著者
深見 真希
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.4-14, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
26

アメリカにおいて危機管理という学問を形成し概念化を進めてきたのは,組織論を中心とする管理科学だが,日本ではそのような理論構築はされていない.そこで,アメリカ危機管理の枠組みを援用して組織の構造と設計の観点から検討すると,危機管理の実行能力を向上させるならば,現場レベルにおける道具的組織設計および,政府レベルにおけるラインの創出が必要であることがわかった.
著者
福島 真人
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.15-24, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
49

本論文の目的は,急患対応システムである救急医療を,危機管理の一つの具体的な組織モデルと見なし,その特徴と問題点を探ることである.従来の臓器別分業体制を超えた救急医療は,緊急時の初療に限定しつつ広い病態をカバーし,他科との協働をその本質とする.だがその内部では,その対象や組織構造について異なる意見が存在する.これらを詳細に分析することで,危機管理型組織が実践面で持つ問題点を指摘し,解決法を探る.
著者
藤本 隆宏
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.25-35, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
12

東日本大震災によるサプライチェーン寸断に対し,在庫増加,標準部品採用,供給のデュアル化,海外移転などが提案されているが,災害のショックからの心理的過剰反応も目立つ.本稿は,グローバル競争時代の広域大災害に対するサプライチェーン強化策は,競争力(competitiveness)と頑健性(robustness)の両立を目指すべきだと主張する.相対的に小さなコスト負担で,災害からの復旧速度(たとえば2-3週間での全面復旧という目標)を確保する代替的方策として,設計情報の可搬性(design portability)を基礎とした「サプライチェ ーンのバーチャル・デュアル化」を提案する.
著者
谷口 勇仁
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.47-55, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
28

本稿の目的は企業事故研究の構図をもとに,安全文化の理論的特徴を明らかにすることである.企業事故研究の分析アプローチの前提を検討した結果,安全文化は,事故を引き起こさない理念的な組織を想定し,そこから規範的に導出された組織文化を概念化したものであるという理論的特徴を持つことが明らかになった.
著者
長瀬 勝彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.56-65, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
18

本論文では,組織に存続の危機をもたらすようなリスクが過小評価される現象について,リスクを外敵などのリスク1と天災や現代社会のリスクであるリスク2に分類することで説明を試みた.リスク1に適応した人間の認知のシステム1がリスク2には適切に対応できず,人間の認知の中で論理と分析を司るシステム2もまたリスク2に適切に対処できるには至っていないことが原因のひとつである可能性が見出された.
著者
宮川 治 高野 辰之 小濱 隆司
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.3_52-3_57, 2020 (Released:2020-06-04)
参考文献数
5

Focusing on digitalization of answering and automation of grading of tests, this paper describes migration from descriptive test to an objective test format using optical answer sheets. In a specific example, a test was used to generate a class diagram from source code. In doing so, it proposes an answer format that would not impede freedom of answering. It describes the process of trial and error through the development of its proposal as well as the adoption of optical answer sheets and the questions used. It then reports on practice using these answer sheets. In the practical example it presents, grading was completed in approximately 20 minutes from the time the answer sheets were scanned after the test.
著者
江夏 幾多郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.80-94, 2012-03-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
38

人事システムがある方針を反映する際の首尾一貫性の程度が組織パフォーマンスに及ぼす影響について,統計的に解明した.人事施策の充実度における正規従業員と非正規従業員の間での均等度に着目し,その程度における「基本システム」と「個別の管理分野」のマッチングが中程度の時に組織パフォーマンスが最大化する,という傾向が見いだされた.人事システムにおける首尾一貫性の追求に際しては,機能と逆機能が同時に現われる.
著者
川島 啓二
巻号頁・発行日
2016-03

目次研究体制・・・3執筆分担・・・5はじめに・・・7第一部大学の組織運営改革の事例研究調査の手順と事例報告の枠組みについて・・・15第1章金沢大学・・・17第2章福島大学・・・25第3章筑波大学・・・35第4章和歌山大学・・・43第5章九州大学・・・57第6章高知大学・・・75第7章香川大学・・・89第8章大阪府立大学・・・107第9章札幌大学・・・119第10章桜美林大学・・・129第11章和洋女子大学・・・139第二部学長調査からみた組織運営改革と教職員第12章調査の概要と調査対象について・・・153第13章大学の組織運営の現状・・・165第14章教育研究組織の改革・・・179第15章専門的職員の役割・・・187単純集計表(調査票形式)・・・201第三部大学の組織運営改革に関する考察第16章高等教育政策の影響・・・213第17章改革の背景・目的・意図・・・221第18章教教分離と学長の役割・・・229第19章組織分離の類型化(試論)・・・241第20章大学の組織運営改革と教職員の在り方の追究に向けた一視点・・・247本プロジェクト研究の到達点と課題 おわりに代えて・・・259講演録 大学のガバナンスとマネジメントの確立に向けて・・・265参考資料教教分離を実施している大学一覧・・・289教教分離に関する時系列表・・・293教教分離に関連する国の動き・・・294訪問大学組織図・・・297関連文献サマリー・・・309研究会の記録・・・325
著者
小松 威彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.87-100, 2011-12-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
25

