気成分として, Linalool oxide のフラン体とピラン体, Linalool, Methyl benzoate, Methyl salicylate, Phenyl ethyl alcohol, Benzaldehyde Benzyl alcohol, Acetophenone を解析した.2. これらの花の官能評価結果とヘッドスペース成分分析結果よりツバキ属の香気を4つに分類することができた.3. 香気分類と形態的分類との間には相関が見られ, 成分的に見ると, Acetophenone はサザンカ節特有の成分であることがわかった. また香気からもハルサザンカは, ヤブツバキとサザンカの自然交雑種であることを裏付けていると思われた.
著者
小机 ゑつ子 水野 進
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.719-722, 1989 (Released:2007-07-05)
参考文献数
4
被引用文献数
1 4

孟宗竹のタケノコを用いて, HGA含量に及ぼす収穫時期, 大きさ, 栽培地ならびに貯蔵の影響について調べた.1. 収穫時期別の調査では, 1987年3月25日の初収穫から約2週間の間に収穫されたタケノコにHGA含量が多く (111.2~248.0μg/100gFW), 最盛期以後のタケノコでは低い値 (36.8~12.3μg/100gFW) であった.2. 重量別ではL級 (900g程度) タケノコのHGA量は73.5μgであったが, 小さくなるほど増加し, 特にSS級では114.2μgと最も多かった.3. 貯蔵中の変化については, 1°C貯蔵では経時的に減少し, 当初の75.5μgから9日後には32.2μgになった. 20°C貯蔵では2日後まではほとんど変化せず, その後は減少した.4. 産地間の比較では, 含量にかなりの差異が認められた.
著者
江口 壽彦 大久保 敬 藤枝 國光 上本 俊平
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.803-814, 1991 (Released:2007-07-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Camellia japonica L. 種内における亜種•変種の遺伝的相違を計るために分布全域にわたる12地区について8種類の酵素系のアイソザイム分析を行った.全12地区間における遺伝的同一性の平均は0.77で, 他の他家受粉植物の種内における値に比較すると低かった. これは ssp. rusticana が ssp. japonica とは非常に異なる遺伝的変異を有するためと考えられる. 一方, japonica に属する var. hozanensis と var. japonica の間にはわずかな違いしか認められず, 電気泳動的特徴から var. hozanensis は var. japonica からの派生型に当たると推察された. 他のツバキ属植物との比較から次の二つの可能性が示唆された. 1). ssp. rusticana はvar. hozanensis および var. japonica より非常に早い時期に生じた. 2). var. hozanensis および var. japonicaはカメリア節と他節との浸透交雑によって生じた.
著者
Akemi Ohmiya Masaya Kato Takehiko Shimada Kenji Nashima Sanae Kishimoto Masayasu Nagata
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-R003, (Released:2019-03-12)
被引用文献数
29

Carotenoids are isoprenoid pigments, which are widely distributed in nature. In fruits and flowers, carotenoids are responsible for bright yellow, orange, and red colors and provide a substrate to form flavor compounds, which attract pollinators and seed dispersers. In leaves, carotenoids play an essential role in photosynthesis. When carotenoids are ingested in the diet, they play a vital role in human nutrition and health as a precursor of vitamin A, antioxidants, and anti-inflammatory agents. It is therefore important to control carotenoid accumulation to improve the commercial value of horticultural crops. Carotenoid accumulation is regulated by flux through the carotenoid biosynthetic pathway, and also by degradation and sequestration into plastids, which function as sink organelles. These processes are mostly controlled at the transcriptional levels of relevant genes. In this review, we summarize recent advances in studies on the molecular mechanisms that regulate carotenoid accumulation in vegetables, fruits, and ornamental flowers.
著者
Misaki Ishibashi Shunji Okochi Kazuyoshi Sone Yuji Noguchi Yuichi Uno
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-051, (Released:2019-03-07)
被引用文献数
5

