著者
黒川 博史 深野 友佳 大木 亨 長沼 孝文
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.127-133, 2019
被引用文献数
1

<p>脂肪酸メチルエステル(FAME)はバイオディーゼル燃料や,界面活性剤などの工業用の基幹原料として広く利用されている。FAMEは,パーム油,菜種油などの食用油脂を原料としているが,将来的な世界人口増加による食糧問題を背景に,工業用途には代替となる油脂資源の確保が求められている。 一方,このFAME生産で副生するグリセロールは,年々増加しており,その活用が求められている。そこで,筆者らは油脂生産酵母である<i>Lipomyces</i>属酵母を活用し,グリセロールを油脂へ変換するスキームを考え研究を行ってきた。本稿では高純度グリセロールだけでなく,粗グリセロールを炭素源とした培養と生産の可能性に関して紹介する。</p>
著者
澁谷 義彦
出版者
国際地域研究学会
雑誌
国際地域研究論集 (ISSN:21855889)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-10, 2015

Nowadays Japanese adaptions of Shakespeare are common in Japan. They are performed notonly in Japan but also in foreign countries. The Japanese version of Macbeth by Mansai Nomuracombines elements of Japan's Noh (tragic) and Kyogen (comic) traditions in a metatheatricalway. This adaption could successfully show both the tragic story of the Macbeths and the folly of humans allowing the audience to look at the drama with detachment characteristic of Kyogen.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1428, pp.30-32, 2008-02-11

朝8時30分。カリキュラムは参加者全員が大きな声で挨拶する「規律訓練」から始まった。団体行動が苦手なのか、極度の恥ずかしがり屋なのか。中には他人の目をまともに見られない若者も見受けられたが、それも初めのうちだけだ。 現場で使う工具の扱い方、自動車工場で働く者の心構え、塗装業務などの体験学習…。
著者
岩森 円花
出版者
物語研究会
雑誌
物語研究 (ISSN:13481622)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.122-138, 2014-03-31 (Released:2018-03-27)

The area of Suma is influenced by many preceding stories and traditions in the text of The Suma chapter of The Tale of Genji, but it has been recognized as a fixed image related to the sea, it is the dreary place that where an exile lives. However, when looked upon as the living-space of Hikaru Genji, the place Suma is described as a space having both elements of the sea and the mountain, without the description leaving a consistent impression. In this paper, I analyze the living-space of Hikaru Genji with regards to the story text. I point out that the sea of Suma emphasizes the dreariness and lonesomeness of Hikaru Genji by the image of Waka, and that the mountain shows a bearing of Hikaru Genji as a recluse calmly content in heart through the image of Chinese poetry while being related with a pseudo-priestly life. Furthermore, I treat that space of Suma that has been treated relative to the capital switches as a bordering space leading to the ground Akashi from the purification ceremony of the beginning of March.
著者
後藤 智香子 近藤 早映 林 和眞 小泉 秀樹 三木 裕子 辻 麻里子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.113-121, 2021
被引用文献数
2

<p>近年、保育施設の開設を巡って地域社会から反対の声があがっている状況を踏まえ、本稿では特に住宅市街地内の公園を活用して施設を整備した際に地域社会から反対の声があがった事例に着目する。そして、行政の保育施設整備担当者と住民へのインタビュー調査をもとに整備の実態を明らかにした上で、整備の手続きや要件について考察する。具体的には、各事例について、保育施設整備に関する自治体の計画、公園の状況(空間面・利用面)、施設計画、行政が当該公園を選択した理由と経緯、地域住民への計画公表から収束までの経緯、争点と対応、開設後の状況に着目して、整備の実態を明らかにした。最後に、地域住民参加型の計画プロセスの必要性、公園の利用実態や場所の価値の把握の必要性、残された公園の管理運営や代替公園の整備もあわせて計画する必要性という観点から整備の手続きと要件を考察した。</p>
著者
後藤 智香子 近藤 早映 林 和眞 小泉 秀樹 三木 裕子 辻 麻里子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1168-1175, 2019
被引用文献数
1

<p>近年、保育施設の開設を巡って地域社会から反対の声があがっている状況を踏まえ、本稿では特に住宅市街地内の民有地を活用して民間事業者が施設を整備した際に地域社会から反対の声があがった事例に着目し、複数主体(行政担当者、事業者、地域住民)へのインタビュー調査をもとに整備の実態を明らかにした上で、整備の方法について考察することを目的とした。具体的には、3事例について、保育施設整備に関する自治体の計画、事業者、当初計画地の立地状況(地域の空間状況、社会状況)と施設計画、事業者が当該敷地を選定した理由と経緯、地域住民への計画公表から収束までの経緯、争点と対応、開設後の状況に着目して、整備の実態を明らかにした。最後に、都市計画などと連携した立地計画の必要性、地域単位での敷地の検討の必要性、近隣住民の声と地域の公共性とのバランスという観点から整備の方法について考察した。</p>
著者
董 際国 Jiguo Dong
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2012-03-23

