著者
佐藤 文一 喜連川 優
雑誌
研究報告アクセシビリティ(AAC) (ISSN:24322431)
巻号頁・発行日
vol.2017-AAC-5, no.2, pp.1-5, 2017-12-01

障害者の学習に対しては,教科書バリアフリー法が成立し,視覚障害の小中学校の生徒に対しては拡大 ・点字教科書の提供が制度化された.またデジタル教科書も世界的に検討されており,日本でも教育の情報化ビジョンが発表され,ICT を活用したロードマップが示された.制度面では,色々な施策が行われているが,大学特に理工系の全盲学生の視覚障害者の情報障害に対しては克服すべき課題が多い.本稿では,障害者当事者の観点から,特に専門書や論文を読むための情報障害の問題点を考察した.また,パソコンのタッチパネルを利用して,図形の輪郭の理解のための簡易プログラムを作成した.クラウドでの画像認識 API の OCR API の認識した文字と座標の情報を使い,タッチパネルに触れることによるレイアウトの理解のための簡易プログラムを作成した.以上のプログラムを基に,全盲者にとって有益化を考察した.
著者
榛木 美恵子
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of center for clinical psychology Kinki University
巻号頁・発行日
no.2, pp.25-33, 2009-09-01

[要約] 内観法の創始者・吉本伊信が、内観体験のすばらしさを世界中の人々に紹介したいと、私財を投げ打って内観普及に励んで、半世紀以上となる。本年は、奈良県で開催された日本内観学会に、中国から27名が参加し、5論文が発表された。また、9月には、中国山東省で第二回中国内観療法学会が開催される。このように、1993年に中国に内観が導入されて以来、その後の発展と研究の進歩は、著しい。 さて、仏教は538年、中国・韓国を経て、日本に渡来した。この頃、わが国は中国・隋との交易や朝鮮半島との交流が始まった。このような日本の国際社会化の中で、聖徳太子(574年-622年)は『三宝興隆の詔』(仏・法・僧)を発令して、仏教を保護し、神道との融合をはかった。やがて、渡来した仏教は日本の風土・文化の中で独自に発達し、多くの人々の精神的な支えとなっていった。吉本伊信の内観法は、鎌倉時代、日本の土壌中のから誕生した仏教、浄土真宗を礎に1939年、師匠の駒谷諦信とともに開発した。その後内観法は、事業・教育・矯正教育・医学・家族関係の各方面に普及し、現在では、精神療法としても海外でも高く評価をうけるようになり、人間性の回復、社会生活復帰、心の養生として広く応用されている。本論では、この内観法の誕生と国際化について報告する。
著者
野村 万蔵
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.2-3, 2018-12-15
著者
千田 嘉博
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.427-449, 2004-02-27

宮崎城は現在の宮崎市池内町に所在した戦国期の拠点城郭である。遺構がほぼ完全に残るだけでなく、一五八〇年から一五八七年にかけて城主だった上井覚兼(一五四五―一五八九)が詳細な日記を書き残したことで、城郭構造や城内の建物群に加え戦国期の上層クラスの武士の生活や基層信仰まで知ることができ、きわめて重要な城跡である。本稿は宮崎城に関わるさまざまな物質資料群を統合して歴史的検討を進める中世総合資料学の立場から検討を進める。検討の結果明らかになったのは以下の諸点である。⑴宮崎城は綿密に設計された南九州を代表する戦国期城郭であり、外枡形や内桝形の組み合わせなど、南九州における戦国期城郭プランの特性と到達点とを示す城跡と位置づけられる。⑵城内には武家屋敷が二十軒以上建ち並び、主郭には主殿・会所的空間、庭園、茶室を備えた覚兼の御殿があった。⑶城主の上井覚兼は計画的かつ継続的に数々の神仏を信仰しており、きわめて多くの時間を信仰に捧げていた。⑷そうした振興の拠点となった寺社は散在的分布を示し、ゆるやかな宮崎城下町の外縁部を構成した。⑸宗教センター機能の集積度が象徴した宮崎城下町の都市機能の集積度の低さは、都市機能が城と寺社とを核とした広い地域に分散・分立し、それらのゆるやかな結合によって、都市的雰囲気をもった場を成り立たせていた城下町構造と評価できる。⑹これは卓越した都市的空間的な凝集を指標とした畿内・東海型の城下町とは異なった新たな類型の戦国期城下町像を提示する。⑺宮崎城下町の都市的集積を阻んだ要因には分散・分立した寺社も要因のひとつであり、覚兼の信仰そのものも、そうした中世的社会的構造に大きく規定されたものであった。
著者
草野 孔希 中根 愛 井原 雅行
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-177, no.14, pp.1-6, 2018-03-09