Strawberry (Fragaria × ananassa) contains a major allergen, Fra a 1, which causes oral allergic syndrome. Fra a 1 is a PR-10 homolog that is regulated by environmental conditions. The allergenicity of fruit caused by Fra a 1 may depend on the genotype or growing conditions. We analyzed the Fra a 1.01 transcript levels and Fra a 1.01 protein levels in strawberry fruits of several genotypes across all seasons. In the preliminary rough screening, we selected the line WH1 bearing white fruit and the red-fruited cultivar ‘Akihime’. Under the same environmental conditions, there was no significant difference in Fra a 1.01 levels between the two cultivars over several months, suggesting that receptacle color was not indicative of allergenicity caused by Fra a 1.01. Fruits cultivated under the same environmental conditions should be used for comparisons of the allergenicity among genotypes. Both ‘Akihime’ and WH1 accumulated significantly higher levels of Fra a 1.01 protein in winter than in spring. We investigated the effects of irradiation and low temperature as environmental factors controlling the accumulation of Fra a 1.01 in winter. A shading treatment on fruit did not significantly affect Fra a 1.01 protein accumulation in strawberry fruits. Regarding variations over time, the Fra a 1.01 protein content was higher in fruits harvested at midnight in January than in those harvested at other times and in other months. These findings suggested that the Fra a 1.01 protein accumulates in response to environmental factors such as cold stress.
著者
Masashi Yamamoto Natsuki Nishiguchi Atsushi Shimada Ryoji Matsumoto
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-050, (Released:2019-03-02)
被引用文献数
6

In this study, we cultivated 32 major citrus cultivars and local accessions of Kagoshima and one control accession to elucidate the polymethoxylated flavone contents with the purpose of providing information for citrus consumers to promote citrus production in the region. All trees were grafted on trifoliate orange rootstock and cultivated in Kagoshima City, Japan. In general, the Brix values and fruit weights of the major cultivars were higher and heavier than those of the local accessions. The ascorbic acid content of Tankan and Rokugatsu Mikan was high and that of Shiikuwasha, Kabuchii, and Shiikuu was very low. For analysis of polymethoxylated flavones (PMF), important health-promoting components sinensetin, nobiletin, heptamethoxyflavone, and tangeretin were quantified. Cultivar and accession differences in the PMF content were also observed. Nobiletin and tangeretin were found to be major PMF in most accessions, and heptamethoxyflavone was not detected in some species such as Kishu Mikan, Ponkan, Shiikuwasha, and Kuroshima Mikan. In the major cultivars, the PMF contents of Kishu Mikan, Ponkan, and Tankan were found to be high. In the local citrus accessions, Shiikuwasha, its relative, and Kishu Mikan were found to have the highest PMF content, and those of Kabuchii and Kuroshima Mikan were also high. Major cultivars Satsuma mandarin, pummelo, and its relative and the local accession Kunenbo contained little PMF.
著者
人見 英里 玉置 美子 友枝 幹夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.431-435, 1992 (Released:2008-05-15)
参考文献数
10
被引用文献数
3 1

ホウレンソウ中には通常水溶性の遊離のシュウ酸と不溶性のシュウ酸カルシウムが含まれている. 本研究では塩化カルシウムの濃度を変えた3種の標準培養液にホウレンソウを栽培し, その生育期間における重量と両タイプのシュウ酸含量を測定した. またこの期間中におけるシュウ酸生成および分解酵素活性を比較した.1.塩化カルシウムの濃度を0.67,25,50ppmの3種の栽培液でホウレンソウを栽培し, その生育度とシュウ酸含量を測定した. その結果, 塩化カルシウム濃度が低い液では, 生育は悪かった. また, シュウ酸はいずれの場合もほとんど不溶性のカルシウム塩になっており根からのシュウ酸の分泌は少量ではあるが認められた. このことから十分なカルシウムが供給されない場合, 水溶性シュウ酸がホウレンソウに蓄積されて, その発育に有害作用を及ぼすことが推察される.2.ホウレンソウの生育中には, シュウ酸の生成に関与する酵素であるグリオキシル酸酸化酵素とオキザロ酢酸加水分解酵素, シュウ酸分解にかかわる酵素であるシュウ酸脱炭酸酵素が存在していた. シュウ酸はこれらの酵素により生成あるいは分解されるが, 分解酵素活性の方が弱いために, ホウレンソウ中にシュウ酸が集積されるものと推定される.
著者
Fraidoon Karimi Takashi Baba Satoshi Noma Daiki Mizuta Jin Gook Kim Manabu Watanabe Megumi Ishimaru Takuya Ban
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.OKD-129, (Released:2019-02-14)
被引用文献数
2

