著者
山本 英政
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.519-540, 1993

一 はじめに二 ボストン・ブラーミンと移民問題三 ロッジの南・東欧系移民問題四 識字テスト条項の論議五 むすびにかえてI have long been interested in the history of Japanese immigration to the United States and even more particularly in the question of how the Japanese were, in 1924, eventually excluded by U. S. federal law from immigrating there. In this connection I have also had an interest in Henry Cabot Lodge, a congressman from Massachusetts whose support of this exclusionary policy was decisive in its becoming law. In this paper, however, I discuss the related issue of his racial attitudes towards Slavic and Latin nationals immigrating to the U.S. At the turn of the Twentieth Century, the influx of laborers from southeastern Europe became a major issue in the urban, industrial areas of the northeastern United States. Among those who feared that this influx would lead to a national crisis was Henry C. Lodge. As a lawmaker, he attempted to reduce the number of those arriving by frequently introducing bills that would restrict immigration by the use of "Literacy Tests". This paper attempts to clarify the factors leading Lodge to favor the anti-immigration policy. It also focuses on the enthusiastic battles waged by Lodge in Congress to enact such legislation during the terms of three presidents, who considerd the measure discriminatory and sought to stop its passage with their veto authority. It is my hope that this study will add not only to the general understanding of the history of U.S. immigration policy, but also that it will be of interest to historians concernd with Henry C. Lodge in the above mentioned context.
著者
田代 田鶴子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.684-690, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

cis-ジクロロジアンミン白金(II),(シスプラチン)を凌駕することを目的に合成された白金錯体の抗腫瘍活性をまとめてみた。担体配位子は制がん活性の強さおよび抗腫瘍スペクトラムをかなり限定している。一方,脱離基は水溶性や安定性に影響し,錯体の毒性を規定し,その種類により約30倍の差も見られた。
著者
大山 彩子
出版者
お茶の水女子大学生活社会科学研究会
雑誌
生活社会科学研究 (ISSN:13410385)
巻号頁・発行日
no.19, pp.15-24, 2012-10-31

急速な高齢化と経済的な側面から,外国人労働者への門戸を広げ始めている日本にとって,移民受け入れ国として長い歴史を持っている英国の移民政策は\参考にすべき事例の一つである.そこで本稿では,英国における移民と移民政策の動向を概観し,英国政府が移民にどう対応してきたかを明らかにした.\EU 市民の出入国・就労が基本的に自由であり,多様な人種や民族を抱える英国では「移民」の定義が文脈によって異なり,外国人と日本人の線引きが比\較的はっきりしている日本と比較するのは難しい.英国内で移民政策を論じる上で必ず使われるのは,一年以上住む予定で入国する移民の数であり,出国移民を差し引いた「純移民」は1年間で約25万2,000人(2010年)である.1日あたり約690人の居住者が増えている計算になり,その多さに英国で大きな社会問題になっている.また,移民の多くが英国籍を取得していると考えられている英国では,国内に居住している移民数を「外国籍の者」ではなく「外国生まれの者」の数であらわしており,全人口の1割を超えていると推定されている.\英国の移民政策は主に政治的議論の中で展開してきており,この20年間で入\国管理の焦点は難民認定申請者の制限から高技能労働者の受け入れへと変化し\た.現連立政権(2010年~)は労働・留学・家族を理由とした移民の分類すべてにおいて,非ヨーロッパ国出身の移民の入国規制を実施している.また,61万8,000人(2007年)の非正規の移民が英国にいると推定されており,国民の政府への不信感につながっている.人の国際移動が世界的現象となっている現在,入国規制ばかりでなく,どのように移民を社会で受け入れていくかを含めて移民政策を論じていくことが重要である.まだ議論は始まったばかりであり,今後の展開が注目される.
著者
菅原 民枝 大日 康史 川野原 弘和 谷口 清州 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 : 日本伝染病学会機関誌 : the journal of the Japanese Association for Infectious Diseases (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.8-15, 2011-01-20
参考文献数
14
被引用文献数
2 5

