著者
濱村 真理子 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.218-224, 2015-05-01

音の大きさの評価における男女差の周波数依存性を検討するために,様々な中心周波数を持つ狭帯域ノイズを用いた音の大きさの評価実験を行った。中心周波数にかかわらず狭帯域ノイズの大きさの評価には男女差が認められ,女性は男性よりも同一音圧レベルの狭帯域ノイズをより「大きい」と評価していた。特定の周波数帯域を増幅させた音楽再生音の最適聴取レベルを測定した結果,最適聴取レベルには男女差が認められ,その差は増幅する周波数帯域や増幅の有無にかかわらず同程度であった。これは音の大きさの評価における男女差が周波数帯域に依存しないためであり,音楽再生音の周波数特性は最適聴取レベルにおける男女差に影響を与えないと言える。
著者
森島 恒雄
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.59-66, 2009
被引用文献数
3 3 4

小児の急性脳炎・脳症は,毎年約1,000例と多数の報告がある.その一方,詳細な病因別頻度,予後,病態など不明な点が多く,単純ヘルペス脳炎やインフルエンザ脳症など一部の疾患を除いては治療法も確立していない.ここでは,厚生労働省「インフルエンザ脳症研究班」および文部科学省基盤A研究班のデーターを中心にこの領域における最近の知見をまとめてみたい.
著者
小塩 真司
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.261-270, 2002-09-30
被引用文献数
25

本論文の目的は理論的に指摘される2種類の自己愛を考慮した上で,自己愛傾向の観点から青年を分類し,対人関係と適応の観点から各群の特徴を明らかにすることであった。研究1では511名の青年(平均年齢19.84歳)を対象に,自己愛人格目録短縮版(NPI-S),対人恐怖尺度,攻撃行動,個人志向性・社会志向性,GHQを実施した。NPI-Sの下位尺度に対して主成分分析を行い,自己愛傾向全体の高低を意味する第1主成分と,「注目・賞賛欲求」が優位であるか「自己主張性」が優位であるかを意味する第2主成分を得た。そして得られた2つの主成分得点の高低によって被調査者を4群に分類し,各群の特徴を検討した。研究2では,研究1の各被調査者のイメージを彼らの友人が評定した。384名を分析対象とし,各群の特徴を検討した。2つの研究を通して,自己愛傾向が全体的に高い群を,理論的に指摘される2種類の自己愛に類似した特徴を示す2つの群に分類可能であることが示された。
著者
池谷 真梨子 柳沢 幸江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.55-65, 2016 (Released:2016-02-20)
参考文献数
33
被引用文献数
2

