著者
勝本 雄一朗 瓜生 大輔 徳久 悟 奥出 直人 稲蔭 正彦
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.111-118, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
20

本論文は,ユビキタスコンピューティング環境下におけるインタラクティブなコンテンツを制作するための設計手法として,ユビキタスコンテンツ設計手法を提案する.本手法はデザイン思考によって発見したIdeationをもとに,開発支援環境xtelを用いたPrototypingを通じて,コンテンツの企画・設計・開発を行う.従来手法と比較して,本手法はPrototypingの段階でインタラクションを含むコンセプトの検討を行うことができる.そのため限られた時間内においても効率的にPrototypingを行うことができ,制作者に魅力的なコンテンツの創造を促すことができる.本論文では,本手法のケーススタディとして雨刀を取り挙げ,本手法の有用性を議論する.雨刀とは振ると刀の音がするビニール傘状の遊具である.
著者
甲田 春樹 金谷 一朗 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.119-129, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
11

近年のグラフィック演算性能の向上に伴い,グラフィックデザインのみでなく動画コンテンツの個人レベルでの創作が可能となり,今後,専門知識を持たない一般ユーザが容易にアニメーション作成可能なインタフェースへの需要が高まると考えられる.しかし,従来のアニメーション制作環境におけるGUI(Graphical User Interface) では,操作別の構造をしており,学習コストや効率性の観点から問題である.また,アニメーション制作の根幹となるモーションの入力では,キーフレーム補間法が多く採られており,速度変化を伴うモーションを扱うには試行錯誤の調整作業が要求される.本論文に於いては,モーションの入力にドローイング動作の身体性を利用した速度入力を可能とするインタフェースを提案する.提案インタフェースにおいては,オブジェクトの配置された仮想空間とは別に,ペンタブレット等の入力面に固着するパラメータ平面を設定する.パラメータ平面の軸には並進や回転などのモーションの制御変数が割り当てられており,ユーザはスタイラスペンを用いたドローイングにより制御変数の時間変化を試行錯誤的に設計する事が可能である.また,主に初心者を対象とした被験者実験から実装システムの操作の簡便性を確認した他に,ドローイングの揺れに関して,フーリエ成分のフィルタリングによりモーションの印象を左右する周波数パラメータを得た.
著者
タヌイジャヤ シンダルタ 大野 義夫
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.130-139, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
14

Researchers have been constantly developing new methods for generating realistic human motion. A common and popular approach is to use motion capture data or mocap data. However, this approach produces a mountain of data and there is an increasing necessity for quick and efficient mocap data search methods. For text documents, search results are usually returned in the form of a list of documents' titles. This allows users to quickly browse the search results and easily find the documents that they are looking for. Applying this method to mocap data requires the extraction of keyposes since displaying every frame will only present excessive and unnecessary information. The authors of this paper propose a simple and efficient method to automatically extract keyposes of mocap data. The proposed method requires only O(kn) operations. Thus, users can vary the search parameters and results will be presented interactively. Our results show that the proposed approach is applicable to mocap data of complex motions and motions composing of many motion segments.
著者
吉田 勝久 藤本 忠博 原美 オサマ 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.73-84, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
8

本論文では,物体形状を3次元点群として効率的に管理するLDI(Layered Depth Image)を利用した半透明物体の効率的な表示法について提案する.本手法では,α値を持つ3次元点群で表現された半透明物体に対して,異なる基準視点による複数のLDIを用いた点群の分割登録を行うことにより,単一のLDIの場合に生じる3次元空間上の位置によるサンプリング密度の疎密の問題を改善する.また,複数のLDIに対してマクミランの順序付けアルゴリズムを導入することで,高品質な任意視点画像を効率的に生成する.具体的な3次元点群としてボクセルモデルを用い,複雑な形状を持つボクセルモデルに本手法を適用した実験により,その有効性が確認できた.
著者
山本 景子 南部 俊輔 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-37, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

キャプチャデバイスの進歩により,長時間のコンテンツ収録が可能になったことから,限られた動作だけを記録するのではなく,動作の一部始終をキャプチャする機会が増えている.それに伴い,コンテンツ検索,すなわち長時間に亘るキャプチャデータの中から,ユーザが必要とするシーンを選び出すための技術が必要とされている.本論文ではこの問題に対して,人が中心となる動作風景を撮影した映像を対象とし,動作時に映像と共に対象者の把持圧の変化を記録し,把持圧情報から求められる動作状態を提示することで,内容検索を支援する手法を提案する.筆者らは把持圧から,把持状態,把持対象,把持して行う動作についての情報が得られると考える.そこで,把持圧計測装置を構築し,動作映像と同時に取得した把持圧を分析することで,対象者の状態を判別する手法を提案し,実験により判別精度の検証を行った.ユーザが動作毎に所望のシーンを効率的に閲覧する支援となるコンテンツ検索支援システムを構築し,提案手法の動作確認を行った.
著者
高橋 哲也 今野 晃市 曽根 順治 徳山 喜政 原美 オサマ
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.38-48, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
17

