著者
兵藤 宏 池田 典代 長谷 彰 田中 邦明
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.196-199, 1983 (Released:2007-07-05)
参考文献数
14
被引用文献数
3 5

バナナ果肉中のアルコール脱水素酵素の活性は, 追熟に伴って, エチレンの生成や呼吸の増大と共に, 著しく増大した. それに遅れて果肉中のエタノール含量は顕著に増加した. バナナ果肉のアルコール脱水素酵素の最適pHはアセトアルデヒドのNADHによる還元では7.5,一方エタノールのNAD+による酸化は9.5であった.またpH 7.0では, アセトアルデヒドの還元の速度がエタノールの酸化の速度より15倍も速かった. これらのことはバナナ果肉中では, アルコール脱水素酵素はエタノール生成の方向に有利に働いていると考えられる.バナナ果肉は, 追熟に伴い, 解糖系による糖の分解が促進される. 特にフルクトース1, 6-二リン酸の増加が著しい. ピルビン酸デカルボキシラーゼの活性はほとんど変化はみられなかった. したがって追熟に伴う果肉中のエタノールの増加は, アルコール脱水素酔素の活性増大が大きな起因をなしていると考えられる.
著者
田村 美穂子 田尾 龍太郎 米森 敬三 宇都宮 直樹 杉浦 明
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.306-312, 1998-05-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
24
被引用文献数
24 41

カキ属(Diospyros)のカルスを用いてゲノムサイズおよび倍数性を決定した.カキ(D. kaki Thunb.)9品種およびカキ以外の12種のカキ属(Diospyros)植物の葉原基由来カルスの核DNA含量をフローサイトメーターを用いて測定した.核DNA含量が既知のニワトリ赤血球およびタバコと比較することで6倍体のカキ品種のゲノムサイズは5.00-5.24 pg/2Cであり, 9倍体品種は7.51-8.12 pg/2Cであることが明らかとなった.また6倍体のD. virginianaのゲノムサイズは5.12 pg/2Cであり, 4倍体のD. rhombifoliaは3.76 pg/2Cであった.他の2倍体の種のゲノムサイズはD. montanaを除いて1.57-2.31pg/2Cであった.D. montanaは2倍体であるが, そのゲノムサイズは4倍体と同程度の3.48 pg/2Cであった.D. montanaを除くカキ属植物の倍数性とゲノムサイズの間には強い一次相関が認められ, ゲノムサイズより倍数性の推定が可能であるものと考えられた.本研究ではカルス細胞を用いた染色体観察法も検討し, カキ'宮崎無核'の染色体数は2n=9x=135, '次郎'とD. virginianaの染色体数は2n=6x=90, D. rhombifoliaは2n=4x=60, その他のカキ属植物の染色体数は, 倍数性が未知の4種を含めて2n=2x=30の2倍体であることを示した.この倍数性は, D. montanaを除いてフローサイトメトリーから推定した倍数性と一致した.
著者
渡邉 圭太 西野 勝 神頭 武嗣 内橋 嘉一 佐藤 文生 有井 雅幸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.7-12, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
21

促成作型トマト‘ハウス桃太郎’および‘レッドオーレ’の病害抵抗性誘導と生育収量の確保を目的にUV-Bを2.30~12.56 μW・cm–2の放射照度で毎日23時から2時まで連続照射した.その結果,両品種とも植物体に縮葉症状を呈し,茎葉における乾物率の増加および日焼け果の発生が認められたが,開花,着果および収量への影響は認められなかった.またUV-B照射により果実の糖度が上昇し,酸度が低下することが明らかとなった.果実の着色およびリコピン含有量にはUV-B照射の影響は認められなかった.
著者
濱田 美智雄 白石 美樹夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.83-88, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
26
被引用文献数
2