本研究は手づかみ食べに関連する料理特徴について検討した. 手づかみ食べが最も多くみられる1か月間を後期, その直前2か月間を前期とした. 前期と後期の3か月間を合わせて手づかみ食べ発達時期とし, 前期と後期の料理特徴の差異について分析した. 対象は手づかみ食べ発達時期の乳幼児10名とした. 保育所の昼食時に週2回ビデオ観察を行った. 手づかみ食べ発達時期の手づかみ食べ頻度を料理区分別にみた結果,主菜が53.7±42.2%, 副菜が51.6±45.2%であり, それぞれ主食・汁物より有意に高かった. 次に, 主菜・副菜について前期と後期で手づかみ食べをする料理特徴を分析した. 前期は長さのみ (p<0.05), 後期は主材料の肉類 (p<0.05) ・調味における酢の使用 (p<0.01) ・調理法の揚げる (p<0.05) ・長さ (p<0.05) ・摂取率 (p<0.05) で有意差が認められた. 前期より後期で手づかみ食べに関連する料理特徴が多く認められたことから, 前期は料理特徴にあまり関係なく手づかみ食べをする時期であるのに対し, 後期は料理特徴が関係しやすい時期だと考えられた. さらに, 後期の手づかみ食べに関連する料理要因について二項ロジスティック回帰分析を行った結果, 調味の酢のみp=0.05であり, 手づかみ食べに関連のある要因は料理の要因だけではないことが示唆された.
著者
黄 梅英
出版者
尚絅学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本の教育型大学における卒業研究の教育実態に関する研究(人文社会科学を中心に)について、2017年度は主に学生のアンケート調査の分析と、インタビュー調査の追加・内容分析を行った。アンケート調査の(重回帰)分析結果から卒業論文の完成度は下記の要因に影響されている。①教育側の要因として、学生の卒業論文の完成度は3年次までのアカデミックライティングのトレーニングの有無・頻度、4年時の卒業研究での個人指導の回数と正の相関をもっている。②学生側の要因として、学生の卒業論文の完成度は高校での平均成績分布と正の相関、4年時の履修単位数と負の相関をもっている。上記の分析結果は学生のインタビューからもある程度の裏付けが得られた。例えば3年時までの授業の中で小論文の指導、添削を受けた場合、また、社会調査やフィールドワーク、国内外の実習など(大学外主催のものも含む)のプログラムに参加した際に報告書が課されたり、指導を受けたりした場合、何らかの力が身につき、卒業研究を進める中でも活かされたというケースが幾つもあった。それに加え、高校の在学中に模試などのために小論文のトレーニングを受けたり、また入試形態によって特別指導を受けたりした学生の中で一定の力を身につけたと感じた学生もいた。つまり、卒研にかかわる基礎的な学習・トレーニングは重要であるといえよう。一方、完成度の比較的高い学生は4年時に卒業研究のほかに履修する(しなければならない)単位数が比較的少ない者が多い。つまり、履修状況が比較的よくて、単位を落とされたケースがあまりない場合、卒業研究も比較的うまく仕上げている。そこから通常の授業での学習姿勢や成績が卒業研究の質も影響していると読み取ることができる。上述の分析を通して教育型大学の卒業研究の教育実態は、学生と教員の両側の取り組み状況に影響されていることは明らかにされた。
著者
黒木 琴海 小寺 志保 倉田 成人 濱本 卓司 猿渡 俊介
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとパーベイシブシステム(MBL) (ISSN:21888817)
巻号頁・発行日
vol.2015-MBL-77, no.21, pp.1-8, 2015-11-25

本稿では,現在筆者らが進めている軍艦島モニタリングプロジェクトにおけるタスクスケジューリングについて述べる.軍艦島モニタリングプロジェクトは,現在建築構造物の崩壊が進んでいる軍艦島において映像や音声,加速度データといった建築構造物の崩壊現象のデータを収集し,建築構造解析に貢献することを目的としている.太陽光発電を電源として用いるモニタリングシステムにおいてエネルギーの利用を効率化するため,本稿では DC-LQ (Data Centric LQ-Tracker) と BLT Allocation (Battery Level Task Allocation) の 2 つの手法から構成されるデータ中心型のタスクスケジューリング方式として,BAAD scheduling (BAttery Aware Data centric scheduling) を提案する.シミュレーションによる評価の結果,BAAD scheduling が優れた性能を持っていることがわかった.
出版者
社会思想対策調査会
巻号頁・発行日
vol.第2分冊 (昭和十一年二月廿六-廿九日における帝都各方面の動静概, 1936
出版者
ファクタ出版
巻号頁・発行日
2006
著者
李 玉花 崎山 亮三 丸山 浩史 河鰭 実之
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.28-32, 2001-01-15
参考文献数
16
被引用文献数
12

イチゴ'女峰'における果実の発達にともなうアントシアニン合成経路遺伝子の発現を調べた.果実の色は開花3週間後に薄い緑色から白色に変わり, その後成熟期までアントシアニンの蓄積は続いた.また, この時期から全糖含量が増加を始めた.スクロース含量が成熟期まで上昇し続けたのに対し, グルコースとフルクトース含量は成熟に伴ってほとんど変化しなかった.フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)とカルコンシンターゼ(CHS)遺伝子の発現は果実の発育を通して大きな変化を示さなかった.カルコンイソメラーゼ(CHI)とジヒドロフラボノール4-還元酵素(DFR)遺伝子の発現は, 若い果実では高かったが, 白熟期に著しく低下したのち着色に伴って再び増加した.2回目のCHIとDFRの発現の上昇はこれらの酵素の発現が成熟期のアントシアニンの合成調節に関与することを示唆した.
著者
山下 聡一
雑誌
市大日本史 (ISSN:13484508)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.57-77, 2008-05