本稿では,オフィス業務における不便を人から受ける場合と業務システムから受ける場合とで,抱く印象に違いが現れることを明らかにする.オフィスワーカーが業務で利用するシステム (業務システム) の使いやすさは,主にソフトウェア分野においてユーザビリティや,ユーザエクスペリエンスなどのキーワードで取り扱われてきた.しかし,一部の業務システムについては使いにくい不便なものであっても利用者が声を挙げずに使い続けてしまう場合がある.これは,業務システムから不便を受けるときに利用者が抱く印象に一因があると考える.そこで本研究では,不便を業務システムから受ける場合と人から受ける場合との印象の違いについて比較することで,その特徴を明らかにする.さらに,システムから受ける不便をシステムズ ・ ハラスメントと捉えることを考察し,不便について利用者がより意識的に考えて利用者同士や提供者と対話できる方法の構築に寄与する.
著者
宮川 重義
雑誌
京都学園大学経済経営学部論集
巻号頁・発行日
no.6, pp.47-57, 2018-03-10

最近セントルイス連銀総裁ジェームズ・ブラード(James Bullard)は2008年以降の先進国の金融緩和政策、とくにゼロ金利政策の継続は1970年代にミルトン・フリードマンなどが警鐘をならした金利固定政策に他ならず、早晩制御し難しいインフレを引き起こすリスクが大であると主張している。もし、名目金利およびインフレが共に長期にわたり低率のまま長く留まるならば、金融政策の基本的考えを根本から変える必要がある。アメリカはこのブラードの主張を受け入れたか否かは定かではないが、現実のインフレがその目標値に達しない中金利引き上げに転じた。これに対して、わが国ではデフレ対策としてゼロ金利を長期にわたり継続している。このような状況を考える時、ブラードの主張は一考に値すると考え、ここにそのアイデアを紹介する。

南極地域観測統合推進本部
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.76-79, 2018-12-15
著者
神宮彩実 太田直哉
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.527-528, 2011-03-02

犯罪捜査において、防犯カメラに写った不審車両のナンバープレートを認識することは大変重要である。しかしナンバープレートが小さく撮影されていて、目視で数字を認識できない状況も多い。本研究では防犯カメラが犯罪後も使用可能であること、ナンバープレートには0から9の10種類の数字しか使われていないことの2点に着目し、このような場合にも防犯カメラの画像から数字を認識する手法を提案する。また、実験によってその有用性を確かめる。
著者
須田 仁志 深山 覚 中野 倫靖 齋藤 大輔 後藤 真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2018-MUS-121, no.17, pp.1-6, 2018-11-14

本稿では,複数人が歌唱している楽曲に対して誰がいつ歌っているかを推定する歌唱者ダイアライゼーションの基礎的な検討を行う.とくに本稿ではグループアイドルソングのような複数の歌唱者が交互に歌ったり同時に歌ったりする楽曲を対象とする.本稿では伴奏音を除去した歌声を用いてアイドルソングのデータセットを構築した.またこれらの歌声に対して,歌唱者の音響モデルを未知とした手法と既知とした手法の 2 手法を用いて歌唱者ダイアライゼーションを行った.歌唱者の音響モデルを未知とした手法には,会話音声に対する話者ダイアライゼーションで広く用いられている修正ベイズ情報量規準を用いた手法を利用した.また音響モデルを既知とした手法では,i - vector を用いた話者認識を利用して短時間での歌唱者認識を繰り返し行うことで推定した.推定結果から,歌唱者の音響モデルの有無により大きな性能の差があること,また音響モデルが既知であっても短時間での歌唱者認識だけでなく適切な後処理によって推定誤りを減らせることが確認できた.
著者
網代 育大
雑誌
研究報告システム評価(EVA)
巻号頁・発行日
vol.2010-EVA-33, no.4, pp.1-7, 2010-11-22

仮想マシンの配置問題に関して、オペレーションズリサーチの分野で研究されてきたベクトルパッキング問題に対する古典および最近のアルゴリズムの観点と、メインフレームやデータセンタの効率運用、サーバ統合のために研究されてきたアプリケーションやワークロード、仮想マシン配置の観点から関連研究を概観する。これに基づき、我々がサーバ統合用に開発したアルゴリズムの位置づけや設計思想について述べる。
著者
松田 聖
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第38回, no.人工知能及び認知科学, pp.496, 1989-03-15

人間の脳の情報処理方式を模擬あるいは参考にした新しい知的情報処理方式としてニューラルネットワークが再び注目されている。パターン認識、最適化問題、連想記憶などに適用されだしている。なかでも、学習能力はニューラルネットワークのもつ際立った特徴であり、多くの可能性をもっている。一方、動画像情報は情報通信分野において益々その重要性を増すものと考えられるが、膨大なデータ量を伴い、効果的な圧縮技術が求められている。人間の視覚情報である画像は従来の画素単位の数値的手段による圧縮よりも人間の視覚処理に近い柔軟な方式が効果的と考えられる。本研究は、動画像の圧縮をニューラルネットワークの学習能力を用いることにより実現する。動画像の伝送および蓄積等において、回線や記憶装置といった物理資源の効率的使用、および高画質が期待できる。また、ニューラルネットワークの処理を並列化することにより、圧縮/復元処理の高速化ができ、処理遅れによる画像の不自然さ等をも避けられよう。