著者
樋口 正視 岡田 稔 MASAMI HIGUCHI MINORU OKADA ツムラ中央研究所 ツムラ中央研究所 Tsumura Central Research Laboratories Tsumura Central Research Laboratories
雑誌
生薬學雜誌 = Natural medicines (ISSN:13403443)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.170-175, 1996-04-20

The relationship between the developmental stages of spadix and the developments of pollen grains and the embryo sacs of Pinellia ternata BREIT. was morphologically studied. When the limb of the spathe began to loosen, about 24% of the embryo sac in the female flower were in matured stage, with the anthers in the same spadix still remained in dehiscens. When the anthers began to dehisce and the pollen grains were shedding, most of the embryo sacs in the female flowers were in matured state. When self- or cross-pollinations with other female flowers were performed while the anthers were still undehisce, all spadixs formed fruits. The rate of fructification and the number of fruits in fructificated spadix obtained by these early stage pollinations was definitely higher than those obtained in isolated culture field by the open pollination system. Over 90% of the fruit thus obtained by the early stage pollinations were germinated. Some morphological characters of the progeny obtained by cross-pollination segrigated. The protogyny, or the senility of the female flower when the pollen grains start shedding, may be a cause of rare fruit formation of the plant in nature.
著者
田邊昇 冨森苑子 高田雅美 城和貴
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014-HPC-143, no.7, pp.1-10, 2014-02-24

疎行列ベクトル積 (SpMV) は多くの場合にキャッシュアーキテクチャとの相性が悪い.並列処理においては負荷不均衡が性能に与える影響も大きい.これまでは SpMV 性能を決める要因として,キャッシュのヒット率や一行あたりの非零要素数の平均,最大値,分散が注目されていた.しかし,それらと性能との相関が不明瞭であり,SpMV の挙動は長年にわたり謎に包まれていた.それは SpMV の最適化や,効率的な疎行列ライブラリ構築の障害であった.本報告では,SpMV 性能を左右する様々な要因をアプリケーション依存の要因とプラットフォーム依存の要因に分けて考察した.それを踏まえて行列の非零要素配置から導かれる時間的局所性と空間的局所性等のアプリ依存パラメータを導入した SpMV 性能モデルを構築した.その上でフロリダ大コレクションから抜粋した 115 種の疎行列と GPU を用いて SpMV 性能モデルの評価実験を行った.その結果,GPU 上で実行する場合は Padding に関する補正と小さな行列での補正が必要であることと,長行を折り畳むなど適切な負荷分散がなされた場合はキャッシュのヒット率よりも,空間的局所性やインデックス転送の抑制の方が実効性能に敏感であることが明らかになった.
著者
堀 真寿美 小野 成志 山地 一禎 宮原 大樹 宮下 健輔 坂下 秀 喜多 敏博
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.65-72, 2017-11-30

インターネットは,その仕組み上,非集中型アーキテクチャの性格を強く有しているにも関わらず,今日ではアプリケーション層において集中管理の傾向が強く,誰もが何の束縛もなく自由に情報を発信できる機会を奪われているという批判がある.集中管理型アーキテクチャに起因する,多様性への対応,個人の自由度の低下に対して,ブロックチェーンに代表される非集中型アーキテクチャが今後のインターネットの重要な技術になるとみなされている.教育分野においても LMS (Learning Management System) などの学習支援システムは,集中型アーキテクチャが中心であり,我々はこれまでに,他に先駆けて,非集中型アーキテクチャを採用する学習支援システムである CHiLO (Creative Higher Education with Learning Objects) を開発してきた.本稿では,この CHiLO に,ブロックチェーンを採用することで,さらなる非集中型アーキテクチャ指向を実現し,電子書籍ストアなどの集中管理サーバーを必要としていた電子書籍の頒布,著作権に関する CHiLO Book の課題を解決するための概念実証システムを構築したことを報告する.
著者
仲山 悠也 笠原 禎也 高田 良宏 松平 拓也 東 昭孝
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.50-57, 2017-11-30

金沢大学では,Shibboleth を用いた統合認証基盤を構築・運用している.現在は ID ・ パスワード認証だけの運用であるが,セキュリティ強化のために,リスクベース認証の導入を検討している.本研究では,本学において最適なリスクベース認証を実現するため,運用中の統合認証基盤のログデータの解析を行い,リスク判定基準と,大半の人に適用可能である汎用的なリスクベース認証アルゴリズムを提案し,シミュレーションによる評価・検証を行なった.
著者
中村 豊 佐藤 彰洋 福田 豊 和田 数字郎
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.42-49, 2017-11-30

