著者
鈴木 花菜 岩田 吉生
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.37-45, 2021-03

聴覚障害児を育てる保護者にとって、早期からの教育機関による支援は必要不可欠である。庄司ら(2011)の研究では、人員不足や教育相談体制の未整備、人事異動による専門性維持の困難が乳幼児教育相談の課題となっていることが報告されている。また、これらの保護者支援の困難さについて、下司(2013)は難聴幼児通園施設に関する調査を行っているが、聾学校幼稚部における保護者支援の困難さや、保護者支援に対する具体的な対応がまとめられている論文は少ない。そこで、本研究では、全国の聾学校乳幼児教育相談担当者に調査を依頼し、保護者への具体的な支援方法、困難さ、担当教員の専門性、今後の課題について整理し、幼稚部の充実した保護者支援について検討することを目的とした。その結果、聾学校の幼稚部(教育相談担当を含む)の教員は、聴覚障害児を持つ保護者における心理的な不安や子育てに対する悩みを理解し、様々な支援を行っていることが明らかにされた。また、聾学校と医療機関の連携を進める努力を重ねていることがわかった。聾学校の幼稚部の教員は、幼少期の聴覚障害児に対する多様な指導・支援だけでなく、保護者に対しても多様な対応を取っていくことが課題とされる。
著者
野村 暢彦 豊福 雅典
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.138-144, 2021-03-25 (Released:2021-06-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

すべての生物において細胞外小胞の存在が確認されている。その細胞外小胞の形成機構とともにその役割や生理的機能が近年ますます注目されてきている。細菌の細胞外小胞の形成には細胞死が関わり、それにより細胞外小胞の多様性が生まれることが明らかになった。
著者
山田 幹雄 松島 保志 佐野 博昭 奥村 充司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.637, pp.165-175, 1999-12-20
参考文献数
24

本研究では建設副産物の有効利用の一環として, また, 補修周期の延伸化の一策として, 再生混合所に搬入したアスファルトコンクリート発生材の一次選別時に生じるグリズリフィーダ通過材を活用した路床構築の可能性について検討した. 模擬路床の構築試験に先立ち, 室内で粒径を揃えた材料を安定材とともに試料土に加えて<i>CBR</i>や一軸圧縮強さの推移を調べたところ, 混入量を多くするほど安定処理効果は大きくなることが確かめられた. さらに, 構築試験および事後試験からは, 粒度組成にかかわらず舗装の施工基盤として具備すべき締固め度や支持力は十分に確保されること, 改良路床土の固化の進行には路床温度が関与すること, 耐水性を通常の安定処理土と比較してもとくに遜色のないことが示された.
著者
竹内 晃一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.72-73, 1997-09-24

製品の使いやすさを評価するために, 評価対象製品について課題を設定し, 被験者の言動を観察するいわゆるユーザテストが行われている. このようなユーザテストでは, ユーザビリティ上の問題を発見, 改善することを主な目的としている. このユーザビリティ上の問題というのは, 様々な要素が複雑に入り組んで起こる現象であり, 単にあるボタンの名称が不適切といった単純な理由に帰することができることはまれである. うまく使えるか使えないかは, インタフェースの設計, ユーザの経験, 状況等の微妙なバランスの上に成り立っている. つまり, ユーザビリティ上の問題をより深く理解するためには, インタフェースの設計, ユーザの経験, 状況等の要素がいかに組み合わさって問題を引き起こしているのかを知る必要がある. 本稿では, インタフェースの一部を隠し, 隠されたインタフェースとその操作法を推測しながら課題を行わせるマスキング法[1]とよばれるHI評価法を紹介し, これがユーザビリティ上の問題をより深く理解する手段として有用であることを示す.
著者
速水 清孝
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.20, no.44, pp.363-366, 2014-02-20 (Released:2014-02-20)
被引用文献数
1 1

This paper is a report about the actual condition of financial aid for building demolition and restoration in Fukushima prefecture after Great East Japan Earthquake. Over 10,000 buildings were demolished by public expense after this disaster. 19 buildings which had cultural value were included. This building demolition by public expense was free for general people, and architectural professionals didn’t take part in the decision process of the demolition at all. These may had become the reason which made the demolition easy to choose.
著者
常木 和日子
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

