著者
松尾 真一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1082-1087, 2015-10-15

暗号技術は情報を守るだけでなく,新たなサービスを実現するためにも利用される.その代表例としてお金を暗号技術を使って表現する電子マネー技術がある.本稿では,1980年代以降の初期の電子マネー技術の検討から,ここ数年話題になっているBitcoinを代表するディジタル通貨について概要を述べると同時に,ディジタル通貨が今後ネットワーク時代の経済を支える新たなインフラストラクチャーになるために,暗号技術をはじめとする諸技術がどのように整備され,発展される必要があるかを述べる.
著者
吉見 義明
出版者
中央大学出版部
雑誌
中央大学論集 (ISSN:03889033)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.11-24, 2021-02-20
著者
北舘 佳史
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.1-28, 2022-09-30

フォンテーヌ・レ・ブランシュ修道院は隠修士の共同体に起源を持ち,サヴィニー会,シトー会と帰属の変更を経験した。本稿は1200年頃に院長ペレグランが書いた修道院の歴史を分析対象として,そこでどのように共同体の制度化を正当化しているのか,また,どのように院長の統治を評価し,修道院の財産を保護しようとしているのかを検討する。この史料の叙述編の検討から,隠修士の時代の理想化はあまり見られず,遺産として東方からの聖遺物が重視される一方,制度化が正当な手続きでなされたことを強調する点が指摘できる。次に院長の事績の検討から,財産を増やす能力や地域の人間関係を維持する能力が重視され,院長ロベールの選挙の正当性が暗に主張される点が注目される。最後に文書編の検討から,教皇文書によって修道院の制度的な帰属や地位が表現され,歴史的・象徴的に特別に重要とみなされた証書が選択的に採り上げられている点が指摘できる。このようにペレグランの歴史叙述からは共同体のアイデンティティと財産の分かちがたい結びつきが看て取れる。
著者
野部 了衆 Ryouju NOBE
雑誌
岐阜聖徳学園大学短期大学部紀要 = Bulletin of Gifu Shotoku Gakuen University Junior College (ISSN:13447246)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-43, 2001-03-31

This paper has attempted a study of Bhasa's works of Indian Sanskrit Literature. Urbhanga, a short drama of one act, regarding an incident from the story of Mahabharata, contains some very interesting elements for us. This study attempts to comprehend the culture of the time, e. g. spiritual problems, through this drama. A Japanese translation of the drama and related articles has been prepared and discussed.
著者
戸田 博也
雑誌
千葉科学大学紀要 = The University Bulletin of Chiba Institute of Science (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.9, pp.23-34, 2016-02-28

イスラム教スンニー派過激派武装集団である「イスラム国」(IS)(以下、「イスラム国」とする)は、国際法上の「国家」と見なしうるのか。国際法上「国家」であると言うためには一定の成立要件が必要となる。まず、国際法上の国家の成立要件を論じる際に、多くの教科書や論文で引き合いに出されるのが、1933年の「国家の権利義務に関するモンテヴィデオ条約」第1条である。同条は、「国際法上の人格としての国はその要件として、(a)永続的住民、(b)明確な領域、(c)政府、及び(d)他国と関係を取り結ぶ能力を備えなければならない」と規定する。多くの日本における国際法の教科書が、この(a)から(d)の「4つの要件」を、諸国家に受け入れられた一般的な要件としている。ところで、国家領域の一部が分離独立する等により新国家が成立するという文脈で、「国家」になろうとする実体に対して、既存の国家による国家承認が行われる。既存の国家は国家承認を行う場合、当該4要件に従って判断することになるのであり、4要件を詳細に熟知しておく必要がある。ところが、日本の国際法学者による論文や教科書では、この4要件についてあまり詳細な議論がなされてきていない。したがって、本稿では、この4要件について詳細な分析・検討を行う。さらに、「イスラム国」は上記4要件を満たした存在なのだろうか。それとも、満たしていないのだろうか。この点も、考察の対象とする。本稿における検証の結果、以下のことが指摘できる。イスラム国は、モンテヴィデオ条約が示す国家の4要件、すなわち、①永続的住民、②明確な領域、③政府(実効的支配を行う政府)、④他国と関係を取り結ぶ能力(外交能力)、という要件から判断した結果、①と②の要件は満たしているが、③と④の要件は満たしていないと判断しうる。したがって、「イスラム国」は国際法上の「国家」ではないという結論に至る。
著者
辻 大地
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.01-025, 2017-03

While it is commonly known that sexual and love relations between men in pre-modern society, including that of the ‘Abbāsid Period, were widespread, most of the historical research to date has regarded such relations as synonymous with modern concepts of “homosexuality.” In addition, historians tend to be of the opinion that what may be called the “essentialist” concept of “Islamic homosexuality” has been embraced consistently regardless of time or place, when trying to understand male-male sexual relationships of various places and different periods. In recent years more and more research is being done that reexamines these conventional views. In particular, the research on the Ottoman Period has begun to relocate male-male sexual relationships within the context of sexuality as a whole. Unfortunately, the ‘Abbāsid period has yet to be so reconsidered, mainly due to a paucity of historical sources regarding sexuality during that time. Given such circumstances, the present article is an attempt to show one facet of sexuality at the time, through a consideration of male-male sexual relationships in the ‘Abbāsid period. For this purpose, the author conducts an analysis of the discourse presented in the al-Jāḥiẓ’s Kitāb Mufākhara al-Jawārī wa al-Ghilmān (The Book of the Boasting Match between Girls and Boys) which is almost the only historical material written dealing explicitly with the subject of sexuality. The analysis shows that there was a distinction between “adult males” and “non adult-males,” including not only females but boys, adolescents and so on, with respect to sexual relationships. Moreover, this distinction seems to correspond to a distinction between active and passive roles in sexual intercourse. The author concludes that sexual relationships at the time were based not on modern binary sexual categories of male and female, but rather on a different category fluctuating between “adult males” and “non adult-males.”
著者
原 克昭
出版者
東洋大学東洋学研究所
雑誌
東アジア仏教学術論集 = Proceedings of the International Conference on East Asian Buddhism (ISSN:21876983)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.261-289, 2017-01

「原克昭氏の発表論文に対するコメント」「張総氏のコメントに対する回答」含
著者
湯川 哲之 Tetsuyuki YUKAWA
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
新分野の開拓
巻号頁・発行日
pp.49-60, 2002-03-01

物理学法則と自由意志