Moderately vigorous shoots of mature rabbiteye blueberry ‘Tifblue’ bushes were pruned in summer to clarify the effects on vegetative and reproductive traits. Treatments included un-pruned, 25% pruned (removing 25% of the shoot length), 50% pruned (removing 50% of the shoot length) and 75% pruned (removing 75% of the shoot length). Vegetative and flower bud number per shoot decreased with increasing pruning severity. Consequently, the number of laterals per shoot dropped. However, lateral length increased with increasing pruning severity. Shoots pruned at 75% produced a small number of laterals, but they were the most vigorous. Pruning severity induced the transition of vegetative buds to reproductive buds in areas lower than the cut position. The flower bud number per shoot decreased with increasing pruning severity. However, yield per shoot was not affected due to a compensatory increase in berry weight. Total soluble solids content and titratable acidity of the berry juice, as well as, the number of berries per flower bud were not affected. Hence, to reduce the unproductive parts of the plant, and to produce bigger berries, September removal of either 50% or 75% of the length of mature rabbiteye blueberry shoots under conditions similar to the Kanto region of Japan is recommended.
著者
Megumu Takahashi Takayoshi Ohara Fumio Sato Yuka Nakano Hidekazu Sasaki
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-018, (Released:2019-02-14)
被引用文献数
4

Axillary buds of broccoli (Brassica oleracea L. var. Italica) develop and produce lateral heads after the apical heads have been harvested; however, lateral heads are not used because of their small size, and only one apical head is generally harvested from one plant. In this study, we aimed to establish a new method to harvest two heads of 12 cm diameter from a plant by pinching the apical bud and growing two axillary buds (“V-shaping” process) in autumn cropping. First, we measured the probability of axillary bud generation (PA) at each leaf axil and calculated the integration of the PA (IPA). The PA from the 5th to 8th true leaves was especially high, and the IPA reached 4.7. Next, we investigated the period of harvest and yield of heads at different times (3rd, 5th, 7th, 9th, 11th, 13th, and 15th leaf stage) of V-shaping in Field 1 (Ibaraki Prefecture, Tsukuba City). In V-shaped plots from the 7th to 11th leaf stages, the number of marketable heads significantly increased in comparison to that of the control. It increased by 61% of that of the control at the 11th leaf stage. However, the period of harvest was delayed, and the quality of heads deteriorated by cold injury when V-shaping was conducted from the 11th stage onward. Finally, we assessed the applicability of V-shaping cultivation in other fields. V-shaping was conducted from the 9th to 11th leaf stage. The number of marketable heads increased by 69 and 62% in Field 2 (Ibaraki Prefecture, Tsukubamirai City) and Field 3 (Nara Prefecture, Uda City), respectively. However, it only slightly increased in Field 4 (Mie Prefecture, Tsu City). Comparison of cultivation conditions at these 4 fields revealed that early transplantation, to allow an approximate 300°C day increase in effective heat unit summation for harvesting before the daily minimum temperature fell below approximately 0°C, was important. In addition, improving the drainage of the field seems important, and the input of manure compost (long-term fertilizer effect) may improve the quality and yield of heads. Thus, we concluded that V-shaping cultivation enabled the harvesting of two heads by V-shaping and increased the number of marketable heads by more than 60% in a wide area.
著者
Toru Kobayashi Rie Kurata Yumi Kai
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-025, (Released:2019-02-01)
被引用文献数
9

Despite increasing demand for sweet potato foliage, which is rich in functional components, efficient methods to maximize yield are still needed. In this study, cultivation tests for sweet potato (line Kyukei05303-3) were conducted over three consecutive years at a greenhouse to characterize seasonal changes in the foliage yield (leaves and stem-petioles), as well as the polyphenol content. The sweet potato foliage was harvested from May to November every week, and the average leaf yield was 855.3 g·m−2·year−1 on a dry weight (DW) basis. The yield and polyphenol content of the leaves were negatively correlated. The yield increased from spring to summer but decreased after mid-August. In contrast, the polyphenol content was highest in May, lower during the summer (June to August), and increased again after September. The average polyphenol content in the leaves was 6.9 g·100 g−1 DW and the total annual polyphenol yield was 59.0 g·m−2. The major component of polyphenols was caffeoylquinic acids. The seasonal changes in caffeoylquinic acids were highly correlated with the changes in total polyphenols. The polyphenol content was significantly correlated with air temperature, but not with sunshine duration, suggesting that air temperature is an important determinant of the polyphenol content during cultivation. These results provide a basis for the rapid cultivation of sweet potato for foliage production.
著者
脇坂 聿雄 林 真二
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.345-353, 1966 (Released:2007-07-05)
参考文献数
14