Plant Canopy Analyzer(PCA)実測値と同等の測定精度で生食用ブドウの葉面積指数(LAI)推定を行うために,魚眼レンズ装着デジタルカメラと画像処理ソフト「Fiji-ImageJ」を用いた新しい手法を開発した.個葉の葉幅長(X)に対する葉面積(Y)の回帰は有意に高かった(Y = 0.5716X2.0425,R2 = 0.99**).解体調査LAI値とPCA測定値との間には有意に高い回帰関係が認められた(r = 0.964**).「Fiji-ImageJ」では3段階の画像処理を行った:(1)撮影した原画像のR,GおよびB画像への分割処理,(2)「Subtract Background」アルゴリズムと自動閾値補正モードの「Minimum」を用いた3画像の補正処理,(3)補正された3画像個々の植被率を合計した累積植被率を算出.LAI水準1~4の範囲において,累積植被率(X)に対する解体調査LAI値(Y)の間には高い線形回帰関係が認められた(Y = 0.0769X − 18.325,R2 = 0.82**).
著者
Md Asaduzzaman Toshiki Asao
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-R009, (Released:2020-03-11)
被引用文献数
11

Strawberry plants are grown in hydroponics for higher quality and yield, as this system excludes soil-borne disease issues. Recycled hydroponics is practiced to make cultivation cost-effective, sustainable, and environmentally friendly. However, due to recycling of hydroponic nutrient solution, plant root exudates accumulate, leading to autotoxicity, a form of allelopathy that inhibits growth and development. In recent decades, commercial cultivation of strawberry under greenhouse and plant factory conditions following recycled hydroponics has been widely adopted globally. Subsequently, yield decline has also been reported due to development of autotoxicity from the accumulated root exudates. In recycled hydroponic systems, strawberry plant growth is inhibited by root exudates that contain mainly phenolic acids in the culture solution. In this regard, elimination of these accumulated root exudates or allelochemicals from the culture solution would restore inhibited plant growth and yield. A number of research studies have been conducted on autotoxicity in strawberry and possible mitigation methods. These studies suggested that addition of activated charcoal in the nutrient solution, supplementation of auxin on leaves, electro-degradation of root exudates in nutrient solution, and supplementation of amino acids and/or LEDs can effectively remove/degrade/mitigate autotoxicity in strawberry grown under recycling hydroponics. This review mainly discusses the autotoxicity phenomenon in strawberry under recycled hydroponics, the responsible allelochemicals and their mechanism of action, mitigation methods and future research endeavors in this field.
著者
福島 啓吾 梶原 真二 石倉 聡 時安 美奈 福田 直子 後藤 丹十郎
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.373-379, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
23
被引用文献数
2

定植後に速やかに生育するトルコギキョウ苗を人工光利用の閉鎖型育苗環境で育てることを意図し,育苗開始から5週間の明期の長さおよびPPFDを明らかにしようとした.育苗は,明暗期の気温を27.5°Cとしたインキュベータで行った.PPFDを平均125 μmol・m–2・s–1とした場合,育苗開始8日後の発芽率は,明期の長さにかかわらず98%以上となった.育苗開始5週間後の苗の節位別の葉身長は,明期の長さが12 hと比較して20 hおよび24 hが大きく,定植から抽苔,発蕾および開花までの日数は小さかった.明期の長さを24 hとした場合,育苗開始8日後の発芽率は,PPFDにかかわらず概ね95%以上となった.育苗開始5週間後の苗の節位別の葉身長は,PPFDが50 μmol・m–2・s–1と比較して100 μmol・m–2・s–1および125 μmol・m–2・s–1が大きく,定植から抽苔,発蕾および開花までの日数は小さかった.これらの結果から,明暗期の気温が27.5°Cの人工光利用の閉鎖型育苗環境では,育苗中の明期の長さを20 h以上,PPFDを100~125 μmol・m–2・s–1にすることで,定植後にロゼット株が発生することなく,速やかに生育するトルコギキョウ苗を生産できることが明らかになった.
著者
白山 竜次 木戸 君枝 桐原 弘
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.417-422, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
15