【目的】新型インフルエンザ(2009 インフルエンザA(H1N1))対策では,発生時の早期探知,日ごとの流行状況をモニターするリアルタイムサーベイランスが必要である.そこで本研究は調剤薬局の院外処方せんによる薬局サーベイランスを運用し評価する.抗インフルエンザウイルス剤を処方された人数より,対策に必要な推定患者数を算出しその有用性も検討する. 【方法】全国3,959 薬局から自動的に抗インフルエンザウイルス剤データを収集し,インフルエンザ推定患者数を算出した.サーベイランスの評価は,感染症発生動向調査及び感染症法上届出の新型インフルエンザの全数報告との比較とした.推定患者数の比較は,感染症発生動向調査と岐阜県の全数調査に基づいた推定患者数で行う. 【結果】2009 年4 月20 日から新型インフルエンザ対策として薬局サーベイランスを強化し,翌日7 時には協力薬局および自治体対策関係者に情報提供した.2009 年第28 週から2010 年第12 週までの推定患者数は,9,234,289 人であった.発生動向調査との相関係数は0.992 であった.薬局サーベイランスのインフルエンザ推定患者数,感染症発生動向調査と2 倍強の違いがみられ,岐阜県全数調査で調整した発生動向調査の推定患者数は近似していた. 【考察】薬局サーベイランスは,流行の立ち上がり,ピークの見極め,再度の流行への警戒と長期間にわたってのリアルタイムサーベイランスとして実用的であった.発生動向調査と高い相関関係を示しており,先行指標となった.日ごとのデータによる早期探知,報告基準をかえずに自動的にモニタリングすること,常時運用という態勢は有用であると示唆された.インフルエンザ推定患者数は,発生動向調査の推定患者数の過大推計が示唆され,今後の課題点と考えられた.次のパンデミックを含むインフルエンザ対策として利用可能な手段であり,またインフルエンザに限定せず,アシクロビル製剤による水痘や抗生剤の使用状況のモニタリングといった広い応用が期待される.
著者
菅原 民枝 大日 康史 具 芳明 川野原 弘和 谷口 清州 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.195-198, 2012 (Released:2012-08-05)
参考文献数
7
被引用文献数
6 8

感染症流行の早期探知のための薬局サーベイランスでは,抗インフルエンザウイルス薬,抗ヘルペスウイルス薬,解熱鎮痛剤,総合感冒薬,抗菌薬の薬効分類で処方件数のモニタリングをしている.近年,抗菌薬耐性菌感染症の問題があり,諸外国では使用量が算出されて国際比較が行われているが,日本全国でのモニタリングはなされていない.そこで,薬局サーベイランスによる1年間の処方件数を用いて日本全国での外来診療における使用量を算出する方法について検討した.抗菌薬処方を5分類(ペニシリン系,セフェム系,マクロライド系,キノロン系,その他)し,それぞれの処方件数を算出し,先行研究の投与量の分布を用いて,使用量を算出した.それを抗菌薬標準使用量(Defined Daily Dose: DDD)を人口1000人の1日あたりで示した.期間は,2010年8月~2011年7月処方の12ヶ月分である.抗菌薬処方件数は,12月が最も多く,8月が最も少なく,種類ではマクロライド系が多かった.抗菌薬標準使用量DDDは,全国で10.16であった.都道府県別では,西日本が高い傾向があった.
著者
Y. C. Lee
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.22, no.125, pp.95-106, 2010 (Released:2010-08-13)
参考文献数
41
被引用文献数
10 12

宿主と病原体の相互作用は、多くの場合糖鎖と糖鎖結合タンパク質(GBP)の相互作用を介する。宿主細胞上の糖鎖が病原体のGBPに結合されることもあるし、病原体上の糖鎖が宿主細胞上のGBPに結合される可能性もある。病原体の中には、宿主細胞の防御機構を巧みに利用して、自分たちの生き残りを進めるものもいる。
著者
林 順一 Hayashi Junichi
出版者
青山学院大学大学院国際マネジメント学会
雑誌
国際マネジメント研究
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-16, 2021-03