九州工業大学では 2006 年 4 月に P2P アプリケーションを用いた著作権違反や不正なソフトウェアダウンロードに起因する情報セキュリティ ・ インシデントの全学的な対応を目的として,全学情報基盤室が設置された.また現場での対策組織とは別に,国立情報学研究所が公開している高等教育機関の情報セキュリティ対策のためのサンプル規定集を元に,本学情報セキュリティポリシー作成 WG によるインシデント対策フローの整備を行った.2013 年には,戸畑,飯塚,若松各キャンパス毎に行われていたネットワーク整備,管理業務を一体的運用に変更し,また情報セキュリティ対策強化を目的として全学情報基盤室を発展的に改組し,情報基盤機構情報基盤運用室を設置した.本報告では,主に情報基盤運用室がこれまで実施してきた九州工業大学における情報セキュリティ対策について報告する.
著者
松浦 敏雄 藤村 直美 相原 玲二 岸場 清悟 山之上 卓 山井 成良 宮下 健輔 坂下 秀
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.41-41, 2017-11-30

インターネットと運用技術研究会主催のインターネットと運用技術シンポジウムは 10 回目を迎える.また,分散システム / インターネット運用技術シンポジウムから通算 20 回目となる.10 年目の節目となる本シンポジウムでは,「インターネットと運用技術の過去と未来」 について,IOT / DSM / QAI / EVA 研究会歴代主査によるパネルディスカッションをおこない,未来を展望する.
著者
松浦 敏雄
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.40-40, 2017-11-30

私が出会ったコンピュータのハードウェアおよびソフトウェアを紹介しながら,計算機およびネットワークの管理にどのようにかかわるようになったかをお話したいと思います.この間に出会った人々と,古き良き時代のシステム管理についてお話します.Pdp 11,Intel 8080,VAX 11,workstations,junet,C,UNIX,Smalltalk 80,X Window System,NeXT などが登場します.
著者
長谷川 太一 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.33-39, 2017-11-30

ネットワーク機器の管理には,ネットワーク機器の接続や,設定の変更または,それらが正しく実施されているか確認する作業がある.そして,これらの作業を実施する時に作業ミスを減らすため,二人以上の管理者で作業を実施する場合がある.二人以上の管理者で作業を実施する場合は設定者と確認者の二手に分かれ,設定者が実施した作業内容を設定者と確認者が複数回にわたり確認する.この時,作業は作業手順書に基づき実施され,確認はネットワーク機器の接続状態や設定内容を作業手順書と照らし合わせる.しかし,このような手順で作業を実施する場合においても作業ミスは発生する.そこで,本稿では作業手順書に基づいたネットワーク機器の管理作業において,管理者が入力するコマンドのダブルチェックを可能とする設定補助システムを開発した.本システムは,設定者が入力するコマンドを一度確認者が持つタブレット端末に送信し,確認することで,コマンドの入力ミスや間違えを減らすと考える.実験では,設定者が本システムの作業用コンソールを用いた場合に,作業に支障が生じる遅延が発生しないか検証し,作業に支障が出るような遅延は発生しないことを確認した.
著者
加森 剛徳 林 健汰 前田 香織 近堂 徹 相原 玲二
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.25-32, 2017-11-30

コンピュータの仮想化技術やネットワークの広帯域化により,通信セッションを維持したままインターネットに接続された物理ホスト間で仮想マシン (VM) のグローバルライブマイグレーションが可能になっている.しかし,グローバルライブマイグレーションでは異なるクラウドプロバイダが提供する任意のクラウドで多数の利用者が資源を共有するので,それを前提としたライブマイグレーションの権限制御機構が求められる.これに対して本研究では,複数のクラウドプロバイダ間においても VM 利用者の権限に基づいた安全なライブマイグレーションができるような支援システムを開発する.この支援システムではマイグレーションの権限を利用者の属性によって認証する暗号文ポリシー属性ベース暗号を用いる.また,支援システムは異なるプロバイダのマイグレーションでもセッションを維持するため,移動透過通信機構も有する.本稿では支援システムの開発について述べる.また,実装したプロトタイプシステムを用いて,追加した認証機構や移動透過通信機構のオーバヘッドの実験的評価を行い,支援システムの実用性について述べる.
著者
林 健汰 加森 剛徳 前田 香織 近堂 徹 相原 玲二
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.19-24, 2017-11-30

クラウドアプリケーションを利用したファイルの共有や共同作業を行う場合,作業者の属性に基づいてファイルへのアクセス権限や作業権限を設定できると管理コストを下げる効果がある.本研究ではクラウドアプリケーションとして仮想デスクトップを対象とし,利用者の属性に合わせた作業権限を設定できる認証機構を開発する.認証機構には暗号文ポリシー属性ベース暗号を用いる.これにより,利用者数や属性数が増えても鍵の管理が煩雑にならず,共同作業や引継ぎの安全性を向上できる.仮想デスクトップ上の画面共有を対象とする認証機構のプロトタイプシステムを実装し,それを用いて属性ベース暗号を採用したことによる認証処理のオーバヘッドを示す.属性数やその組み合わせを複雑にするとオーバヘッドは大きくなるが,その時間は実用上問題がないことを示す.また,RSA 暗号との比較により,開発する認証機構が複数利用者の画面共有において有用であることを示す.
著者
小川 康一 吉浦 紀晃
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.9-18, 2017-11-30