同一消費電力のLED光源におけるR光チップとFR光チップの割合(R/FR比)と花芽分化抑制効果の関係を,電照による花成抑制が容易でない夏秋ギク品種‘岩の白扇’と容易な秋ギク品種‘神馬’の2品種を用いて検討した.試験は,波長632 nmのR光LEDチップおよび波長730 nmのFR光チップをそれぞれ5 : 0,4 : 1,3 : 2,2 : 3,1 : 4,0 : 5として,合計5チップになるように製作された6種類のLED電球を供試し,品種ごとにそれぞれ異なる長時間および短時間電照区を設置した.‘岩の白扇’では長時間電照区を4時間電照,短時間電照区を30分電照,‘神馬’では長時間電照区を2時間電照,短時間電照区を4分電照として,光質の違いによる花成抑制の効果の違いが検出しやすいようにした.長時間電照では,品種で光質に対する反応が異なり,‘岩の白扇’はR3:FR2,R2:FR3区で花成抑制効果が高かったが,‘神馬’は,R5:FR0区で高い花成抑制効果が得られた.短時間電照では両品種ともにR5:FR0で高い花成抑制効果が得られた.‘岩の白扇’はR + FR光による長時間の電照で高い花成抑制効果が得られたことから,フィトクロムの分子種の1つであるphyAを介した高照射反応(HIR)の関与が示唆された.
著者
Sho Ohno Maiko Ueno Motoaki Doi
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.UTD-097, (Released:2019-11-15)
被引用文献数
12

Anthocyanin in pepper is beneficial as a food antioxidant compound and as a pigment for ornamentals, while unexpected anthocyanin accumulation in fruit, known as black spots, reduces the commercial quality of some cultivars. Previous studies demonstrated that the Anthocyanin (A) locus determines the anthocyanin accumulation in pepper fruits, and an MYB transcription factor, CaMYBA, was found to be located near the A locus. However, the causal gene sequence of the A locus has not yet been identified. With progress regarding genome information in pepper, two other homologous MYB genes were found to be located near CaMYBA, and they are also considered to be candidate genes for the A locus. In this study, we attempted to identify the causal gene sequence of the A locus by performing linkage analysis, genomic sequence analysis, and gene expression analysis of the three candidate MYB genes. A crossing experiment between pigmented ‘Peruvian Purple’ and non-pigmented cultivars confirmed that anthocyanin accumulation in the pigmented cultivar was controlled by a single locus. Gene expression analysis demonstrated that a basic helix-loop-helix transcription factor, CaMYC, and CaMYBA were expressed abundantly in pigmented cultivars, but the other two MYB genes were not. Genotyping of the F2 population derived from the cross demonstrated that the anthocyanin accumulation phenotype was highly linked to CaMYBA, but not to CaMYC. The DNA sequence of CaMYBA in pigmented cultivars had an insertion of a 4.3 kb retrotransposable element LINE-1 in the first intron, but that of non-pigmented cultivars did not. No pigmented cultivar-specific sequence was found in the promoter region of CaMYBA. Therefore, it was suggested that CaMYBA, but not the other two homologous MYB genes, is the A locus gene, and insertion of LINE-1 in CaMYBA appeared to be important for the regulation of anthocyanin accumulation, although the mechanism by which the LINE-1 insertion induces CaMYBA expression is unknown.
著者
早田 保義 田部 敏子 近藤 悟 井上 興一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.759-766, 1998-09-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
7 13

土壌水分の異なる処理区を設け, 土壌水分の違いがミニトマトの生育, 特に果実の糖集積に及ぼす影響と糖集積の要因について調査した.灌水量を強く控えた強乾燥区(pF2.9)では, 葉や果実の水分含量が低下するとともに, 1株当たりの全乾物重が減少した.1株当たりの器官別乾物重の割合は, 強乾燥区で, 葉や根の割合が低下し, 果実の割合が高まる傾向がみられた.果実の糖含量は, 土壌水分を低下させるに従い増加した.組成別では, 全処理区でブドウ糖および果糖の割合が高く, ショ糖の割合が低かった.果実の水分含量は強乾燥区で低下するものの, その割合は小さく, 果実糖度上昇における濃縮効果の影響は, ミニトマトでは少ないと判断された.果実の全窒素および水溶性タンパク態窒素含量は多湿区が高く, 強乾燥区では低い値であり, 糖含量とは逆のパターンとなった.果実のデンプン含量は強乾燥区と多湿区で蓄積量に差はなく, 果実糖度の上昇との関連性が薄いと判断された.果実の食味を示す糖/酸比は, 土壌水分の抑制が強まるに従い, 高くなる傾向を示した.
著者
井上 興一 横田 弘司 牧田 勝〓
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.779-785, 1995 (Released:2008-05-15)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