現生の脊椎動物のうちで最も原始的な体制を示す円口類(ヤツメウナギ類、ヌタウナギ類)の横断連続切片を作成し、比較解剖学、比較組織学的観点から、この類の体制の機能的および系統的特徴を明らかにしようとした。ヤツメウナギ類に関してはアンモシ-テス幼生も観察した。器官、組織レベルで円口類の最も特徴的な点は、広大な血洞系の存在と、多様に分化した軟骨系、および顕著な赤筋の存在であった。この3つの系は、特に呼吸器官を特徴づけていた。アンモシ-テス幼生では、口腔と咽頭の間に縁膜が存在する。この縁膜の絶え間ない運動により口から呼吸水と食物であるプランクトンが取り込まれる。縁膜内には血洞系と赤筋が発達しており、またひずみがかかる口腔壁への付着部には繊維性の粘液軟骨がみられた。縁膜の運動は一義的には赤筋によるが、この収縮を縁膜全体に伝える上で、血洞系が一種の液体骨格の役割を果しているらしい。ヤツメウナギ(スナヤツメ)成体では縁膜は退化的になり、呼吸水は鰓孔と鰓嚢の間を往復する。成体では血洞系が体内各所にみられるが、鰓嚢を囲むものがよく発達していた。閲嚢外壁には赤筋が広く分布するが、この収縮が囲鰓血洞を運動伝達装置として鰓嚢の収縮、呼吸水の流出を引き起こすものと考えられる。その後の呼吸水の流入は、鰓嚢壁に存在する特異的な胞状軟骨を連結する繊維性構造の弾性に基づく鰓嚢の拡張によるらしい。ヌタウナギでも広大な血洞系が体内各所にみられるが、やはり縁膜内血洞や囲鰓血洞が存在する。また縁膜内にはヤツメウナギのものとは組織学的に異なる胞状軟骨と赤筋がみられた。円口類では特異的に分化した筋肉系と軟骨系が呼吸運動に関与しており、また血洞系がその運動の円滑な遂行に、一種の液体骨格として重要な役割を果していると推定された。しかしナメクジウオや軟骨魚類との比較から、血洞系の存在は円口類の共有派生形質とはみなせなかった。
著者
広報委員会
出版者
奈良教育大学
雑誌
ならやま : 奈良教育大学広報誌
巻号頁・発行日
vol.43, 2013-07-31

特集 教師力を高める4年間の学び/羅針盤~奈良教育大学の取り組み~ ~社会の要請に応えるために~学生ボランティアの取組/クローズアップ~教員研究紹介~フィールドからの情報を読み解く―陸水物理学が専門の藤井智康准教授/ラボ・レター~研究室紹介~音楽教育史、音楽文化史、民族音楽学 劉麟玉研究室/ひと・あれ・これ~卒業生紹介~地域推薦で入学し、国語教諭として教壇に立つ濵尾友貴さん/なっきょん's CLUB企画 奈教のひみつ 授業紹介~実践英語表現研究~/留学生レポート リヨン第三大学(フランス)増村里美さんとスタルダー ルカさん/キラリ☆奈教生~キャンパスで輝く学生を紹介~国際規模のピアノコンクールで3位に入賞し、学長表彰を受賞した西部裕香子さん/ブカツ魂!:合氣道部/活躍する奈教生:女子バレーボール部/キャンパスニュース・附属学校園ニュース/奈良に息づく仲間たち:タンポポ/奈教生に聞きました!:4年間でやりたいこと
著者
野中 俊夫
出版者
地学団体研究会
雑誌
地学教育と科学運動 (ISSN:03893766)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.71-75, 1987-08-06 (Released:2018-03-29)

筆者は進化学習の教材としてヤツメウナギを取り上げ、干物の解剖学的検討と文献による生態学的、発生学的、系統学的検討(野中、1985、1986)を行った。小論では生徒のスケッチ、疑問、印象、仮説などを中心に述べる。
著者
中曽 久雄
出版者
愛媛大学教育学部
雑誌
愛媛大学教育学部紀要 (ISSN:13497243)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.231-243, 2015-10