我々は,大学ネットワーク管理者が利用者のネットワーク機器の状態を把握するため,小型コンピュータとカメラを利用した監視と,その監視情報について移動ロボットを用いて,遠隔操作で収集する手法や自動で収集する手法を提案している.しかし,移動ロボットと監視装置間の通信については,監視装置に蓄積された情報量や,移動ロボットと監視装置間の通信品質が考慮されていないために,移動ロボットとの適切な通信が成立しないという問題点があった.そこで本稿では,移動ロボットの制御により,移動ロボットと監視装置との通信を最適に行うための移動ロボットを制御する手法を提案する.本手法を実装し,大学内での実験により提案手法の有効性を確認した.
著者
松原 義継 武藏 泰雄
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.1-8, 2017-11-30

電子メールサイズの頻度分布を説明するためのモデルを構築した.とある大学の電子メール送信サーバへリクエストされた電子メールのサイズの頻度分布図を 100 バイト単位で作成した.その頻度分布の大きな形からは,ベき則を読み取れる.電子メールヘッダの 1 つである “Content-Type” の内容に基づき,その頻度分布を 4 種類に分解した.この分解に用いた電子メールの送信リクエスト回数は 269,085 (3ヶ月分) である.分解された各頻度分布を説明するためのモデルを作成した.提案モデルでは,送信者は意識的もしくは無意識的に電子メール本文中の新規作成文の桁を正規分布に従い管理する.そのモデルからは概ね受け入れられるフィッティング結果を得られ,さらに実験によりベき則性を有することの結果も得られた.
著者
林 遼 高田 遼 坂本 龍一 近藤 正章 中村 宏 児玉 康弘 新 善文
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2017-SLDM-179, no.27, pp.1-6, 2017-03-02

ネットワークルータにおいて,ルーティングやフィルタリングの処理を行うために,IP アドレスから該当する情報を検索する必要がある.その実装に現在広く用いられている TCAM ( 3 値連想メモリ) は高コストかつ高消費電力であり,今後ネットワークに接続されるデバイス数の増加が見込まれるなか,その消費電力削減は重要な課題である.ハッシュテーブルの利用などの代替手法もあるが,ハッシュ競合など解決すべき問題がある.本稿では,ニューラルネットワークを用いた IP ルックアップ方式を検討し,その性能と電力を評価する.
著者
廣瀬 信己
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.51(2003-DBS-130), pp.95-112, 2003-05-22

インターネット上の情報流通は、学術や文化の発展に必要な、過去の情報に対する参照可能性が十分ではなく、知識や情報を流通させるメディアとして、空間的、時間的安定性を欠いている。国立国会図書館では、平成14年6月より「国立国会図書館インターネット資源選択的蓄積実験事業(WARP: Web Archiving Project)」を開始した。ウェブ・アーカイビングをめぐっては、著作権や納本制度といった制度的課題の他、セレクション、粒度、ロボット性能、品質管理、再収集ポリシー、深層ウェブ、メタデータ、識別子、全文検索、格納形式、原本性、長期保存、収集戦略等々、それぞれに制度的、技術的要素が絡み合った複雑な課題が数多く存在する。本事業を通じて明らかになりつつある、ウェブ・アーカイビングをめぐる実践と課題について、諸外国の動向も交えながら、報告する。
著者
廣田 有里 土屋 薫 林 香織
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.26, 2016-03-15

高度成長期に流山に住居し始めた高齢化が進む旧住民と,「母になるなら流山」というキャッチフレーズで子育てのしやすさを打ち出し,近年,流入してきた子育て世代(新住民)を,双方の持つ社会的資源の交換を促すことによって,魅力的な,まちづくりの担い手となっていくと考え,「ゴーヤ」をツールとして交流させた。本研究で明らかになった点は,①世代間交流のツールとしての「ゴーヤ」の有用性と限界②プログラムに関わる資源に対する重要性の確認不足③プログラム実施結果,関係者が受け取るインセンティブの不平等,である。本研究によって,「ゴーヤ」というツールを用いての世代間交流の場を設けることは可能性の一端は確認されたが,課題が明確になったため,今後の改善がのぞまれる。
著者
東 和樹 新井 イスマイル
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.384-395, 2017-02-15

設備負担のない屋内測位手法で,スマートフォン搭載センサを駆使するものとしてWi-Fi・地磁気フィンガープリンティング(以下,FP)の双方を組み合わせた手法が提案されている.Liらの研究ではWi-Fi FPの測位結果周辺で地磁気FPを行うことで測位する.しかし提案されている手法では一方のFPが良い精度であっても,もう一方のFPの精度に測位結果が大きく影響されるという性質がある.この問題点を解決するために,観測したWi-Fiアクセスポイント(以下,AP)のBSSID観測状況に応じて制限したエリア内で地磁気FPを行った結果と,Wi-Fi FPの結果を,Wi-Fi FPの信頼度で加重平均することで,安定した精度を得る手法を提案する.評価の結果,測位誤差の平均値6.95m,中央値3.48m,測位失敗率0%となった.また実験環境上に存在するAPのBSSIDを無作為に75%削減したときの,測位誤差が5m以内に収まる確率について,Liらの手法は28%に対し,提案手法は48%を達成し,Wi-Fi FPの高い精度を維持したまま,Wi-Fi FPで測位できないエリアも安定した精度で測位できた.