外生アスコルビン酸ナトリウムの導入によるL-アスコルビン酸 (AsA) 含量の豊富な葉菜類生産を目的とし, 実用化への基礎資料を得るために本研究を行った. 水耕法で栽培されたサラダナを収穫直前に採取し,高濃度のL-アスコルビン酸ナトリウム (NaAs) 溶液の入ったフラスコで浸漬処理をすることにより, サラダナ葉部のAsA含量を増加させることが可能であるかを検討した. 得られた結果は, 以下のとおりである.1. 処理液のNaAs濃度が上昇するに伴い, 根の吸水力が低下し, NaAs-2000ppm区のサラダナに明らかな萎凋が認められた.2. 高濃度のNaAs浸漬処理によって, 葉部ではNaAs-1000ppm区において対照区の約3.5倍の,NaAs-2000ppm区においては約4.7倍のAsA含量がそれぞれ認められた.3. 5°Cで3日間貯蔵後の両NaAs処理区のサラダナの外観的様相は, 対照区と同様であった. また, この両処理区のAsA含量は収穫当日の場合に比べ, 大きな低下は認められなかった.4. NaAs-1000ppm, NaAs-2000ppm両処理区とも葉部のK, Ca, Mg含量は, 対照区と同様であった.このことから, 24時間の高濃度のNaAs浸漬処理によって, 葉部のミネラル成分が低下することはないと判断された.以上のことから, この処理法によってAsAを豊富に含むサラダナの生産の可能性が示されたが, 実用化にあたっては, さらにAsAの効率的導入法を検討する必要があると考えられた.
著者
田中 政信 中島 寿亀 森 欣也
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.551-556, 2003-11-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

日本在来のサトイモ14品種群,37品種を供試して,葉柄内のシュウ酸カルシウム結晶細胞の密度および大きさを調査し,以下の結果を得た.供試したすべての品種の葉柄中には防御的束晶細胞および非防御的束晶細胞の2タイプの束晶細胞が観察された.品種群の間で束晶細胞の密度に差異が認められた.また,いくつかの品種群の間では束晶細胞の密度や形状は類似していた.各品種群内における品種間の束晶細胞密度の差異は,一部の品種群以外は認められなかった.いずれの品種も集晶細胞密度は束晶細胞密度より高く,品種群内におけるそれぞれの細胞密度の差もかなり大きかった.14品種群は葉柄の束晶細胞密度により2グループに分類された.低密度グループには,みがしき群,溝芋群,薑芋群,唐芋群,八ツ頭群,蓮芋群,えぐ芋群および赤芽芋幹の8群が区分され,高密度グループには黒軸群,蓮菊芋群,石川早生群,土垂群,筍芋群および檳榔芯群の6群が区分された.葉柄用および芋・葉柄兼用品種群の葉柄内の束晶細胞密度は,芋用品種群のそれより低かった.また,葉柄用品種群の束晶細胞の大きさは比較的小さかった.以上の結果から,束晶細胞の密度および大きさは,サトイモ葉柄用品種の育種において"えぐ味"が少ない個体を選抜するための指標として利用することが可能と考えられる.
著者
塚本 洋太郎 今西 英雄 矢原 弘子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.231-239, 1968 (Released:2007-07-05)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

