著者
黒田 宏治 クロダ コウジ Kohji KURODA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.7, pp.69-77, 2007-03-31

第3セクターをめぐっては、批判的な論調が強いが、近年でも全国で毎年数十社が設立されるなど、今日でも事業分野や条件整備により地域活性化プロジェクトの有効な事業手法の一つである。ここでは、設立以来順調に経営が展開されている第3セクターの株式会社川根町温泉を取り上げて、事業の組み立てやマネジメントについて評価・検討を行った。そこから地域資源の適正な評価、ベンチャービジネス的な展開、着実かつ慎重な事業化推進、地域外人材・ノウハウの導入など6つのポイントを抽出することができた。いずれも、小規模地域におけるプロジェクトの事業化にあたって、有用な行動指針といえるだろう。
著者
折田 洋晴 オリタ ヒロハル
雑誌
St. Paul's librarian
巻号頁・発行日
vol.28, pp.37-45, 2014-03-31
著者
戸上 真人
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2021-SLP-136, no.8, pp.1-6, 2021-02-24

深層学習ベースの音源分離の進化が著しいが,ニューラルネットワーク (NN) は空間モデルとは独立に学習されることが多い.しかし,そのような構成で学習された NN は,空間モデルを用いて音源分離を行う構成において本当に最適であるといえるのかという疑問が残る.本講演では従来の統計モデルに基づく音源分離および深層学習を用いた音源分離の研究の流れを示すと共に,深層学習を用いた音源分離に空間モデルを取り込み,NN を空間モデルを考慮して学習する方法として近年著者らが進めている 4 つの方向性,1) 空間モデルの影響を考慮した NN の損失関数,2) NN の構造の中に空間モデルを用いた音源分離を埋め込む方法,3) 所望音源の到来方向の情報をアトラクタとして用いて音源分離に必要なパラメータを推定するフレームワーク,4) 統計モデルに基づく音源分離法を疑似教師信号生成機として用いる教師無し NN 学習法を紹介する.
著者
米山 怜於 呉 宜樵 戸田 智基
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2021-SLP-136, no.13, pp.1-6, 2021-02-24

本稿では,ソースフィルタ理論に基づくニューラルボコーダを単一のネットワークにより実現する手法を提案する.深層学習に基づく音声波形生成モデリングを実現するニューラルボコーダは,高品質な音声波形を生成で きる一方で,完全データ駆動型の枠組みであるがゆえに,従来型ボコーダの利点の一つであった操作機能が低下する 傾向にある.そのため,従来型ボコーダと同様に音源生成部と声道フィルタ部に分割し,どちらか一方に対してパラ メトリックなモデルを導入する枠組みが盛んに研究されている.従来型ボコーダにおける近似を一部導入することで, 操作性を高めることが可能となるが,完全データ駆動型の枠組みと比較すると,音質が若干劣化する傾向にあり,ま た,操作機能についても未だ改善の余地がある.この問題に対し,本稿では,より近似の少ない枠組みとして,単一 のニューラルネットワークに対してソースフィルタ理論の仕組みを導入した「統合型ソースフィルタネットワーク」を提案する.音源生成部と声道フィルタ部の両方をニューラルネットワークでモデル化して接続することで,統一的 な訓練指標でネットワーク全体を最適化することを可能とするとともに,音源生成部のネットワーク出力に対する制 約を導入することで,音源生成機能を備えたネットワークの学習を試みる.実験的評価の結果から,提案法は従来法であるニューラル・ソースフィルタと比較して,F0 変換精度を有意に改善できることを確認した.
著者
安藤 信広
出版者
東京女子大学比較文化研究所
雑誌
東京女子大学比較文化研究所紀要 (ISSN:05638186)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.1-16, 2011-01-01

This paper considers the thoughts of Japanese people and an aspect of language through the unique circumstances of reading Aesop's Fables in Chinese. Aesop's Fables have been translated into various languages and published in many countries from ancient times till the present day. Although the first translation of this work was published in Japan and China by the Jesuits in the 16th and 17th centuries, a new translation did not appear for a long time after that.
著者
島﨑 里子 Satoko Shimazaki
出版者
昭和女子大学女性文化研究所

In his Lives of Saints, Ælfric (c. 955-c.1010) dealt with the Life of Saint Eugenia, which is one of the most popular legends of the transvestite saints in Medieval Europe. It is worth to discuss how Ælfric treats Eugenia in the story, which inevitably contains the matters of sacred and secular sexuality. For further investigation, this article provides the diplomatic text of Ælfric’s ‘Life of Saint Eugenia’ in MS Cotton Julius E. vii, British Library, and compares in detail the newly edited text with Skeat’s edition.
著者
江島 仁子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.2, pp.27-34, 2009-03-19

