著者
高坂 康雅
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.123-136, 2015-03-13

本研究の目的は、少女向けコミック誌および女性向けコミック誌における恋愛行動・性行動の描写数をもとに、それぞれの特徴を比較し、また、前後の文脈をもとにキス場面の内容分析を行い、少女向けコミック誌および女性向けコミック誌における恋愛像、あるいは男性像と女性像の描かれ方を明らかにすることである。それぞれの恋愛行動・性行動の描写数から、少女向けコミック誌は恋愛関係が構築されるまでを描く傾向にあるが、女性向けコミック誌は関係構築以降の口論や別れまで描いている、告白や別れの場面では男性が主導権をもっている、などの特徴が見出された。また、キス場面の内容分析から、恋愛関係・夫婦関係以外でのキスも半数程度描かれており、男性が一方的に女性にキスをする場面が多数みられることも確認された。今後は、読者である子どもや青年が描写されている恋愛行動・性行動をどのように受け止め、感じとっているかを明らかにする必要があることが示唆された。
著者
赤間 恵都子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.277-285, 2018-03-24

受験勉強として古典文学を扱い、古語文法に悩まされてきた学生たちは、大学の授業でも古典文学は難しいという固定観念を持っている。しかし、授業で実施した古典文学に対する意識調査の結果、古典を作品として学びその内容を知った学生たちの大方が面白いと感じて興味を持つことが分かった。筆者は学生たちの関心を古典文学に引き寄せる方法として、漫画やアニメーションを教材に使用しているが、さらに近年はアクティブラーニング的な授業方法も試みている。本稿は後者の授業について報告するものである。一つは、『源氏物語』がテーマのゼミ形式の授業で実施した「源氏双六」「宇治十帖双六」制作ワークである。2015年度には光源氏の一生をたどる双六盤を、2016年度には宇治十帖の薫の動向をたどる双六盤を作成した。楽しい作業の中に、物語全体の流れと出来事の意味を復習するという重要な課題が含まれており、意義あるワークとなった。もう一つは、『古今和歌集』を扱った授業の最終課題で、和歌に詠われた世界観を学生たちが読み取り、PC画像として表現するワークである。出来上がったパワーポイント画面には、学生たちのオリジナリティーあふれる世界が表現された。意識調査で古典が好きと答えた学生も、あまり好きでないと答えた学生も、将来的に古典の授業は必要だと思い、その意義について様々な回答を記述してくれた。古典文学を未来につなげるために、現段階では、まずは学生たちに興味を持ってもらえる授業展開方法を今後も工夫し続けていきたい。
著者
吉田 成朗 鳴海 拓志 廣瀬 通孝
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.266-271, 2013-09-27

本研究では,皮膚電気活動を用いた接触情報を利用してキス行為に新たな価値を付加し,人前でのキス行為の誘発を目的としたエンタテイメントシステムを提案する.カップル間でのコミュニケーションの手法としてお互いの唇を重ね合わせるキス行為がある.そうした,カップル間の行為を拡張するため,キスによって二人の写真がデコレーションされるフォトフレームを開発した.被験者実験により提案システムによって,カップル間のキス行為が誘発されることを確認した.
著者
関 治之
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.104-111, 2016-04-15

福島県浪江町では,東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故の影響で,長期および広範囲にわたる全町民の一時避難生活という前例のない状況におかれている.そのような状況の中で,町は町民にタブレット端末を配布することを決定した.それに伴い,自治体として提供すべき情報発信ツールの在り方を検討し,開発を行う必要があった.そもそも町民がどのような生活を営んでいて,どのようなニーズを持っているのかから把握するため,ユーザインタビューによるペルソナ作成や,アイデアソン/ハッカソンイベントの開催による住民参加型のプロトタイピングを実施した.プロトタイピング以降の調達仕様の作成や調達,プロジェクトマネジメントも行う必要があった.浪江町で行った「町民中心設計」のプロセスを元に,課題当事者と共に要求開発を行い,そこから実際のシステムの開発までを解説する.
著者
柴原 直樹
出版者
福山大学大学教育センター
雑誌
大学教育論叢第2号 (ISSN:21893144)
巻号頁・発行日
no.2, pp.25-42, 2016-03

The MIYA clan, the most influential feudal lord in BINGO province, was given an important post as a “defensive wall” for the autonomous daimyo OHUCHI by the MUROMACHI shogunate.When OHUCHI YOSHITAKA destroyed the MIYA clan, MOHRI MOTONARI who became the commander of the MIYA clan attacked on orders from OHUCHI YOSHITAKA succeeded in strengthening the pledge with the local feudal lord in BINGO. MOHRI MOTONARI accomplished this transformation to SENGOKUDAIMYO is based on this alliance
著者
山田 真司 井村 和孝 新井 裕子 小田 満理子 西村 英樹
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.46(1995-MUS-010), pp.21-28, 1995-05-19

音楽演奏者は自らの音楽的表現を行うために、正確に身体運動を制御する能力を有すると考えられる。音楽演奏者の基礎的な時間的制御能力を測定するため、中程度のピアノ演奏能力を有する音楽専攻学生に等間隔タッピングを行わせ、その時間間隔ゆらぎを分析した。その結果、等間隔タッピングの時間的制御に、過去約20 tapの時間間隔を保持する記憶機構が介在することが示唆された。また、様々なレベルのピアノ奏者、打楽器奏者および非音楽奏者に等間隔タッピングを行わせた結果、熟練したピアノ奏者は、非熟練者や非音楽奏者よりもゆらぎが小さかった。また、打楽器奏者は熟練したピアノ奏者よりも時間的制御が優れてはいなかった。
著者
野沢 健人 若林 啓
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.1-10, 2016-06-29

グラフ構造におけるコミュニティ発見手法は,ソーシャルメディアや共著関係,商品の購買データなどから機能的・構造的にまとまりをもったノード群を抽出し分析することを可能にする重要な技術である.特に近年では,非常に大規模なグラフを解析する機会が多くなってきているため,グラフの規模に対してスケーラブルなコミュニティ発見手法が求められている.本研究では,あるノードからの距離が一定以下のノードの集合を文書と見なしてトピックモデルを学習し,トピックごとのノードの予測分布を用いてコミュニティ発見を行う手法について論じたうえで,トピックモデルの学習に確率的変分ベイズ法を適用することで,データの規模に対して高いスケーラビリティを持つ重複コミュニティ発見手法を提案する.実験により,提案手法は6,000万ノード,18億エッジからなる大規模ネットワークに対しても,既存手法と比較して高速なコミュニティ発見を実現できることを示す.