アフリカン•マリーゴールド1品種 (ポット•オブ•ゴールド), フレンチ•マリーゴールド4品種 (バターボール, ファン•タンゴ, ノーティ•マリエッタ, プチ• ハーモニー), シグネット•マリーゴールド1品種 (ウルスラ) を用いマリーゴールドの日長反応を研究した。実験結果からマリーゴールドは相対的短日植物であることがわかつたが, 3系統のうち, アフリカン•マリーゴールドは短日要求性が最も弱く, シグネット•マリーゴールドは最も強かつた。フレンチ•マリーゴールドは中間であつたが, 品種により反応差がみられた。アフリカンおよびフレンチ•マリーゴールドは日長に関係なく花芽分化を行なうが, 花芽発達は長日によつて抑制され, 短日によつて促進される。シグネット•マリーゴールドも同じ傾向を示すが, 花芽分化も長日によつてやや遅らせられる。フレンチおよびシグネット•マリーゴールドの場合, 短日が開花を促進し, 開花数を多くさせることは, これらを鉢ものまたは花床の苗として用いる際に利用することができる。
著者
Evelyn Villanueva Nozomi Fujibayashi-Yoshii Suguru Matsuzaki Kazuki Yamazaki Chairat Burana Kenji Yamane
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.276-283, 2019 (Released:2019-04-23)
参考文献数
23
被引用文献数
7

The postharvest physiology of cut astilbe inflorescences (Astilbe × arendsii), which consist of many small florets with a short vase life, was studied in response to treatments to extend their vase life. Exogenous ethylene treatment at 0.3 μL·L−1 for 7 h did not affect the senescence of inflorescences or leaves of five cultivars and 0.2 mM silver thiosulfate for 2 h did not improve the quality of inflorescences of three cultivars, which indicated that ethylene is not a critical factor for senescence in astilbe florets. Continuous treatment with 2% sucrose or 2% trehalose solutions prolonged the cut inflorescence vase life of one or two of five astilbe cultivars, respectively. Pulse treatment with 2% trehalose in combination with 6% sucrose increased total soluble sugar contents from 11.4 to 57.6 mg·g−1 FW and raised the respiration rate of inflorescences from 15.3 to 28.4 μmol CO2·h−1·g−1 FW at 2 days after harvest (DAH) in the cultivar ‘Gloria Purpurea’. However, the effects of pulse treatment diminished at 4 DAH and extended the vase life from 4.0 days to a maximum of 5.6 days, which suggested that pulse treatments were inadequate to maintain sugar contents and respiration activity. Continuous treatment with 6% sucrose extended the vase life from 4.3 to 10.0 days and raised the chroma (C*) value of florets from 28.7 to 54.9 at 8 DAH. Continuous treatment with 2% trehalase + 4% sucrose markedly prolonged the vase life to 11.5 days and increased the C* value to 53.9 at 8 DAH. Under stereomicroscopic observation, continuous treatment with 2% trehalase + 4% sucrose maintained more vivid pink color of petals, styles, filaments and receptacles than those in control florets at 9 DAH. Combined treatment with 2% trehalose and 30 μM validamycin A, a potent inhibitor of trehalose metabolizing activity, induced severe wilting of florets and necrotic spots on leaves. Exogenous trehalose may be hydrolyzed by trehalose metabolizing activity in cut astilbe inflorescences. The results suggest that continuous treatment with trehalose and sucrose solutions is effective to maintain development and delay senescence of florets to extend the vase life of cut astilbe inflorescences.
著者
鍋島 怜和 安武 大輔 北野 雅治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.207-213, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
32