ナシ花粉の簡単な貯蔵法として, 家庭用電気冷蔵庫を用い, 1年間貯蔵した花粉を供試して, 二十世紀の結実率, 果実肥大, 含有種子数などについて調査した。1. 1962~1965年の4か年にわたり, 1年間電気冷蔵庫で貯蔵した花粉の発芽率をみた結果, 最適条件の場合, 長十郎80.3%, 晩三吉67.4%, 八雲85.0%で, 新鮮花粉に比較して5~10%の低下率であつた。2. 1年間貯蔵した花粉を二十世紀に人工授粉した結果, 発芽率30%以上の花粉であれば, 結実率も80%以上となり, 新鮮花粉区と変わらなかつた。幼果の発育および収穫果重も, 両者の間にほとんど差を認めなかつた。3. 貯蔵花粉でも, 発芽率が30%以上であれば, 含有種子数も平均7個以上となり, 果肉細胞, 糖度, 酸などいずれも新鮮花粉区に劣らず, 実用に供して何ら支障のないことを認めた。4. ナシ花粉の貯蔵上注意すべきことは, 樹勢のよい樹から採花し, 摘花から開葯, 冷蔵庫搬入までの時間を24時間以内とし, 湿度は30~50%, 温度を年間5°Cに保てば, 約70%以上の発芽率をもつた花粉が得られることを確認した。
著者
Deping Hua Jinyu Fu Li Liu Xuhui Yang Qiaoling Zhang Meiting Xie
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-004, (Released:2019-01-19)
被引用文献数
9

Bitterness, caused by cucurbitacins, is present in some melon fruit. Although bitter compound biosynthesis and regulation in Cucurbitaceae plants have been reported, the dynamic changes in bitterness during fruit development are unknown. Bitterness severity was measured for 19 inbred melon lines, including 14 lines of Cucumis melo var. chinensis, two var. inodorus and three var. conomon, using a panel tasting method. The data showed that bitterness severity was different in several lines of var. chinensis during fruit growth and maturation. Nb46 and Nb320, two elite parental lines of var. chinensis used in melon breeding, were used as experimental materials. Bitterness was severe at stage I, but moderate and disappeared at stage II and III in the fruit of Nb46. There was non-bitterness in the fruit of Nb320 throughout the development period. Furthermore, the cucurbitacin B (CuB) content gradually decreased in Nb46, while in Nb320, the CuB content changed little and remained at a quite low level during fruit development. Different expression patterns of the genes involved in CuB biosynthesis and regulation were found between Nb46 and Nb320. The expression levels of these genes were significantly higher in Nb46 than Nb320 in the early developmental stages, and this correlated with a higher concentration of CuB in Nb46 than Nb320. These results demonstrate that bitterness severity is different in var. chinensis during fruit developmental stages, and that the CuB biosynthesis-related genes are a critical factor in this process. We hope these findings will contribute to the breeding of non-bitter melon cultivars.
著者
Mamoru Sato Kaori Matsuoka Tsugiko Takase Natsuko I. Kobayashi Hidetoshi Kikunaga Daisuke Takata Keitaro Tanoi Tsutomu Ohtsuki Shinnosuke Kusaba Katsuhiko Yamaguchi
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-006, (Released:2019-01-18)
被引用文献数
8