本稿では取引費用理論と資源ベース理論の観点から,半導体製造における統合と分業の問題を取り上げ,両理論の妥当性とその関係について実証分析を行う.データは2006年世界の半導体企業118社387製品を対象としロジット分析により検証を行った.分析結果より,両理論による仮説は支持されその有効性が確認されたが,それぞれの理論による説明力は事業年数別のサブサンプル間で大きな違いがあることが示された.
著者
大木 清弘
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.101-113, 2011-12-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
29

本稿は,多国籍企業における本国拠点の優位再構築が,国際的な機能配置選択に伴う拠点間競争によって促されること,その優位再構築が企業全体の能力向上に貢献することを明らかにするものである.本稿は,これらの論理の妥当性を日産自動車の追浜工場の事例研究から検証した.
著者
水野 学 小川 進
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.35-44, 2011-09-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
22

本稿は,企業間競争を「資源吸引」という視点から議論する.資源吸引とは,当該企業が相手先の限りある経営資源を,どれだけ優先的に自社に配分してもらえているかを表す言葉である.本研究ではコンビニエンス・ストアのセブン-イレブンの事例を通じて,この資源吸引がビジネス・パートナーとの長期的な協調関係から生み出されることを明らかにする.また理論的な課題をビジネス・エコシステムとの比較を通じて議論する.
著者
根来 龍之 釜池 聡太 清水 祐輔
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.45-57, 2011-09-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
28

本稿では,複数のエコシステムからなる製品システムを,パラレルプラットフォーム市場と呼び,その市場特有の戦略的観点について事例分析を通じて論じる.事例分析から抽出されたポイントは以下の5つである.⑴ネットワーク効果のマネジメント,⑵利益格差のマネジメント,⑶セットとしてのプラットフォーム製品のマネジメント,⑷結合プラットフォームのマネジメント,⑸マルチホーミングのマネジメント.
著者
木村 誠
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.58-68, 2011-09-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
17

デジタルゲームは,アーケードゲームとコンシューマゲームに大別される.本稿はコンテンツの権利関係および継承関係と階層性の観点から,デジタルゲームのコンテンツ間関係モデルを導出し,原作・補完コンテンツの移行オプションのパターン化を試みる.デジタルゲームの事業者側が原作・補完コンテンツの移行オプションのデザインの視座を持つことは,エコシステムの構造把握や断続的な業績変化の予測に役立てることができる.
著者
貴志 奈央子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.69-78, 2011-09-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
29

研究開発の対象を拡大することは,変化の激しい業界において不確実性を吸収する機能を強化し,組織の存続可能性を高める.しかし,経営資源の制約により,市場の変化に対し機動性が鈍化する可能性もある.分析では半導体メーカー10社をサンプルとして,米国特許の取得状況から研究開発における探索の範囲と機動性の関係を検証した.その結果,探索範囲の拡大によって,組織に蓄積される知識は多様化していること.しかし,探索範囲の広い組織は,研究開発の機動性を低下させていることが明らかとなった.
出版者
広島高等工業学校
巻号頁・発行日
vol.昭和16至17年, 1941
著者
伊藤 裕才
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

軟体動物頭足類(イカやタコ)の表皮色素胞は黄色から紫色までの様々な色素を含んでいる。これらの色素は着色料として利用できる可能性があるが、色素成分はオンモクローム類であること以外は不明である。そこで主にスルメイカを対象に表皮から色素を抽出し、それら全成分を分析するHPLC分析法を開発した。分析の結果、黄色、赤色、紫色といった複数の色素の観測に成功した。さらにスルメイカ抽出液から紫色色素をクロマトグラフィーによって単離精製した。組成分析の結果、紫色素は硫黄原子を含んでいることが強く示唆された。