主枝2本仕立ての無摘心栽培を行い,ピーマンの多収要因となる形質を明らかにするために,8品種を用い,収量および生育特性,乾物生産について品種間差異を調査した.果実新鮮重(果実FW)から,本研究で用いた8品種の中では,‘土佐Pレッド’および‘トサヒメ’が高収量品種,‘さらら’および‘グリーン800号’を低収量品種であると判断した.高収量品種は低収量品種に比べて,果実数は同等以上であり,完熟果1果当たりの果実重は,2つの低収量品種の中間程度であった.果実への乾物分配率は,本試験に用いた品種間では大きな差はなく,また果実重(果実FWおよび果実DW)との間に相関は認められなかった.一方,地上部総乾物生産量(TDM)は,果実重(果実FWおよび果実DW)との間に高い正の相関を示し,さらに,高収量品種のTDMは低収量品種に比べて大きい傾向がみられた.これらのことから,多収には果実への乾物分配率より,TDMの増加が大きく貢献していると考えられた.また,生育特性の中では,栽培初期,中期および終了時の主茎径および主枝節数は果実FWとの相関は有意でなかったが,栽培終了時のTDMに対して高い正の相関を示した.
著者
稲本 勝彦 木下 貴文 山崎 博子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.243-251, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究では,ガーベラ(Gerbera jamesonii Bol. ex Adlam.)の地表面に形成され,頂端分裂組織を含む短縮茎(「クラウン」と呼ぶ)部の局所的な加温は花茎発生と伸長を促進することを示した.当年夏季新植株を用いて冬季2回(実験1:品種‘バナナ’および‘キムシー’;実験2:品種‘キムシー’),温水チューブならびにステンレステープヒーターを用いたクラウン部局所加温を行って栽培した.局所加温により,切り花収穫時期が早まり,総切り花収穫本数および切り花長40 cm以上の収穫本数が増加した.局所加温の効果はクラウン部の平均温度が高く保たれた区で大きく室温を低く設定すると明確であった.株当たりの切り花重は無局所加温区と比較して局所加温諸区で増加あるいは有意差がなかった一方で,切り花1本当たりの切り花重,頭花径は無局所加温区と比較して局所加温諸区で小さくなる傾向にあった.ガーベラに対するクラウン部局所加温技術は,暖房コストの低減や収穫時期の調整技術に活用が期待される.
著者
白山 竜次 木戸 君枝
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.281-288, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
22

明期終了時の遠赤色光(EOD-FR)照射がキクの花成に及ぼす影響について調査した.秋ギク‘神馬’の低温期におけるEOD-FR処理は花成を促進した.秋ギクの自然日長における10月開花作型栽培によるEOD-FR処理は,20品種のうち14品種において花芽分化の促進効果が得られた.短日条件下に定植した秋ギクのEOD-FR処理は,20品種のうち11品種において花芽分化の促進効果が得られた.夏秋ギク6月開花作型でのEOD-FR処理では,30品種系統のうち19品種において開花の促進効果が得られた.EOD-FR照射は,秋ギク‘神馬’の限界暗期付近の花芽分化を促進したが,‘神馬’の明期終了から最も暗期中断の効果が高くなる時間までの経過時間(Dusk-NBmax)には影響しなかった.本研究は,EOD-FR処理がキク節間伸長を促進すると同様に栽培条件によっては花成促進に働くことを示した.
著者
福元 康文 西村 安代 島崎 一彦
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.171-177, 2004-03-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2

Effects of the fruit load (stress caused by cropping) on sweet pepper (Capsicum annuum L.) plant on fruit set and bearing habit were examined. The number of flowers and fruit set were found to affec the number of fruits produced, but this effect became weaker as the fruit bearing period becam> shorter. As the fruit bearing period became extended, the photosynthetic products were partitionei preferentially to the thickening fruits rather than to the roots, resulting in a high shoot to root weigh ratio. Increase or decrease in yield was attributable to differences in the fruit load, e. g., minimizinj crop load stress promoted a stable yield. Hence, it is advisable to take measures that allow a constan growth of fruits. The utilization of 1) primary scaffold branches for fruiting, 2) optimum manuring ani 3) pruning and training similar to a hedge-row planting, to maintain plant vigor are desirable.
著者
譚 新平 上田 悦範 今堀 義洋 茶珍 和雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.683-688, 1999-05-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究ではツルレイシ果実の発育中ならびに貯蔵中の果実および種衣の色素の同定と量的変化を調べた.1. 果実の発育段階におけるカロテノイドの組成は, 果肉では主にルテインで, その他, β-カロテンとα-カロテンから構成されていた.種衣でも少量のカロテノイドを含み, 検出された色素組成は果肉と同じであった.この段階では, 果肉のクロロフィルとカロテノイドともに減少した.2. 果実の成熟段階では, 果肉のクロロフィルはほとんど消失したが, カロテノイドとしてクリプトキサンチンとリコピンが現れ, 特に前者が著しく増加して, 主要な色素になった.種衣の主なカロテノイドはリコピンで, その含量は最高64.7mg/100gに達した.3. 貯蔵中の果実の果肉におけるクロロフィル含量の変化は, 貯蔵温度が高ければ減少が速く, 一方, カロテノイド含量は温度が高いほど増加が大きかった.種子の種衣のリコピン含量は30℃で著しく増大した.
著者
宮崎 丈史
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.649-656, 1990 (Released:2007-07-05)
参考文献数
17
被引用文献数
9 13