ハードウェアの低価格化,高性能化により,リアリティのあるVirtual Reality(VR)環境構築は容易に実現可能になってきている.VR技術は医学,工学,教育,ゲーム,グラフィック関連のアプリケーションなどでの利用が期待されている.従来,VR 環境構築に関する要素技術は数多く研究されている.要素技術の一つである衝突検出法は,計算コストが高くインタラクティブ性を損なう一因である.一つの考え方として,PCクラスタなどによる分散処理によって,高速化することで問題点を解決できる.本論文では,PCクラスタで動作する衝突検出法を用いたバーチャルタッチングシステムを提案する.本システムは,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突を高速に検出し,衝突部分の局所領域に関して力覚を提示するシステムである.本手法は,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突をPCクラスタを用いて高速に計算し,レスポンスを向上する.また,計算量が少なく処理が高速な力覚提示スレッドで擬似的に力覚を生成することによって,スムーズな力覚提示を行うことが可能である.
著者
阿部 雅樹 渡辺 大地
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.93-101, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2

近年、アクションや格闘を主題としたアニメーションやビデオゲーム等の創作コンテンツ上では、エネルギーの塊が強く発光、形状変形を伴いながら特定の目標地点へ移動するといった現象を攻撃方法の1つや特殊効果として用いる事が多い。本研究は、3次元のビデオゲーム等のインタラクティブな創作コンテンツ内における新たなエネルギー波表現方法を提案する。本手法はボリュームレンダリング手法の1つであるレイキャスティング法と基本的な概念は同様である。線積分式となる関数を用いてエネルギー波の3次元分布状況を規定することで、ボリュームデータ生成処理を省くことを可能とした。更に積分計算にGPGPUを使用することで、描画処理速度の向上を図った。このことにより、エネルギー波の光の強さを正確に表現しつつ、エネルギー波の形状変形をリアルタイムで実現した。
著者
高橋 淳也 照井 良平
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.85-92, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本論文では,色がもたらす感情効果を利用し,閲覧者に意図した感情を想起させる映像作品の制作手法の指針を与える.感情効果として”癒し”という印象に着目し,“癒し”の感情効果をもたらす色の調査を実施し,“癒し”の効果を持つ,映像作成をおこなった.映像作品を被験者に提示することにより,”癒し”の感情効果をもたらす色を用いた映像作品からも,“癒し”を感じるという結果が得られた.以上のような“癒し”を感じさせる映像作品は,病院の待合室のBGVとして,また,アロマ・セラビーなどの広告としての応用が考えられる.
著者
村木 祐太 今野 晃市 徳山 喜政
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.49-57, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
12

N辺形形状の曲面当てはめは,古くから多くの人により研究されている.しかし,フィレット操作で生成されるような稜線の長さが極端に異なる形状への曲面当てはめにおいては,歪んだ形状が生成されたり,隣接面と不連続であったり,ユーザーによる手動入力が必要であったりと,どの手法も一長一短である.これら3つの問題を同時に解決するのは,いまだ困難である.本論文では,稜線の長さが極端に異なる形状に対して正N 辺形を生成するように分割曲線を生成することで,隣接面とG1連続かつ滑らかな曲面生成を可能にする手法を提案する.はじめに,分割する稜線のパラメータを決定し,領域を分割する稜線を生成する.その後で,分割した各領域に曲面を当てはめる.
著者
渡辺 賢悟 伊藤 和弥 近藤 邦雄 宮岡 伸一郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.58-65, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
18
被引用文献数
2

キャラクタデザインは,ゲームやアニメといったコンテンツ制作において重要な作業である.デザイン作業は複数人のアイデアを,コミュニケーションを介してまとめながら進められるが,絵が描けるデザイナと描けない者の間でアイデアの視覚化の能力に差があるため,アイデアを交換・共有するのが難しい現状がある.本研究では,絵が描けない者のアイデアの視覚化を支援するため,絵画手法の1つであるコラージュに着目する.複数の既存画像から一部分を切り出し,組み合わせるだけの作業で視覚化を行えるシステムを提案する.画像合成処理にPoisson Image Editingを用いることで,高品質なコラージュ結果を実現する.また,合成部品の切り取りを簡単にするため,部品領域の最適化処理を実装する.作成したシステムと,従来のソフトウェアを使用して視覚化した結果を比較し,システムの実用性を検証する.
著者
兼松 祥央 三上 浩司 近藤 邦雄 金子 満
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.66-72, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