本研究の目的は、切迫早産により入院中の妊婦が、入院期間を通して変化していく自分の状況と医療職者の言動を妊婦がどのように感じとらえているのか、その時々の妊婦の思いを明らかにすることである。研究方法は切迫早産と診断され入院している妊婦3名を対象に参加観察法およびインタビューによりデータ収集を行い、内容の分析を行った。その結果①正期産近くになると妊婦の不安や不満は増加していくこと②妊婦は本音を言葉や態度に隠しているが看護者が察知してくれることを期待していること③看護者の日常のケアから喜びを得ていること、と医療職者に表出しなかった想いや医療職者への望みなどが明らかになった。以上より、異常から正常への移行期にある妊婦への関わり方、妊婦の思いを尊重した上で医療やケアを提供することの重要性が示唆された。
著者
坪根 恵 長谷川 彩子 秋山 満昭 森 達哉
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2021-SPT-41, no.43, pp.1-8, 2021-02-22

学校教育におけるタブレット端末や PC 利用の普及に伴い,児童がパスワードを利用する機会は増加している.その一方で,国内では,パスワード教育に関する統一した指針がなく,小中学校で用いている教材や,教材内に記載されている項目やレベルは様々である.本研究は,国内で発行されている児童向けセキュリティ教材の実態調査を実施する.具体的には,教科書及び地方行政機関が独自に発行しているパスワード啓発資料を調査し,特にパスワード・プラクティスに関連する内容分析を行なった.調査の結果,(1) 教科書は出版社によって取り上げている項目は大きく異なり,パスワード・プラクティスをそもそも取り上げていない教科書もあれば,2021 年現在では既に推奨されていないプラクティスを未だ更新していない教科書も確認できた.(2) 児童向けパスワード啓発資料を作成している都道府県はわずか 7 県であり,各資料が取り上げている項目にも差がみられた.これらの結果は,教育機関が採用する教材によって内容に大きな差があること,およびその差が児童が得るセキュリティ知識の差につながることを示唆する.
著者
鵜林尚靖
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.682-689, 2004-07-15

組み込みソフトウェア開発では、1つの開発で複数の製品を開発するプロダクトラインの実現、ハードウェア要求を加味した効率的な実装、性能などの非機能要求の実現、高いレベルの品質確保、などが設計を進める上で課題となる。本稿では、これらの課題を解決するため過去どのような開発手法が提案されてきたか振り返るとともに、どのような問題が依然残っているのか見ていく。さらに、次世代の開発手法として、組み込みソフトウェアをモデル駆動で開発する方法をアスペクト指向や形式検証などの要素技術を取り込みながら説明する。
著者
鷲崎 弘宜 萩本 順三 羽生田 栄一 関 満徳 小林 浩 丸山 久 井上 健 谷口 真也
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2021-SE-207, no.42, pp.1-7, 2021-02-22

従来のソフトウェア工学は主として開発の効率化や品質の向上に重点を置いて様々な手法やプラクティスを積み重ねてきている.しかしビジネスや社会上の価値創造が求められる Digital Transformation (DX) 時代においては,様々な人々に寄り添う考え方や,新たな社会を構想する捉え方をソフトウェアの企画や開発,運用の中心へと組み入れることの重要性を増すと考えられる.筆者らはこの問題意識のもと,従来からの工学的な知識体系やプラクティスに加えて,人々の意識や価値観,感情をソフトウェアの開発運用において扱うことの重要性を認識し,DX 時代のビジネスや持続可能な社会へ貢献するソフトウェア工学体系を考察する活動 Software Engineering for Business and Society (SE4BS) を 2019 年から進めてきている.そこでは特に,人の根源的な心的要素として捉えられる知・情・意に基づいたソフトウェア開発運用および周辺の考え方やプラクティスの整理体系化と,価値を軸として開発を進める価値駆動プロセスの例示を進めている.本稿では,価値を軸として DX 時代に必要な考え方を概観したうえで,それに応えようとする SE4B の成果の概要を説明する.さらに成果に対する評価や反応として,アンケート回答やワークショップ実施時の意見および大学教育の成果を紹介する.そのうえで,評価や反応を踏まえ,関連研究との関係も含めて将来の展望を説明する.