We investigated the vertical 137Cs distribution in soil among five sod culture orchards with different soil textures over six years after 2011, when 137Cs fallout was released by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, to confirm the long-term 137Cs downward-migration into soil. At each orchard, soil cores were collected to a depth of 30 cm and subdivided into intervals of 3 to 9 cm. The 137Cs within the 3 cm of topsoil decreased from 84–94% during the first 7 months after deposition in 2011 to 41–75% in 2017. From 2012 onward, the vertical 137Cs profiles in the soils were explained by a two-component negative exponential model composed of a rapid and a slow component with a change of slope at a depth of 6 to 9 cm. It took 4 years after deposition to show a significant difference in the value of the average 137Cs migration distance (Md) among the orchards. The speed of 137Cs migration in the orchards during the 6 years after the accident year was 0.44 to 0.97 cm year−1 based on the Md. There was a significant positive correlation between Md and fine sand content in the 3 cm of topsoil between Md and the ratio of the total carbon content (TC) at a depth of 3 to 6 cm to that in the top 3 cm of soil. Furthermore, the percentage of exchangeable 137Cs (ex-137Cs) to 137Cs at 3 to 6 cm depth increased significantly in proportion to the ratio of TC at 3 to 6 cm depth to TC at 0 to 3 cm depth in soil collected in 2013. These findings indicate that one of the mobile forms of 137Cs was ex-137Cs combined with TC and that the fine sand content and TC influenced the 137Cs downward-migration in the 3 cm of topsoil in the orchard in which organic matter accumulated by sod culture.
著者
Koji Numaguchi Shogo Ishio Yuto Kitamura Kentaro Nakamura Ryo Ishikawa Takashige Ishii
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-013, (Released:2019-01-18)
被引用文献数
7

Japanese apricot (Prunus mume Sieb. et Zucc.) is one of the major fruit tree crops in Japan. However, a paucity of molecular tools has limited studies on the species’ genetic diversity and clone identification. Therefore, we newly designed 201 microsatellite markers using the P. mume reference genome and selected 20 highly polymorphic markers. The markers showed higher polymorphism detectability than those previously developed using peach and apricot genomes. They were used successfully for fingerprinting most of the Prunus cultivars examined (124 P. mume accessions and one accession each of P. armeniaca, P. salicina, P. persica, and P. dulcis), and the resulting genotype data were used to examine the genetic differentiation of six Japanese apricot cultivar groups, including those producing normal fruit, small-fruit, and ornamental flowers, as well as Taiwanese cultivars, putative hybrids of P. armeniaca and P. mume, and putative hybrids of P. salicina and P. mume. Phylogenetic cluster analysis showed three clades with high support values; one clade comprised the putative P. armeniaca × P. mume hybrids, and the two others included Taiwanese and ornamental cultivars. The rest of the accessions were grouped into two wide clusters, but not clearly divided into the respective cultivar groups. These complex relationships were supported by the principal coordinate and STRUCTURE analyses. Since Japanese apricot is thought to have originated in China, many factors such as human preference, geographical separation, introgression, and local breeding, may have been involved to form the present complex genetic structure in Japanese apricot.
著者
Hikaru Matsumoto Yoshihiko Adachi Yoshinori Ikoma Masaya Kato
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-047, (Released:2019-01-09)
被引用文献数
8

In satsuma mandarin fruit (Citrus unshiu Marc.), β-cryptoxanthin is a major carotenoid and an important quality component in the juice sacs. The stage of maturity and storage conditions of satsuma mandarin fruit shipped to markets varies. However, the effects of maturation stage, storage temperature and duration on changes in β-cryptoxanthin content have not been fully studied. In the present study, fruits were harvested at different maturation stages, and changes in β-cryptoxanthin content in the juice sacs were investigated during storage at temperatures from 5 to 20°C. At 20°C, in fruit harvested while β-cryptoxanthin is still being accumulated on the tree, the content continued to increase following 15 days of storage. However, in the fruit without β-cryptoxanthin accumulation on the tree, the content did not increase. At 10°C, in the fruit accumulating β-cryptoxanthin on the tree, the content continued to increase after 14 days’ storage, whereas in the fruit without β-cryptoxanthin accumulation, the content did not increase after 14 days’ storage but increased after 30 days’ storage. At 8°C, the increase in content was also observed in the fruit when stored for 80 days. In contrast, at 5°C, the content did not change notably at any maturation stage regardless of the experimental period. The changes in the carotenoid content and gene expression suggest that carotenoid accumulation during on-tree maturation continues after harvest at 20°C, but not at 5°C. The present results suggest that β-cryptoxanthin content will not decrease at a range from 5 to 20°C irrespective of the maturation stage. Moreover, at 8°C and above, the β-cryptoxanthin content will gradually increase, and the rate will be more rapid in fruit harvested when carotenoid accumulation is in progress on the tree.