3DCG映像制作においてライティング(照明)は、作品の印象を決め、できを大きく左右する非常に重要な要素である。よってライティングは単純にライトを置くだけではなく、ディレクターの意図に基づいてしっかりと設計を行うことが重要である。そこで本研究では従来ディレクターの頭の中で感性的に行われていた照明設計を支援し、プレプロダクション段階において効率的にライティングシミュレーションを可能とするために、映像の演出を支援する「ライティングスクラップブック」とライティングを容易に行うための「ライトセット」を提案することを目的とする。これらを用いて映像制作の実証実験を行った結果、提案システムを用いることにより、作業時間が短縮でき、ライティングによる効率的な演出シミュレーションが可能になった。
著者
Katsutsugu MATSUYAMA Makoto OKAMOTO
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.130-142, 2009 (Released:2009-10-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

This paper describes the research and development of a new tool for visualizing world maps. The developers anticipate this tool will provide a better grasp of structures and enable an improved understanding of features from multiple viewpoints. The following needs were identified on the basis of interviews with subjects who are likely users of map software: overhead views and true-to-life views; side-by-side comparison of arbitrarily selected locations; and context awareness. The software was designed to satisfy these requirements by incorporating a new algorithm, resulting in a package with distinctly different characteristics from those that are browsed in a directly geometric fashion. In this paper, we propose a viewing system that allows the user to switch seamlessly between different geographical projections and a multi-focus view displaying method by parameter adjustment and split screen. The effectiveness of this approach is validated in a survey of subjects using this mapping software.
著者
尼岡 利崇 Hamid Laga 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.151-159, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
13

3次元形状測定により観客の身体形状、動作を実時間で測定しインタラクティブアートのコンテンツとするCollective Bodyを提案する。本作品は、観客の身体形状から生成した3次元モデルに観客の身体動作によって実時間で特殊視覚効果を与える作品である。本作品では、グラフィックスと特殊視覚効果をそれぞれ2種類ずつ実装した。3次元モデルは、パーティクルの集合体で表現し、特殊視覚効果は生命活動をモチーフとしパーティクルそれぞれに運動方程式を与え独自に挙動させることで表現した。ユーザーは、自分自身の身体形状、動作から生成された3次元モデルを自由視点で鑑賞することにより、本作品を通し新しいインタラクティブ体験が出来ると共に新しい視点で自身の身体を捉えることが可能となる。
著者
浦 正広 山田 雅之 遠藤 守 宮崎 慎也 安田 孝美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.143-150, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
9

バルーンアートは,バルーンにより動物などの形状を制作するアート技法である.1本,もしくは,複数本のバルーンをひねることにより,様々な形状が生成できる.バルーンアートの造形はシンプルであるが,想定された完成形状から制作手順を推測することは容易ではない.そこで,本研究では,バルーンアートのための構造解析手法と難易度評価手法を提案する.1本のバルーンにより制作されるバルーンアートの完成形状をグラフで表現すると一筆書きができることから,グラフからオイラー経路を求め,その経路に基づき制作手順を導出する.また,1つのバルーンアートに対し,一般に複数の制作手順が存在するため,制作過程におけるバルーンの変形操作の難しさを定量的に評価し,導出される制作手順の難易度を比較する.実際のバルーンアート作品に提案手法を適用することで,その有効性を確認する.
著者
徳山 喜政 今野 晃市 曽根 順治 Janaka Rajapakse R.P.C.
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-9, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18

CGアニメーションでは,人物や動物などのキャラクターの形状モデルが重要である.これらの形状を複数枚のBazier, B-splineやNURBSなどのパラメトリック曲面で表現する場合,曲面同士を滑らかに接続するのは困難であり,複雑な処理を必要とする.この問題を解決するために,近年細分割局面(Subdivision Surfaces)がよく利用されている.しかし,デザイナーが直観的にモデリングすることができる効率的なモデリング手法の確立は依然として大きな課題である.一方,複雑な自由曲面形状を設計するための手法として,曲面の境界曲線を入力して曲面メッシュを生成し,境界で囲まれた領域をGregoryパッチで内挿する手法がある.このような手法は,曲線メッシュを直接修正することで,意図する形状を得ることができるため,細分割曲面を利用する方法と比較して,直観的な形状変形を行うことができるという利点がある.本研究では, Catmull-Clark細分割曲面とGregoryパッチ両方の特徴を生かすために,ポリゴンメッシュから同一位相をもつ曲線メッシュをCatmull-Clark細分割法則に基づいて生成し,生成された曲線メッシュを直接変形し,変形された曲線メッシュ形状をポリゴンメッシュへ反映させるような局所変形手法を提案する.本手法は,曲線メッシュ上の頂点や稜線に変形を施した場合,その頂点や稜線につながっている曲面形状しか変形されないのが特徴である.また,曲線メッシュ上の任意の範囲を指定し,指定した範囲外の曲面との連続性を保ちつつ,範囲内の曲面を自由に変形することも可能である.曲線メッシュ上の変形をポリゴンメッシュへ反映させることで,ポリゴンメッシュで行いにくい局所変形や直観的な変形が実現できる.
著者
内平 博貴 宮下 芳明
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.10-19, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
29