カオスの研究は,約100 年前(ポアンカレ)からとされ,1970 年代から盛んになり,多くの成果を得るようになった.「カオスの最大の応用は擬似乱数にある」と言われるほどカオスの擬似乱数生成への応用が高く期待されている.その中,カオスを生成する関数で,ほとんどのカオスの入門書に紹介されているロジスティック写像xt+1 = 4xt(1 ? xt) に対する研究成果が多く発表されている.しかし,カオスに関する理論的な研究成果が多く得られているにもかかわらず,幅広く産業技術としてのカオスの応用システムはまだ見られていないのが現状である.ほとんどのカオスに関する研究は,実数で定義,計算されるカオス時系列の性質に対するものに対し,産業技術としてのカオスの応用は多くの場合,有理数(コンピュータ)で計算されている.実数の計算で得られるカオス時系列の性質は,必ずしも有理数の計算で得られる時系列が有する性質と一致するとは限らない,むしろ,基本性質は異なっていることは一般的であろうと考えられる.有限計算精度で生成した時系列はいずれ周期に落ち入るため,原理的にはカオスにならない,擬似カオスと称される.従って,カオスを産業技術へ利用するには,まず有限計算精度の計算で得られる時系列が有する性質を解明する必要がある.カオスを産業技術として応用するとき,多くの場合に同じ入力に対し同じ安定した出力が求められる.このような再現性を持つ比較的に安価なシステムはデジタル(コンピュータ)システムである.カオスは実数で定義されている.コンピュータでの無理数の計算は近似計算で浮動小数点演算法を用いる.しかし,安価な産業用計算機(マイクロコントローラ)は浮動小数点をサポートしていない.また,浮動小数点演算はシステムの種類によって,異なる規格を採用していることがある.このことは,異なるシステム(規格)において,同じ入力で同じ出力がえられない可能性があることを意味する.従って,浮動小数点演算によるカオスの計算を含むシステムでは安価なシステムになり難い.そのため,異なるシステムでも同じ入力に対し同じ出力が得られる整数演算による擬似カオス時系列の生成が求められる.ロジスティック写像による乱数生成について,1947 年にも2 進計算機の原型を考案したフォン・ノイマンらにより提案された.しかし,ロジスティック写像を計算して得られる時系列は一様分布とはならず,U字型となっている.それを使って,一様分布の系列にするには何らかの処理が必要である.しかし,これまでの提案された方法では何れも大幅な生成速度の低下を伴っている.また,計算精度ビット長が長くすることで,生成される系列の周期長を長くすることができるが,写像速度の低下に繋がる.一方,周期長,統計的乱数性,生成速度などは乱数生成法においての重要な指標となっている.従って,計算精度拡張の高速な計算方法,乱数生成速度の低下が小さい処理方法が望まれる.本研究はロジスティック写像を擬似乱数生成へ応用することを考える.本研究は序章と終章を含み,6 章からなる.以下,2 から5 の各章の概要を述べる.2 章では,3 章以降で必要となるカオスに関する基礎的な概念・用語を準備する.とくに,本論分の主要結果であるロジスティック写像の計算機上での演算について,従来用いられてきた浮動小数点法による計算方法と比較しながら,本論文で提案する整数演算を用いた計算方法の特色について論じる.3 章では,まず,整数ロジスティック写像において,初期値敏感性を示さない場合すなわち,ホール(Hall)の存在を明らかにする.また,初期値が不動点以外の値で,有限回の繰り返し計算で不動点に入ることを回避するために,不動点を含む任意の値に落ち入る系列の存在を調べる方法を提案する.そして,数値計算により,整数ロジスティック写像が生成できる平均的な非周期状態長の推定値と計算精度N との近似的な関係を与える.4 章では,整数演算を用いて計算精度N ビットのロジスティック写像を計算し,計算過程に存在する2N ビットの内部状態を利用した撹拌方法に基づく擬似乱数生成法を提案する.また,生成した乱数列に対し,初期値敏感性をハミング距離の収束の速さで提案法とMTと比較を行い,提案法の効果を示した.そして,計算精度N = 128 ビットで生成される2 進数列に対し,統計的検定を行い,一様性を持つとの結論を得た.5 章では,大量のID・パスワード(PW)の生成だけでなく,管理にも適した擬似乱数列の生成方法を提案する.提案法は,初期値(種)R とK 次元空間座標で表す位置i を用いて2 値系列を生成する.i 番目の擬似乱数列Ri は初期値Rを用いてK = 1 回繰り返して生成される.擬似乱数生成がロジスティック写像を用いたとき,提案方式における多次元乱数生成の性能を確認し,計算量的に安全なキーの生成が可能であることを示す.その結果,本研究は整数で演算するロジスティック写像が有する基本的な性質を解明して,ロジスティック写像をセキュリティー用乱数生成へ応用するとき,初期値選びや計算精度長の決定の根拠を与え,安全な乱数生成システムの構築を可能にした(3 章).そして,高速な乱数生成方法を提案し(4 章),これまで実現困難とされるキーの使い捨て暗号や認証を容易にした(5 章).