サツマイモの主要な品種である‘紅赤’と‘ベニアズマ’について, その成分および加熱後の食味などに及ぼすキュアリング処理や貯蔵条件の影響を検討した.1. 収穫時におけるデンプン含量は,‘紅赤’が23~26%,‘ベニアズマ’が27~30%であった. 糖含量は両品種とも約2%であり, 組成的にはショ糖が大部分であった. また, 還元糖は, とりわけ‘ベニアズマ’では少なかった.2. 収穫直後のキュアリング処理によって両品種のショ糖含量は約4%に増加した. 13°C貯蔵中, キュアリング処理区においては糖の変化が少なかった. しかし, 無処理区ではショ糖は1か月後まで徐々に増加して約4%まで達すると,‘ベニアズマ’ではその後変化しなかったが,‘紅赤’では4か月後より再び増加して6か月後には8~10%に達した. また,‘紅赤’のショ糖含量は貯蔵温度による影響が認められ, 低温ほど増加する割合が大きくなった.3. 貯蔵中におけるショ糖合成酵素の活性変化はショ糖含量の変化と関連する傾向が認められたが, その寄与については明確な結論が得られなかった.4. ポリシート包装によって貯蔵湿度は98%程度に保持され, 貯蔵中の重量減少が抑制されるとともに, ‘紅赤’ではショ糖や有機酸の変化が少なくなった.5. サツマイモは加熱により, 収穫時の‘紅赤’では7%,‘ベニアズマ’では14%のマルトースを生成した. 加熱した‘ベニアズマ’は, 収穫時には粉質であるが貯蔵中に粘質化する傾向を示した. マルトースヘ転化するデンプンの割合は貯蔵中にやや増加したが, 粉質•粘質というテクスチャーと糖およびデンプンの変化とは十分な関連性が認められなかった.
著者
吉田 裕一 本村 翔
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.26-31, 2011 (Released:2011-01-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

イチゴ高設栽培の普及にともなって,ポット育苗からトレイ育苗への転換が進んでいる.空中採苗したランナー子株をトレイに挿し苗することによって,省力的な促成栽培用イチゴ苗の育苗が可能であるが,トレイで育苗した苗はポット苗と比較して開花が遅れる株の割合が高くなることが多い.挿し苗育苗した苗はクラウンが深く埋もれることが多いことから,クラウンの深さ,挿し苗時期と苗の大きさがイチゴ‘女峰’の開花に及ぼす影響について検討した.その結果,培地から露出したクラウンより深く埋もれたクラウンの茎頂分裂組織付近の温度が高く,花芽分化が遅れることが明らかになった.また,小さなランナー子株を遅い時期に挿し苗した場合には,特に開花が不揃いになりやすいが,クラウン周辺の培地を取り除いて露出させることによって茎頂分裂組織付近の温度が低下し,開花が早く斉一になった.以上のように,深く埋没したイチゴのクラウン周辺の培地を取り除いて露出させることにより,花芽分化が安定したイチゴのトレイ苗を効率的に生産できることが明らかになった.