フランスでは,2019年5月に成立したPACTE法によって民法と会社法が改正され,(1)民法に会社の活動が社会と環境に及ぼす影響について考慮する義務が明記され,(2)会社が定款でその存在意義(raison d'être)を示すことができるようになり,(3)会社法で「使命を果たす会社(société à mission)」形態の会社を設立することができるようになった.この「使命を果たす会社」では,会社の目的は株主が定めるが,その目的は株主の私的な利益だけを追求するものとはならない.すなわち,取締役は単純に株主の金銭的利益を追求する義務を有するだけではなく,定款で定められた会社の存在意義や社会・環境目的を遂行する義務をも有することになる.上場会社の第1号として,2020年6月に「使命を果たす会社」に転換したのがダノンである.これは,ダノンが進めているB Corporationの認証取得の動きと平仄が取れたものであり,また長年にわたり培われてきたダノンの経営理念と整合的なものであると言える.In France, the PACTE Act, which was enacted in May 2019, amends the Civil Code and the Companies Act. Based on the new law, (1) the Civil Code stipulates the obligation to consider the impact of company activities on society and the environment, (2) companies can now show their raison d'être in their articles of incorporation, and (3) the Companies Act allows the establishment of a 'société à mission' form of the company. In this 'société à mission', the purpose of the company is set privately by the shareholders, but is not limited to their private interests. Therefore, directors are not simply obliged to pursue the financial interests of shareholders, but are obliged to carry out the company's raison d'être and social and environmental objectives stipulated in the articles of incorporation. Danone was the first listed company to transform into a 'société à mission' in June 2020. It can be said that this is in line with the company's move to acquire B Corporation certification, and is consistent with its management philosophy that has been cultivated over many years.
著者
大畑 友香 川間 健之介
出版者
日本リハビリテーション連携科学学会
雑誌
リハビリテーション連携科学 (ISSN:18807348)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.107-115, 2019

<p>本稿は, 院内学級や訪問教育の利用が不可能な児童生徒の学習がどのように行われているのか, その課題は何であるかについて, 国内文献を概観し検討を加えた. 院内学級を利用していない児童生徒に対する学習支援として「ボランティアによるもの」, 「病院勤務者によるもの」, 「入院中の児童生徒に対する原籍校により行われるプリント配布等」, 「個別に行うもの」, 「ICT を活用するもの」が挙げられた. また院内学級の利用が不可能な理由として, 「計画的な設置が困難であること」, 「学籍移動にかかわる問題」, 「治療上の理由」が挙げられた. 入院している児童生徒に対して, 病院や原籍校から行われている学習支援には課題があり, 各々の事情に依存することになる. そして学習支援の課題を改善するためには, 国や自治体が原籍校の教員等, 入院児童生徒の周囲の人が行う学習支援の指針・具体的な方法を示すことが必要だろう.</p>
著者
Manabu Okumura Kiyoaki Shirai Kanako Komiya Hikaru Yokono
出版者
The Association for Natural Language Processing
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.293-307, 2011 (Released:2011-10-04)
参考文献数
12
被引用文献数
4 4

An overview of the SemEval-2 Japanese WSD task is presented. The new characteristics of our task are (1) the task will use the first balanced Japanese sense-tagged corpus, and (2) the task will take into account not only the instances that have a sense in the given set but also the instances that have a sense that cannot be found in the set. It is a lexical sample task, and word senses are defined according to a Japanese dictionary, the Iwanami Kokugo Jiten. This dictionary and a training corpus were distributed to participants. The number of target words was 50, with 22 nouns, 23 verbs, and 5 adjectives. Fifty instances of each target word were provided, consisting of a total of 2,500 instances for the evaluation. Nine systems from four organizations participated in the task.
著者
土屋 篤生 大垣 亮
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.103-110, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
22

合宿期間中における大学ラグビー選手の内的負荷データ間の相関関係を評価した.疲労度とRPEに中程度の相関関係が認められた.練習時間が長くなるようなケースにおいてはRPEデータの方が負荷を正確に反映する可能性があるといえる.またHRVデータは睡眠の質と中程度の有意な相関関係が認められたが,主観的なウェルネスデータとの相関性が認められなかった.主観的な測定に加えて客観的なデータを測定する必要性が示唆された.