- 著者
-
阿部 哲也
福永 幹彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.11, pp.1033-1037, 2010-11-01 (Released:2017-08-01)
- 参考文献数
- 12
慢性膵炎疑診例と胆道ジスキネジーは,ともに器質的異常を認めずに上腹部痛を主訴とする疾患であり,乳頭括約筋機能異常という疾患概念に包括する考えが広まっている.また,心身症の病態を呈する例や,他の機能性消化管障害との並存を示す例が多いことより,これらを障害部位で分類するのではなく,機能性身体症候群として考えることもできる.その際,病状評価には心電図R-R間隔変動係数が有用となる.計測条件の工夫で,多様な場面の自律神経機能状態を推測することができ,これにより患者の生活史の中で症状をとらえていく心身医療への導入がしやすくなると考える.