本稿では,電子楽器であるサンプラーのメタファを取り入れることによる書道の新しい表現手法を提案する.目的は描画ツールで困難であった筆のかすれなどの表現を容易にすることと,楽器としてのサンプラーのメタファを取り入れることにより書道の新しい表現方法を提案することである.本システムはモデルとする書をマウスポインタでなぞることによってスキャニングし,描画画面でサンプル群を出力することにより描画を行う.本研究はさらにミキサーやエンベロープ・ジェネレータといった機能を導入し,出力画像の編集を行えるように改良している.また,サンプリング元を参照し閲覧できる機能を設け,サンプリング楽曲のように鑑賞時に参照元を発見する喜びを書に付与することで,さらに新しい表現,鑑賞スタイルを提案する.
著者
野田 貴彦 野村 健太郎 小室 直之 鄭 韜 楊 深 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.81-89, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
13

本論文では,カクテルのアナロジを用いることにより風景画像を作成するシステムを提案する.このシステムではカクテルの材料を風景の要素とし,それらをシェーカで混ぜる事で風景を作成する事が出来る.作成される風景画像はシェーカを振ることでリアルタイムに変化し,体験者は風景画像を作成している感覚を持つことが出来る.また,風景の要素の組み合わせで,出来上がる風景画像は異なってくる.これにより,体験者はオリジナルの風景画像を作成する事ができる.
著者
秋田 純一 森脇 裕之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.74-80, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
6

近年,その豊かな表現力や高い演出効果から,広報告知や広告媒体として大型のディスプレイを見かける機会が多くなった.しかし,建築物に取り付けるタイプの大型ディスプレイの場合は予算的・作業工程面の制約が多く,従来では,単発的なイベントや,変則的な形状では採用を見送られるケースも多く見受けられる.また,クリスマス時期のイルミネーションに用いられるライン状に並んだ光源の点滅制御では,限定的な点滅パターンを上回るような表現効果を得ることが難しい.本稿では,このようなニーズをふまえ,簡単な構成で自由に画素を配置し,規模の大きい画面を構築できる汎用性の高いディスプレイシステムGuerrila Displayの設計について述べる.このような自由度の高いシステムにより,大型映像によるダイナミックな空間演出がより身近なものになるばかりでなく,従来は実現が困難であった曲面や不定形な形状物への設置なども容易になり,飛躍的に演出表現の幅が拡がることが期待できる.
著者
松本 遥子 堤 孝広 寺澤 玲緒 宮田 直貴 藪 慎一郎 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.66-73, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
13

本稿では,ウェアラブル楽器の一環として,あるいはウェアラブルコンピューティング技術のファッション応用に対する具体的実現としての「着るピアノ」について,導電性布素材を用いた新しいアーキテクチャを提案する.提案するアーキテクチャでは「服としての一体感を演出するために,なるべく布素材を用いる」「機能分化により軽量化を図る」「意図しないシーンで音が出ることを防ぐ」「鍵盤レイアウトの自由度を向上させる」の特徴を有し,衣服としての着心地,着るピアノとしての操作性,デザインの自由度などについて大幅な改善を実現したものである.本提案は,「着るピアノ」の改良,ということのみならず,ウェアラブル基盤としての導電性布素材の新しい利用方法を模索するものとの位置づけも可能である.
著者
小坂 崇之
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.57-65, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
24
被引用文献数
1 4

本稿では,全方位の風の記録と再生を可能としたWindStageを提案する.現在,市販されている風向風速計は風見鶏に代表されるように風向に関して出力は常に一方向のみである.そこで我々は多方向からの風情報を同時に計測することのできるWindCameraと多方向からの風を呈示するWindDisplayを開発した.本稿では,その二つを統合したWindStageについて述べる.またWindStageを用いた応用コンテンツについて述べる.